【大河編】ドラマ原作おすすめ10選!〜初期作から歴史に残る名作〜

こんにちは、ブクログ通信です。

NHKで放送されている「連続ドラマ小説」、通称「朝ドラ」。毎日楽しみにしている、通勤・通学前に見ている、といった方も多いのではないでしょうか。朝は忙しくてテレビを見る暇がないという人の中には、日曜夜の「大河ドラマ」が楽しみという人もいるのでは?「朝ドラ」と「大河ドラマ」は、日本のテレビドラマ界で最も存在感があり、最も多くの視聴者を引き付けているといっても過言ではありません。

今回は、歴史好きをも唸らせる本格的な時代考証や、斬新な歴史解釈なども盛り込んで多くの視聴者を魅了している大河ドラマの原作を5つご紹介します!

1.舟橋聖一『花の生涯』 大河ドラマ第1作!幕末の大老・井伊直弼の生涯を描く傑作小説

花の生涯〈上〉 (祥伝社文庫)
舟橋聖一『花の生涯〈上〉 (祥伝社文庫)
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あらすじ

三十五万石彦根藩主の子ではあるが、十四番目の末子として生まれた井伊直弼は自身を埋木になぞらえ、「埋木舎」と名付けた住まいで暮らしている。政治嫌いを公言しつつも、国学者である長野主膳と親交を深めていた。曇りのない眼で未来を見据える一方、絶世の美女たか女との出会いや思いがけず井伊家を継いだことが、直弼の運命を急転させていくのだった。

おすすめのポイント!

1963年に放送された大河ドラマ第1作の原作となった歴史小説です。幕末の大老・井伊直弼を既存のイメージとは異なる切り口から描き、近代的かつ魅力的な人物像を生み出しています。大河ドラマ版では、視聴率が全話平均20.2%、最高32.3%を記録しました。大河ドラマの歴史は本作抜きでは語れない、といっても過言ではないほど重要な作品だといえるでしょう。また、江戸を守るために奔走した井伊直弼という人物について、改めて功績の偉大さを教えてくれる傑作小説です。

舟橋聖一の作品一覧

6月に彦根城を訪れるので、何かまつわる小説をと思い立ち選ぶ。NHK第一作大河ドラマにもなっているらしくとっつきやすい。井伊直弼のイメージは安政の大獄などで最悪だったにのに、視点が違うとこんなにも変わるのだろうか!登場する村山たかは架空の人物だろうと思っていた予想は見事に裏切られ実在していた。著者の舟橋聖一が取材する中で見つけ出した女性とか。諸田玲子が村山たかを主人公にして「奸婦にあらず」も上梓している。今下巻を読んでいます

しずくさんのレビュー

2.吉川英治『新・平家物語』 人間味あふれる平清盛像が魅力の歴史超大作

新・平家物語(一) (吉川英治歴史時代文庫)
吉川英治『新・平家物語(一) (吉川英治歴史時代文庫)
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あらすじ

12世紀の初め、藤原政権は退廃し源氏と平氏の時代がやってきた。武門の両統である源平だが互いに深い恨みを抱え、共に生きていくことはできない。古典平家の世界で描かれる源平抗争の歴史を、新たな視点から描き出す本作。これまで描かれなかった庶民の相にも力点を置き、7年の歳月をかけて執筆された著者晩年の超大作。

おすすめのポイント!

1972年に放送された大河ドラマ第10作『新・平家物語』の原作小説です。1950年から1957年まで「週刊朝日」に連載された大作で、複数の古典作品をベースにしています。源平抗争を軸に、権力闘争の外にいた同時代の人々や、庶民たちの視点も多く描かれているのが本作の特徴です。無念のうちに沈み、怨霊の代表格となった崇徳上皇を心優しい人物に描くなど、既存のイメージとは異なる登場人物たちの姿に新鮮さを感じられます。『平家物語』ファンはもちろん、未読の人にもぜひ読んでほしい作品です。

吉川英治の作品一覧

以前、途中まで読んで止めてしまったが、山岡荘八『徳川家康』の次はこれだろうと思い、再び読み始めた。『徳川家康』と違い、最重要人物である平清盛は既に20歳になっている。本巻は貧乏時代の平氏から保元の乱の前夜まで。山岡荘八と違い、客観的に淡々と書かれているように見えるが、権力を巡る公卿どうしのドロドロした争いが読み取れて興味深い。

TACK.Sさんのレビュー

3.司馬遼太郎『国盗り物語』 戦国の革命児・斎藤道三の熱い生きざまに魅了される傑作小説

国盗り物語(一) (新潮文庫)
司馬遼太郎『国盗り物語(一) (新潮文庫)
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あらすじ

舞台は戦国時代初頭。「国主になりたいものだ」——松波庄九郎はそう呟いた。妙覚寺で「智恵第一の法蓮房」と呼ばれた彼は、発心して環俗したのだった。やがて、京の油商奈良屋の莫大な身代を乗っ取った庄九郎は、美濃の国を拠点に「国盗り」の計画を立てる。一介の牢人から美濃国守土岐頼芸の腹心にまで登りつめた斎藤道三の、情熱に満ちた生き様を描く壮大な歴史絵巻。

おすすめのポイント!

1973年に放送された大河ドラマ第11作『国盗り物語』の原作小説です。歴史小説の大家・司馬遼太郎さんの代表作の1つでもあります。戦国初頭を舞台に、革命児・斎藤道三の熱い生き様を躍動感あふれる描写で描き出しています。元僧侶でありながら、野心にあふれ己の心に従って生きた斎藤道三の型破りな生き方に、きっと誰もが魅了されるはず。織田信長や明智光秀といった有名な人物も多数登場するので、歴史に詳しくない人も十分楽しめる作品です。

司馬遼太郎の作品一覧

何という面白い小説か。史料に縛られていない、会話が中心のテンポのよい、闊達な人物描写が魅力の一編。活き活きと歴史上の人物が躍動する、こういう司馬さんの作品もまた司馬文学の魅力だなぁ。

おーい粗茶さんのレビュー

4.山本周五郎『樅の木は残った』 お家騒動の渦中でひとり戦い続ける男の宿命の物語

樅ノ木は残った(上) (新潮文庫)
山本周五郎『樅ノ木は残った(上) (新潮文庫)
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あらすじ

時は万治3年、徳川幕府第4代将軍家綱の納める時代。仙台藩主である伊達綱宗は、江戸幕府から逼塞を命ぜられる。理由は「放蕩に身を持ち崩したから」だという。実はその裏では、伊達家一族の伊達兵部少輔宗勝が幕府老中と手を組み、奸計を働いていた。宗勝の野望を知った伊達家重臣・原田甲斐宗輔は、ただひとり藩を守る決意を固めるのだった。

おすすめのポイント!

1970年に放送された第8作『樅の木は残った』の原作です。江戸時代前期に仙台藩で起こったお家騒動「伊達騒動」が題材となっています。一般的には「悪人」とされている原田甲斐宗輔ですが、本作では伊達家に尽くす忠臣として描かれているのが特徴です。伊達一族内での争い、幕府から忍び寄る魔の手にさらされながらも、孤軍奮闘を果たす原田甲斐宗輔の姿に胸打たれる作品です。ドラマ版は初期大河ドラマの傑作と高く評価されているので、ぜひ原作小説と併せてチェックしてみてはいかがでしょうか。

山本周五郎の作品一覧

秀作。長いけど、面白い作品は、苦にならない。少し読みにくいが、格式のある文章。綿密な人間描写。まだ、序章でこれから波乱を感じさせる。甲斐の人間性と関係する人との伏線。江戸時代初期は、まだ混乱の様相があったと言うことか。仙台藩にこのような出来事があったことは知らなかった。

hori2221さんのレビュー

5.宮尾登美子『天璋院篤姫』 徳川宗家を守り抜いた篤姫の強さと賢さに感動必至!

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)
宮尾登美子『新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)
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あらすじ

1853年8月、萩の花が盛りを迎える中、鶴丸城から江戸へと向かう行列があった。列に護られ進む駕籠の中には、薩摩藩藩主島津斉彬の養女・篤子が座っている。分家の生まれである篤姫は、器量と才覚を見込まれ18歳で斉彬の養女となった。秘命を受け、13代将軍徳川家定の正室として送り込まれた篤姫。病身の夫とは一度も本当の夫婦にはなれず、大奥での暮らしに葛藤しながらも、篤姫は己の使命を果たそうとするのだった。

おすすめのポイント!

2008年放送の47作目大河ドラマ『篤姫』の原作です。江戸幕府の13代将軍・徳川家定の正室である篤姫の波乱に満ちた生涯を描いています。藩の密命を受けて結婚させられ、独特なしきたりに縛られた大奥を取り仕切り、夫婦関係もままならない孤独な篤姫。そんな不遇の中にあっても、一本芯の通った生き方を貫いた篤姫の凛々しさに、すがすがしい感動を覚える名作です。激動の幕末期、篤姫が遺した功績の大きさを改めて知ることができます。

宮尾登美子の作品一覧

幕末の時代に翻弄された女性のイメージで読み始めたが、大河ドラマの配役もなんとなくイメージしつつ、楽しく読み進められた。上巻は、本家の養女になり、13代将軍御台所までの お話だが、自分の運命に逆らわず、その時の置かれた立場で力を発揮する。私はそういう生き方を尊敬する。

ゆうさんのレビュー


今回は、時代を経ても褪せない魅力を持つ名作を中心にご紹介しました。「ドラマは見ているけど原作は知らなかった」という作品も多いかもしれません。ぜひこの機会に、原作小説も読んでみてくださいね!
朝ドラ編もお楽しみに!