こんにちは、ブクログ通信です。
NHKで放送されている「連続ドラマ小説」、通称「朝ドラ」。毎日楽しみにしている、通勤・通学前に見ている、といった方も多いのではないでしょうか。朝は忙しくてテレビを見る暇がないという人の中には、日曜夜の「大河ドラマ」が楽しみという人もいるのでは?「朝ドラ」と「大河ドラマ」は、日本のテレビドラマ界で最も存在感があり、最も多くの視聴者を引き付けているといっても過言ではありません。
今回ブクログでは、幅広い世代に愛されてきた人気の「朝ドラ」原作から、おすすめ作を5選ご紹介いたします!これを機会に、ぜひチェックしてみてくださいね。
1.獅子文六『娘と私』朝ドラ第1作!父と娘の愛にあふれる日々を描いた自伝的小説

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あらすじ
演劇を学ぶためパリに留学した「私」は、フランス人のエレーヌと恋に落ち結婚する。帰国し一人娘の麻里が誕生するも、幸せな日々は長くは続かなかった。エレーヌが病に伏し、フランスに帰国するとそのまま亡くなってしまったのだ。父と娘の二人暮らしを経て、やがて「私」は再婚する。戦中・戦後を過ごし、今度は大きくなった麻里が結婚するときがやってきた。
おすすめのポイント!
小説家であり演出家としても活躍した文豪・獅子文六の自伝的小説です。ユーモアに富んだ家庭小説の名手として知られる獅子文六の半生を、愛情豊かに率直に描き出しています。本作は、1961年に『連続テレビ小説・娘と私』としてテレビドラマ化されました。長い歴史を誇る「朝ドラ」の第1作目という記念すべき作品でもあります。父と娘の物語というだけでなく、戦時中の市井の様子を書き留めた記録としても大変意義のある作品です。ぜひ手に取ってみてください。
「この作品で、私は、わが身辺に起きた事実を、そのままに書いた」とあり、今まで読んだ獅子文六作品よりも抑制した文章で綴られている。題名から想像していた“娘と自分”とのこと以上に、“再婚の妻と自分”とのことに比重が置かれていて、それに関して「自跋」で明かされているし、本書の献辞もその亡妻に贈られている。作者は出来るだけ包み隠さず、率直にその時々の心情を振り返って語ろうと努めたのだと思う。「私という人間は、子供だとか、妻だとかのために、犠牲となることを、喜びとするような風に、できあがっていない」と記す、個人主義で我儘でへそ曲がりの作家の、時に妻や娘がいなかったらと我が不自由を嘆き、時に愛情や思慕を抱く、その何れもが偽りのない本心であるだろうところに、作者の誠実さが伝わってきた。
2.武良布枝『ゲゲゲの女房』巨人・水木しげるを誰よりも近くで見てきた夫人の感動エッセイ

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あらすじ
とあるインタビューで口にした、「終わりよければすべてよしです」という言葉をきっかけに誕生した本書。戦後の日本漫画界の厳しさや、巨人・水木しげるがいかにして漫画家として成功していったかを、誰よりも近い場所から見守ってきた布枝夫人ならではの視点で切り取る。激動の時代の中、忍耐強く愛情深く、一途に夫を支えてきた女性の生き方をしなやかに描きだす著者初のエッセイ。
おすすめのポイント!
人気漫画家で妖怪研究の第一人者でもある水木しげるさんの妻・武良布枝さんの自伝エッセイです。2010年度上半期の連続テレビ小説としてドラマ化されました。本作では、武良布枝さんの少女時代から水木しげるさんとのお見合い結婚、夫婦の赤貧時代などが赤裸々につづられています。戦後の漫画界の実態や、水木しげるさんの人柄なども知ることができ、読み応えのある作品です。
水木さんとお見合いする場面から俄然面白さが加速してわーっと読んでしまいました。朝ドラは見なかったけれど、きっと面白かったのだろうなとちょっとだけ後悔。続編が出ているのは知らなかったです。いつかそれも読んでみたい。
3.古川智映子『小説 土佐堀川 女性実業家・広岡浅子の生涯』 時代を変えた女性実業家の一代記

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あらすじ
豪商三井家の娘・浅子は17歳で大坂の両替商・加島屋に嫁ぐこととなった。家運が傾いたとき、浅子は持ち前の商才を発揮して難局を切り開くのだった。「九転十起」の信念で、浅子はやがて実業家として大成する。晩年には女子教育にも尽力し、日本初の女子大開設のため奔走するのだった。歴史に埋もれてきた不出世女性実業家・広岡浅子の生涯。
おすすめのポイント!
2015年度下半期の連続テレビ小説『あさが来た』の原作小説です。まだまだ女性の社会進出など考えられなかった幕末期において、商才と人脈を活かして大活躍した女性・広岡浅子の生涯を描いています。100年以上前、こんなにもエネルギッシュかつ先見性にあふれた女性がいたことに、きっと誰もが驚かされるはずです。本作では、朝ドラで取り上げられなかったエピソードも楽しめるので、ぜひドラマと併せてチェックしてみてはいかがでしょうか。
転んでもタダでは立ち上がらない女性。広岡浅子。男尊女卑の文化が残る時代、自らの才覚を元に起業家として邁進する浅子の姿にたくましさは女性起業家の魁とも言える。・自分から始めたことやないか、頑固にやり通すしかない。・仕事は命がけや。死んでも仕事は残る。そういう仕事をしなあかん。・勝たなあかんで。負けの人生は惨めや。
4.村岡恵理『アンのゆりかごー村岡花子の生涯ー』 1冊の本に魅了された少女の波乱万丈な人生

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あらすじ
大勢の兄弟と共に貧しい暮らしをしていた少女・花子は、女学校の給費生として学ぶことになった。親しくなったカナダ人宣教師から、友情の証として一冊の本を受け取る花子。それは、後に『赤毛のアン』というタイトルで多くの読者を魅了することになる名作との出会いだった。多くの人に明日への希望がわく物語を届けたい——その一心で、戦時中も原書と原稿を守り続けた花子の情熱に満ちた生涯を描く。
おすすめのポイント!
2014年に放送された『花子とアン』の原案作品です。本書では、翻訳家・村岡花子の知られざる生涯を、孫娘でライターの著者が評伝にまとめています。明治から昭和にかけての時代背景や村岡花子を取り巻く環境なども丁寧に取り上げられており、歴史的にも文化的にも奥の深い作品です。ドラマ版とはひと味違った村岡花子像が鮮やかに浮き上がる点が本書の魅力となっています。
赤毛のアンの翻訳家である村岡花子の生涯の伝記。10年間ミッション・スクールで英語を鍛えられた花子は子供のお話を書きながら、西洋の少年少女家庭小説の翻訳にいそしむ。綺羅星のごとくの有名人との交流をもっていたのだな。テレビ・ドラマとの違いを見るのも面白い。
5.なかにし礼『てるてる坊主の照子さん』戦後間もない大阪で繰り広げられるホームコメディー

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あらすじ
戦後復興期の昭和30年代、復員してパン工場を始めた岩田春男と妻・照子の間には春子、夏子、秋子、冬子という4人の子供がいた。やがて、人一倍負けず嫌いの照子のアイデアで始めたテレビ喫茶が大当たり。4姉妹も順調に成長し、特に長女の春子はフィギュア・スケートで才能を開花させるのだった。
おすすめのポイント!
2003年度下半期に放送された朝ドラ『てるてる家族』の原作小説です。直木賞作家・なかにし礼さんによる長編小説で、大阪・池田市を舞台に、とある四姉妹の成長を描いています。「なにわの若草物語」として描かれた本作は、なかにしさんの妻・石田ゆりさんの家族をモデルにしているそうです。個性豊かな登場人物、ほのぼのしたホームドラマ、そしてときにほろりとさせる演出の三拍子が揃った、笑って泣ける家族の物語です。
照子さんが可愛い。猪突猛進の照子さんとほんわかしつつ、きっちり考えてる春男さん。大好きな大阪が舞台だし、言うことなし!
前編では「朝ドラ」の原作5つをご紹介しました。ドラマ版とは異なる物語や人物像に魅了される名作ばかりです。原作を読んでからドラマを見直すと、また新たな発見があるかもしれませんね。
大河ドラマ編はこちら!