「江戸川乱歩賞」を受賞したおすすめミステリー小説5選

こんにちは、ブクログ通信です。

日本ミステリーの父・江戸川乱歩の寄付金をもとに創設された「江戸川乱歩賞」。ミステリー作家の登竜門の文学賞として、東野圭吾さんなど数多くの優れた作家を輩出してきました。

今回ブクログでは、過去の「江戸川乱歩賞」受賞作の中から、厳選したおすすめのミステリー小説を5選ご紹介いたします!ミステリー小説好きな方も、これまであまり触れてこなかったという方も、ぜひこの機会にチェックしてみてください。

江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)

1894(明治27年)〜1965(昭和40年)、小説家。1923年、『新青年』に掲載された『二銭銅貨』でデビュー。1925年に『新青年』に6ヶ月連続短編掲載したうち2作目の『心理試験』が好評を得、初期作品は日本人による創作の探偵小説の礎を築いた。また同時期に『赤い部屋』『人間椅子』『鏡地獄』なども発表、幻想怪奇小説も人気を博した。1927年に休筆したのち、『陰獣』を発表。横溝正史に「前代未聞のトリックを用いた探偵小説」と評価される。1931年、『江戸川乱歩全集』全13巻が平凡社より刊行開始。1936年、少年向け推理小説シリーズの第1話「怪人二十面相」を雑誌『少年倶楽部』に連載。太平洋戦争により一時執筆を休止したが、戦後再開し、子どもたちから絶大な支持を受けた。「2021年 『人間椅子 江戸川乱歩 背徳幻想傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」「2021年 『麦本三歩の好きなもの 第二集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

1.東野圭吾『放課後』(講談社文庫)

放課後 (講談社文庫)
東野圭吾『放課後 (講談社文庫)
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放課後 (別冊フレンドKC)
霜月かよ子『放課後 (別冊フレンドKC)
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あらすじ

県下でトップクラスの進学率を誇る「私立清花女子高等学校」。この場所で生徒指導部教師・村橋が殺された。容疑者は、教師を旅行に誘う問題児や小悪魔な洋弓部主将、優等生の美少女に、奔放な女教師……。そして数学教師の前島は、疑念を抱く。次の標的は、「自分」——!?

おすすめのポイント!

容疑者Xの献身』『秘密』『マスカレード・ホテル』など数々の名作を世に送り出し、今や文学界では欠かせない存在の東野さんのデビュー作です。当時27歳という若さで、会社員として働きながら執筆したという本作は、女子校を舞台にしたミステリー推理小説となっています。今と比べるとどこか新鮮味のある初々しい文体ですが、先の展開を予想させないトリックや文章構成力はすでに冴え渡っており、デビュー作とは思えない読み応えのある一冊です。本作は霜月かよ子さん作画でコミカライズもされているので、気になった方はチェックしてみてくださいね。

東野圭吾さんの作品一覧

先が読みたくなる文章構成がたまらなく、早く続きが読みたい!と思える本でした。後半の推理まで犯人が分からず、一体誰が??と謎めく推理小説。学校現場に即したセリフが散りばめられており、流れがスムーズで面白かったです。「女子高生が人を憎むというのはどういう時ですかね」のシーンは確信に迫るいいシーンでした。

砂漠の女さんのレビュー

2.桐野夏生『顔に降りかかる雨』(講談社文庫)

新装版 顔に降りかかる雨 (講談社文庫)
桐野夏生『新装版 顔に降りかかる雨 (講談社文庫)
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あらすじ

村野ミロの友人の耀子が、大金を持って失踪した。その金は耀子の恋人・成瀬の事業回転資金として、成瀬が暴力団員の上杉から借りたものだった。上杉は1週間の期限を設け、ミロと成瀬に耀子の捜索を迫った。二人は反発し合いながらも、やむなく耀子の探索に乗り出すのだが——。

おすすめのポイント!

OUT』『グロテスク』などの人気作で、これまで数々の賞を受賞した桐野夏生さんの作品です。本作は、主人公・村野ミロが登場する「村野ミロシリーズ」第1弾の作品で、『天使に見捨てられた夜』『水の眠り 灰の夢』『ローズガーデン』『ダーグ』と続いてゆきます。「イヤミス」の原点とも言われるほどの、人間の心の闇を描くことに定評のある桐野さんですが、本作でもその繊細な心理描写は健在です。ハードボイルド小説に分類される探偵の主人公が、事件に巻き込まれながらも真相に迫ってゆく様子に、自然と読む手が止まらなくなることでしょう。

桐野夏生さんの作品一覧

ハードすぎないボイルドさの、女性版少し無骨ミステリーでした。もし映画化したとしたら、原作が女性だと思う人は、きっと少ないストーリー。暴力的な中にも、女性の意地や、親友の彼氏に惹かれてゆく様子など、繊細で細やかな描写により、話にのめり込む事が出来ました。ミステリーとしても、散りばめられた伏線をしっかり回収し、最後の最後に全回収という、スッキリ読める作品だったと思います

アキラさんのレビュー

3.高野和明『13階段』(講談社文庫)

13階段 (講談社文庫)
高野和明『13階段 (講談社文庫)
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あらすじ

殺人の罪から仮釈放された三上は、ベテラン刑務官の南郷にある仕事を持ちかけられる。それは、事件前後の記憶を失った死刑囚・樹原の冤罪を証明するというものだった。手掛かりはたった一つ、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。果たして三上は、無実の死刑囚の命を救うことができるのか——。

おすすめのポイント!

各界の著名人が絶賛したサスペンスSF小説『ジェノサイド』など、数々の人気作を生み出した高野和明さんのデビュー作です。本作の見所は、一つのヒントを頼りに真犯人を暴いてゆく推理要素はもちろんのこと、知られざる「死刑執行」のリアルを覗ける所にあります。釈放者、刑務官、冤罪者と、それぞれの立場や視点から死刑制度の在り方について考えさせられ、サスペンス小説に止まらない物語性も注目の作品です。予測できないラストに向けた、思わず二度見してしまう衝撃の展開をお楽しみください。

高野和明さんの作品一覧

「一律の法制度で裁きを行なうには、人間の心は多様過ぎる」やっと読めた、めちゃくちゃ面白かった。判決って結論だけが述べられていて、実に単純明快。だからこそ難しい。そこに至るまで、その裏では、あらゆる人間のあらゆる葛藤が渦巻いている。確かに人間は死神にも天使にもなれるのかもしれない。これがデビュー長編…信じられない、これがデビュー?バケモンやん…デビューの文章ちゃうやん…そりゃぶっちぎりで乱歩賞獲るわあ。。。

saさんのレビュー

4.藤原伊織『テロリストのパラソル』(講談社文庫)

テロリストのパラソル (講談社文庫)
藤原伊織『テロリストのパラソル (講談社文庫)
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あらすじ

新宿で働くアル中のバーテンダー・島村は、犠牲者19人の爆弾テロを目の当たりにした。現場から逃げ出す島村だったが、その時置き忘れてきたウイスキー瓶には、彼の指紋がくっきりと残されており……?

おすすめのポイント!

史上初の「江戸川乱歩賞」と「直木賞」のW受賞を成し遂げ、ミステリー界でも「このミステリーがすごい!」など各賞にランクインした、故・藤原伊織さんのデビュー作です。一見アル中のダメ男のようで推理力に長ける主人公をはじめ、主人公に協力する元警部補の知性派ヤクザなどのハードボイルドなキャラクターが、国際的なテロ事件の真相を探る、壮大なサスペンス物語が魅力の作品です。壮大でありながらも、随所に滲み出る人間味を感じさせる心理描写や背景が、キャラクターたちの魅力をより引き立ててくれます。

藤原伊織さんの作品一覧

全共闘時代という、わたしとしては、ほぼ未知の時間を生きた人の話でした。いろいろな関わりの中から、真実が少しずつわかってくるところが引き込まれました。登場人物も個性有りまくりで、面白かったです。

しのりさんのレビュー

5.佐藤究『QJKJQ』(講談社文庫)

QJKJQ (講談社文庫)
佐藤究『QJKJQ (講談社文庫)
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あらすじ

17歳の女子高生・市野亜李亜は、家族みな猟奇殺人鬼であった。猟奇殺人の秘密はお互いに共有しながら、西東京市の家でひっそりと暮らしていた。ところがある日、部屋で兄の死体を発見した亜李亜だが、もちろん警察は呼べない。その翌日には母がいなくなり、残されたのは父と亜李亜のみ。亜李亜は自分の父親に疑いの目を向けるが……。

おすすめのポイント!

テスカポリトカ』で「直木賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たし話題となった、佐藤究さんの作品です。本作について、有栖川有栖さんはじめ「江戸川乱歩賞」の選考委員たちからは、「平成のドグラ・マグラ」「ものすごい衝撃を受けた」と絶賛の声が上がったそうです。一家全員が猟奇殺人犯という衝撃的な設定から、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、佐藤究さんの読みやすく巧みな文章力により、読めばぐいぐいと物語の世界観に引き込まれます。「人はなぜ人を殺すのか?」という哲学的な謎が、佐藤さんの本格推理とギミックで解明されます。

佐藤究さんの作品一覧

初めの章は先が気になって読むのが止められないほどであった。中盤、真相がわかってくると、非常に深く複雑な話となり、理解することに時間がかかってしまうが、最後の場面ではなんとなく話がわかりなんとも言えない読後感となった。グロテスクな描写があるので、気になる方は遠慮された方がいいと思う。

本好きの本間さんのレビュー


今回は、「江戸川乱歩賞」を受賞したおすすめ小説をご紹介しました!
気になる作品には出会えましたか?ぜひ読書生活の参考にしてくださいね!