優しく心をほぐしてくれる、「家族の絆」がテーマのおすすめ5作!

こんにちは、ブクログ通信です。

時にわずらわしく、時に鬱陶しく、けれどもいざとなったら心を支えてくれるものは、家族の絆かもしれません。もしみなさんが、特に理由もなく心細くなったときやぬくもりが恋しくなったときは、読書を通じて家族の絆を感じてみませんか?

ブクログから家族の絆を感じられるおすすめ作を5選紹介いたします。
家族をテーマにした作品の中から、さまざまな家族の形を描いた名作を選びました。読めば心が温かくなる、深い絆の物語たちをぜひ手に取ってみてくださいね。

1.伊坂幸太郎『重力ピエロ』ミステリーの名手が描く、強い絆の物語

重力ピエロ (新潮文庫)
伊坂幸太郎『重力ピエロ (新潮文庫)
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あらすじ

泉水と春の兄弟は、優しい父と美しい母と共に暮らしている。一見、普通の幸せな家族だが、春の出生には悲しい秘密があった——。やがて兄弟が大人になったとき、身の回りで連続放火事件が起こる。兄の泉水はある決意のもと、春と一緒に事件の謎解きに乗り出すのだった。家族の絆とは何かを考えさせる、異色のファミリーストーリー!

おすすめのポイント!

泉水と春の「スプリング兄弟」の絆に心打たれる作品です。二人の抱える記憶は明るいものばかりではないのですが、過去も記憶も関係なく互いを支え合う二人の姿に惹き付けられます。伊坂さんならではの軽妙な語り口、家族とは何かを考えさせるテーマ、そしてたくましくも愛情深い主人公たち一家と、たくさんの魅力が詰まった一冊です。加瀬亮さんと岡田将生さん主演で映画化もされました。

衝撃的な出だしにより、早々にのめり込んでしまいました!兄の泉水と弟の春の仲睦まじい絡みや父、母を交えた家族でのシーンが個人的にはとても好きでした!いつまでも会話を聞いていられる面白さや安心感がそこにあるように感じました!伊坂ワールドにどっぷり浸かってしまい、他作品も数冊衝動買いしてしまったので、読書で忙しい日が続きそうです笑

takaさんのレビュー

2.西加奈子『さくら』幸せな家族の、さくらが散るまでの物語

さくら (小学館文庫)
西加奈子『さくら (小学館文庫)
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あらすじ

ヒーローで人気者の兄、美しい妹、愛し合う父と母、そして平凡な「僕」。僕たち五人と、尻尾に花びらをつけていたことから名づけられた飼い犬のさくらは、楽しくにぎやかに暮らしていた。兄が二十歳で自殺するまでは——。兄の死をきっかけに崩壊した家族のそばで、老齢になったさくらは変わらずにいる。さくらの生きる姿を通して、家族それぞれの「光」と「影」を描く珠玉の名作。

おすすめのポイント!

変わりゆく家族のそばで、変わらずに過ごすさくらの姿がとても印象的な作品です。家族それぞれが持つ葛藤や悩みを、西さんならではの淡々としたタッチで描き出しており、じっくりと心に染み入る物語となっています。幸せな家族とはどんなものか、そもそも幸せとは何かと考えさせられる作品です。北村匠海さん、吉沢亮さん、小松奈々さん共演で映画化もされました。

永遠に「西加奈子」の文体で殴られる感じがした。正直前半は読むのが結構辛い(一見無駄な展開や描写が続くから)けど、その細かすぎる描写とか、冗長に思える描写があるからこそ、長谷川家の子供たちの成長を1番近くで親とか兄弟のように見守っている感覚になる。そしてそれが後半の美しい絶望へと繋がるという構成が本当にうまい。レビューを見ても、美貴を好きになれない、美貴が気持ち悪いっていう人が多い印象だけど、それはものすごく当たり前のことだと思うし、私も好きにはなれなかった。ただ、美貴の純粋すぎる愛情や涙の描写は怖いくらいに美しいと思った。

ぽんさんのレビュー

3.森見登美彦『有頂天家族』偉大なタヌキたちによる、偉大な愛の物語

有頂天家族 (幻冬舎文庫)
森見登美彦『有頂天家族 (幻冬舎文庫)
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あらすじ

狸の名門である下鴨家の三男・矢三郎の口癖は「面白きことは良きことなり!」。宿敵・夷川家に肩身の狭い思いをさせられながらも、矢三郎は今日も京都の町を駆け回る。家族は誇り高いへなちょこで、ライバルタヌキは底意地が悪い。矢三郎が師と慕う天狗は落ちぶれて飲んだくれ。京都の町を舞台にした、タヌキと天狗と人間の三つ巴の戦いが始まる——!

おすすめのポイント!

森見さん作品の中で初の動物が主人公の作品で、「たぬきシリーズ」の第1作目にあたります。2013年にアニメ化され、2017年に続編が放映されました。矢三郎をはじめとするタヌキ一家の可愛らしさと家族愛にハマる人続出の作品です。森見さんならではのテンポ良い文章と、ファンタジックな世界観をぜひ楽しんでください。アニメ版も原作とはまた違った良さがあり人気を博しているので、小説版とアニメ版を見比べてみるのもおすすめです。

面白〜い。兎に角面白い、森見登美彦作品なので読み始めは、クセのあり読みづらく感じるのですが、そこを超えると一気に森見ワールド全開へ!いつもの京都が舞台の不思議な物語で、グイグイ読み進めてしまいます。特に凝った世界観など設定されてなさそうなのに、設定崩壊せずにどんどんな話が盛り上がっていき、最後に大団円を迎える。今回の主人公は暢気なタヌキたちが主人公だったので、何となくほのぼのした感じがあり、それでいてタヌキらしい闘いなど上手く書かれているなと思いました。

モトネドさんのレビュー

4.重松清『とんび』父と子の歩みを慈愛深く描いた名作!

とんび (角川文庫)
重松清『とんび (角川文庫)
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あらすじ

昭和37年の夏、瀬戸内海の小さな町で暮らすヤスさんに息子・アキラが誕生した。幸せの絶頂に居たヤスさんだったが、突然の悲劇によってその幸せは壊れてしまうのだった。男手一つでアキラを育てるヤスさんと、父親の愛情を一身に受けて育つアキラ。高度成長期の日本を舞台に、周囲の人々に支えられ導かれながら成長していく父と子の物語。

おすすめのポイント!

この作品は父と子の絆、親から子への愛情といった言葉で表現されることも多い作品です。しかし、実は無骨なヤスさんが父親として成長していく物語でもあります。時にもどかしくなるヤスさんの不器用さ、愛情ゆえの空回りを見て、親になることの大変さ・やりがいを疑似体験できるのも本書の魅力です。2012年には単発ドラマ化され、翌2013年には連続ドラマ化も果たしています。

不器用な父親が一人息子を育てる半生を通じて、さまざまな角度からの人の情けを描く作品。昔の田舎町、きっとその頃には普通の光景のなかで、ただただ息子に必死に向き合ってきた父親を描いているだけなのだが、心が熱くなる。この時代も、こんな父親とも縁がなかったけれど(笑)、なぜかその情景ひとつひとつが頭に浮かんで、言葉がしみます。よい作品でした。

愛ちゃんさんのレビュー

5.小路幸也『東京バンドワゴン』ハートウォーミングな下町大家族物語!

東京バンドワゴン (集英社文庫)
小路幸也『東京バンドワゴン (集英社文庫)
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あらすじ

東京の下町で老舗古本屋「東京バンドワゴン」を営む堀田家。堀田家は三代目店主の勘一、長男で伝説のロッカー・我南人とその息子たちなど四世代が同居する大家族だ。情に厚く地域とも密接につながる堀田家には、ご近所のちょっとした困りごとが持ち込まれる。家族とのつながり、地域のつながりをにぎやかに爽やかに描き出す小路幸也さん代表作!

おすすめのポイント!

今どき珍しい大家族の堀田家のにぎやかな食卓風景とテンポの良い会話は、読んでいて楽しくなるのでぜひ手に取ってみてください。登場人物が多いのが本作の特徴ですが、一人一人の個性が際立っており、きっとお気に入りの人物が見つかるはず!大家族の暮らしを体験してみたい人は、ぜひ「東京バンドワゴン」を訪れてみてください。亀梨和也さん主演でドラマ化もされ、人気を博しました。

本当に、少し前のホームドラマを見ているような本でした。8人の大家族で、家族みんなが個性的…だけど、人ってみんな個性的じゃない?と思う様な、私たちの隣にもいそうな、そんな温かい人たち。物語の語り手は家族を見守り続けている亡くなったおばあちゃん。ご近所さんたちも素敵な人たちばかり。安心してニコニコ笑いながら日曜日の夜に見ていたいドラマみたいでした。家が古本屋とカフェってとこもいいなぁ。憧れる。シリーズ化されているとのことで、またこの堀田家のみなさんの日々を見ていたいなぁと思いました。

megumi94さんのレビュー


「家族の形、愛情の形はさまざま」……、今回ご紹介した作品はそんな風に強く思わせてくれるものばかりです。
家族、兄弟、親戚など、形も表現方法も異なるいくつもの愛情を、ぜひ本を通じて体験してみてくださいね。