不思議な世界に入り込む幻想小説5選!〜国内人気作家から海外の巨匠作品まで〜

こんにちは、ブクログ通信です。

読書の醍醐味は、現実では味わえない出来事を疑似体験できることです。特に、日常とかけ離れた非日常体験は、読書ならではの魅力だといえるでしょう。そこで、今回は不思議な世界に入り込む幻想小説を集めてみました。夢のような異界のような、幻想的な世界に飛び込んでみませんか?

ブクログから、人気の幻想小説を5作紹介いたします。多数の作品の中から、ブクログユーザーから高評価を受けている作品、メディアミックスされた作品、話題となった作品を中心に集めました。幻想世界に行ってみたくなったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。

1.『家守綺譚』売れない作家と自然の精霊たちとの交歓記録

家守綺譚 (新潮文庫)
梨木香歩さん『家守綺譚 (新潮文庫)
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あらすじ

売れない作家の綿貫征四郎は、ふとしたことから、大学時代の友人・高堂の家に住み込むことになった。高堂は数年前、ボート部の活動中に行方不明になったきり、行方不明になっている。高堂の家は、庭と池と電燈付きの二階家だ。高堂の留守を預かる綿貫のところに、不思議な存在たちが次々と訪れる。小鬼に河童、人魚に竹精……四季折々の自然の中で、天地自然の「気」である彼らと、綿貫の不可思議な交流が始まる――。

オススメのポイント!

ページを開いた瞬間から広がる、幻想的で不思議な世界をぜひ味わってみてください。『西の魔女が死んだ』や『裏庭』など、数々の名作を生み出している作家・梨木果歩さんによる、全編書下ろし小説です。作中で綿貫が住む家は、梨木さんの関西の仕事場がモデルとなっているため、幻想的なのにリアリティも感じられます。こちらの作品は、2005年にNHK-FM青春アドベンチャー内でラジオドラマ化されました。

梨木香歩さんの作品一覧

亡き友の家の家守となった主人公征四郎が、四季と通じ合うゆったりとした空気の中で出会う数々の怪奇、でもそれに対して恐れたり疑ったりすることなく受け入れてしまう主人公がとっても良いなと思う。出てくる自然とのエピソード(サルスベリに嫉妬されたり、河童を助けたり…)が想像力をかきたてられる。又、亡き友がふら~と現れてぼそっつとつぶやきまたあの世へ帰っていくのも心くすぐられる。

kakerikoさんのレビュー

2.『秋の牢獄』美しくも妖しい世界に囚われてみたい人に

秋の牢獄 (角川ホラー文庫)
恒川光太郎さん『秋の牢獄 (角川ホラー文庫)
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あらすじ

11月7日水曜日。女子大生の藍は、この日を何度も繰り返している。朝になれば全てがリセットされ、また同じ日が始まるのだ。何をしても、どこへ行っても、次の日には進めない。悪夢のような日々を過ごす中、藍は自分と同じ境遇の隆一に出会うが——(「秋の牢獄」)。表題作他2編を収めた、幻想怪奇譚。

オススメのポイント!

『夜市』で鮮烈なデビューを果たした、作家・恒川光太郎さんの筆力に圧倒される、不思議で恐ろしい物語集です。本作には3つの物語が収められているのですが、3篇とも「囚われたものたち」を大きなテーマとしています。どのお話も、読み始めたら先が気になって、最後まで読まずにはいられない面白さです。この作品は、第29回吉川英治文学新人賞候補作になっており、文学界でも高く評価されています。読後に深い余韻を残す、恒川ワールドにぜひ足を踏み入れてみてください。

恒川光太郎さんの作品一覧

この世界、怖いのにひきこまれ、目を離せない。理由がわからない、理屈じゃない、はっきりしないところがきっと、恐怖をかきたてるんじゃないだろうか。なんだろう、なんだろうと思うとますます怖かった。

がるっちさんのレビュー

3.『ラピスラズリ』 難解かつミステリアスな世界に惹き込まれる幻想小説

ラピスラズリ (ちくま文庫)
山尾悠子さん『ラピスラズリ (ちくま文庫)
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あらすじ

冬の間、眠り続けるという宿命を持った一族「冬眠者」。とある広大な屋敷には、貴族である冬眠者とその使用人が暮らし、死者であるゴーストが徘徊している。三者が絡み合い、思わぬ騒動が起きるが——。5つの短編が収められた、謎めいた物語集。

オススメのポイント!

SF小説家としても人気の幻想小説の山尾悠子さんによる、異色の幻想作小説です。短編集という形ではありますが、舞台も時系列も整然とはしていません。理屈ではなく、感覚で読む物語だといえるでしょう。硬質で美しい文章も見どころです。ストーリーとしてはやや難解で、一度で理解するのは難しいかもしれません。浮世離れした、他に類を見ない独特な世界観を、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。

山尾悠子さんの作品一覧

なんかすごいものを読んでしまった。
連作短編のようなそうでないような。一貫しているのは「冬眠者」がキーになっているということ。
だけど話がきちんとつながっているかというとそうでもない。だけどやっぱりつながっている、そんな不思議な一冊。
なんというか、豪奢で、なのにどこか腐臭が漂っているような、読みながら胸の中がざわざわして落ち着かないような幻想小説。
味わいはまったく違うのにブラッドベリを思い出したのは、ブラッドベリが私の幻想小説の原体験だからかな。
私にとっての幻想小説ど真ん中なお話。

hirokoさんのレビュー

4.『魚神』 遊郭島を舞台にした、美しい遊女と妖しい薬売りの恋

 

魚神
千早茜さん『魚神
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あらすじ

かつて一大遊郭が栄えた孤島。そこで暮らす白亜とスケキヨは、捨て子の姉弟だ。互いしか信用せず、強い想いで結びついている2人。やがて、成長した白亜は廓に売られ、スケキヨは薬売りになった。離れ離れになりながらも、惹かれ合い、拒絶し合う2人だったが、やがてその関係に変化が訪れて——。

オススメのポイント!

こちらの作品は、2009年に第37回泉鏡花文学賞を受賞しました。妖艶で官能的な世界に誘われる物語です。きらびやかな遊郭と影の濃い裏花街、2つの世界がときに美しく、ときに恐ろしく描かれています。美貌の姉・白亜と弟・スケキヨの、恋とも愛とも憎しみともつかない深い関係性に、きっと心揺さぶられるはずです。作者の千早茜さんは、心理描写の上手さに定評があり、本作でもその筆力は存分に発揮されています。閉鎖的な島で繰り広げられる、浮世離れした人間ドラマを堪能してください。

千早茜さんの作品一覧

読み終わった後も未だに胸の鼓動がとまらない。
得たいの知れないひたりと忍び寄る恐ろしさ、神秘さがつきまとう。
そして矛盾してるんだけど、そこにはなぜかリアルさもある。
そこに惹きつけられて離れられない。

ケイさんのレビュー

5.『10月はたそがれの国』 恐ろしくて美しい、ブラッドベリの珠玉の作品集

10月はたそがれの国 (創元SF文庫)
レイ・ブラッドベリさん『10月はたそがれの国 (創元SF文庫)
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あらすじ

背の低さがコンプレックスの「こびと」は、毎日カーニバルにある鏡の迷路に通っている。迷路の奥にある歪んだ鏡に、大きく映し出される自分の姿を見るためだ。そんな「こびと」のために、カーニバルの踊り子は同じ鏡をプレゼントしようと思いつくが——(「こびと」)。SFの抒情詩人と謳われたブラッドベリの処女短編集『闇のカーニバル』全編に、5つの新作を加えた作品集。

オススメのポイント!

幻想文学の巨匠であるレイ・ブラッドベリさんの、初期作品を集めた短編集です。不思議で魅惑的で、恐ろしい物語たちが収録されています。幻想的でホラー色も強い『闇のカーニバル』に、新たに書かれた作品を加え、さらに奥深い世界観を味わえる1冊です。19ものお話が収録されており、読みごたえがあります。一度読んだら忘れられない、ブラッドベリの幻想文学をぜひ体験してみてください。

レイ・ブラッドベリさんの作品一覧

怪奇幻想短編集。ホラーめいたものも多いけれど、おおむね幻想的で美しいイメージの作品が多いです。抒情的な文体から浮かび上がる情景はどれもが奇妙で、美麗なものでした。
お気に入りは「大鎌」。一番ホラーらしい、というか、実際に一番恐ろしく感じた作品。壮大な麦畑のイメージがこれほど恐ろしいものだとは。挿絵からして不気味……。
「小さな殺人者」も怖いなあ。一番嫌な作品はこれかも。
恐怖とは別の観点から魅力的だったのは「集会」。楽しくて、だけれども読後には少し淋しくなってしまう一作でした。

ao-nekoさんのレビュー

文字を読んでいるのに、不思議な世界が眼前に広がっているような感覚になれる幻想小説は、読書の楽しさを改めて教えてくれるジャンルだといえます。今回ご紹介した作品で、非日常の世界へ飛び込んでみませんか?