こんにちは、ブクログ通信です。
困難に立ち向かう物語、明るく楽しい物語、爽やかな感動の物語など、さまざまな作品を集めました。10の異なる魅力で、あなたの「やる気」をきっと呼び覚ましてくれるはずです。気分をスカッと切り替えたい日には、ぜひ、これからご紹介する作品を手に取ってみてください。
6.越谷オサム『階段途中のビッグ・ノイズ』 突き抜ける爽快感!モヤつく心を快晴にする音楽小説
あらすじ
高校二年生の神山啓人は、兄に憧れて軽音部に入部した。ところが、先輩2人の不祥事により、軽音部の廃部が決定する。唯一のチャンスは、学校側から提示された厳しい条件のもと、文化祭のステージで演奏を成功させることだ。優柔不断な啓人、熱血漢の九十九伸太郎、いつも女子に囲まれている嶋本勇作、元吹奏楽部の岡崎徹ら4人は、軽音部を立て直すために立ち上がる!
オススメのポイント!
印象的な表紙も魅力の、青春純度120%の作品です。2012年にはコミカライズされました。主人公ら軽音部バンドメンバーは、誰もが個性的かつ魅力的なので、ついつい応援したくなってしまいます。また、軽音部顧問や、軽音部の宿敵・水泳部の面々など、存在感のある脇役陣も見どころです。軽音部立て直しに奔走する主人公たちを見ていると、こちらの心も奮い立ちます。情熱と勢いで、困難にぶち当たっていく主人公たちのパワーに、読んでいるこちらの心も引きずられる作品です。疲れた心の栄養補給に、ぜひ手に取ってみてください。
スカッとする!まさに青春!まさにロックンロールです!高校生のパワーに中年の私が元気づけられてしまいました。だれか映像化しないかなあ。体制に反抗したくなるこの気持ち。これがロックンロールなんだなとか、勝手に解釈して元気になってます。
7.大島真寿美『香港の甘い豆腐』 何もかもうまくいかないとき、手に取って欲しい1冊
あらすじ
高校生3年生の彩美は、学校をさぼりがちだ。毎日がなんとなくうまくいかず、楽しくもない。彩美は父親の顔を知らない。毎日がうまくいかない理由は、父親不在にあるのかもしれない。ある日、母親と口論した彩美は、「どうせ父親をもしらない私ですから」と言ってしまう。その言葉をきっかけに、母に連れられ香港へ連れて行かれた彩美。成り行きで、母の知人宅にホームステイすることになるが——。
オススメのポイント!
いろいろなことがうまくいかないとき、自分のやり方に迷ったとき、そっと手を差し伸べてくれるような作品です。物語を通して、主人公の彩美と一緒に、自分を見つめ直すことができます。また、異国情緒あふれる香港の街の描写も見どころの1つです。活気あふれる人々の様子がいきいきと描かれ、香港を旅した気分も味わえます。美味しそうな食べ物がたくさん出てくる点も、この作品の魅力です。読書で気分転換をしたい日には、ぜひ一度読んでみてください。
読み初めてすぐに何度も読み返す本になると予感しました。
香港の美味しそうなごはん、ぶっきらぼうなようで優しい人々がたまらなかったです。
8.垣谷美雨『あなたのゼイ肉、落とします』 緩んだ心と体に、喝を入れてくれる中編作品集
あらすじ
マスコミには一切登場しない、謎の女性・大庭小萬里。彼女の個別指導を受ければ、どんな人でも痩せられるのだという。小萬里いわく、ダイエットでは「心のゼイ肉」を落とすことも大切らしい。昔は細くて美人だったのに、いつの間にか太ってしまった母親。良家に生まれながら、家柄やお金に価値を見出せない少女——。八方塞がりのクライアントたちが、小萬里の指導を受けながらダイエットに挑む!
オススメのポイント!
この作品を一言で表すと、「読むダイエット小説」です。4編の物語からなる作品集で、ダイエットがテーマの、独特な切り口のお話を楽しめます。各作品の主人公はみな太っているのですが、それには理由があるのです。小萬里は、各人の心の問題を指摘し、それぞれに合ったダイエット法を指導します。小萬里の指導は、奇抜でありながらも妙に説得力があるから不思議です。読み進むうちに、各主人公と一緒に、読み手である私たちも心のダイエットをしている気分になることでしょう。読後には、心も体もシャキッとする、清々しい1冊です。
大庭小萬里は、ダイエット指導のスペシャリスト。「心のゼイ肉も落とします」というコピーに惹かれて個人指導を依頼した主人公たちは、それぞれのつまずきから立ち直り、自分の人生を取り戻し、気づくと身体も引き締まっている。小萬里さんが現実にいれば、助かる人が大勢いるだろうな。
9.奥田英朗『イン・ザ・プール』 どうしてもやる気が出ないなら、心の治療を受けてみませんか?
あらすじ
伊良部総合病院地下にある精神科。診察室の扉を開けると、精神科医の伊良部が満面の笑みで迎えてくれる。「いらっしゃーい」——色白で太った伊良部の、甲高い声が響く。人が注射を打たれているところを見るのが何より好きな伊良部と、露出度高めの看護師・まゆみ。怪しげな2人のもとには、訳アリの患者が次々とやって来る。破天荒で型破りな伊良部による、驚きの治療内容とは……。
オススメのポイント!
はちゃめちゃで非常識、予想もつかない行動をする伊良部先生の魅力に、ハマること間違いなしの作品です。伊良部先生のもとには、人に言えない症状を抱えた患者たちが訪れます。しかし、伊良部先生の、一見ふざけているとしか思えない治療方法により、驚きの効果が表れてくるのです。やる気の出ない日も、本作を読めば、気持ちがすっきり前向きになることでしょう。2005年に映画化、2009年にアニメ化、2010年にオーディオブック化されています。ぜひ小説と併せてチェックしてみてくださいね!
いや~。想像以上に楽しかったな。
こういう小説もありなんだなー、と感心させられ、笑わせてもらいました。
10.万城目学『鴨川ホルモー』 気づけばあなたも、きっと叫んでいる!古都に響く、あのかけ声を!
あらすじ
二浪の末に、やっとのことで念願の京都大学に入学した安倍。金欠により、新歓コンパで食費を浮かせる日々を送っていた。ある日、1枚のビラを手にしたが、何のサークルなのかがわからない。友人の高村と共に謎のコンパに参加した安倍は、京大青龍会という怪しげなサークルに入会してしまう。そこは鬼や式神を使い、大学対抗で戦う「ホルモー」という伝統競技のサークルだった。
オススメのポイント!
京都の町を舞台に、謎めいた競技「ホルモー」の世界に飛び込んでいく大学生の物語です。とにかく、登場人物がみな個性的で、やたらとエネルギーに満ち溢れています。本作の見どころは、「ホルモー」の大学対抗戦シーンです。笑いあり感動ありで、躍動感にあふれる本作最大の見せ場です。細かいことなどどうでもいい、と言わんばかりの勢いあるエンタメ作なので、読後にはきっとスカッと元気が出ますよ!2009年に公開された映画版では山田孝之さん、栗山千明さんらによるパワフルな演技が好評を博しました。
面白くて一気に読み終えてしまった。京都の雰囲気とまじめにばからしいことをやっている主人公達。ユーモラスな語り口でスルスルと読み進め、気づけばすっかり自分もホルモーの世界のなかである。
ホルモーなんていうものでなくても、きっと誰もが少しは似たような経験をしているのではなかろうか。作中の意味でなくとも、なんだかホルモォォォ!と叫んでしまいたくなるのである。
やる気が出なくて困ったとき、「もうひとがんばり」が欲しいとき、あなたの背中をそっと押してくれる作品を選りすぐりました。今回ご紹介した10の名作から、元気をチャージしてみてはいかがでしょうか?