こんにちは、ブクログ通信です。
お休みの日には、何をして過ごしますか?掃除や洗濯、買出しなど、休日に済ませたい用事はたくさんありますよね。しかし、気づけば仕事がある日のように、忙しく過ごしていた……なんてこともあるかもしれません。せっかくの休日は、思う存分読書を楽しんでみませんか?
今回は、休日に読みたくなる感動小説を、前後編に分け5作ずつ紹介いたします!
心震わす感動作から、思わず涙がこぼれる物語、時間をかけて読みたい大長編まで、休日の読書におすすめの作品を集めましたので、ぜひ手に取ってみてくださいね。
1.『虹の岬の喫茶店』 休日のコーヒータイムのお供に!素敵な喫茶店で巻き起こる物語

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あらすじ
岬の先端にある、小さな喫茶店「岬カフェ」。店の主人である柏木悦子は、ある理由から「岬カフェ」を営んでいる。やって来る客たちに、美味しいコーヒーと自慢の音楽を提供しながら……。大切な人を亡くした親子、就職活動に悩む大学生、泥棒まで、それぞれに事情を抱えた客たちを、「岬カフェ」は優しく受けて入れてくれる。今日も、店には新たな出会いが訪れて——。
オススメのポイント!
岬の先端にある、素敵な喫茶店が舞台の物語です。忙しい毎日に疲れ切った心、ストレスの多い生活にすさんだ心を、爽やかに洗い流してくれる物語だといえます。本作の舞台である喫茶店は、実在するお店だという点にも注目です。モデルとなったお店は、房総半島の明鐘岬にあります。内装も作中の描写そのままだそうなので、行ってみたくなること間違いなしです。また、本作は2014年に『ふしぎな岬の物語』というタイトルで映画化されています。主演の吉永小百合さんが、映画の企画者を担当したことでも話題を集めました。
ある岬を訪れると、真っ白な看板犬と店主である初老の女性が迎えてくれる喫茶店がある。店主が淹れるコーヒーと流れるBGMは人生に迷いを抱える人たちをそっと包み込んでいく。そして店主との会話がものすごく心地よくここにじんわりとくるものがある。諭されているわけじゃないのに、忘れていた大事なものを自然と思い出させてくれるのだ。こんな喫茶店があったら通いたいと本気で思う。作者の森沢明夫さん、初読みですが大好きになりました。
2.『桜風堂ものがたり』自宅に居ながら、書店の雰囲気を存分に味わえます!

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あらすじ
物静かな青年・月原一整は、銀河堂書店の店員だ。人付き合いは上手くないが、埋もれた名作を見つける目を持っている。店長からは「宝探しの月原」と呼ばれ、信頼も厚い。しかし、ある日起こった万引き事件をきっかけに、一整は店を辞めることになってしまう。傷心のまま旅に出た一整は、ネット上の知人を訪ねるため、桜野町を訪れた。そこには、思いがけない出会いが待っていて……。
オススメのポイント!
本好き、書店好きにはぜひ一度読んでほしい作品です。読後には、きっと書店に行きたくなるので、休日に読むのがおすすめです。書店員の日常や、書店の裏側、本を売るための隠れた努力など、本好きにはたまらない「裏事情」が丁寧に描かれています。また、本と書店をめぐる心温まるストーリーが展開される点も魅力です。優しい登場人物たち、主人公を取り巻くユニークな存在たちに、仕事や勉強で疲れた心が癒されることでしょう。休日のゆったりとした空気を、さらに温かいものにしてくれる、素敵な物語です。
心が暖まり爽やかな余韻に浸った。桜風堂をよりよくしようと努力する月原一整と協力する人々の清い心と暖かい優しさに感動した。伏線が張りめぐらされており、驚く箇所が沢山あった。今まで読んだ本の中でも特に面白い一冊。
3.『くちびるに歌を』 爽やかでちょっとヒリつく、中学生たちの青春ストーリー

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あらすじ
長崎県五島列島のとある中学校。合唱部顧問の松山先生は、産休に入る自分の代わりに、中学の同級生で臨時教員の柏木に合唱部を託すことにした。柏木は東京の音大に進んだ元神童で、ずば抜けた美貌の持ち主だ。それまで女子しかいなかった合唱部に、柏木目あての男子が多数入部するほどに……。やがて、練習にやる気のない男子部員とまじめな女子部員たちの対立が激化して——。
オススメのポイント!
人気作家・乙一さんが、別名義の中田永一で発表した作品です。とある中学の合唱部を舞台に、中学生たちの甘くほろ苦い日々が描かれています。子供たちを取り巻く社会の光と影も丁寧に描かれ、爽やかなだけではない、少し心をヒリヒリさせる青春ストーリーです。この作品は2015年に映画化され、主演は新垣結衣さんが務めました。また、2013年には漫画化もされています。小説、映画、漫画、それぞれに違った魅力の味わえる、心に迫る感動作です。どこか遠くへ行きたいとき、気分転換をしたい休日に、ぜひ手に取ってみてください。
文庫発売した直後に買い映画を知り、なぜか小説を読む前に失くしてしまい数年前に映画を見ました。時期が時期だけに、図書館で借りました。とても読みやすくて、青春を謳歌してる姿に胸が熱くなりました。終わるのを惜しんでなかなか読みきれない私が最近は、30代に入り時間が有限だというのを実感して読み切れるようになりました。
4.『余命10年』 「いつもの休日」を特別な1日に変える、心震わす作品

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あらすじ
二十歳の茉莉は、数万人に1人の難病を発症してしまう。告げられた余命は10年。不治の病に侵されながら、明るくふるまう茉莉。そうしないと、周りの人が追い詰められてしまうから——。自分の未来を思い描くことができず、日々を淡々と過ごす茉莉。恋はしないと決め、なんとなくで始めた趣味に没頭するようになる茉莉だったが、思いがけない出会いが訪れて……。
オススメのポイント!
二十歳にして余命10年という、あまりにも残酷な境遇の主人公の生き様を、しっかり見届けてほしい作品です。実は、作者の小坂さんも病気のため若くして亡くなっています。茉莉と似たような境遇の中で生み出された言葉や心理描写に、痛々しいまでの臨場感が味わえる作品です。「死」をテーマにした重い作品ですが、ぜひ休日の読書のお供に選んでみてください。生きること、悔いのないように日々を過ごすことを、改めて考えさせてくれるからです。茉莉になって、限られた生を力いっぱい生きたような気持ちになれます。
余命10年は短いと思う。でもまつりみたいに病気になって死ぬ運命なら長いんだろうな。死ぬのが怖い、でも生きるのも怖い。生きていくことが恐怖になってしまう。私はそんな人に何をしてあげられるのだろうか。運命が決まっているからこそ今楽しむ、そんな楽しんで後悔なく最期を迎えられる手助けをしたいなって思う。めっちゃくちゃ感動。大好き。
5.『みかづき』 思う存分、読書に浸りたい時におすすめの長編傑作小説

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あらすじ
時代は、昭和36年。小学校の用務員をしていた大島吾郎は、勉強についていけない子供たちに、独自の「補修」を行っていた。教員免許のない吾郎だが、教え方がわかりやすいと評判を呼ぶ。ある日、生徒の蕗子の母・千明がやって来る。吾郎の教える才能を見込んで、共同で塾を立ち上げようというのだ。昭和から平成の塾業界を舞台に、3世代に渡り奮闘する家族の物語。
オススメのポイント!
600ページを超える大作で、休日にどっぷり読書に浸りたい人におすすめです。テーマは「塾教育」で、子供の教育に力を注ぐ人々が描かれています。一見難しそうなテーマですが、軽妙な筆致と個性的な登場人物のおかげで、躍動感あふれる人間ドラマに仕上がっています。戦後日本の教育について、切れ味鋭く描いた傑作で、2017年には中央公論文芸賞を受賞しました。2019年にNHKにてドラマ化されています。吾郎役を務めた高橋一生さん、千明役の永作博美さんらの好演が光りました。
昭和三十六年から脈々と続く教育をテーマにした家族三代に渡る大河ドラマだ。塾の在り方や、学校と塾の関わり、それぞれの教育観のもと突き進む大島家の面々は、時代時代で様々な困難にぶち当たる。より良い教育を目指し、家族は傷つき合いながら時に癒しながら時代を駆け抜ける。ずっと読み続けている森さんの作品の中でも、代表作になるだろと思える長編傑作だ。
お休みの日には、本の世界でリフレッシュしてみませんか?【後編】5作品もお楽しみに!