こんにちは、ブクログ通信です。
今村翔吾さんは、幼い頃に読んだ池波正太郎さんの作品に影響を受け作家を志しました。ダンスインストラクターなどの仕事を経た後、本格的に執筆活動を開始します。作品が北方謙三さんの目に留まったことをきっかけに、一か月で書き上げた『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』で、2017年に念願の作家デビューを果たしました。同作は第7回「歴史時代作家クラブ賞」の文庫書き下ろし新人賞を受賞しています。その後も、『八本目の槍』で第41回「吉川英治文学新人賞」を受賞するなど目覚ましい活躍を遂げ、人気作家としての地位を盤石なものとしました。
今回は今村さんの作品の中から、ブクログ内でも人気の高いイチオシ作品を5つ紹介いたします。読み応え抜群の名作揃いです。ぜひ最後まで、じっくりとご覧ください!
『今村翔吾(いまむら しょうご)さんの経歴を見る』
1.今村翔吾『塞王の楯』戦国時代の最強対決に胸が熱くなる一冊

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あらすじ
織田信長に落とされた越前の一乗谷城で、匡介は父母と妹を亡くした。助けてくれた石垣職人・源斎のもとで、匡介は石垣作り職人を志す。絶対に破られない「最強の楯」となる石垣を作れば、戦は無くなると信じて……。一方、琵琶湖畔にある大津城では、毛利元康が攻め入ろうとしていた。近江の鉄砲職人である彦九郎は、太平の世を作るために、「最強の矛」としての鉄砲を作ることを目指していた……。
おすすめのポイント!
近江国・大津城を舞台に、石垣職人集団の穴太衆と鉄砲職人集団の国友衆の対立を描いた戦国小説です。時代小説ではありますがエンタメ性が高く、普段時代小説を読まない人でも気楽に楽しめる作品だといえるでしょう。特に後半はスリリングな展開が続き、ページをめくる手が止まらなくなります。「最強の楯」と「最強の矛」の対決がどんな結末を迎えるのか、ぜひご自身の目でお確かめください!
今村作品は幾つか読んでいたので、やっと直木賞受賞作に辿り着けた。調べて見ると、今回は歴史上の実話を元にしているようだが、どこまで本当なのだろうか。あんなに早く石垣を積める物だろうか、あの時代の大筒もそんなに連射できるだろうかと余計な心配をしてしまう。脇役の京極家の夫婦が微笑ましい。緊張が続く「矛」と「楯」の闘いに二人の描写がホッとする。蛍大名と馬鹿にされながらも、それを逆手にとって自虐ネタにして親近感を持たせる。部下や民百姓が慕うのも良くわかる。後味の良い終わり方だった。
2.今村翔吾『イクサガミ 天』読み始めたら止まらない時代劇デスゲーム小説

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あらすじ
明治11年のとある日、深夜の京都・天龍寺に292人の猛者たちが集められた。彼らに告げられたのは、<こどく>と呼ばれる「遊び」の始まりと、七つの奇妙な掟だった。点数を集めつつ、東海道を辿って東京を目指せというのだ。各自に木札が配られ、1枚1点を意味するという。点数を稼ぐ手段は奪い合いのみ。剣客・嵯峨愁二郎は、戦いに巻き込まれた12歳の少女・双葉を守りながら、立ちはだかる強敵に立ち向かってゆく——。
おすすめのポイント!
本書は、3巻完結予定の新シリーズ第一作です。明治時代を舞台にしたデスゲームが描かれ、怒涛の展開と臨場感あふれる戦闘シーンが見どころとなっています。ありそうでなかった展開と巧みな文章にぐいぐい引き込まれ、最後まで一気読み必至です。また、本のカバーイラストを『東京喰種』や『超人X』で知られる人気漫画家・石田スイさんが担当している点も魅力となっています。見た目も内容もイチオシの作品ですので、ぜひこの機会に手に取ってみてください。
これはイッキ読みする本(3冊出てからの方が良さそう)剣豪たちを集め、大金を賭けたデスゲームが開幕、まだ序盤。「火喰鳥」とは違い、目的地まで大きく移動しながらの戦い。主人公は過去に色々あり才能があるのは同じ。山田風太郎さんっぽいのを読みたい。と思って買いましたが、当たりです。どんな終わり方するかによりますが続きが気になるので読みます!
3.今村翔吾『茜唄』平家の全盛から滅亡までを新たな解釈で描く歴史超大作

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あらすじ
現代でも愛され続ける名著『平家物語』——それは如何にして生まれ、何を託されたのか。平清盛最愛の子・知盛の生涯を通じて、本書は『平家物語』にまつわる謎を感動的に描き切る。平家全盛から滅亡までを、平清盛や木曽義仲はじめ、源頼朝、源義経や綺羅星の如く輝くたちの視点から追い求めてゆく……。
おすすめのポイント!
今だ多くの人を魅了し続ける『平家物語』について、清盛の息子・知盛を中心に、新たな解釈で贈る作品です。通常、歴史には「勝者」しか残りません。しかし、『平家物語』は源氏に負けたはずの平家に関する物語です。なぜ『平家物語』は書かれたのか、戦時中も大切に扱われるほどだったのかなど、『平家物語』の新たな魅力について知ることができるでしょう。読みやすい文章と優れた構成により、歴史が苦手な人にもわかりやすく読みやすい一冊となっています。中高生にもぜひ読んでほしい一冊です。
平家から語る源平合戦。直近の大河の影響で源氏に肩入れしがちだったけど、当然平家には平家の物語があり、滅亡に追いやった源氏が悪になる。機転が効いて、戦術に長けた武将は平家にも居たわけで、何が運命を分けたのか改めて考えてしまった。後白河法皇の狸っぷりが憎たらしく。多分諸悪の根源はこの人だろうな、と思う。平知盛という人を深くは知らなかったので、また1人、今村さんによって魅力的に描かれる武将に出会えたことが嬉しい。下巻へ。
4.今村翔吾『じんかん』戦国時代の三悪人の一人、松永久秀の壮絶な人生を描いた歴史巨編

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あらすじ
天正五年のある晩、天下統一に邁進する織田信長のもとに急な知らせが届いた。忠誠を誓っていた松永久秀が、二度目の謀叛を企てたというのだ。伝聞役の小姓・狩野又九郎は、前代未聞の事態を前に怯えるばかりでいた。ところが、意外なことに信長は笑みさえ浮かべている。秀吉の口から語られたのは、かつて久秀と語り明かしたときに聞いたという壮絶な半生だった……。
おすすめのポイント!
「戦国時代の三悪人」の一人として有名な松永久秀の生涯をドラマチックに描いた長編小説です。仕えた主を殺し、天下の将軍を暗殺した上に東大寺の大仏殿を焼き尽くすという悪行の数々を、松永久秀はなぜ行ったのか——そんな疑問に、斬新な切り口で挑む意欲作となっています。民を想い、正義を貫こうとした青年武将がなぜ悪の道に堕ちていったのか、今村さんの歴史解釈と繊細な心理描写が冴え渡る作品です。松永久秀という人物を知らない人にも、ぜひ読んでほしい名作だと言えます。
松永久秀という男の一生を通して、人間とは何か考えさせられた。歴史小説に馴染みがなかったり、大ボリュームに気圧されていたりで読んでない人は、とりあえず1章(78ページ)だけでも読んでみてほしい。登場人物たちの熱量や物語の目まぐるしいスピード感に一気に引き込まれるはず。そしてそれが最後まで続くから本当にすごい。久秀やその家臣たちの生き様に痺れました。素直に面白かった!!
5.今村翔吾『幸村を討て』人気武将・真田幸村の魅力をこれまでにない角度から描くエンタメ作

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あらすじ
大阪の陣の後、真田昌幸・信之・幸村親子の企みを明らかにすべく、徳川家康らは信之を追い詰める。ところが、そこは真田が一枚上手であった。織田有楽斎、南条元忠、後藤又兵衛、伊達政宗、毛利勝永といった面々の思惑が交錯する中、七人の男たちが口々に叫ぶ。「幸村を討て!」。権力ひしめく時代の陰で、男たちの想いが鮮烈に交錯してゆく。
おすすめのポイント!
大阪夏の陣について、これまでにない切り口で挑んだ歴史エンタメ巨編です。人気の高い真田幸村という武将について、同じ時代を生きた様々な武将の視点から描くというユニークな試みが光ります。真田の歴史についても触れられているので、真田幸村ファン・真田一族ファンの人にはたまらない一冊だと言えるでしょう。家康と真田の戦いを描くシーンは非常に読み応えがあり、登場人物が生き生きと動き回る様子が目に浮かぶようです。今村さんの筆力が存分に発揮された珠玉の名作となっています。
527ページ。面白かった!真田家の歴史と大阪の陣に関わった6人の諸将の物語が同時進行で語られていく。キーワードは「幸村を討て!」。物語は繋がっていて、あーそうだった、と思うことしきり。終わりまで読んで、最初の家康のシーンに戻り、そうだったのか、とあらためて納得。諸大名に仕えていた忍びや、戰の各々の大義名分や、武士の思いやらいろんな要素が満載でワクワクしながら2日で読了。ラストの家康と信之の問答のシーン、どうなる⁉︎と目が離せませんでした。大阪の陣の見方が変わりました。真田一族の事もよくわかった気がします。読書って楽しい。
今村さんの作品は、感情豊かな人物描写と歴史および実在の人物への新解釈が魅力です。今回は、歴史小説が苦手な人でも楽しめる人気のエンタメ作を取り揃えました。気になる作品をぜひ手に取ってみてくださいね!