心がホッとあたたかくなる感動小説10選!【後編】〜休日や寝る前のお供にもオススメ〜

こんにちは、ブクログ通信です。

ブクログのみなさんから高評価を得ている作品、メディアミックスされている話題の作品、人気作家の作品を中心に集めてみました。ほのぼのとした気分になりたいとき、心に染み入る感動に浸りたいとき、ぜひチェックしてみてくださいね。

6.『モノレール猫』 「日常の謎」の名手が贈る、心をじんわり暖める感動作

モノレールねこ (文春文庫)
加納朋子さん『モノレールねこ (文春文庫)
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あらすじ

小学5年生のサトルは、文通をしている。不細工な猫の首輪に手紙をはさんで、「タカキ」という人物とやり取りしているのだ。「タカキ」は頭が良くて、とても男らしい。お調子者のサトルとは正反対だ。ある日、手紙で会う約束をした2人。しかし、思いもよらないトラブルで、その約束は果たせなくなってしまう。その後、2人は……。

オススメのポイント!

日常を舞台にした、ちょっと不思議で温かい物語を楽しめる1冊です。表題作の「モノレール猫」の他、8篇の物語が収められています。どこにでもありそうな風景、どこにでもいそうな人物たちの、大切な人との絆をみずみずしく描き出した名作です。「日常の謎」を描く名手として知られる加納朋子さんの、代表作としても知られています。読み進めるうちに、心の奥に深く響いてくるような、深い余韻を残す1冊です。読後には、爽やかで温かい気持ちになれますよ。

加納朋子さんの作品一覧

やられたぁ。いやぁ笑った。そしてじわーっと感動したし、キューっと切なかったり悲しかったり。ものの見事に加納劇場を満喫してしまいました。八編からなる短編集ですが、どの作品もいい!短い一編の中でよくこんなにうまく読者の心を捉え揺さぶりフィニッシュも巧くまとめあげるなと。私は加納さん二作目にしてもう完全に虜です。特に最後の二編「ポトスの樹」「バルタン最期の日」は実に見事に感情を揺さぶられました。短編集でここまで読書の醍醐味を味わえたのは久しぶりかもしれない。こういう鬱々とした時期に是非ともお勧めしたい一作です!

kanegon69 さんのレビュー

7.『戸村飯店 青春100連発』 兄と弟の本音に泣ける!大阪弁で読む、笑って泣ける兄弟愛

戸村飯店 青春100連発 (文春文庫)
瀬尾まいこさん『戸村飯店 青春100連発 (文春文庫)
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あらすじ

舞台は大阪。超庶民的中華料理店「戸村飯店」には、2人の息子がいる。見た目も容量も良い兄のヘイスケと、単純な性格でボケ上手のコウスケ。ヘイスケは、高校を卒業したら東京へ行くという。昔から何でもスマートにこなし、女の子にもモテモテのヘイスケが、家を継ぐはずがない。いつの間にか親父の手伝いをするはめになったコウスケは、それでもいいと思っていたが……。

オススメのポイント!

兄と弟、それぞれがお互いに抱く本音がコミカルに描かれ、誰もが「あるある」と共感できる物語です。兄弟姉妹のいる人は実体験から、一人っ子の人は、かつて身の回りの誰かに感じた感情をもって、「ああ、わかる」と唸らされることでしょう。瀬尾まいこさんの柔らかい文章は、ちょっとした気持ちのささくれを鮮やかにくみ取り、読者の共感を呼び覚まします。2008年に坪田譲治文学賞を受賞した、笑って泣けてほっこりする、極上の人情劇です。

瀬尾まいこさんの作品一覧

すごく良かった!アリさんと自分を重ねてしまうところもあったし、兄弟の心理描写が細かくて、いつの間にか物語の世界に入り込んでしまった。心がジワッと温かくなる話だった。

あやのさんのレビュー

8.『昨夜のカレー 明日のパン』 登場人物の幸せを願わずにいられない、慈愛に満ちた物語

昨夜のカレー、明日のパン
木皿泉さん『昨夜のカレー、明日のパン
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あらすじ

テツコが一樹と結婚したのは、19歳のときだ。その2年後、一樹は病気で亡くなった。それ以来、テツコは一樹の父で気象予報士のギフと一緒に暮らしている。早すぎた一樹の死は、テツコとギフだけでなく、一樹に関わるさまざまな人に影を落とした……。ゆるゆると日々を過ごしながら、少しずつ変わっていく2人の生きる姿を描く、珠玉の名作。

オススメのポイント!

大切な人を失った深い悲しみと、それでも繰り返す日常の残酷さを、穏やかに描き出した感動作です。夫を失ったテツコ、妻と息子を亡くしたギフの2人を軸に、「死」に向かい合う人々の姿が心に響きます。血のつながりはないけれど、心の深い部分がつながったテツコとギフの関係は、切なくも心温まるものです。本作は、第27回山本周五郎賞候補作、第11回本屋大賞の2位に選ばれました。2014年に仲里依紗さん主演でドラマ化され、切なくも心温まるストーリーで人気を博しています。

木皿泉さんの作品一覧

登場人物がみんな魅力的。「とにかく手元に置いておきたい」という一冊に出会った感じ。読み始めてあっという間に引き込まれ、気づいたら身も心も軽くなっているような、素晴らしい小説でした。言葉で表現するのは難しいけど、こういう生き方したいなぁと感じます。普段普通に使ってる言葉でも、一言一言がこの本の中ではとても丁寧で、じんわり心に沁みる感じがした。

makkko8さんのレビュー

9.『神様の御用人』 フリーターと神様たちの、ほのぼのした日々を描く大ヒット作


神様の御用人 (メディアワークス文庫)
浅葉なつさん『神様の御用人 (メディアワークス文庫)
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あらすじ

社会人野球の選手をしていた良彦は、ケガで野球を断念し、会社も辞めることになった。フリーターとなり、バイト以外の時間は家でゲームをする日々を過ごす良彦。ある日、道端でうずくまっていた老人を助けた良彦は、不思議な冊子を手渡される。「宣之言書(のりとごとのしょ)」と呼ばれるその冊子に表れた名前を辿っていくと……。

オススメのポイント!

日本に古くから存在するたくさんの神様が登場する、ほのぼの系ファンタジー小説です。神様といっても、一般的なイメージとは違い、かなり人間くさくて個性的な神様たちが、いきいきと描かれています。主人公の良彦と相棒の黄金のコミカルな会話には、思わずクスリと笑ってしまうはず。読後には、神様の存在がこれまで以上に身近に感じられることでしょう。神様のさまざまな要求に笑ったりホロリとさせられたり、良彦の人柄の良さにほっこりしたりと、良い意味で刺激的な人気作です。

浅葉なつさんの作品一覧

神様は身近なようで全く分かっていないというのが大方の人だろう。そんな一人が神様の御用を承る事となる。
しかしそれは何か事をなすのではなく、思いやる気持ちなのだという事を気づかせてくれる。神様には願い事を叶えてもらうのではなく、日々の感謝をすべきなんだね。何処かユーモア―があって心が温まる。続編が楽しみ。

ykeikoさんのレビュー

10.『東京すみっこごはん』 みんなで囲むごはんの美味しさを、思い出させてくれる名作

東京すみっこごはん (光文社文庫)
成田名璃子さん『東京すみっこごはん (光文社文庫)
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あらすじ

女子高生の楓は、ふとしたことで女子の輪から外され、いじめに遭っている。両親を早くに亡くし、祖父と2人暮らしの楓には、相談できる人がいない。居場所を失くし、とぼとぼと町を歩いていたある日、楓は不思議な建物の前にたどり着いた。「共同食堂 すみっこごはん」と書かれたそこは、とてもお店とは思えない古ぼけた一軒家だ。中をうかがっていた楓は、急に「空きがあるから」と招き入れられて——。

オススメのポイント!

読み終わった後に、美味しいご飯を食べたくなると共に、温かい気持ちでいっぱいになる素敵な物語です。「すみっこごはん」では、その時居るメンバーでくじ引きをして料理当番を決めます。だから美味しい日もあれば、味がイマイチな日もある……そんな設定がユニークで、物語のスパイスになっているのです。個性豊かな料理と、それを作った人の秘密、訳アリな客たちの人間ドラマに、ぐいぐい惹き込まれてしまいます。悩んでいるとき、疲れたときに、心に栄養をくれる美味しい物語です。

成田名璃子さんの作品一覧

読みながら、こんなにわくわくした本はいつ振りだろう。連作短編になっていて、それぞれ話の主人公となる人が料理を作るのだけれど、その美味しそうな描写ときたら!人物の書き分け、エピソードの多彩さ、そこから主人公が得るもの、結末のあたたかさ、どれを取っても申し分なくおもしろいと思う。これから先、なんだか元気が出ない……というとき、私は「すみっこごはん」のドアを開けにいくのだと思う。そこから漂う美味しそうな匂いと、人のあたたかさに触れるために。

hatachu0103さんのレビュー

ゆったりと過ごす休日に、寝る前の静かなひとときに、心がホッとあたたかくなる感動小説を楽しんでみてはいかがでしょうか。気分転換にもぴったりの名作ばかりなので、ぜひ手に取ってみてくださいね。前編はこちら!