こんにちは、ブクログ通信です。
『池袋ウエストゲートパーク』で1997年に第36回オール讀物推理小説新人賞を受賞し、華々しいデビューを飾った石田衣良さん。2003年上半期には『4TEEN フォーティーン』で第129回直木賞を、2006年には『眠れぬ真珠』で第13回島清恋愛文学賞を受賞し、作家としての地位を不動のものとしました。時事問題や社会問題となった事件を題材にした作品も多く発表し、注目を集めています。
ブクログから石田さんの代表作や人気作、オススメ作を5作紹介いたします。ブクログユーザーから高評価を得ている作品を中心に、石田さんの作品の中でも必読の5作を選出しました。読めばきっと心に刺さる名作ぞろいです。ぜひ参考にしてくださいね。
『石田衣良(いしだ いら)さんの経歴を見る』
1.『池袋ウエストゲートパーク』 池袋の街を駆け抜ける、少年たちの熱い日々
あらすじ
池袋西口公園——おれたちは「池袋ウエストゲートパーク」と呼んでいる——の本当の顔は、週末の真夜中にわかる。噴水のある円形広場はナンパコロシアムで、女たちは男たちに声をかけられるのを待っている。池袋には、他にもいろいろな顔がある。刺す少年に消える少女、潰し合うギャング団……そんなものも全部ひっくるめて、おれたちの池袋だ。池袋のストリートで巻き起こる、数々のトラブルを描いたハードボイルドミステリ。
オススメのポイント!
池袋の街を背景に、アンダーグラウンドな世界を駆け抜ける少年たちの姿がクールに描かれた物語です。現在の池袋とは少し違う、繊細で熱くカッコイイ「池袋ウエストゲートパーク」の世界をぜひ体験してみてください。本作は石田さんのデビュー作かつ代表作で、石田さんの巧みな筆致を存分に味わえる名作です。続編も多数刊行されているので、ぜひそちらもチェックしてみてくださいね。2020年秋にテレビアニメ化され、他にもドラマやコミックなど幅広いメディアミックスも楽しめる作品です。
テンポがいい。それにつきる。
ミステリーだととらえればトリックはしょっぱいのにドキドキしながら読み進めてしまうのは、池袋に生きる少年青年たちのキャラクターの素晴らしさと、前述のテンポのよさ。
ストーリーのためのキャラクターじゃなくて、キャラのためのストーリー。だから感情移入しやすい。自分もIWGPにいる気分になれる。うん、お見事。
マコトとタカシ、どっちも好み!
ドラマは見たことないけど、ぜひ見てみたくなった。
2.『美丘』鮮烈に美しい、美丘という少女の物語
あらすじ
平凡な大学生活を送っていた太一の前に、突如現れた問題児——それが美丘だった。太一には大学の準ミスである彼女がいたものの、自由奔放な美丘にどうしようもなく惹かれていく。数々の障害を乗り越え、2人は結ばれる。しかし、美丘は治療法も特効薬もない難病におかされていたのだった——。
オススメのポイント!
美丘と太一の真っ直ぐな愛情に、心打たれる恋愛小説です。ヒロインが難病におかされるという定番パターンではありますが、結末に至るまでの過程や美丘の魅力的なキャラクターは一見の価値ありの名作です。石田さんならではのみずみずしい感性で描かれる美丘の生き様を、ぜひ読んでみてください。読後には深い余韻が感じられ、じっくりと時間をかけて噛みしめたくなる物語です。2010年に吉高由里子さん主演でテレビドラマ化されています。
言葉が出なくてしばらくぼーっとしてしまった。この本には生きることの素晴らしさや今を全力でいきることの大切さ、当たり前のような感想しか紡げないけど教えてもらった気がする。心が重たくてどうして美丘を助けられないんだろうって太一になったような気分でページをめくり続けた。石田衣良さんの作品は登場人物がほんとにだれもが魅力的で素敵で幸せになってほしい、とかこの気持ちがわかる、という共感を生む文章表現が巧みだと思う。読みやすいし。 ここ最近で一番胸を打たれた。 永遠なんていらない、そう思ってもっと人生に向き合えたらって思った。
3.『眠れぬ真珠』 年齢を重ねて輝く女性が知った、人生で一番ままならない恋
あらすじ
版画家の咲世子は、17も年下の素樹に恋をした。こんなにも好きになるなんて、自分でも思っていなかったほど……。この出会いは運命だったのだ。大人の女である咲世子は、素樹との恋で無防備で傷つきやすい少女に変わってしまった。愛し合う歓びを知った一方で、別離の予感に怯える咲世子。そんなとき、若く美しいノアというライバルが現れて——。
オススメのポイント!
人生の酸いも甘いも噛みかみ分けた大人の女性である咲世子が、17歳差の恋愛に翻弄され、無防備になっていく姿が魅力的に描かれています。咲世子の心情の揺れが美しい文章で丁寧に描かれ、恋愛の楽しさや苦しさを疑似体験できる珠玉の作品です。第13回島清恋愛文学賞受賞作で、2015年にインターネット配信ドラマ化されました。2017年には藤原紀香さん主演でテレビドラマ化もされています。
恋愛に年齢なんて関係ないとみんな言うけど本当にそうだろうか。
体裁とか周りの声とか、色んな物に意外と左右されているのが現実。
でも、それって相手と真摯に向き合ってるのだろうか?
相手によって自分も相手も共に成長し、人生がより楽しくなることが愛じゃないだろうか。
あと先考えずに目の前の相手の事を考えずには居られないと互いに思えるって素敵だよね。
そんな恋愛があっても良いなぁと思える一冊。
4.『40 翼ふたたび』 40歳、人生の折り返し地点。まだまだ希望と野望に満ちている
あらすじ
40歳——人生の半分が終わった。いい方の半分だ。40歳になり、会社を辞めた喜一は投げやりにプロデュース業を始めた。やってきた依頼人たちもまた、40代の人々だ。落ちぶれたIT企業社長もいれば、引きこもりもいて、やりての銀行マンだっている。依頼人たちとの出会いが、喜一の人生を変えていく——。
オススメのポイント!
年を取ることが楽しみになる作品です。40歳の喜一が主人公なので、若さやきらめき、クールさといったものとは少し遠い物語ではあります。しかし、軽快なストーリーと喜一の朗らかな人間性、希望を感じさせる結末に元気をもらえる作品でもあるのです。人生の目標や生き方に不安を感じる人は、ぜひ手に取ってみてください。きっと読後には爽やかな希望を感じられますよ。
「人生の明るい方の半分」が終わった40歳を迎えたときに、再び生きる希望を感じることができる一冊。
この本には、切なさと、温かさと、ほろ苦さ、そして小さな力強さを感じさせる何かがある。
様々な事情を抱えて40を迎えた人たちが主役。
スキャンダルで転落した人生に苦しむ者もいれば、一度も日の目を見たことのない者もいる。
しかし、その年齢だからこそ感じる、焦りと空しさは、どこか共通しているのかもしれない。
人生の折り返し地点を迎えた人には、是非読んでもらいたい。
5.『5年3組リョウタ組』 こんな先生に出会いたかった!5年3組が羨ましくなる青春小説
あらすじ
希望の丘小学校5年3組——通称「リョウタ組」の担任は、教師生活4年目の中道良太先生だ。茶髪にネックレスがトレードマークで、涙もろくてまっすぐで、丸ごと人にぶつかっていくことを厭わないリョウタ先生。いじめやDV、少年犯罪……教室の内外で起こるさまざまなトラブルに、リョウタ先生は正面から真摯に向き合っていく。リョウタ先生の真っ直ぐなまなざしで切り取られる、教育現場の「今」を切り取った青春小説。
オススメのポイント!
リョウタ先生の熱く真っ直ぐな人柄がに惹き込まれる物語です。「こんな先生が居たらいいな」と誰もが思う、理想の先生像だといえます。そんなリョウタ先生とクラスの子供たちの交流がみずみずしく描かれ、爽やかな読後感を味わえる作品です。軽いタッチの作品ですが、教育現場が抱える問題も丁寧に描かれ、読者に問題を投げかける一面もあります。石田さんならではの明るく爽やかな世界観が堪能できる作品なので、ぜひチェックしてみてくださいね。
良太先生と子どもたちに次々と事件が降りかかってくるが、良太先生は正直に対応して、子どもたちもそんな先生を信頼していく。
人間味あふれる良太先生…最後はちょっとだけ悲しい結末だけど、子どもたちは大事なことを理解できたと思う。
教育とは何か、学校とは何か、授業とは何か、考えさせられる本です。
今回ご紹介した5作は、どれも石田さんの巧みな筆力を堪能できる名作ばかりです。一度読んだら忘れられない珠玉の物語の数々、ぜひ手に取ってみてくださいね。