こんにちは、ブクログ通信です。
2024年も早いところ上半期が過ぎましたね。ブクログユーザーのみなさんは、上半期どのような読書ライフを楽しまれましたか?
ブクログでは「ブクログ本・月間ランキング」から、2024年上半期の「登録者数」上位ハイライト作品をご紹介いたします!
ぜひチェックしてみてくださいね。
1月:湊かなえ『人間標本』

ブクログでレビューを見る
あらすじ
蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。あの美しい少年たちは蝶なのだ。その輝きは標本になっても色あせることはない。五体目の標本が完成した時には大きな達成感を得たが、再び飢餓感が膨れ上がる。今こそ最高傑作を完成させるべきだ。果たしてそれは誰の標本か。
おすすめのポイント!
「イヤミスの女王、さらなる覚醒。」とする本作のテーマは、湊さんがこれまで封印してきたという「親の子殺し」。美少年たちが蝶のように標本にされるという、おぞましくもどこか引き込まれる本格ミステリーが描かれます。人間の狂気、歪んだ親子愛を描写しながらの、二転三転するストーリー構成と圧巻のラストは必見です。湊さんの15周年の集大成を感じられる一作です。
後半から一気読み。途中からなんとなく先が読めましたが、まんまとストーリーの展開に引きずり込まれました。次は「アリアドネの声」を読もうと思っていましたが、やっぱりひと休みしたいので「ポンコツ一家」にでもしましょうか…読み終わった直後の今はそんな読後感です。
2月:夏川草介『スピノザの診察室』

ブクログでレビューを見る
あらすじ
京都の原田病院に勤務する内科医・雄町哲郎は甥と二人暮らしだ。シングルマザーだった最愛の妹が若くしてこの世を去り、一人残された甥である。将来を嘱望された「凄腕の医師」だった哲郎だが、激務の大学病院ではなく町医者として働く決意をしたのだった。そんな哲郎の元に、准教授の花垣が愛弟子・南茉莉を研修と称して送り込んできて……。
おすすめのポイント!
京都の病院でひっそりと活躍する凄腕医師の心温まるヒューマンドラマです。終末期医療に携わる医師と患者たちとの穏やかな日々を描く本作は、実に優しく静かな時間が流れています。本作の見どころは、個性と魅力に溢れる登場人物たちです。主人公のマチ先生をはじめ、人間味のあるキャラクター性がより物語に引き込みます。叙情豊かな京都の街並みと作中の甘味にも注目です。
病棟や訪問のこと、看取りのこと、体験してないと書けないような心の機微も描かれてるなぁとおもったら、著者の夏川さんは地域医療に従事されていたとのことで納得。人生の最期をどう過ごすか、患者・家族の願いを大切に取り入れながらの投薬の調整もこんな風にすすめてくれるっていいなぁ。スピノザの哲学書、読んでみたくなった。
3月:雨穴『変な家』

ブクログでレビューを見る
あらすじ
オカルト専門ライターの「私」が見た、とある家の間取り図。そこには正体不明の「謎の空間」があった。建築設計士・栗原は、この家のおかしなところを次々に指摘し始め……?
おすすめのポイント!
オカルト系YouTuber・雨穴さんの作品です。雨穴さん自ら主人公となり、よく見ると不可解な点がいくつもある家の間取りを分析する中で、衝撃の真実にたどり着くミステリーホラーです。職業柄、多くのホラー話に触れている雨穴さんだけに、物語に真実味があるのも面白さの一つです。間宮祥太朗さん、佐藤二朗さんのW主演で実写映画化されたことでも話題となりました。
元々小説の方は少し読んでいたのですが、映画が決まり。映画版の方はホラー映画という事で、渋っていたのですが。先日見る機会ができ、映画を見た後に小説を読み返し違うところがいくつかあり驚きました。どちらも奇妙で引き込まれ、本当に今も何処かで現実に起きているのではないかとゾッとしました。
4月:東野圭吾『白鳥とコウモリ』(幻冬舎文庫)

ブクログでレビューを見る
あらすじ
遺体で発見された善良な弁護士。一人の男が殺害を自供し事件は解決するはずだった……。ある男の”告白”から、事態が揺れ動く——。
おすすめのポイント!
東野さんの作家生活35周年の記念作です。発売から2ヶ月で累計発行部数100万部を突破しました。本作のテーマは、「自己犠牲と他者の幸福」。二つの時代で起きた殺人事件を軸に、被害者の娘と加害者の息子それぞれの父親の言動から真実を追求してゆく物語です。東野さんならではのミステリー要素に加え、親子の絆を描いた本作は、東野さんの新たな最高傑作となりました。
上巻はあっというまに読み終えた。白鳥とコウモリ、この題名の意味はなんだろう。どういう意味があるのかなと思いながら読み進めた。この続きがすごく気になる。生活を忘れて一気読みしたくなる。
5月:三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)

ブクログでレビューを見る
あらすじ
「仕事と趣味が両立できない」という苦しみはいかにして生まれた?兼業で執筆活動をおこなう三宅香帆さんが、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。その先に見えた、日本の労働の問題は?全本好き、趣味人に向けた渾身の一作。
おすすめのポイント!
発売一週間で、累計発行部数10万部を突破した話題作。「読書したいと思いながらも、ついスマホを見てしまう」「忙しさでつい読書を後回しにしてしまう」。読書に対し、そんな後ろめたさを感じている現代人の必読書です。日本人の「仕事と読書」のかかわりを紐解く中で見える、社会構造の問題を明らかにします。読書できないのはあなたのせいではないと、励まされる一作です。
なぜ働いていると本が読めないのか?という問いに対して、過去の日本はどうだったのか、という切り口で深く整理している。知らないことも多く教養としても面白く読めた。また個人的には最後に著者が提示した半身社会というワードが刺さった。どうすべきかは個人個人が考えるべきであるが、このうような機会に立ち止まり考えることは大切であると感じる。
6月:東野圭吾『クスノキの女神』

ブクログでレビューを見る
あらすじ
神社に詩集を置かせてくれと頼んできた女子高生の佑紀奈には、玲斗だけが知る重大な秘密があった。一方、認知症カフェで玲斗が出会った記憶障害のある少年・元哉は、佑紀奈の詩集にインスピレーションを感じる。玲斗が二人を引き合わせると瞬く間に意気投合し、思いがけないプランが立ち上がる。
おすすめのポイント!
2020年発売の『クスノキの番人』の続編なので、まず前作を読むことをおすすめします。様々な悩みを持った人々が訪れる、不思議な力を持つクスノキの番人を任された主人公が、自身に舞い込む事件を通して成長してゆく物語です。ミステリー要素は薄めですが、人々の心情にフォーカスした心温まるヒューマンドラマに涙することでしょう。読後には周囲の人々を大切にしたくなります。
前作はミステリー要素を感じなかったので東野作品にしては珍しいなって思ったんだけど、今作は事件を交えてのストーリーだったので東野作品らしさがでていたように思う。過去でも未来でもなく「今」が幸せであることの大切さが伝わる素晴らしい作品だと思った。
ブクログユーザーさんが注目した2024年上半期のハイライト作品をご紹介しました!
気になる作品には出会えましたか?ぜひ読書生活の参考にしてくださいね!