加藤シゲアキさん作品5選!~圧倒的描写力が光る話題作選~

こんにちは、ブクログ通信です。

加藤シゲアキさんは、男性アイドルグループ「NEWS」の一員として活躍する一方、小説家としても活躍しています。2011年に本格的な執筆活動を始め、2012年に代表作『ピンクとグレー』で小説家デビューを飾りました。その後も新作を発表する度に大きな話題となり、「直木賞」候補作への選出、「本屋大賞」ノミネートなど作家としての地位を着々と築き上げています。近年は脚本家デビューも果たし、その活躍ぶりはさらにマルチなものへと進化し続けているのです。

今回はそんな加藤さんの作品の中から、絶対に読むべきおすすめ作品を5つ紹介いたします。
ぜひ、この機会に手に取ってみてくださいね!

加藤シゲアキさんの作品一覧

1.加藤シゲアキ『なれのはて』戦争を知らない世代は読むべき一冊!著者初の時代小説

なれのはて
加藤シゲアキ『なれのはて
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あらすじ

テレビ局員の守谷京斗は、ある事件をきっかけに報道局からイベント事業部に異動してきた。ある日、同僚の吾妻李久美から「たった一枚の展覧会」を企画したいと相談を受ける。吾妻が惚れ込んでいるその作品について探り始めた二人は、秋田のとある一族にたどり着いた。現在の当主に絵の詳細を訪ねると、破格の値段で買い取ると言い始めて……。

おすすめのポイント!

2023年12月に第170回「直木賞」候補に選出された作品です。同賞においては加藤さん自身二度目のノミネートであり、アイドルが二度ノミネートされるのも史上初でした。こちらの作品は加藤さん初の時代小説として大きな注目を浴び、現代日本におけるジャーナリズムの在り方を真っ向から問う意欲作でもあります。一枚の絵を通して、令和から大正までの時代を生きる人々の、「業」や白黒で分けられない「正しさ」を描き出している社会派作品です。戦争を知らない世代は、特に手に取ってほしい一冊だといえます。

加藤シゲアキ作品の中で一番おもしろかった!(全作既読)オルタネートとは全く違う重厚な作品。デビュー作から動きのあるシーンの描写が伝わりづらいと思っていたけれど今作は傑が殺されるシーンは迫真の描写でした。時代や血筋に振り回されて、悲しみや悔しさに囚われた人物たちの人生にグッと引き込まれました。次作楽しみです。

Black blankさんのレビュー

2.加藤シゲアキ『オルタネート』現代の若者たちならではの青春を切り取った爽やかな作品

オルタネート (新潮文庫 か 93-3)
加藤シゲアキ『オルタネート (新潮文庫 か 93-3)
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あらすじ

高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」を使えば、遺伝子レベルで相性の良い相手を探すことができる。オルタネートを使わない高校3年の蓉(いるる)、オルタネートで運命の相手を探す凪津(なづ)、高校を中退したためオルタネートを使えない尚志(なおし)。とある高校で交錯する若者たちの運命と未来を描く話題作。

おすすめのポイント!

第164回「直木賞」候補作であり、第42回「吉川英治文学新人賞」受賞作品です。現役アイドルの文学賞受賞は初めてで、大きな話題となりました。作中では、オルタネートというマッチングアプリを通じて、三人の少年少女の青春と運命が描かれています。高校生年代特有の、感情のゆらぎや葛藤、未来への不安といった感情が一つ一つ丁寧に描かれ、読後には爽やかな余韻が残る作品です。自分の青春時代を呼び起こすというよりも、「現代の若者たちの青春はこうなんだな」と実感させてくれます。

「新しいとこに行っても、そこだっていつかは古いものになるし、変化ばかり求めていたら永遠に安定しない。」という言葉が刺さった。私は変化がだいすきで臆すことなく新たな環境に飛び込んでいけるタイプだが、それと同時に飽きるのも早く次々に新たなものに飛びつくところがあり、そこを短所に感じていた。誰かが、何かが変えてくれるなんて都合のいい未来や新しいものに期待しすぎず、自分で動いていくことを大切にしたい。

みいさんのレビュー

3.加藤シゲアキ『ピンクとグレー』現役アイドルだからこそ書けた芸能界の光と影

ピンクとグレー (角川文庫 か 66-1)
加藤シゲアキ『ピンクとグレー (角川文庫 か 66-1)
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あらすじ

りば(河田大貴)とごっち(鈴木真吾)は、小学生の頃からの大親友だ。性格は全く違う二人だが、不思議と気が合った。やがて高校生になった二人は、街でスカウトされ雑誌モデルとして芸能活動を始める。同居し、共にがんばっていくはずだったが、ごっちだけがどんどん売れてゆく。いつしか、親友だった二人の間には超えられない壁ができていた。

おすすめのポイント!

加藤さんのデビュー作であり代表作です。渋谷の街と芸能界を舞台に、親友だった少年二人の過酷な運命と絆を描いています。圧巻なのは、芸能界に生きるりばとごっちの描写です。まさに芸能界の光と影と呼べるような、華やかさと闇深さ、栄光と挫折をかなりリアルに切り取っています。これは自身が現役アイドルである加藤さんだからこそ書けた小説だといえるでしょう。過酷な運命に翻弄される少年たちの心情が鮮烈に描き出されています。

正直あんまり期待してなかったけど、だいぶ面白かった。前半はなんか文章的にも稚拙な雰囲気はあったし、寒い表現も気にはなったけど、構成とか雰囲気とか、引っ張り方とかはすごいもんだ。一気に読み切れた。次の作品もぜひ読んでみたい。

shige0614さんのレビュー

4.加藤シゲアキ『閃光スクランブル』アイドルの裏側を赤裸々に描く新感覚エンタメ小説

閃光スクランブル (角川文庫)
加藤シゲアキ『閃光スクランブル (角川文庫)
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あらすじ

人気アイドルグループに所属する亜希子は、大物俳優と不倫していて、スクープを狙うパパラッチに追われる日々を過ごしていた。ゴシップカメラマンの巧は、妻を亡くし心に傷を負っていた。思い通りにいかない人生に苛立ち葛藤する二人が出会ったことで、思いがけない逃避行が始まった。見失っていた本当の自分を見つけることはできるのか。

おすすめのポイント!

アイドルとパパラッチという、本来であれば対立関係にある二つの存在が逃避行に出る、という斬新さが目を引く物語です。アイドルという仕事の裏側や、パパラッチの裏事情など、芸能界を良く知る著者だからこそ、描写が緻密で説得力があります。スリリングな展開と丁寧な人物描写、意外性のある展開と三拍子揃った力作です。アイドルの大変さや気苦労、芸能界で生き抜く過酷さといった裏事情を描いているからこそ、アイドルの輝きをより感じられる作品となっています。

主人公の巧はパパラッチをしている時は憎たらしい嫌な奴なのに、長年亡くなった妻子を想っているところや、亜希子と逃避行している時はグッと引き寄せられる魅力を感じる味のある男性で…引き込まれました。

レーズンバターサンドさんのレビュー

5.加藤シゲアキ『チュベローズで待ってる AGE22』夜の世界に飛び込んだ青年の葛藤と青春を描く長編作

チュベローズで待ってる AGE22
加藤シゲアキ『チュベローズで待ってる AGE22
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あらすじ

就活に失敗し自暴自棄になっていた22歳の光太の前に現われたのは、関西弁のホスト・雫。就活浪人を決めた光太は、雫の誘いを受けてホストクラブ「チュベローズ」で働き始めた。カリスマホストの雫、続々と指名をモノにする同僚の亜夢、異形のオーナー・水谷らに囲まれ、光太は夜の世界に染まってゆくのだった……。

おすすめのポイント!

歌舞伎町を舞台に、一人の青年が悩み成長する姿を描いた作品です。主人公の光太はとある事情からホストとして働き始めるのですが、光太を取り巻く夜の世界に生きる人々の描写が生き生きとしていて非常にリアルです。光太と共にホストの世界に飛び込んだような感覚を味わえる、映画のような作品だともいえるでしょう。また、本作は前後編に別れていて、後編の「AGE32」は前編の10年後の世界が描かれています。10年間に亘る骨太な人間ドラマの結末は、ぜひご自身の目で確かめてみてください。

作家としての加藤シゲアキの作品はどうなんだろうと半分訝しながらよんだが、意外に面白い。普通に初読みの作家さんの作品として読んでも同じような感想だっただろう。人との繋がりがとても興味深く、ホストとしてじゃなく光太としての生き方にも俄然興味が出てきた。続編に期待。

ゆうゆさんのレビュー


加藤さんの作品は、映像が浮かぶような描写力と存在感のあるキャラクターが魅力です。
現役アイドルならではの感性が光る作品世界を、ぜひこの機会に味わってみてはいかがでしょうか?