【海外編】想像力が鍛えられる!国内×海外のSF小説おすすめ10選

こんにちは、ブクログ通信です。

仕事や勉強のくりかえしで、毎日が単調に思えてしまうときには、SF小説の沼にハマってみてはいかがでしょうか。SFの世界は想像を超える刺激に満ちあふれています。

さて、SF小説のなかでも今回は、国内編海外編に分け、合わせて10作をご紹介します。ディストピア的なものから、一周回って既視感を覚えるような作品まで。驚きの連続に、想像力が追いつかない!と思うような作品もあります。ドキドキを求めているみなさん、ぜひチェックしてみてください。

1.ヒュー・ハウイー『WOOL』語ることさえ許されない地上の世界には……

ウール 上 (角川文庫)
ヒュー・ハウイー『ウール 上 (角川文庫)
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

終末期を迎え、地球は核によって汚染されていた。生き残った人類は「サイロ」と呼ばれる地下144階建ての施設での生活を余儀なくされ、地上のことを口にしたり、脱出を図ったものには「清掃」と呼ばれる任務が与えられる。防護服に身を包み、ウールの布きれを持って、地表の様子を映し出すレンズの外側を拭くという、この実質的処刑では、生きて戻った者はいない。そして、不思議なことにこの任務を放棄するものもいなかった。

おすすめのポイント!

タイトルである「ウール」は、「死刑」のことでもありますが、作中ではもう一つ、重要なワードをしても使われています。核の後、そして物語の背景に隠れている陰謀を克明に描いたディストピア作品となっています。8年間ヨットの船長として勤めあげ、結婚を機に陸にあがったという経歴を持つ著者の脳内には、凄まじく広大な物語が広がっているようです。『シフト』、『ダスト』へと続くサイロ三部作の第一作。

ヒュー・ハウイーさんの作品一覧

とてもおもしろい。先にのこるのは決断だけ。決断というのは今このときの生き方と近しい。何が正しい、正しくないかは分からないけれど、決断することからは逃げたくない。何を書いてもネタバレになりそうな、視野が狭かった、広がった感覚を追体験できる。

aさんのレビュー

2.チャイナ・ミエヴィル『ペルディード・ストリート・ステーション』想像力の限界を試される怪奇小説

ペルディード・ストリート・ステーション (上) (ハヤカワ文庫 SF ミ)
チャイナ・ミエヴィル『ペルディード・ストリート・ステーション (上) (ハヤカワ文庫 SF ミ)
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

蒸気機関と魔術学が統べる世界で、最大の都市国家「ニュー・クロブゾン」。ここには人間だけでなく、鳥人や両生類人など、未知の知的生命体がひしめいていた。都市の中心には「ペルディード・ストリート・ステーション」と呼ばれる巨大な駅がそびえている。ある日、異端の科学者・アイザックの元に、奇妙な訪問者が姿を見せた。鳥人族「ガルーダ」のヤガレクからの依頼は、街全体を恐怖の底に突き落とす一端となり——。

おすすめのポイント!

物語に触れるとき、どうしてもあらすじを追いたくなるものですが、本作に関しては、筋書きを二の次と考えてもいいくらい、ただただスチームパンクとカオスモスの世界に呑みこまれていくのが心地良く感じられます。頭の中の無意識領域から出てくるものをゴッソリ抜き出してきたような世界に、大きな刺激を受けることができます。これまで様々なSFを読んできて、もっと想像を超えたものを読みたい!という上級者にもおすすめです。

チャイナ・ミエヴィルさんの作品一覧

何でもありのゴチャゴチャな世界観。非人間の登場人物が沢山登場しそれぞれに細かい設定がされています。どんな容姿なのか想像しながら読みました。是非,映像化して欲しいものです。

mellow-dさんのレビュー

3.アンディ・ウィアー『火星の人』ミッションは地球への帰還!

火星の人 (ハヤカワ文庫SF)
アンディ・ウィアー『火星の人 (ハヤカワ文庫SF)
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

宇宙飛行士のマーク・ワトニーは、予期せぬ事故のため、火星に一人取り残されてしまう。地球との通信もできず、食料にも限りがあるなか、ワトニーは希望を失わず、次に火星探査機が来ると考えられる四年後まで生き延びることを決意する。植物学者であり、メカニカルエンジニアでもあるワトニーは、自分の持ちうるすべての知恵を振り絞る。果たしてワトニーは地球に無事、帰還することができるのか。手に汗握るハードSF。

おすすめのポイント!

ワトニーは常に冷静で的確な判断をし、また明るくユーモラスな性格のため、火星に残された男の孤独や悲壮感はなく、楽しんで読める作品になっています。元々Web連載されていた本作は、読者の要望によって自費出版され、その後、大手出版社より再出版されました。このような形で出版された本作は、日本でも第46回「星雲賞」海外長編部門を受賞するなど大きな評価を得ています。2015年、アメリカで『オデッセイ』として映画化。

アンディ・ウィアーさんの作品一覧

ハードSFだけど、SFファンじゃなくても楽しめます。事故で火星に取り残された主人公が、持てる知識を総動員しつつ、持ち前のウィットとユーモアでめげずに頑張りぬく物語。

新ひだか町図書館さんのレビュー

4.スタニスワフ・レム『ソラリス』ポーランド文学の最高傑作!

ソラリス (ハヤカワ文庫SF)
スタニスワフ・レム『ソラリス (ハヤカワ文庫SF)
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

心理学者・ケルヴィンは、不可思議な海で覆われた惑星ソラリスの調査のため、ステーションへと赴いた。そこでケルヴィンは、先任の研究者たちが鬱や自殺に追いこまれ、変わり果てた姿となっているのを目撃する。調査に乗り出したケルヴィンだが、自身の狂気を疑うような事象に遭遇することに……。研究者たちは一体、何を見てしまったのか。惑星ソラリスに隠された秘密とは。世界的巨匠がSF史に遺した古典名作。

おすすめのポイント!

宇宙には、人類の理解を超えたものが数多くあります。しかし、自分の内側にも、そのような理解を超えた場所があるのかもしれないと、本作を読むと思わせられます。理性の働かない、自分の知らない自分が垣間見えたとき、私たちの精神は耐えうるのでしょうか。著者の代表作ともなった本作は、二度映画化も果たし、世界中で翻訳され、広く読まれています。不朽の名作に触れたいという方にはとくにおすすめの一作です。

スタニスワフ・レムさんの作品一覧

この本はエイリアンそのものだ、という意見は納得できる。読む人によって未知との遭遇であり、記憶と人間性の話であり、ラブロマンスに映る。そのようにして人を惑わすソラリスの所作は、ほんの戯れに過ぎないのかもしれない。最後まで、起こったことの訳はわからない。理解を越えたものとの出会いはどのようなものかを描こうとしたのだと思う。

にしともさんのレビュー

5.パオロ・バチガルピ『第六ポンプ』「SFのなかの話」ではすまされない!

第六ポンプ (ハヤカワ文庫SF)
パオロ・バチガルピ『第六ポンプ (ハヤカワ文庫SF)
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

ストリートチルドレンのワンが手に入れたデータキューブ。そのなかには信じられないものが入っていて。(「ポケットの中の法」)改造された人体で逞しく生きる人類。ある日、戦術防衛対応要員の三人は本物の犬を見つけ、それを飼ってみることに。(「砂と灰の人々」)人類が知能的に低下した未来で、下水道の第六ポンプが故障する。もはやマニュアルを読める者もいない世界は、どのように維持されていくのか。(「第六ポンプ」)

おすすめのポイント!

環境問題や食糧の支配、出生率の低下など、すでに可視化された地球の問題をほのめかすものも多い10編のSF短編集。世界の暗黒面を引きずりだし、究極まで突き詰めたような設定にゾッとしたり、どんな環境にでも適応し、生きていく人間のしたたかさを感じたりできる作品群になっています。海外作家のSF小説をこれから読み始めたいビギナーにもオススメ。英語圏の優秀なSF・ファンタジー作品に贈られる「ローカス賞」受賞作。

パオロ・バチガルピさんの作品一覧

「ねじまき少女」世界の短編集。環境分野に携わる作者の描く、環境破壊の先にあるイヤ~な情景てんこ盛り。こんな未来は嫌だってのを堪能してしまいました。

ねえなさんのレビュー


柔軟な想像力だけでなく、物語として成立させるだけの構成力、文章力、すべてが揃って描きだされる圧巻のSF小説をご紹介しました。ぜひこの記事を参考に、気になった作品を手に取ってみてくださいね。
国内編】はこちら!