韓国文学5選〜ストレートな表現に共感し、元気が出る!〜

こんにちは、ブクログ通信です。

近年、SNS等で話題書となり、日本でも流行の韓国文学。小説だけでなくエッセイも人気ですが、その人気を支える魅力は、自分の気持ちを代弁してくれているようにすら感じる、心の深い部分の率直な表現にあるように思います。

今回は、続々と出版される韓国文学の中でも、読むと気持ちが楽になるおすすめ作品を5つ選びました!日本の作家の作品とは違うテイストの作品を読みたい方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

1.ペク・セヒ『死にたいけどトッポッキは食べたい』辛い時、ふっと心が軽くなる

死にたいけどトッポッキは食べたい
ペク・セヒ『死にたいけどトッポッキは食べたい
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あらすじ

気分変調症(軽度のうつ病)と不安障害を抱える筆者は、10年以上、精神科を転々としていた。本書はそんな筆者の、カウンセリングの様子を書き起こした対話のエッセイである。自己否定的な考えに沈むことも、他者との関わりのなかでの自分の立ち位置を考えて嫌になることも、人生のうちにはあるだろう。だが、実は私たちは、もっと気楽に、もっと自分を愛していいのかもしれない。心の支えになる、話題の韓国エッセイ作品。

おすすめのポイント!

死にたいほど憂鬱なのに、食欲には勝てない。そんな人間くささがタイトルに凝縮されている本作は、書店で見て目を引かれたことのある方も多いのではないでしょうか。カウンセリングを通しての発見や精神的な成長は、読者が自分を客観視したり、分析したりすることにも役立ちます。感情のままならなさ、生きづらさを感じたことのある人にとっては、名言・金言の嵐。「読む薬」として本棚に置いておきたい一冊です。

ペク・セヒさんの作品一覧

カウンセラーを受けてるお話の内容を一部聞いているような感じでした。自分の受け取り方を少し変えたりするだけで生きやすくなるんだなと、行き詰まったときにまた読みたい。

なたんさんのレビュー

2.チョン・セラン『保健室のアン・ウニョン先生』シリアスとコミカルが絶妙なドラマ化作

保健室のアン・ウニョン先生 (チョン・セランの本 01)
チョン・セラン『保健室のアン・ウニョン先生 (チョン・セランの本 01)
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あらすじ

アン・ウニョンが養護教諭として赴任した私立M高校では、原因不明の怪奇現象が頻発していた。実はウニョンはただの保健教師ではない。特殊な霊能力を持つ彼女には、超常現象を起こす原因となる、悪しき者たちの姿が見えていた。BB弾の銃と、レインボーカラーのおもちゃの剣を手に、彼女は謎や邪悪に立ち向かう。M高校に隠された秘密とは。青春小説であり、社会小説であり、恋愛小説でもある、斬新で心温まる10の事件簿。

おすすめのポイント!

おもちゃの銃と剣で戦うというとコメディチックになりがちなものですが、この作品からは読者を笑わせようとする努力は感じられず、むしろリアル感があります。韓国の社会や歴史的背景をしっかりと汲みとっており、韓国を知ることができる側面も。2020年にはNetflixのオリジナルドラマとして映像化もされました。チョン・セランさんの作品では、2017年に第50回「韓国日報文学賞」を受賞した『フィフティ・ピープル』もおすすめです。

チョン・セランさんの作品一覧

面白かった。養護教諭が私立学校に潜む様々な魔物と戦う。コミカルな筆致なこともあり、日本のコミックやラノベにもよくあるような作品だとは言える。しかし、物語の内容や、随所でサラッと繰り出される毒舌からは、著者の人間や社会に対する洞察の深さや真っ当さが伝わってきて、これが並の作家によるものでないことがわかる。韓国の学校の様子もわかる。日本の学校の様子ととても似ている。

itomonaさんのレビュー

3.ハ・テワン『すべての瞬間が君だった』元気が出てくる詩的エッセイ

すべての瞬間が君だった きらきら輝いていた僕たちの時間
ハ・テワン『すべての瞬間が君だった きらきら輝いていた僕たちの時間
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あらすじ

今だけでなく、過去も未来も、「君」のすべてを肯定する。そして「君」を取り巻くすべてに感謝し、すべての瞬間を優しく抱きしめたい。この作品は、僕が「君」に贈る愛の言葉をまとめたものだ。「君」とは大切な誰かで、恋人かもしれないし、家族や友人、場合によっては自分かもしれない。恋の始まりにも終わりにも寄り添い、ありのままの自分でいていいのだと安心させてくれる、甘く優しいポエティックエッセイ。

おすすめのポイント!

韓国SNSで大バズりし、たちまちベストセラーとなった本作。2018年の韓国ドラマ『キム秘書はいったい、なぜ?』の作中にも登場し、韓国社会を表す一冊となっています。ストレートに「君」を肯定する言葉はまるで労るように優しく、疲れているときに読むと心が安らぐエッセイです。自分の心の状態によって、読むたびに印象が変わるような詩ばかり。ふとした時に読み返して、その違いを感じてほしい作品です。

ハ・テワンさんの作品一覧

ここ最近読んだ中で1番励まされ、1番共感した本。約1週間前に彼と別れてその日の夜吸い込まれるように手に取り購入した本書。今この瞬間の私の状況にとって心に響く言葉が溢れすぎていて、付箋だらけになりました。時にはあの人を思い出して虚しくなり、切なく愛おしくなって、時にはそれも全部間違っていなかった、正しかった、前に進もうと思える。寄り添いや後押し、全ての要素が詰まっていた。きっとこの先新しく経験を積んでいくたびに読み返して、付箋を貼る場所が変わっていくんだろうなと、それもまた美しいなと感じて、そんな瞬間が少し楽しみになった。

ぺちょさんのレビュー

4.ソン・ウォンピョン『三十の反撃』2022年「本屋大賞」翻訳小説部門第1位!

三十の反撃
ソン・ウォンピョン『三十の反撃
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あらすじ

ソウルオリンピックの年に生まれ、30歳になったキム・ジヘ。88年生まれにもっとも多い「ジヘ」という名を持つ彼女は、その名の通りの平凡な大人になった。大企業の非正規雇用である彼女は、本社勤めの正社員を目指している。そんなジヘの前に現れたのは同僚の男性・ギュオク。彼に誘われてウクレレ講座へ出かけたジヘは、そこで出会った仲間たちと、社会に対するささやかな反撃を目論むようになり——。勇気をもらえる傑作小説。

おすすめのポイント!

頑張れという言葉が嫌い。自分が何をしたいのかもよくわからない。それでも今よりも良い暮らしに憧れて就活をしているジヘの姿は、現代のアラサーの等身大の姿のように感じられます。韓国と日本、国は違えど同じような悩みを持ち、同じように毎日を生きている人がいるということなのでしょう。大勢のうちの一人ではなく、ただ一人の「キム・ジヘ」になるために。彼女がどんな反撃をするのか、ぜひ読んでみてください。

ソン・ウォンピョンさんの作品一覧

読み終わりました。『アーモンド』がとてもよかったのでこちらも購入してみました。なんだろう、主人公と自分の歳が近いからか、すごくつらく感じるところもあった。主人公が劇的に変わっていくとかではない、ほんとにただ普通の人の人生をみたというかんじ。訳者のあとがきで泣きそうになった。映像化するならば韓国ドラマの丁寧な描き方でやってほしいなあっておもった。

ばちたさんのレビュー

5.チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』韓国文学ブームの火付け役的作品!

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)
チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)
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あらすじ

夫と娘と暮らす30代のキム・ジヨンは、ある日突然、周囲の人々の人格が憑依したような異常な行動をとるようになる。精神科医の前でジヨンは、自身の人生を振り返り、子育てのために退職せざるを得なかった半生を語る。そこから見えてきたのは、受験・就職・結婚・育児など、女性の人生に立ちはだかる数々のハードルだった——。

おすすめのポイント!

言わずと知れた韓国のベストセラー小説です。BTSのRMさんも愛読した本作は、2020年に映画化もされました。韓国の82年生まれに最も多い名前の「キム・ジヨン」という女性の人生から、女性に降りかかる社会での困難や差別を洗い出した作品です。フィクションでありながら、社会に隠されたリアルの現状に切り込む本作は、さながら一つのドキュメンタリーと言えるでしょう。女性目線で描かれる本作ですが、男女共に尊重される世の中でありたいと強く思わせられる一冊です。

チョ・ナムジュさんの作品一覧

女性としての生き方や社会でのあり方を考えさせられる本だった。韓国の小説だけど、ノンフィクションのようであり、さらにこれは日本でも全く同じことが起きているんじゃないかと思った。特に子供を産んでからの女性のキャリアについてなどは、韓国でも日本と同じ問題を抱えているのだなと。解説にもあったが、韓国特有の「徴兵制」に関連した男女の壁の話も興味深かった。日本では自分も含めまだまだ「自ら声を上げる」という文化・気風がないけれど、不当だと思ったことは仲間を集めてどんどん発信していかなければ変わっていかないのだと感じた。

りさんのレビュー


自分のダメなところに落ちこんだり、非凡になりたいと感じたり。文学から、世界を身近に感じられそうな作品も多数あります。ぜひこの記事を参考に、韓国文学の世界を開拓してみてくださいね。