カンヌ国際映画祭最高賞受賞記念!是枝裕和さん書籍代表作・おすすめ5選をご紹介!

是枝裕和さんおすすめ・受賞作・代表作5選

こんにちは、ブクログ通信です。

是枝裕和さんが、6月8日公開の映画最新作「万引き家族」にて、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞しました!5月21日の新聞では、どの朝刊もこぞって是枝さんの偉業を大きく報じています。5月28日には、是枝さん本人の執筆による「万引き家族」ノベライズが発売予定となっています!発売元の宝島社には問い合わせが殺到しているそうです。

なお是枝さんはこれまでも多くの書籍を刊行しています。ブクログから、是枝さんの映画作品をより楽しむための書籍代表作・オススメ作を5作紹介いたします。是枝さんがキャリア初期に関わっていたドキュメンタリー作から、最新刊まで、一度おさらいしてみましょう。ブクログユーザーから高い評価を受けている作品、読みやすい作品、知名度のある作品を集めますので、ぜひ参考にしてくださいね。

(2018年5月22日最終更新)

経歴:是枝 裕和(これえだ ひろかず)

1962年、東京都生まれの映画監督。演出家、早稲田大学理工学術院教授。1987年に番組制作会社テレビマンユニオンに入社、テレビのアシスタントディレクターを務め、ドキュメンタリー番組の演出に関わる。1995年『幻の光』で映画監督デビュー。その後多くの映画作品を撮り、ジャンルを問わず様々な演出、そして若手育成に関わってきた。若き西川美和を見出したことでも知られる。
代表作『誰も知らない』で第57回カンヌ国際映画祭にて柳楽優弥が最優秀男優賞、『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞をそれぞれ受賞。ほか、『歩いても 歩いても』『海街diary』『三度目の殺人』が代表作。そして2018年6月公開の『万引き家族』が世界三大映画祭のひとつ、カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞。書籍の刊行も多い。書籍代表作に『映画を撮りながら考えたこと』。

是枝裕和さんの書籍一覧

1.『映画を撮りながら考えたこと』 本人自ら、2016年までの全作品を振り返る

2016年に刊行されており、是枝さんが映像に関わってきた過去の全作品全てを振り返る、構想8年に及ぶ大作。今回の受賞を受けて、「是枝監督の著書を増刷」したそうです。

是枝裕和さん『映画を撮りながら考えたこと
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内容

初のテレビドキュメンタリー作品から始まって2016年当時まで、およそ30年に関わった全作品を振り返り、当時の課題、考えていたことを振り返る一冊。

オススメのポイント!

監督の当時考えていること、そして培った経験が言語化されていることが一読してよく分かります。映画界の事情、映画興収の事情、人材の育て方など、多岐にわたることがらが作品の振り返りと一緒に言及されているのも興味深いポイント。映像・映画製作だけでなく、何かしら制作にかかわるすべての人にヒントを与える一冊になりそうですね。作品ごとに章立てがなされており、どこから読み始めても、どんな読み方でも楽しめます。発行元ミシマ社によるミシマガジン「是枝裕和監督 自著を語る」も要チェックです。

2.『世界といまを考える 1』 是枝さんの思考が透けて見えるかのような濃厚対談集

是枝さんが、各界著名人と行った対談シリーズ、第一作です。続編『世界といまを考える 2』『世界といまを考える 3』も発売されています。

是枝裕和さん『世界といまを考える 1 (PHP文庫)
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内容

シリーズ第1巻では、スパイク・ジョーンズ、リリー・フランキー、山田太一ら12人の映画監督・俳優・脚本家と語り合い、作品・映画論、業界の「いま」、そして家族、震災、世界といったテーマを語り合っていく。対談相手は、ジャ・ジャンクー、ミシェル・ゴンドリー、西川美和、砂田麻美、ジュリエット・ビノシュ、リリー・フランキー、伊勢谷友介、山田太一、井上由美子、坂元裕二ら12人。

オススメのポイント!

対談という肩肘張らないスタイルでも、情報量が詰まっていることに驚かされます。どの章にも見所があり面白い対談集ですが、とりわけ西川美和さん・砂田麻美さん回を推します。是枝さん自らがどんな経緯で彼女らを発掘しどんな才能を見出したか、そして映画における脚本・演出・監督・助監督の仕事・役割は何かということがコンパクトに語られています。対談相手から見た是枝さんへのコメントもあって、非常に楽しく読める一冊。

3.『歩くような速さで』 是枝さんの思考と視点が活かされた、珠玉のエッセイ集

西日本新聞の連載をまとめたエッセイ集。2013年に刊行されました。

是枝裕和さん『歩くような速さで (一般書)
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内容

是枝さんが日々の思考の軌跡を綴った、初のエッセイ集。「立ち止まって足元を掘り下げる前の、もっとたわいない、もっと柔らかいもの。作品と呼ばれるものが、水の底に静かに沈澱されたものだとするならば、まだそれ以前の、水中をゆっくりと漂っている土つぶのようなもの。このエッセイ集はそんな土つぶの集まりである」(「まえがきにかえて」より)。

オススメのポイント!

本人いわく「作品以前のものの集まり」というエッセイ集。だからこそ是枝さんの生の思考がそのまま映し出されているのかもしれません。さりげなく書かれた文章の中に、多くの視点と情報が詰まっています。ひとつひとつのエッセイが短いこともあり、普段時間がない方には特にオススメしたい一冊です。

4.『雲は答えなかった 高級官僚 その生と死』 数度の追記・修正を重ねてきた水俣病についてのノンフィクション

水俣病に関わった官僚の死を描いた是枝裕和さん初の著作。ドキュメンタリー番組として放送されたものを、追加取材を元に追記したノンフィクションです。

是枝裕和さん『雲は答えなかった 高級官僚 その生と死 (PHP文庫)
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内容

ディレクターとして初めて関わったドキュメンタリー番組「しかし…福祉切り捨ての時代に」(1991年)の放送後、取材を重ねて29歳で初の著作を刊行。そして2001年には改題作『官僚はなぜ死を選んだのか』を刊行。そこにさらなる追記・修正を重ねて本作『雲は答えなかった 高級官僚 その生と死』が出来上がった。是枝監督本人の「刊行にあたって」と、想田和弘監督の「解説」を収録してリニューアルされている。

オススメのポイント!

1990年12月に自死した旧・環境庁ナンバー2、山内豊徳さんの人生を追いながら日本の戦後福祉行政の歩み、官僚組織も解説し、「善悪」だけではくくれないものを浮き彫りにしようと試みた作品。その試みから、彼がテレビ出身、ドキュメンタリー出身であることが何よりもよく分かります。映画監督としての是枝さんしかご存知ないかたは、ぜひこちらの本を手にとってみてはいかがでしょうか。

5.『文藝別冊 是枝裕和』「是枝裕和をつくった作品66」インタビュー収録!

2017年に刊行された、『文藝別冊』による特集号です。是枝さんの作品に近づきやすい資料というだけでなく、本人の対談やスペシャルインタビューも収録されている見逃せない一冊になっています。

是枝裕和さん『文藝別冊 是枝裕和 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)
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内容

日本映画界を代表する監督、是枝裕和の総特集号。スペシャル・インタビューに「是枝裕和をつくった作品66」。リリー・フランキー、今野勉らとの対談に、重松清、樹木希林、想田和弘、松浦寿輝、カン・ドンウォン、ポン・ジュノ、マイク・ミルズらによる寄稿や、単行本未収録エッセイも収録した盛りだくさんの一冊。

オススメのポイント!

2017年時点の是枝さんを多角的にとりあげた、入門としても優れている総特集号。何より、「是枝裕和をつくった作品66」が収録されているのが見逃せません。是枝さんの作品について論評を行う批評者たちにも必須の一冊となりました。どんな読者にもオススメしたい特集号です。


このほか映画ノベライズ作も多い是枝さん。何より、映画作品そのものも非常に魅力的です。今回は書籍を取り扱いましたが、ぜひ映画作品もDVD/Blu-rayでお楽しみくださいね。どうか最初の一冊目が良い出会いでありますように!

参考リンク

映画「万引き家族」オフィシャルサイト
是枝裕和さん Twitter
是枝裕和さん オフィシャルサイト