こんにちは、ブクログ通信です。
益田ミリさんは、京都芸術短期大学を卒業後、デザイナーからフリーのイラストレーターを経て、漫画家としてデビューした益田ミリさん。2001年発表のデビュー作『OLはえらい』では、OLの日常を4コマ漫画で描く作風が注目を集めました。2006年発表の『すーちゃん』は、男女問わず多くの読者の共感を呼んだ著者代表作です。
2011年に『はやくはやくっていわないで』で第58回産経児童出版文化賞産経新聞社賞を受賞。2013年には『すーちゃん』シリーズが映画化され、柴咲コウさんや真木よう子さん、寺島しのぶさんといった豪華主演キャストが話題となりました。
そんな益田さんの作品の中から、ブクログオススメの作品を10選ご紹介します。可愛らしいタッチで、何気ない日常をほのぼのかつシニカルに描き出す益田ワールドを、ぜひお楽しみください。
『益田ミリ(ますだみり)さんの経歴を見る』
1.益田ミリ『週末、森で』 疲れた心に特効薬!週末スローライフを描くほんわか作品
あらすじ
「そうだ、田舎で暮らそう」——翻訳家の早川さんは、ある日思い立った。新しい住まいは森の近くだ。週末になると、友人2人が訪ねてくる。経理部一筋14年のマユミちゃんと、旅行代理店で働いているせっちゃんだ。デパ地下や老舗でしか買えないお土産を手に、2人は森にやって来る。仲良し3人組は、今日もてくてく森を歩く……。
おすすめのポイント!
「田舎暮らしをしてみたい」「森の中の家に憧れる」そんな人は、心の真ん中を優しく撃ち抜かれること間違いなしの作品です。登場する3人の女性はみな独身アラサーで、それぞれに仕事を持った自立した女性たち。ほど良い距離感の友情で結ばれ、週末になると一緒に森での暮らしを楽しみます。山菜取りをしたり湖でカヤックを漕いだりする3人が、柔らかなタッチで描かれ、ページを眺めているだけでのんびりした気分になれる作品です。働く女性ならではの悩みや葛藤もさりげなく表現されており、甘いだけではない世界観がクセになります。
30半ばで田舎に引っ越した早川さん。週末になると、友達のマユミちゃんとせっちゃんが遊びにきて、森へ出かけます。春はタラの芽を摘み、夏は湖でカヤックを漕ぐ。カラマツの木が色づくとそろそろ秋も終わりで、冬は積もった雪でテーブルを作ってカップラーメンを食べる。都会で働いている二人は、仕事で嫌なことがあると、週末森で過ごしたときのことを思い出して、きもちを落ち着かせます。そして、また仕事をがんばって、また早川さんに会いに行くんです。いい友達がいるって幸せだな。わたしもハイキングしたくなったのと、しばらく会えていない友達に会いたくなりました。
2.益田ミリ『すーちゃん』ありのままの自分を好きになれる爽やかな感動作
あらすじ
すーちゃんは34歳独身、カフェで働いている。美人ではないし、ものすごく性格が良いわけではないし、フグを食べたこともない。友達のまいちゃんは、同い年で美人で、もうすぐ結婚する予定。『人って変われるの?人は、変わることができる?』——すーちゃんはずっと考えてきた。今の自分は嫌だけど、どうなりたいのかもわからない。そんなすーちゃんの、平凡で静かな日々。
おすすめのポイント!
ごくごく普通で、ありふれた悩みを抱える「すーちゃん」の、等身大の日々を描いた作品です。シンプルなイラストと飾り気のない実直な文章が、かえって心に響きます。読めばきっと誰もが、スーちゃんの言葉に「わかるわかる」と頷きたくなるはず。特に、社会人を長くやっている人や、すーちゃんと同年代の女性には、心に深く刺さる作品だといえます。シリーズ全体を通して映像化した映画『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』では、すーちゃんを演じた柴咲コウさんのみずみずしい演技が光りました。
ほんわかしたイラストと、心に染みてくる言葉たち。いろいろもやもや考えてしまうのは、わたしだけじゃないんだって思わせてくれる本。*いろんなあたしが、ひとりのあたしをかたち作ってる。*自分を変えるって考えるんじゃなくて、「新しいあたし」を増やしていく。*あたしでいい。あたしでいいっていうか、あたしも悪くない感じ。じんわーり心にくるなぁ。何となく元気がなくなったときに、また開きたくなると思う。すーちゃんが大好きになった。益田ミリさんの他の本も読みたくてたまらない。笑
3.益田ミリ『オレの宇宙はまだまだ遠い』 社会人のリアルが詰まった、とある書店員の物語
あらすじ
土田新二は書店員歴10年の34歳。彼女いない歴は、いつの間にか6年になってしまった。自分だけの1冊を探しに、今日もたくさんの人々が本屋を訪れる。新二はそんな人々と接しながら、学び、喜び、時に苦しみながら成長している。これは、新二が書店での日々を通じて、大切なものを探してゆく物語——。
おすすめのポイント!
ブクログのみなさんにはたまらない、書店が舞台の物語です。主人公の土田新二は優しくて勤勉ですが、取り立てて目立つ存在ではありません。しかし、何気ない日常の中で小さな出来事に感動できる心を持ち、困っている人を放っておけない人物です。つらいことや苦しいこともあるけれど、地に足を付けてしっかり毎日を生きる新二の姿に、きっと多くの人が勇気づけられることでしょう。「本屋あるある」が多く描かれている点も、本作の見どころの1つ。読後はほっこりと心が温まる、素敵な作品です。
すーちゃんの恋 を読んで、即買いです!ミリさん、男性目線でもいけるんですね。伯父さんの話にはしんみり。給料日には本屋さんに行こう!に共感!
4.益田ミリ『僕の姉ちゃん』 男性必読!知られざる女心を赤裸々に説く作品
あらすじ
弟は社会人1年生。姉は30歳過ぎたベテランOL。ひょんなことから、姉弟2人の暮らしが始まった。素直でおっとりしている弟と、頭の回転が速くてしっかり者の姉。性格が全く違う2人は、仕事が終わって帰宅するとさまざまな会話をする。恋の話、仕事のこと、人間関係について……。女性には共感を、男性には大きな衝撃を与える、著者の新境地コミック!
おすすめのポイント!
性別も性格も異なる姉と弟の会話劇が楽しいコミックです。30過ぎのベテランOLである姉は、弟に半ば強引にその日の出来事を聞かせます。姉と弟ならではの絶妙な距離感と身内ならではのぶっちゃけトークに、思わずくすりと笑える作品です。「きょうだいあるある」も多く描かれ、兄弟姉妹のいる人はきっと「わかる~」と口走ってしまうことでしょう。男性にとっては「女性の意外な本音」が垣間見え、女性にとっては「男性の意外な生態」が少し見えてくる作品なので、ぜひ家族やパートナーと一緒に読んでみてはいかがでしょうか?
姉ちゃん、面白い。共感できる部分とそうじゃない部分があるけれど、男から見た女ってこんな感じなのかなーって思った。良い距離感の姉弟だなぁ。こんな姉ちゃん欲しい。
5.益田ミリ『ほしいものはなんですか?』 歳をとるのも悪くないと思える、大人女子にオススメの1冊
あらすじ
小学生のリナちゃん、40歳になった専業主婦のママ、35歳独身のタエちゃん。『このまま歳をとって、”何にもなれず”終わるのかな……』。悩める大人の女性2人に、リナちゃんは大切な物を運んでくるのだった——。「ママ、40歳は嫌なの?」「どうして若いほうがお得なの?」などなど、リナちゃんの問いかけに、あなたならどう答えますか?
おすすめのポイント!
本作では、異なる生き方をしている2人の女性が登場します。夫や家族のために自分を抑えているミナ子。ミナ子の議妹で、孤独と不安を感じているタエ子。自分にないものを持っている相手に対して、ついマウントを取ってしまう2人の姿は、苦い共感を呼びます。誰もが、特に女性なら絶対に、ミナ子かタエ子の気持ちが痛いほどわかるはず。かわいいイラストに反して、心に秘めた部分を深くえぐるような作品です。大人2人の間で、存在感を放つリナちゃんも、いい味を出しています。
すごく基本的な疑問を、静かに重ねて聞いていく感じ。益田ミリさんの作品ならではの、優しいトーンが全体に流れている。少しだけ人を羨ましく思いながら、時々自分の「幸せ」について点検していければいいのかな、と思う。平凡に、落ち着いた日々を送れることのありがたさをかみしめながら。
益田ミリさんの作品は、柔らかいイラストと心の奥底をさらけ出すような文章が魅力です。作品を読んでみたくなったら、ぜひ今回ご紹介した10作を手に取ってみてくださいね。どれも深い余韻を残す名作ばかりです!後編5作品もお楽しみに!