【町田そのこさん】オススメ5選!~ほんのりビターで温かい人間ドラマをどうぞ~

こんにちは、ブクログ通信です。

町田そのこさんは、2016年に「カメルーンの青い魚」で、「第15回女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞しました。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』で作家デビューを果たします。翌年に刊行された『ぎょらん』では、緻密に練り上げられた構成の上手さで、高い評価を得ました。2021年には、『52ヘルツのクジラたち』が本屋大賞を受賞し、話題を集めます。今後の活躍に期待がかかる、女流作家の1人です。

ブクログから、そんな町田さんの人気作・オススメ作を5作紹介いたします。繊細な心理描写と、巧みな伏線回収が光る技巧派作品揃いです。一度読んだら、きっとあなたも町田作品に魅了されてしまうこと間違いなし!今大注目の作品ばかりなので、ぜひチェックしてみてくださいね。

『町田そのこ(まちだ そのこ)さんの経歴を見る』

町田そのこさんの作品一覧

1.『52ヘルツのクジラたち』 本屋大賞受賞作!孤独を抱える全ての人に贈る感動作

52ヘルツのクジラたち (単行本)
町田そのこさん『52ヘルツのクジラたち (単行本)
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あらすじ

幼い頃から、両親に虐待されて育った貴瑚(きこ)は、自ら命を絶とうとしたところを友人たちに救われる。東京を離れ、大分の田舎町で新しい人生を踏み出そうとする貴瑚。ある日、愛(いとし)という少年と出会う。彼は実の母親から虐待を受けており、言葉を話せなくなっていた。貴瑚は、彼を救い出そうと決意するのだが——。

オススメのポイント!

登場人物たちが、傷つきながらもまっすぐに生きようとする姿に、心揺さぶられる作品です。共に親から虐待された経験のある貴瑚と愛の関係がどうなっていくのか、先が気になり読む手が止まらなくなるでしょう。1人きりでひっそり生きようとしていた貴瑚の心の変化が、とても繊細かつ臨場感あふれる文章で描かれている点も見どころです。読む人の心に深い余韻を残す名作です。

人生を家族に搾取されてきた主人公のキナコと、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年が出会ったのは、かつてキナコの祖母が暮らした海の見える街だった。52ヘルツのクジラとは、他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけ。たくさんの仲間がいるはずなのに、何も届かない。その為世界で一番孤独だと言われている。心が殺されたキナコを救いだしてくれたアンさん。アンさんが母親にあてた手紙はいろんな感情が入り乱れて苦しくなった。読後に、ため息と涙で家族には苦笑されたが、こんなに泣いた小説は初めてかも知れない。

奏悟さんのレビュー

2.『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』 読めばきっと虜になる、ビターな恋の連作短編集

夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫)
町田そのこさん『夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫)
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あらすじ

すり鉢状の、とある地方都市。閉塞感ただよう街は、寂れていく一方だ。そんな街の中で、サキコはりゅうちゃんに初恋をした。不器用な2人の関係は、ある日突然終わりを告げて——『カメルーンの青い魚』。著者デビュー作の他、表題作『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』、『波間に浮かぶイエロー』など5作を含む連作短編集。

オススメのポイント!

町田さんのデビュー作であり、三浦しをんさんや辻村深月さんに絶賛された作品「カメルーンの青い魚」を収録した短編集です。この本に収められている5編の物語は、主人公は異なるものの、物語世界がどこかで少しずつ交差しています。全ての物語を読み終わったときには、まるで1つの長編小説を読み終えたかのような、深い感動を味わえることでしょう。町田さんの洗練された筆致、幾重にも張り巡らされた伏線、読者を驚かせる仕掛けの数々に、きっと唸らされてしまうはず。町田さんの筆力に圧倒される1冊です。

5つの話からなる短編集。5つの作品は登場人物が少しずつ重なっていて、色々な角度から物語を楽しめる。どの話も、それぞれ登場人物たちが抱える問題は大きなテーマを背負っていて、時々目を瞑りたくなるようなものだけれど、作者の描く人物はそれに立ち向かう強さと周りに助けを求められる優しさに満ちている。ここで生きていく人と、ここではないどこかで生きていく人。自分の生きやすい場所で、自分の居場所で、生きていけばいいんだと思う。

kayoko.さんのレビュー

3.『ぎょらん』親しい人の最期の想いを、噛みしめる覚悟はありますか?

ぎょらん
町田そのこさん『ぎょらん
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あらすじ

「ぎょらん」——それは、人が死ぬ間際に現れる赤い珠だ。それを口にした者は、死者の最期の願いを見られるという。十年以上前、ある雑誌に掲載された漫画『ぎょらん』は、幻の作品といわれている。作者の正体はわからないのに、今でもネット上では「ぎょらんは本当に存在する」という噂が、まことしやかに囁かれている。三十路のニート・御舟朱鷺は、かつて口にしてしまった友人の「ぎょらん」に、今も悩まされていて……。

オススメのポイント!

タイトルと表紙のインパクトに、手に取るのを控えてしまう人もいるかもしれません。しかし、ぜひ本書を手に取ってみてください。読めばきっと、「ああ、読んでみて良かった!」と思わせてくれます。この作品は、「死者の想い」という悲しいテーマを、「ぎょらん」という斬新な切り口で描き出した異色の作品です。親しい人の死に遭遇したとき、人はどうするべきなのか。死者の想いを知ってしまったなら、あなたはどう思うのか。そんな問いを投げかけてくる感動作です。

人が死んだ後残すと言われる赤い珠「ぎょらん」。口にすると死者が残したメッセージを知ることができるという。身近な者が突如として亡くなった場合、その思いに触れたくなる気持ちはとても良くわかる。しかしこの本はただの都市伝説のような話を描いたのではなく、むしろ「死」というものを美化せずに真っすぐに捉え、残されし者の後悔や懺悔、贖罪、様々な苦しい葛藤を描いている。「もしも自分だったら」という思いになり苦しくなるが、後半での展開に目が覚めたように感じる。残されし者の心の昇華の在り方に想いを馳せる素晴らしい一作でした。

kanegon69 さんのレビュー

4.『うつくしが丘の不幸の家』 不幸の家に住んだ、幸せな5つの家族の物語

うつくしが丘の不幸の家
町田そのこさん『うつくしが丘の不幸の家
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あらすじ

うつくしが丘に建つ一軒の家。築21年、3階建てのその家は、近所では『不幸の家』と呼ばれている。住人が次々と入れ替わるからだ。そんな『不幸の家』を、そうとは知らずに購入した美容師の美保理と夫の譲。1階部分を店舗に改築し、新しく始まる生活への期待をふくらませていた。たまたま通りかかった女性に心無い一言を言われるまでは——。

オススメのポイント!

「幸せも不幸せも、決めるのは自分自身だ」と、力強く教えてくれる作品です。周囲から『不幸の家』と呼ばれる一軒家を舞台に、過去に遡りながら住人たちの姿を描いていきます。住人が変わるということは、各家庭で家を手放す事情があったということです。それが、はたから見れば「不幸」でも、当人たちは決して「不幸」ではないこともあるでしょう。視点を変えることで、ある出来事への印象や理解を鮮やかにひっくり返して見せる、町田さんの優れた筆力を堪能できる1冊です。

緩やかに心に沁みてきた。

「不幸の家」と噂される家を舞台に紡がれる五つの家族の物語。
ずっと緩やかに丘へ向けて坂を登っていく感覚だった。随所に散りばめられた、心に沁みていく言葉をひとつひとつ丁寧に心に拾いあげながら…緩やかに。

そしてどの家族も、人も、人生の坂を誰かの言葉や助けを借りながら登るのだと改めて感じた。

たどりついた丘の上から眺める景色は物事を広く捉えられる瞬間かも。
見方を変えれば世界が変わる、自分がブレなければいくらだって幸せが見えてくる。
最後は丘の上から大きな虹を見た気がした。

ホロリときた。

くるたんさんのレビュー

5.『コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―』 イケメン店長が解決する、常連客達のお悩み相談

コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店― (新潮文庫nex)
町田そのこさん『コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店― (新潮文庫nex)
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あらすじ

九州で展開するコンビニチェーン「テンダネス」には名物店がある。「門司港こがね村店」だ。他の店舗と違うところは、なんといっても店長だろう。勤勉ではあるが、コンビニ店員とは思えぬ美形で、魔性のフェロモンをまき散らす志波三彦。彼の前では、老若男女問わず、誰もが篭絡されてしまう。志波が出勤しているか否かで、店の売上まで変わってくる。そんな志波のもとには、超個性的な常連客や実の兄が連日やって来るのだった。

オススメのポイント!

個性豊かな登場人物と、人情味あふれるストーリーで、心がほっこりする作品です。「魔性のフェロモン」を放つ店長・志波と、彼を冷ややかに見守る他の店員たちとの温度差に、ついついクスリとさせられます。コンビニで交錯する、数々の人間ドラマが繊細に描き出された、笑って泣けるエンタメ小説です。また、作中で度々登場する、門司港周辺の描写も見どころの1つとなっています。著者自身が惚れ込んだという門司港の街並み、美しい夜景、海を眺められる公園などの情景が美しく、旅行気分も味わえる1冊です。

フェロモン店長!凄い!会ってみたくなる!でも、このコンビニに集まる人たちはみんな良い感じで、会ってみたいというよりここで暮らしたくなるというほうが正しいかも。

hatesina1さんのレビュー

町田さんの作品は、登場人物の心模様を丁寧に、温かく描き出すのが持ち味です。今回ご紹介した5作は、読後心に余韻を残す名作ばかり。未読の方は、ぜひ町田さんの作品を手に取ってみてくださいね!