こんにちは、ブクログ通信です。
ベストセラーを連発し、「清張ブーム」まで起こした名作家である松本清張さん。今回は、ブクログから松本さんのおすすめ作を10選ご紹介します。松本さんの代名詞ともいえる社会派推理小説から重厚な人間ドラマ、初心者向けの短編集まで幅広く揃えました。松本さんのファンの方はもちろん、初めて作品を読む方にもおすすめの作品ばかりです。ぜひチェックしてみてくださいね!
『松本清張(まつもと せいちょう)さんの経歴を見る』
6.松本清張『聞かなかった場所』 ふとしたことで膨らむ心の闇を描く、ある男の復讐劇

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あらすじ
役所勤めの浅井は、出張先の宴会の席で、妻が急死したとの知らせを受ける。心臓麻痺を起こしたのだという。義妹から聞かされた妻の死に場所は、妻がこれまで一度も口にしたことのない場所だった。疑問を抱いた浅井は、妻の死の真相を調べ始める。もしや、妻は不貞を行っていたのではないか——。次々と明らかになる、生前の妻の意外な姿。やがて、浅井は思わぬ運命に巻き込まれていく……。
おすすめのポイント!
どこにでもいそうなごく普通の人間が、ふとしたことから暴走していく姿を、巧みに描き出した作品です。突然の妻の死によって、役所勤めで真面目に生きてきた浅井の運命は、思わぬ方向に回り始めます。ささいな疑惑が妄想となり、やがてとんでもない事件を巻き起こす――加速していくスリリングな展開と、驚きの結末をぜひ味わってみてください。本作では、誰もが抱えているであろう小さな心の闇、疑心暗鬼になった人間の恐ろしさを、臨場感たっぷりに描いています。これまでに3度テレビドラマ化された人気作です。
タイトルの中身がマッチしていて、すごく印象に残る作品だった。松本清張の本の素晴らしいところは、とことん人間に心理を書き出しているところ。犯罪を犯すまでの心理、犯してしまってからの心理。そういう人がとる行動。この本は特にその部分が優れていたと思う。
7.松本清張『黒革の手帖』 夜の街をのし上がる悪女を描く、迫力あるピカレスク小説

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あらすじ
原口元子は、うんざりしていた。長年勤めた銀行ではお局扱いされ、地味で恋人もいない元子の毎日は退屈だからだ。元子は、銀行で得た情報をもとに、一花咲かせることを決めた。架空名義口座から横領した7500万円を資本に、銀座のママへと転身したのだ。架空口座を記した手帖を武器に、地位も名声もある紳士たちからさらに大金を引き出す元子。男たちを手玉に取り、元子の欲望はさらに広がっていく——。
おすすめのポイント!
松本清張さんの代表作の1つである、ピカレスク小説です。度々テレビドラマ化されており、近年では2017年と2021年に放送された、武井咲さん主演作が話題となりました。地味な女子行員だった元子が、1冊の手帖を武器に、夜の世界をのし上がっていくスリリングな作品です。欲望渦巻く世界で、地位と名声とお金をめぐり繰り広げられる駆け引きの数々が、息もつかせぬ勢いで描かれています。欲望に忠実に生きる元子のしたたかさ、計算高さ、凛々しさに魅了されること請け合いです。数ある松本清張さんの作品の中でも、必読の1冊だといえるでしょう。
何回も映画化やTVドラマ化されてきたので、ずっと読みたいと思っていたのだが、今回は武井咲が主役ということで興味を持って見だすと同時に原作を読み始めた。時代も大分違うし、元子の設定も美人でないので、地味な物語として始まったが、徐々に計算高い女としての本性が出てきた、下巻でどこまで悪女になってくれるか楽しみだ。
8.松本清張『砂の器』 清張作品の金字塔!ベテラン刑事と連続殺人犯の対決を描く超有名作

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あらすじ
東京・蒲田駅の操車場で、男の死体が発見された。被害者の身元もわからず、捜査は難航する。残された手がかりは、被害者の東北なまりと「カメダ」という言葉だけ。懸命の捜査もむなしく、めぼしい成果が出ないまま捜査本部は解散するのだった。しかし、ベテラン刑事の今西だけは諦めていなかった。他の事件の合間を縫って、執拗に捜査を続けるうち、断片的に手がかりが浮かび上がる。そんな中、新たな被害者が発生するのだった。
おすすめのポイント!
松本清張さんの作品の中でも、特に人気の高い金字塔的作品です。1960年から1961年にかけて、『読売新聞』に掲載されました。地道な捜査で、一歩ずつ事件の真相に迫る、刑事のひたむきな姿が描かれています。また、警察の捜査をあざ笑うかのように発生する新たな殺人事件、謎が謎を呼ぶ展開といった、スリリングな展開にも惹き込まれること請け合いです。1974年に映画化されて以来、度々映像化されています。2019年には、フジテレビ開局60周年ドラマにもなり、東山紀之さんが主演を務め話題を集めました。
中居さんのドラマで衝撃を受けて原作も。親子の逃避行の原因が、ドラマと原作とでは全く違って驚いた。悲しいけどすごく心に残る作品。ドラマも原作もどちらもそれぞれ素晴らしかった。
9.松本清張『わるいやつら』 登場人物、みな悪いやつ。愛と欲望が渦巻くノワール小説

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あらすじ
戸谷信一は、32歳という若さで病院の経営者だ。医学界の重鎮だった亡夫の後を継いだものの、戸谷は患者の診療に力を入れるでもなく、経営に専念するでもない。病院の経営は苦しくなる一方だ。しかし、戸谷にとっては些末なことである。必要な金は、女から絞り取ればいいのだから。複数の愛人を持ち、自身の欲望を満たすためだけに生きる戸谷。やがて、さらなる欲望を満たすため、戸谷はある計画を思い付くのだった……。
おすすめのポイント!
タイトルの通り、「わるいやつ」ばかりが出てくるお話です。1960年から1961年にかけて『週刊新潮』に連載されました。主人公の戸谷が救いようのない人物で、終始非道な行いをするという、異色の物語です。戸谷の自己中心的な生き方はどこか滑稽で、結末が気になり先へ先へと読めてしまう、中毒的な面白さがあります。誰が一番悪いのか、ぜひご自身の目で確かめてみてください。1980年に制作された映画版、古谷一行さんや豊川悦司さんらが戸谷を演じたテレビドラマ版もオススメです!
米倉涼子出演のドラマを先に見て、小説を後から読んだ。ドラマとは細かな部分が異なり、ラストも違っていた。欲深き男性の姿をうまく描いている。
10.松本清張『或る「小倉日記」伝 傑作短編集1 (新潮文庫)』 芥川賞受賞作!清張作品の源流的傑作

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あらすじ
身体が不自由で孤独な青年・田上耕作は、森鴎外の失われた作品「小倉日記」を追い求めていた。小倉、門司、福岡……北九州の地を巡り、田上は鴎外の足跡を明らかにしようと試みる。鴎外が小倉で過ごした日々を追い、田上なりの「小倉日記」が完成に近づくが——(『或る「小倉日記」伝』)。表題作他11編を収めた短編集。
おすすめのポイント!
松本清張さんが、作家業に専念するきっかけとなった作品『或る「小倉日記」伝』は、著者のファンならずとも必読です。孤独な青年である田上が、不自由な体で、たった一人で探求を深めていく姿に胸打たれます。表題作以外にも、珠玉の作品が詰まった短編集なので、松本清張さんの作品は初めてという人にもオススメです。どの作品でも、ひたむきに努力する人間の美しさ、権力に屈する人間の悲哀といったものを、圧倒的筆力で描き出しています。どの作品から読むか迷ったら、ぜひ手に取ってみてください!
小倉日記自体を知らなかったけど森鴎外にも興味が湧いてくるし小倉にも行って見たくなる。ほかも菊枕などどれも面白いし読みやすかった。
松本清張さんといえば、日本文学界の巨匠の1人です。今回は、ファン人気が高く、初心者にも読みやすい作品を揃えました。戦後の日本文学界を変えたといわれるその巧みな文章を、存分に味わってみてください!前編5作品はこちら!