こんにちは、ブクログ通信です。
小説を読んでいるとき、「このキャラクターを実写化するなら誰かな」とか「このシーンをアニメで見てみたい」なんて思ったことはありませんか?小説は活字ならではの豊かな表現と、想像の余地がある点が魅力です。しかし、面白い小説ほどドラマ化やアニメ化も見てみたくなりますよね。
【前編】に引き続き今回は、メディア化された感動小説の後編5選をご紹介いたします!メディア化でさらに魅力を増した物語を楽しめる傑作選です。ぜひ手にとってみてくださいね。
6.佐野徹夜『君は月夜に光り輝く』第23回電撃小説大賞受賞作!号泣必至の純愛小説

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あらすじ
岡田卓也は3年前に姉を亡くしてから、どこかなげやりに生きている。高校生になった卓也は、クラスメートの渡良瀬まみずに出会った。まみずは「発光病」という難病にかかっており、死期が近づくと体が淡く光るのだという。余命わずかな彼女の「死ぬまでにしたいこと」を知った卓也は、自ら手伝いを申し出て……。
おすすめのポイント!
難病に侵された少女と、死に憧れる少年の儚く切ないラブストーリーです。多感な年頃の2人が、あらがいようのない運命に翻弄されながらもひたむきに生きる姿が、感動的に描かれています。作中で描かれる「発光病」は架空の病気です。しかし、徐々に進んでいく病気の様子が丁寧に描かれているのでリアリティがあり、物語はより神秘的で美しく感じられます。2019年に北村匠海さんと永野芽郁さんのダブル主演で映画化されました。実力派若手俳優たちの共演はもちろん、映像と音楽の美しさにも注目です。マンガ化もされています。
ああ、タイトルはそう言う事なんだな、と思いました。主人公の過去とか、お姉さんの事、結末が切ない……。だけど、ジュリエットのところで笑いました。でもやっぱり切なかった……。こういう設定のお話大好きです。とても綺麗な話だな、と思います。表紙、loundrawさんの絵も好き。
7.葉室麟『散り椿』誠実に生きる人々の凛とした姿を描く、傑作時代小説

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あらすじ
かつて扇野藩の一刀流道場に四天王と呼ばれる男たちがいた。その1人である瓜生新兵衛は、勘定方として藩の不正を訴えるも認められず、逆に藩を追われてしまう。愛妻・篠と2人、故郷を離れて18年の月日が過ぎた。篠が亡くなる間際、最期の願いを託された新兵衛は、藩に戻りかつての不正事件の真相に迫る。ところが、藩では藩主代替わりに伴い家老と側用人の対立が起きていて——。
おすすめのポイント!
直木賞作家・葉室麟さんが描く長編時代小説です。熱い信念を貫く男たちのドラマに魅了されること必至の作品となっています。読み終わったとき、きっと誰もが感動の一言では言い表せない、熱く強い感情を呼び起こされることでしょう。2018年に映画版が公開され、主演を岡田准一さん、監督を木村大作さんが務め話題となりました。映画版は、日本アカデミー賞7冠、モントリオール世界映画祭で最高賞に次ぐ評価を得るなど、国内外で高く評価されています。原作で泣き、映画版でも泣ける、心に残る名作です。
時代小説で定番ともいえるお家騒動が背景。さらに、男同士の友情と、彼らが想いを寄せる一人の女性。これもよくあるパターンだけれども、著者は、叙情豊かに美しく一編の詩の如くに、物語を紡ぎだした。人が人を想う気持ちと、それが相手に伝わらず、それでもそれぞれが誠実に生きようと葛藤する人々。現代を舞台にしたら、陳腐となってしまいかねない設定も、時代小説では、切なく美しい物語となる。やっぱり、時代小説って、いいですねえ。
8.百田尚樹『フォルトゥナの瞳』「本当の幸せとは何か」を問う、究極の人間ドラマ

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あらすじ
自動車塗装工の木山慎一郎は、幼いころに火事で家族を亡くした。天涯孤独の身で友人も恋人もなく、黙々と働くだけの日々を送っている。ある日、「他人の死の運命」を視る力を得てしまったことから、慎一郎の生活は一変するのだった。人を愛する喜びを知った慎一郎は、「死の迫る人を救いたい」と強く思うようになる。やがて、その想いは慎一郎自身を窮地に追い込んでいくのだった。
おすすめのポイント!
「他人の死がわかる」という力を得てしまったとき、あなたならどうしますか?死が迫った人を救うか、見て見ぬふりをするか。本作では、そんな究極の選択を常に迫られる青年が主人公です。孤独で、幸せになれないと思い込んでいる青年に突然訪れる残酷な運命。人間の本質や生きることの意味についても考えさせられる小説です。2019年に公開された映画版では、主演の神木隆之介さんが繊細な演技で主人公を好演しました。心の奥深くに沁みこむような、厳かな感動を味わえる作品です。
慎一郎が切ない。偽善か?とも思えることでも、突き動かされるように行動してしまい、時に後悔をする。それが命がけのことなら尚更切なく悲しい。
9.重松清『とんび』父親必読!深い家族愛に心揺さぶられる、父と子の成長物語

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あらすじ
昭和37年、瀬戸内海の小さな町で暮らすヤスに息子が生まれた。愛妻の美佐子と息子のアキラ、家族3人で暮らす幸せな日々が始まる。しかし、その団らんは突然終わりを告げたのだった。少し乱暴で不器用ながら、息子への愛情があふれるヤス。周囲から愛され、明るく利発に育つアキラ。暴走することもあるが、父は常に我が子の幸せだけを考えているのだ。いつの時代も変わることのない「親子の愛」を描く、父と息子の物語。
おすすめのポイント!
お子さんをお持ちの方だけでなく、そうでない方でも家族を想って泣けてきます。そのため、読む場所には注意が必要です。本作では、頑固一徹な昔気質の父親が見せる、息子へのひたむきな愛が描かれます。柔らかな文章で紡がれる深い愛の物語が、あなたの心を優しく揺さぶるはずです。これまでに2度テレビドラマ化され、どちらもドラマ関連の賞を獲得しました。原作に忠実な堤真一さん主演版と、舞台設定を現代風にリメイクした内野聖陽さん主演版、どちらもおすすめです。
不器用だけど、美佐子さんとアキラのことを本当に愛していて、でもそれを上手く伝えられない、照れ屋なヤスさん。この作品を読むと、人生っていいな、家族っていいなと心から思えます。子供を育てるって本当に大変で、思い通りにはまったくならないんですね。親が子供を育てているようで、逆に親が子供に育てられて。愛する妻と息子と家族を築き、近所の幼馴染や家族のように暖かい友人達に見守られながら、最後は二人で一緒に成長していく、そんな家族のお話です。読後は心が洗われたような、じんわりと暖かい気持ちになることができました。
10.荻原浩『明日の記憶』何気ない日々の大切さを思い知らされる「記憶」の物語

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あらすじ
広告代理店で営業部長を務める佐伯は、50歳にして若年性アルツハイマーを発症した。仕事では大事な案件を抱えているし、一人娘は結婚を控えている。妻とは銀婚式を済ませたばかりだ。しかし、病は大切な記憶を容赦なく奪っていく。少しずつ薄れていく記憶。仕事ではミスが多くなり、慕ってくれた部下の顔も思い出せない。それまでできていたことが、徐々にできなくなる恐怖。
おすすめのポイント!
大切な人との大切な思い出が少しずつ消えていったら……。この作品は、読みながら必ず感情移入してしまいます。なぜなら、アルツハイマーは誰にでも襲い掛かる可能性があるからです。主人公が徐々に記憶をなくしていく様子が、繊細に切り取られ、その恐怖や絶望が残酷なまでに描き出されていく本書。老若男女を問わず、広くおすすめしたい作品です。映画版では渡辺謙が主演を務め、迫真の演技が見る人の涙を誘いました。いつかやって来るかもしれない「その日」のために、ぜひ一度読んでみてください。
昔、テレビで渡辺謙さんの映画を観てショックを受けた。そしてジワジワとそんな状況に近づきつつあることを実感しながら原作を読んだ。他人事とは思えない、という以上の現実感?明日の自分に起きてもおかしくないことばかりで泣けた。
今回ご紹介した作品は小説として素晴らしいだけでなく、メディアミックス作品も高評価を得ています。文字で映像で、と何度も楽しめる名作たちなので、ぜひ手に取ってみてくださいね!
【前編】はこちら!