こんにちは、ブクログ通信です。
ミステリーはブクログで特に人気の高いジャンルの一つです。ひとくちにミステリーといっても、作家によって「どんでん返しが上手い」「ミスリードが巧み」などの特長があり、作家別で作品を選ぶのも楽しいですよね。そこで今回は、ミステリーのおすすめ作品を作家の男女別5選ずつご紹介します。男性ならでは、女性ならではの切り口で描かれる極上のミステリーを厳選しました。
まずは【男性作家編】、次に【女性作家編】に分けて5作品ずつご紹介します。【男性作家編】では、本格ミステリーからライトミステリーまで幅広く取り揃えました。斬新なトリック、スリリングな展開、驚きの結末といった、ミステリー小説の醍醐味を味わえる名作選です。ぜひ最後までチェックしてみてください。
1.西村京太郎『殺しの双曲線』秀逸なトリックにしびれる正統派ミステリー!
あらすじ
東京で連続強盗事件が発生した。犯人は毎回素顔をさらし、「世間が悪いんだ」と捨て台詞を残していくという。容疑者として浮上したのは、一卵性双生児の小柴兄弟だ。二人があまりに似ているため、警察はどちらが犯人か特定できずにいた。一方、宮城県K町にあるホテル「観雪荘」には六人の男女が集まっていた。深い雪に囲まれ陸の孤島と化すホテルで、不審な死が相次ぐのだった。
おすすめのポイント!
2022年3月に亡くなった人気作家・西村京太郎さんの長編小説です。山荘で起こる連続殺人事件と、双子による連続強盗事件——二つの事件がどう絡んでいくのか、それぞれの結末はどうなるのか。ハラハラドキドキの本格ミステリーを楽しめます。また、本作はアガサ・クリスティ作『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品です。アガサファンにはたまらない仕掛けが多く隠されており、二重三重に楽しめる正統派ミステリーとなっています。
西村京太郎氏の著作を読むのは初めてでしたが、とてもテンポがよく読みやすく、最後までいけた。雪の山荘というクローズドサークルで宿泊者が次々と死んでいく、それと同時に東京で双子が強盗を繰り返すという事件が起こる。ところどころにアガサ・クリスティが引き合いに出され作者が真っ向勝負を挑んているのがうかがえる。しかし最後のしめはもう少しスッキリしたもののほうがよかったです
2.高野和明『ジェノサイド』人類の在り方を問うサスペンス・ミステリー
あらすじ
元グリーンベレーのイェーガーは、難病で余命1か月の息子のため危険な任務を承諾した。南アフリカ共和国に向かったイェーガーを待っていたのは、三人の仲間と訓練だ。実は、イェーガーたちには「人類滅亡の危機」を防ぐための作戦が課せられていたのだった。一方、日本では大学院生の古賀研人が奇妙なメールを受け取っていた。差出人は亡くなった父親だ。胸騒ぎを感じた研人は、実家の父の書斎からメモを発見する——。
おすすめのポイント!
脚本家であり小説家でもある高野和明さんによるサスペンス・ミステリーです。南アフリカと日本、遠く離れた二つの地で巻き起こる謎めいた事件を同時進行で描いています。スリリングな物語展開で、序盤から一気に引き込まれること必至!また、細部までリアリティのある情景描写が冴えわたり、作中の出来事が現実に起きていることなのでは、と不安になってくるほどです。第65回「日本推理作家協会賞長編」及び連作短編集部門、第2回「山田風太郎賞」など多くの文学賞を獲得している作品です。
伏線を綺麗に回収しきった良作でした。ただ、10年以上前の作品ということで、設定や題材は他の本や漫画でも見たことがあるといった感じで、新鮮さはなかったです。それから、題名も爽快な読後感には似合わなく感じました。でも、作者が伝えたかった部分はここだということなのかもしれない…。否定的な事を書いてしまいましたが、設定が細かく練られていて、作者の努力が伝わってくる作品でした。難しい用語が多いので、序盤は面食らうかもしれませんが、がんばって読んで後悔はしないと思います。
3.伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』伊坂ワールドの源流といえる新感覚ミステリー
あらすじ
コンビニ強盗を犯した伊藤は、逃走中いつの間にか謎の島にいた。萩島という名前の場所らしい。その島には嘘しか言わない画家や人語をしゃべる案山子など、奇妙な住人たちがいる。さらに、江戸時代から鎖国し外界と隔てられているのだという。伊藤が島に来た翌日、案山子はバラバラにされ頭を持ち去られて死んだ。案山子の死に疑問を抱いた伊藤は、島に伝わる謎の言い伝えを耳にするのだった。
おすすめのポイント!
伊坂幸太郎さんのデビュー作にして、第5回「新潮ミステリー倶楽部賞」受賞作です。ファンタジックな世界観と個性豊かな登場人物、緻密に積み重ねられた伏線など、伊坂さんの筆力を存分に味わえる作品だと言えます。伊坂さんといえば、気の利いたセリフ回しや洗練された文章表現が魅力です。本作ではそれらの才能がまだまだ粗削りな印象ですが、だからこそ作家・伊坂幸太郎のポテンシャルの高さを改めて感じられます。ファンタジーとミステリーという、一緒にするのは難しそうなジャンルを見事融合させた新感覚ミステリーです。
やはり面白い!「荻島」の登場人物1人ひとりのキャラが立っていて、この人たちはどんな毎日を送っているんだろうか、この島には何が足りないと言われているのか…など色々な想像をしながら読むことが出来て、手が止まらなくなる。案山子の優午に対して、たくさんの人が神様のように讃えるのも不思議な設定で引き込まれた。
4.歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』ミステリー好きを唸らせるトリック満載エンタメ
あらすじ
<頭狂人><044APD><aXe(アクス)><ザンギャ君><伴道全教授>。インターネット上で知り合った奇妙なニックネームを名乗る五人。彼らは殺人推理ゲームを出題し合う。ネット上で語られる殺人は、すべて出題者によって実行済みである。謎解きのために繰り返される殺人。果たしてリアル殺人ゲームの行き着く先はどこなのか——。
おすすめのポイント!
『葉桜の季節に君を想うということ』でおなじみの歌野晶午さんによる推理ゲーム小説です。登場人物はみな素顔が分からず、ゲームのためなら殺人をも厭わないという斬新な設定に引き込まれます。さまざまなトリックが登場するので、ミステリー好きにはたまらない作品だと言えるでしょう。登場人物たちと一緒に、推理する楽しさとスリルも味わえます。終盤にかけて怒涛の展開が待っているので、ぜひ手に取ってみてください。
殺人ゲームが実際に行われていたら怖いけど、それは小説の中の話として自分も一緒に謎を考えながら読むのが楽しかった。順番に謎を出し合い解決していく中で物語の終着点がどこに行くかと思ったら、そんな心配は無用だった。思い返すと確かにと思うことの連続。真の最後が気になるので続編も読んでみようと思います。
5.西澤保彦『神のロジック 人間のマジック』衝撃の結末が待っているロジカルミステリー
あらすじ
家族と離れ<学校>に連れてこられた多国籍の六人の子供たち。人里離れた<学校>で、彼らは犯人当てクイズを課せられていた。授業と実習を繰り返す日々。やがて、彼らは自分たちの置かれている状況を推理し始める。ある日、一人の生徒が加わった。新入生の訪れは<学校>に潜む「邪悪なもの」を目覚めさせ、穏やかな日々を終わらせるのだった。
おすすめのポイント!
物語を読み始めたときと読み終わった時では、作品に対する印象が180度変わってしまう衝撃作です。物語序盤からいくつもの謎が散りばめられており、いつの間にか著者の術中にはまってしまいます。徐々に真相が明らかになるにつれ、鮮やかなトリックに思わず唸らされること必至!「これぞ謎解きの醍醐味」と言いたくなるような、秀逸なトリックと巧みな物語展開をお楽しみください。
この施設の目的とは?収容されている人たちの共通点は?殺人事件が起きるまでの前半部分はすこし長かったかなと感じるものの後半の種明かしに関しては爽快なスピード感だった。登場人物の役もそれぞれ起っていて、実際の種明かしの際にはそれぞれの意見を少しずつ取り入れたものが正解というこれも面白いものだった。
男性作家のベテランから今注目の作家さんまで5作品をご紹介しました。どの作品もミステリーファンを唸らせる傑作たちですので、ぜひ手に取ってみてくださいね。
【女性作家編】もお楽しみに!