精神的に怖い漫画5選~酷暑を忘れる静かな恐怖をあなたに~

こんにちは、ブクログ通信です。

連日猛暑が続いていますね。体温並みの暑さの中では、エアコンをつけてもまだまだ暑いと感じる人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、読むと涼しくなれる作品をご紹介!読んでいるうちにゾッとして、気づけば心身ともにひんやりしていることでしょう。

グロテスクやスプラッターが苦手な人にも読みやすい作品ばかりなので、ぜひチェックしてみてください。ただし、読み終わった時の怖さや後味の悪さについては覚悟が必要です。
この夏の暑さを乗り切るためにぴったりの、精神的に怖い漫画5選、どうぞお楽しみください!

1.阿部共実『空が灰色だから』見た目と中身のギャップが激しいオムニバス・ショート

空が灰色だから (1) (少年チャンピオン・コミックス)
阿部共実『空が灰色だから (1) (少年チャンピオン・コミックス)
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あらすじ

恥ずかしがりなところを直そうとする女の子。友人の悪口が止まらない彼女。女性の内臓が見たいという先輩と、その先輩に思いを寄せる後輩。妄想の果てに、人の記憶を自分のものだと思い込んでしまうあの子……。どこにでもいそうで、どこか壊れている少年少女たちの、痛い思春期を閉じ込めた作品。

おすすめのポイント!

「心がざわつく思春期コミック」としてネットで話題の、1話完結型のショート・ショートです。登場人物は各話ごとに異なりますが、全体を通して一貫しているのは妙に心を揺さぶる刺激性があるということでしょう。思春期の少女を中心に、不器用でちょっと危なっかしい人々の日常を描いています。予想の斜め上をゆくストーリーと可愛いイラストとのギャップ、そして一筋縄ではいかない結末に、なぜかぞわぞわとした恐怖が湧き上がる作品です。何とも言えない未体験の恐怖を、ぜひ味わってみてください。

ラブコメ? シュールギャグ? サイコホラー? 世にも奇妙な物語? いろいろなタイプの話が詰まっているのだけど、なんだか心に刺さるところがある…。生き辛さを抱えた人の、恥ずかしかったり、自意識が空回ったり、寂しかったりする人の感情が妙にリアルなのだ。絵柄はユルいし、ストーリーは突飛なものが多いのにね。凡百の作品と一線を画す理由はそこらへんにあるなと思います。

あさひさんのレビュー

2.タイザン5『タコピーの原罪』読み進めるのも読み終わるのも怖すぎる話題作

タコピーの原罪 上 (ジャンプコミックス)
タイザン5『タコピーの原罪 上 (ジャンプコミックス)
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あらすじ

2016年、ハッピー星人のタコピーはハッピーを広めるため地球にやって来た。思わぬ窮地に陥ったタコピーを助けてくれたのは、複雑な環境下で育ち笑顔を失った小学4年生の少女・久世しずかだった。タコピーはしずかの笑顔を取り戻そうと奔走するが、とある出来事をきっかけにある罪を犯してしまい……。

おすすめのポイント!

2021年12月10日から『少年ジャンプ+』で連載が開始され、『少年ジャンプ+』の作品で初めて1日あたりの閲覧数が200万を突破し、大きな話題を集めた作品です。タコピーのキュートなビジュアルや、某SF作品を思わせる魔法の道具が多数登場するなど、一見ファンタジックな作品に思えますが、その実態は読者を絶望に誘う異色の作品となっています。衝撃的な展開に読む手が止まらなくなる作品です。上下の全2巻完結なので一気読み必至、ぜひ上下揃えて手に取ってみてください。

話題作だったので読んでみた。絵は上手くないけれど、なんとも言えない表情が印象深い作品。タコピーのうざ可愛さあっても、陰鬱としていて常になんらかの緊張を強いられる。こんなあからさまないじめが起こっているのに、なんで大人は気づかないの?とかそういうことは置いておいて…。過酷な状況の中、しずかちゃんの運命はどうなるのか、はらはらさせられる。

matoさんのレビュー

3.たかたけし『住みにごり』とある不気味な家族の謎多き物語

住みにごり (1) (ビッグコミックス)
たかたけし『住みにごり (1) (ビッグコミックス)
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あらすじ

ある夏、29歳の僕は会社から長めの休みをもらい、久しぶりに実家に帰省する。実家に住んでいるのは両親と姉、そして35歳の兄だ。DVの父、要介護の母、独身の姉、そして引きこもりの兄と共に過ごすうち、僕はふと疑問を抱く。この家族が変なのか、変な家族なのか——?

おすすめのポイント!

人気芸人がテレビ番組で紹介したことから、一気に注目を集めた話題作です。表紙から漂う不穏な空気は、物語序盤から一層色濃くなり、ページをめくるほどに何とも言えない不気味さが増してゆきます。一見、多少の難はあれど普通の一家の物語のように見えますが、謎が多く、変化球ミステリーといった雰囲気の作品です。ドラマチックな出来事が起きるわけでもなく、ストーリーが加速してゆくわけでもないのに、じわじわとクセになる不思議な魅力があります。この不気味さは一読の価値あり、です。

クセになる気持ち悪さ。少ない登場人物でお見事。

ざるそばさんのレビュー

4.意志強ナツ子『るなしい』宗教ビジネスをテーマに描く、狂気に満ちた人間ドラマ

るなしい(1) (KCデラックス)
意志強ナツ子『るなしい(1) (KCデラックス)
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あらすじ

高校生のるなは、火神の子だ。一緒に暮らす「おばば」が経営している鍼灸院では、るなの血が入ったモグサを使って「自己実現」を売っている。世にいう信者ビジネスだ。ある日、るながいじめられているところを人気者のケンショーが助けてくれた。彼に恋したるなは、ケンショーを「ビジネス」に取り込めばいいと思いついて……。

おすすめのポイント!

この物語の特徴は、序盤で結末がわかっていることです。しかしながら、その着地点まで登場人物たちがどんな展開を見せるのか、誰がどうなってゆくのかが気になり、先を読みたくなる気持ちが全く薄れません。本作に登場する人物たちは、みんなどこか歪んでいて、底知れぬ不気味さを秘めています。だからこそ、物語が進むほどに言いようのない恐怖を感じさせ、怖いけれど先が気になるというジレンマを生み出すのです。心がぞわっとする怖さをぜひ体験してみてください。

特別な力を持つ神の子としてふるまいつつ、そのことで金儲けすることを宗教ビジネスと言い切る女子高生るな。次第に洗脳されていく同級生が新たなビジネスを始めるなど、ずっと違和感がつきまとう、気持ち悪いのに読みたくなってしまう独特過ぎる世界観がすごい。思ってたのと全然違う方向ばっかりに進んでいって、このままどこに連れていかれるんだろうと不安感と期待感が入り混じる。

蘭さんのレビュー

5.藤子・F・不二雄『ミノタウロスの皿: 藤子・F・不二雄[異色短編集]』「トラウマ漫画」と話題の衝撃作含む、異色の短編集

ミノタウロスの皿: 藤子・F・不二雄[異色短編集] 1 (1) (小学館文庫 ふA 1)
藤子・F・不二雄『ミノタウロスの皿: 藤子・F・不二雄[異色短編集] 1 (1) (小学館文庫 ふA 1)
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あらすじ

宇宙船の乗組員である「オレ」は、船の故障で地球に似た惑星に不時着する。そこでは牛が人間を支配していた。「オレ」は、不時着時に助けてくれたミノアという女性と親しくなるが、彼女は大祭の祝宴で料理されることが決まっている。栄誉だと喜ぶミノアを見て、「オレ」は何とかしてミノアを救おうとするが……。(『ミノタウロスの皿』)。他12話収録。

おすすめのポイント!

「ドラえもん」や「オバQ」で知られる藤子・F・不二雄さんの、ブラックユーモアあふれる異色の短編集です。表題作の『ミノタウロスの皿』は、SF好きから圧倒的支持を集める人気作であり、「トラウマ漫画」とも呼ばれる衝撃作でもあります。一度読んだら絶対に忘れられない作品で、結末にゾッとすること間違いなしの傑作です。表題作以外の作品も、どこか恐ろしく胸の奥が重たくなるような名作が揃っています。漫画界のレジェンドによる大胆かつ刺激的な作品たちを、この機会にぜひ読んでみてください。

表題作について。家畜と支配者の立場が逆転したらどうなるか、を残酷なまでにありありと描いている衝撃的な内容。と、いうより、”残酷”という定義すら揺るがしかねない、恐ろしいまでに真理に迫っている。

haru6さんのレビュー


今回ご紹介した5作は、ホラーともオカルトとも違う、得体のしれない怖さを感じられます。心がじわじわと浸食されるような不気味さをぜひ体験してください。
ゾッとする怖さで、この夏の暑さを乗り切りましょう!