三島由紀夫おすすめ5選!~心の琴線に触れる名作たち~

こんにちは、ブクログ通信です。

戦後の日本文学界を代表する作家・三島由紀夫。1925年東京に生まれ、祖母の影響で幼少期から歌舞伎や文学に親しみ育ちました。学習院初等科入学後すぐに、詩や俳句を初等科機関誌『小ざくら』にて発表し始めます。16歳の時に書いた「花ざかりの森」は批評家たちから激賞され、作家としてのデビュー作となりました。

東京大学卒業後に大蔵省事務次官となった三島由紀夫ですが、9か月で退職し職業作家としての道を歩み始めます。初の書き下ろし長編小説『仮面の告白』をはじめ、『潮騒』や『金閣寺』など多くの傑作を生み出しました。三島由紀夫の作品は海外からも高く評価され、「ノーベル文学賞」候補にも挙げられたほどです。

そんな三島由紀夫のおすすめ作品を5選紹介いたします。耽美な世界観と修辞に富んだ詩的な文体が魅力の三島作品を、ぜひチェックしてみてくださいね。

『三島由紀夫(みしま ゆきお)の経歴を見る』

三島由紀夫の作品一覧

1.三島由紀夫『金閣寺』 三島由紀夫の名を世界中に知らしめた、近代日本文学を代表する傑作

金閣寺 (新潮文庫)
三島由紀夫『金閣寺 (新潮文庫)
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あらすじ

金閣寺で修行する「私」は、吃音と女性に対するコンプレックスを抱え、青春とは縁遠い日々を過ごしていた。明るい青年・鶴川と、障害を逆手に取って生きる柏木という2人の友人を得て、少しずつ「私」の生活は明るくなっていく。しかし、女性と関係を持とうとするときだけ、脳裏に金閣がちらつき上手くいかない。やがて「私」は金閣に対して憎しみを抱くようになるのだった。

おすすめのポイント!

三島由紀夫の代表作であり、近代日本文学を代表する傑作とも謳われる不朽の名作です。三島作品を語るなら本作は欠かせません。金閣寺の美しさにとらわれた学僧である青年が、金閣寺への憧れをいつしか憎しみへと変貌させていく様子が描かれています。主人公の独白という形で描かれた本作では、徐々に変化していく心情の描写が圧巻です。1人の青年の危ういまでの純粋な気持ちが、いつしか妄執になっていく過程を精緻かつ臨場感あふれる文章で描き切っています。多くの批評家に絶賛されている本作、ぜひ一度読んでみてください。

自分の美を燃やし尽くす少年の精神的葛藤や燃やすに到るまでの哀しき物語に心を揺さぶられた。

ニーチェさんのレビュー

2.三島由紀夫『仮面の告白』歴史に残る名作!同性愛をテーマにした自伝的小説

仮面の告白 (新潮文庫)
三島由紀夫『仮面の告白 (新潮文庫)
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あらすじ

祖母に溺愛されていた「私」は、外で遊ぶことも男の子の玩具も禁じられて育った。いつしか、「私」は自分の嗜好が他の男たちとは違うことに気づく。それは、汚穢屋の若者であり、ジャンヌ・ダルクであり、家の前を行進する兵士たちの汗の匂いだった。ただし、ジャンヌ・ダルクが「女」だと知ったとき、「私」は落胆した。女の裸体を嗜好する友人たちとは違う自分の特異さに、「私」は苦悩するのだった。

おすすめのポイント!

三島由紀夫は本作について「生まれてはじめての私小説」と表現しています。生い立ちや幼年期をはじめ三島自身の体験を色濃く投影した本作は、まさに三島の代表作と呼べる名作です。また、同性愛をテーマにした作品であったため、発表当時大きな話題を集めました。自伝的作品でありながら、主人公の苦悩や葛藤を客観的に分析するという手法が取られている点が斬新です。硬質でありながら詩的で美しい文章も見どころの1つといえるでしょう。揺れ動く人間の感情を言葉で見事に表現した本作は、一度読んだら忘れられない作品です。

日本語が比較的高尚だという印象を受けたが、なぜだか文章に引き込まれて、集中して読むことができた。女の人を愛したいがそれができない主人公の様子描かれていた。園子とのやり取りの中で、世間的な普通な人間になろうとするが、また別のきっかけで本来の主人公の気持ちが浮き出てくる心情が書かれていた。また戦時中の物語だったので、戦禍の生活の苦しさ感じた。軍人に生き延びていることに後ろめたさを感じさせてしまうような戦争は、本当に人間の平常の感覚を狂わせてしまう。

ミさんのレビュー

3.三島由紀夫『潮騒』 三島作品初心者におすすめ!みずみずしい純愛小説

潮騒 (新潮文庫)
三島由紀夫『潮騒 (新潮文庫)
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あらすじ

久保新治は貧しい家に母と弟と暮らす18歳の漁師であった。ある日、新治は浜で見知らぬ少女と出会う。その少女は、村の有力者である宮田照吉の娘・初江だった。養女に出されていた初江は、照吉の跡取りであった兄が死んだだめ村に呼び戻されていたのだ。偶然の再会が続き、新治と初江は徐々に惹かれ合う。しかし、2人の仲を快く思わない者たちもいるのだった。

おすすめのポイント!

三島由紀夫の作品には、「難解」「倒錯的」といったイメージがあるかもしれません。しかし本作は、若者たちの純愛を描いた穏やかな作品です。苦難に阻まれながらも愛を貫く男女の姿と、2人が暮らす伊勢湾に浮かぶ島の自然をみずみずしく描き出しています。「男女の恋愛」「初恋」を主題に、まっすぐストレートに書き上げた作品と表現することもできるでしょう。シンプルな物語だからこそ、三島由紀夫という文豪の筆力を堪能できます。三島作品を初めて読む人にもおすすめの、とても読みやすい作品です。

三島由紀夫と聞いただけで、最後まで読めるか不安だったけど、とても爽やかで、気持ち良く読みきることが出来ました。島の風景や自然の描写が美しくて、その自然の中で、猟師や海女さん達の力強く逞しい生き方もかっこよかった。都会だったら、新治と初江みたいな出会い方はしてないだろうな。初江が新治を待ってるだけじゃなく、自分から行動したり、真っ直ぐで強い女性であることもよかったです。海の中で勝ち取ったバックの権利を、サラッと渡しちゃうところ、義理堅くて、もう男前に思えてしまいました。新治の無口で、勇敢なところも素敵です。とても純粋な恋愛小説でした。

よっしーさんのレビュー

4.三島由紀夫『美しい星』 三島流の宇宙戦争を描いた、異色のSF小説

美しい星 (新潮文庫)
三島由紀夫『美しい星 (新潮文庫)
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あらすじ

埼玉県飯能市の旧家・大杉家の家族4人は、みなそれぞれに違う星から来た宇宙人である。なぜかといえば、かつて空飛ぶ円盤を目にしたときに自分たちの素性がわかったからだ。彼らは宇宙人であることを周囲には隠し、世界滅亡の危機から人類を救うために動き始める。一方、大杉家と同様に自分たちをが宇宙人であると自覚し、人類滅亡を願う人々もいた。やがて両者が対峙するときがやってきて——。

おすすめのポイント!

三島作品の中でも異色のSF小説です。登場人物は宇宙人で、核兵器による人類滅亡を危惧している……という斬新な設定に引き込まれます。「人類は滅亡すべきか否か」という難しいテーマを少しファンタジックに、けれども理論的かつ客観的に問いかける深みのある作品です。白熱の議論シーンは本作の見どころとなっています。地球の未来について宇宙人たちがどんな結論を出したのか、ぜひ最後までご自身の目で読んで確かめてみてください。

一番面白く感じたのは、自分は地球外の惑星からやって来たと信じる者同士が、物語後半に、核に賛成か反対か激しく議論(口論?)する場面である。政治や国際関係から語られることが多いテーマだが、文学者が登場人物に語らせることで、様々な視点や思考のヒントを読者に提供するという方法もありだなと感じた。登場人物が真面目に行動すればするほど、おかしくて、思わず笑ってしまう場面も多い。軽い気持ちで三島作品を読みたい人にはおすすめです。

Jimmyさんのレビュー

5.三島由紀夫『豊饒の海 第一巻 春の雪』 三島が人生をかけて生み出した、最後にして最高の小説

豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫)
三島由紀夫『豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫)
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あらすじ

松枝侯爵の令息・松枝清顕は、何不自由なく暮らしていたが、流されるままの人生に葛藤も抱えていた。そんな清顕には、聡子という幼馴染がいる。聡子は綾倉家の一人娘だ。姉弟のように育ったが、いつしか2人は互いに特別な感情を抱き始めるのだった。しかし、自尊心の強い清顕は些細なことで聡子に子ども扱いされたと感じ、突き放した態度をとってしまう。そんな中、聡子に縁談話が持ち上がるのだった。

おすすめのポイント!

全4巻に及ぶ大作の第1巻です。本作では、貴族の世界で繰り広げられる美しくも儚い恋愛模様が描かれています。自尊心が強く多感なお年頃である主人公・清顕と、何をやらせても優雅にこなしてしまう年上の幼馴染・聡子の、心と心のぶつかり合いが見どころです。ドラマ、映画、漫画などメディアミックスも度々されています。「豊饒の海」シリーズを書き上げた後、三島由紀夫はその生涯を閉じました。作家・三島由紀夫の真髄に触れられるような、壮大な物語をお楽しみください。

三島由紀夫の遺作。主人公が輪廻転生を繰り返し、それを傍である人物が見守る。それぞれの巻が独立した作品としての性格を持ちながら、全体として大きな物語を構成している。あまり読みやすい小説とは言えない。かなり難解な部分もあり、挫折してしまう人もいるだろう。でも、読み続けていくとどんどん面白くなって、終わりに近づくほど止まらなくなる。結末も驚きなので、ぜひ最後まで読み通してほしい。

養老まにあっくすさんのレビュー


三島由紀夫の作品は、芸術品のように美しい文章と緻密な心理描写が魅力です。今回ご紹介した5作は、どれも心の琴線に触れる名作ばかり。ぜひこの機会に手に取ってみてはいかがでしょうか。