蜃気楼のような世界観が魅力!村上春樹さんの作品オススメ5選!

こんにちは、ブクログ通信です。

『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞しデビューした村上春樹さん。1987年に『ノルウェイの森』がベストセラーとなり、国内で大きなブームを巻き起こしました。その後も『ねじまき鳥クロニクル』や『1Q84』など話題作を続々と発表し、2006年にはフランツ・カフカ賞をアジア圏で初めて受賞しています。また、スペイン芸術文学勲章やアンデルセン文学賞、フランス芸術文化勲章コマンドゥールなど海外の名誉ある賞も多数受賞した巨匠です。

ブクログから村上さんの代表作・オススメ作を5選紹介いたします。村上さんの作品を読んだことがない人にもおススメの読みやすい作品や、作家独自の世界観を堪能できる個性的作品などを集めました。ぜひ参考にしてみてくださいね。

『村上春樹(むらかみ はるき)さんの経歴を見る』

村上春樹さんの作品一覧

1.『ノルウェイの森』世界中で読まれている、村上春樹さんの代表作

1987年に講談社から刊行されました。村上さんの5作目となる長編小説で、書き下ろし作品として上下二分冊で発行された作品です。2009年8月までの増刷で国内累計発行部数は1000万部を突破し、名実ともに村上さんの代表作となりました。中国でも100万部以上が発行されています。

村上春樹さん『ノルウェイの森 上 (講談社文庫)
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あらすじ

37歳のワタナベは、飛行機のスピーカーから流れる「ノルウェイの森」を聞いて、1969年の秋のできごとを思い出し動揺していた。高校時代の友人とその恋人、大学生活、自身の恋と喪失——。心に傷を負った男女が、先の見えない日常の中でもがき恋をする。儚くも美しく、壮大なスケールで描かれるラブストーリー。

オススメのポイント!

「恋愛小説」というカテゴリにありながら、どこか歪で不穏な空気の漂う作品世界に序盤から惹き込まれる名作です。村上春樹さんならではの言葉選びが秀逸な作品なので、文章の美しさにも注目してみてください。少し難解なところもありますが、物語は後半に向けて怒涛の展開を見せていきます。本の厚みに怯むかもしれませんが、ぜひ時間のある日の読書に本書を手に取ってみてくださいね。

言葉が心地よく、春の暖かさに包まれる。ノルウェーの森の世界に引き込まれる。こんなに穏やかな気持ちになるのは、久しぶりだ。

sera007さんのレビュー

2.『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』春樹ワールド全開の珠玉の名作!

1985年に新潮社より発行されました。村上さん初の書き下ろし長編小説で、第21回谷崎潤一郎賞を受賞した作品です。村上さん自身が本作を「自伝的小説」と位置づけています。20以上の言語に翻訳され、世界中で広く読まれている人気作です。

村上春樹さん『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)
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あらすじ

暗号を取り扱う「計算士」の「私」が、自身に隠されたとある装置の秘密をめぐり活躍することになる——ハードボイルド・ワンダーランドの章。壁に囲まれた世界で一角獣の頭骨から夢を読むのが仕事の「僕」が、「街」の謎に迫る——世界の終わりの章。2つの異なる世界が交互に進行し、読者を不思議の国へと誘う。

オススメのポイント!

世界観も主人公も異なる2つの世界が同時進行していく、なんとも不思議な作品です。幻想的な「世界の終わり」と動的な「ハードボイルド・ワンダーランド」の対比が鮮やかで、1冊の本でありながら2つの物語を読んでいるような感覚も味わえます。2つの世界がどう関係していくのか、主人公たちはどうなるのか、読み進める手が止まらなくなる作品です。

内容も非常に面白く、メッセージもストレートに伝わってきた。
村上春樹曰く、いい小説とは、読んだ人の心を深く広くさせてくれるとのことだが、この小説は正に「いい小説」であった。しばらくこの小説の雰囲気に圧倒され、五感が支配されるほど。
そう。この小説で一番好きだったのが、言葉で伝わる世界観だった。
なんていうか、早朝みたいなイメージ。ちょっと小雨が降っていても良い。凄い静かで、透明感がある。だけど何か起こりそうな不安と期待を与える静けさ。現実なんだけど、どこからか別の世界に繋がってそうな雰囲気。
あんな風に文書から、その世界感を感じ、溢れ出るほど妄想したのは初めてだった。

michさんのレビュー

3.『海辺のカフカ』青春の夏を思い出す、心をヒリヒリさせる一冊

2002年に新潮社より発刊された、ギリシア悲劇と日本の古典文学をベースにした長編小説です。2005年に発行された英語版はニューヨーク・タイムズ紙で年間の「ベストブック10冊」と世界幻想文学大賞に選出されました。2008年にアメリカで、2012年と2014年に日本で舞台化もされています。

村上春樹さん『海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
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あらすじ

15歳の田村カフカは、父親にかけられた呪いから逃れるために家出した。深夜バスで高松へとたどり着いたカフカは、その道中で姉や母のように感じる女性たちと出会うのだった。私立図書館で寝泊まりするようになったカフカのもとに、父親が殺されたというニュースがもたらされる。警察の追っ手を逃れ、森の奥に隠れたカフカは不思議な町にたどり着くが——。

オススメのポイント!

村上さんの作品の中では珍しく、15歳の少年が主人公です。夢の世界と現実の世界を行き来する少年カフカの心の成長が、淡々として奥深い村上さんならではの筆致で描かれています。源氏物語や雨月物語といった古典名作やギリシア悲劇が随所にちりばめられ、各作品と本書の関係性を推察するのも一興です。

村上春樹作品で一番好きな小説。今まで出会った物語の中で、一番繰り返し読んだ作品。登場人物それぞれが魅力的で、日常の中に突然現れる不思議な出来事に自分も一緒に引き込まれる。読後も自分なりに話を組み立てたりして本当にいつまでも楽しめる。読んだ年によって感じることが違うというのも素敵。

まなみさんのレビュー

4.『羊をめぐる冒険』村上作品屈指の人気作!

1982年に刊行された長編小説です。第4回野間文芸新人賞を受賞しました。英語、仏語、ドイツ語をはじめ30を超える言語で翻訳出版され、世界中で読まれている作品です。村上さんのデビュー作である『風の歌を聴け』、第83回芥川賞候補作となった『1973年のピンボール』と共に、「鼠3部作」として親しまれています。

村上春樹さん『羊をめぐる冒険
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あらすじ

妻と別れたばかりの「僕」に、新しいガール・フレンドができた。彼女は耳に特殊な力を持っていて、「僕」に大事な電話がかかってくることを予言する。予言通り舞い込んだ大仕事は、偶然写真に写り込んだ「羊」を探すというものだった。「僕」と彼女は北海道へ旅立つことを決める。羊をめぐる冒険が、幕を開けた——。

オススメのポイント!

謎めいて、捉えどころがなく、非現実的。それなのにリアリティがあり惹き込まれる世界観を持っているのが、本書の魅力だといえます。クセのある登場人物の絡み合う人間模様も見どころですが、登場人物たちの仕草や言葉遣いの一つ一つもカッコいいのでぜひチェックしてみてください。

面白すぎました!
すごく不思議な世界観で、飽きのこないエピソードがちりばめられ、かなりの長さなのに中だるみも感じさせません。
謎については先読みも出来ないまま最後まで引っ張っていく展開がすごいです。
羊は、一体何を意味するのでしょうか…?
深いテーマが隠されているように感じました。
さらりと読んでも面白いけど深読みしてみるともっと面白いのでしょう。

hoshisato3のレビュー

5.『東京奇譚集』ビギナーにもおすすめ!奇妙で心地よい短編集

2005年に新潮社から発行された連作短編小説集です。書き下ろし作を含む5編が収録されています。『新潮』に掲載直後から英訳されはじめ、ロシア語、中国語、韓国語、タイ語でも翻訳出版されました。収録作の『ハナレイ・ベイ』は吉田羊さん主演で2018年10月に映画化されています。

村上春樹さん『東京奇譚集 (新潮文庫)
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あらすじ

彼はピアノの調律師だ。41歳のゲイだ。ボーイフレンドはいるものの、別々に暮らしている。彼は火曜日になるとショッピング・モールに出かける。書店の一角のカフェでコーヒーを飲みながら本を読むのだ。ある日、隣のテーブルから声をかけられて——。「喪失」を抱えた人々の何気ない日常と、ふとした瞬間にひらめく感情を幻想的に描いた短編集。

オススメのポイント!

短編集なので、村上春樹さんの作品を初めて読む人にもおすすめです。ふわりとして捉えどころのない不思議な雰囲気の作品が5編収録されていて、どの作品にも村上さんならではの幻想的で淡々とした美しい文章が楽しめます。

なんだかずっと苦手だと思っていた食べ物の美味しさを初めて知った時のような感覚。
喪失を軸に描かれる不思議なストーリーはコーヒーがドリップされて一滴ずつ落ちていくように、心に静かに沁み渡り、やがて言葉にするのが難しい感情で心が満たされていく、そんな世界だった。
「ハナレイ・ベイ」のサチの平静と動揺、このコントラスト、言葉が倍の感情の波になって押し寄せてくる感覚、そして彼女の心の叫びが確実に心のど真ん中へ響く感覚にたまらなく魅了された。

くるたんさんのレビュー

村上さんの作品は、現実と非現実が交錯する独特な世界観が魅力です。今回は特に人気の高い5作を集めたので、未読の方はぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。世界中で愛される村上春樹ワールド、じっくりとご堪能ください。