群ようこさん作品5選!~心温まる小説から笑えるエッセイまで~

こんにちは、ブクログ通信です。

群ようこさんは1984年、「本の雑誌社」在社中に『午前零時の玄米パン』で作家デビューしました。その後専業作家となった群さんは、随筆・小説・評伝など多岐に渡るジャンルで多くの作品を発表し人気を博しています。自然体の語り口と日常の一コマを素朴に切り取る作風で多くの読者から共感を得ている群さんは、小説『無印OL物語』や随筆『またたび回覧板』が代表作として有名です。

そんな群さんの作品の中から、初めての人にもおすすめの5作品を紹介いたします。性別年齢を問わず読みやすい、ライトな読み口が魅力の作品選です。ぜひこの機会にチェックしてみてくださいね!

『群ようこ(むれ ようこ)さんの経歴を見る』

群ようこさんの作品一覧

1.群ようこ『かもめ食堂』穏やかで温かく、北欧の雰囲気も楽しめる人間ドラマ

かもめ食堂 (幻冬舎文庫)
群ようこ『かもめ食堂 (幻冬舎文庫)
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

ヘルシンキの街角に、日本人女性のサチエが店主を務める「かもめ食堂」がある。看板メニューは、彼女が心を込めて作る「おにぎり」だ。しかし、客といえば日本オタクの青年・トンミくらいで、店はいつもガラガラなのだった。ある日、訳ありの中年女性、ミドリとマサコがやって来る。二人は店を手伝うことになるが、その日からサチエの静かで穏やかな日々は一変してしまい……。

おすすめのポイント!

フィンランドの街を舞台に、日本人女性三人の交流と静かな人間模様が描かれる小説です。2006年に映画化され、小林聡美さん・片桐はいりさん・もたいまさこさんが主演を務め話題となりました。ゆったりとした雰囲気の物語で、大きな事件は起きないものの、じんわりと心に響く温かな物語です。ヘルシンキの街の情景描写が美しく、本書を読むことでフィンランドを旅している気分も味わえます。作中に登場する食べ物がとても美味しそうなので、読んでいるとお腹が空いてくるので、読む時間と場所にはご注意ください。

パンとスープとネコ日和も好きで、ほっこりと癒されたいと思って読み始めたが、いきなりのフィンランドに?? でも、期待を裏切らないサチエさんの落ち着き、懐の大きさに感心しつつ、あっという間に読み終えてしまった。読後に穏やかな気持ちが続くのも、とても良い。

ゆうさんのレビュー

2.群ようこ『パンとスープとネコ日和』なにげない日常に潜む喜びと孤独を描いた意欲作

パンとスープとネコ日和 (ハルキ文庫 む 2-4)
群ようこ『パンとスープとネコ日和 (ハルキ文庫 む 2-4)
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

出版社勤めのアキコは、母の急死と職場異動をきっかけに退社を決意する。母が営んでいた食堂を改装し再オープンさせたアキコは、サンドイッチとスープがメインの店を始めるのだった。体育会系で気遣いのできる女性・しまちゃんと共に、日替わりメニューのみで店を切り盛りするアキコ。そんな彼女のもとに、ある日一匹の猫が現れる。その日から、アキコの日常は少しずつ変化していくのだった。

おすすめのポイント!

唯一の肉親である母を亡くした50代の女性・アキコが、愛猫「たろ」と共に過ごす日常を描いた物語です。淡々と、それでいて丁寧な心理描写が光ります。アキコの孤独、人間関係に関する苦悩や葛藤などが、何気ない日常のシーンに散りばめられており、じわじわと心に迫る作品です。悩み揺れ動くアキコに寄り添う「たろ」の可愛さにもご注目ください。愛猫家で知られる群さんならではの筆致も魅力です。本作は2013年にテレビドラマ化され、『かもめ食堂』とキャスト・スタッフが共通ということでも注目を集めました。

群さんの世界はそこはかとなくゆるい空気が流れている。社会に目を向ければ忙しい毎日。私もこの世界も同じ地球上のはずなのに、なぜこんなにも感じとる空気が違いすぎるのだろう。そんかことを思いながらページを捲る。アキコさんの生き方はほのぼのしていそうだけどぶれていない。私もこういう風に年をとっていきたい。

イイワケシロメガネさんのレビュー

3.群ようこ『れんげ荘』ボロアパートで始まるセカンドライフを描く人気シリーズ第一作

れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3)
群ようこ『れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3)
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

大手広告代理店で働いていたキョウコは、仕事にも家庭環境にも疲れ、早期退職を決意する。築40年以上、家賃は月3万円、トイレ・シャワーは共同というボロアパート「れんげ荘」で念願の一人暮らしを始めた。毒親である母親から離れ、わずらわしい人間関係もリセットして悠々自適に暮らすはずだったキョウコだが、全てを完全に断ち切ることはできなくて……。

おすすめのポイント!

大人になり様々なしがらみを抱えると、「いっそ全部リセットして、誰にも関わらず生きてみたい」と思ったことがある人も多いのではないでしょうか?本作では、そんな「理想」を実現した女性・キョウコが主人公です。都会の片隅で、質素ながらも心穏やかに生きようとするキョウコに訪れる、迷いや葛藤が丁寧に描かれています。「れんげ荘」の個性豊かな住民たちとの交流を通して、キョウコがどんなセカンドライフを達成してゆくのか、ぜひご自身の眼で確かめてみてください。続編も発表されており、長く楽しめる作品です。

レイナがれんげ荘に遊びにくるシーン『私ここ好きだよ。うまく言えないけど、住んでいるって感じがする』分かる人にはわかるんだと胸が熱くなりました。自分も老後を考える歳になり定年まで、そして定年後をどう生きるか。この作品を読むことで更に近いものと捉えなければならないと感じました。かもめ食堂を読んで群さんのファンになり、れんげ荘の続編も読むつもりです。群ようこワールド心が暖まります。こういう小説大好きです。

Morita Osamuさんのレビュー

4.群ようこ『ゆるい生活』東洋医学や漢方について学べるユニークなエッセイ

ゆるい生活 (朝日文庫)
群ようこ『ゆるい生活 (朝日文庫)
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

ある朝、強いめまいに襲われた。とても立ってはいられないほどだ。健康には気を付けていたつもりなのに、どうして……。漢方薬局に駆け込むと、体質改善を勧められる。冷えや水分、甘味など、余分なものは身体から抜き取ってゆくといいらしい。その日から、長きにわたる体質改善の日々が始まるのだった――。6年におよぶ体質改善記録を書籍化した実録エッセイ。

おすすめのポイント!

漢方薬に興味がある人、体質改善を考えている人におすすめの、実録エッセイです。著者自身が体験したことを、6年間という長期にわたり記録しています。体の不調をきっかけに、それまで当たり前だった生活を見直す群さんの姿が、ユーモアたっぷりに記された作品です。大好きだった甘いものを断腸の思いで我慢したり、激痛のリンパマッサージに耐えたりと、群さんの体質改善は簡単には達成されません。だからこそ、健康の大切さ、自分の体を労わることの大変さが伝わってきます。

群ようこさんの漢方生活のエッセイ。へー、と思えることばかりで勉強になった。砂糖を摂りすぎると体に水が溜まり、代謝が悪いと浮腫んだり目眩がしたり…わたしも別のことで漢方を飲んでるが、飲むだけで食生活などを改めて無かったので、これからは改めることにする。お菓子も大好物だけど、気をつけることにした。それにしてもやはり群さんの書く言葉は楽しい。

kozakurapi-koさんのレビュー

5.群ようこ『スマホになじんでおりません』著者のスマホデビューをコミカルに切り取ったエッセイ

スマホになじんでおりません
群ようこ『スマホになじんでおりません
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

携帯電話が登場したときはその存在意義に疑問を抱き、スマホが普及し始めたときには「絶対にスマホなんか持つものか」と強く思っていた著者。しかし、年老いた愛猫に万が一があったときを考え、スマホを持つことを決意する。友人に勧められiPhone8を購入した著者だったが、スマホがある生活は思った以上に不便かつ面倒なことばかりで……。

おすすめのポイント!

携帯電話すら持ったことがなかった群さんが、「愛猫を病院に連れていくためのタクシーがつかまらない」という理由でスマホデビューする様子を描いたエッセイです。今や日本全体で6割以上の人が持っているされるスマホですが、群さんにかかるとその便利さよりも煩わしさが勝ってしまいます。「パスワード地獄」「繰り返す充電作業」「文字入力の厄介さ」など、スマホを使っている人なら「あるある」と頷けるシーンがコミカルに切り取られた一冊です。軽妙な語り口で、思わずくすりとさせられてしまいます。

なかなかよかった。友達に勧められ、また飼い猫の急病の際、すぐタクシーが呼べるように、とのことでスマホを持つようにした作者のスマホとの戦い?知らなかったこともあり、役立った。やはりiPhoneが1番なのね、ということもわかりよかった。

ははさんのレビュー


群さんの作品は、淡々としつつもどこかコミカルな文章が魅力です。今回は、軽い読み口で誰にでも読みやすいおすすめの作品を厳選しました。ぜひこの機会に、群さんの作品を手に取ってみてくださいね!