知れば知る程、面白い!美術館に行きたくなるおすすめ本5選

こんにちは、ブクログ通信です。

アートの良さは、その面白さに気付くと世界が違って見える点にあるように思います。難しそうだから……と遠ざけてしまった経験のある方も、ぜひこれから紹介する作品を読んでみてください。作品鑑賞の仕方や、美術館の意外な楽しみ方、その裏側まで。美術館にまつわる多数の本の中から、今回は特におすすめの5作品をピックアップしました。

読んでみると、美術館の持つ大きな魅力に気付き、行ってみたい!という気持ちにさせられるものばかりですので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

1.齋藤孝『齋藤孝のざっくり!美術史』アートが親しみやすくなる入門書

齋藤孝のざっくり!美術史
齋藤孝『齋藤孝のざっくり!美術史
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あらすじ

美術というものは、分かれば分かるほど、面白くなる分野である。齋藤孝流の美術の楽しみ方では、50人に及ぶ世界の巨匠アーティストたちを、「うまさ」「スタイル」「ワールド」「アイデア」「一本勝負」の五つのタイプに分け、それぞれの「すごいところ」を分かりやすく解説している。この作品、どこが良いの?と首を傾げ、自分にはアートは分からないと感じたことのある人にこそ読んでほしい、新たな切り口の美術入門書。

おすすめのポイント!

絵画の世界は、背景となる歴史などが分からないと、全く心に響かないことがあります。だからこそ、何となく取っつきにくいという理由で、アートを自分の範疇から切り離してしまった人も多いのではないでしょうか。ですが、「私達は日頃、多くのデザインに囲まれており、常に美的センスを磨いているのだ」と齋藤さんは言います。本作を読むと、先入観や固定観念が剥がれ落ち、まっさらな目で絵画を見てみたいという感覚になるでしょう。アートへの苦手意識がある方に特に読んでほしい一冊です。

齋藤孝さんの作品一覧

美術の巨匠50人の作品と特徴を解説し、取っ付きにくい抽象絵画の見方をアドバイスしてくれる良書。紹介されている画家の人数に比べて口絵が少ないので、スマホ片手に画像検索しながら読み進めた。画面越しとはいえ短時間でこんなに多くの絵を見たのは初めて。美術館へ行きたくなる。特にエドワード・ホッパーとルネ・マグリットの作品に興味が湧いた。近視と印象派の話はおもしろい。裸眼のぼんやりした世界が、少し芸術的に見えるような気がしてきた。

seimiyaさんのレビュー

2.浦島茂世『東京のちいさな美術館めぐり』お出かけ欲を高めてくれるアートガイドブック

東京のちいさな美術館めぐり
浦島茂世『東京のちいさな美術館めぐり
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あらすじ

美術館というと、どんなイメージがあるでしょうか。荘厳だったり近未来的だったりする建物での大規模な展覧会。会期中は人々が列を成し……という印象を持つ方もいるかもしれません。ですが実は、美術館の良さは、外観や規模だけで計ることはできません。この本では東京近郊にある、小さくても個性豊かな美術館ばかりを選び、紹介しています。小さいからこそこだわり抜かれた空間を、じっくりと味わってみてください。

おすすめのポイント!

背筋を伸ばして行く場所と思いがちな美術館ですが、何かのついでに、ちょこっと寄り道という気軽さで出かけられるのが、小さな美術館の魅力の一つです。本書では、ミュージアムショップや隣接のカフェなど、美術館周辺の見所が細かく書き込まれているため、お出かけのイメージが湧きやすく「行ってみたい!」という気持ちが掻きたてられます。関東圏からお住まいが離れていても、自分の家の近くにも小さな美術館があるかもしれない、とアートに触れるきっかけ作りにもなりそうです。

浦島茂世さんの作品一覧

結構便利なところにこんな美術館があったんだ!と嬉しい気持ちになった。都内住まいではないけれど、何とか時間的にも金銭的にも都内には出られる環境。この環境を生かさない手はないだろう。めんどくさがらないで、目が見えるうち、足腰が動くうちに行っておきたいところがいっぱい見つかった。

trinacriaさんのレビュー

3.藤田令伊『企画展がなくても楽しめるすごい美術館』館全体が作品!一度は訪れたい全国60の美術館

企画展がなくても楽しめるすごい美術館 (ヴィジュアル新書)
藤田令伊『企画展がなくても楽しめるすごい美術館 (ヴィジュアル新書)
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あらすじ

「一度は見たい名品のある美術館」「ココロとカラダが喜ぶ美術館」「訪れた人の心を揺さぶる美術館」「建築や庭が見事な美術館」「鑑賞力がアップする美術館」「スペシャルな個性が際立つ美術館」。日本全国にある美術館の中から、いつ行っても楽しめる美術館を選び抜き、六つのジャンルに分けて徹底ガイド。収蔵品や建築、作家性などに特化し、厳選した60の館は、美術館という空間の奥行きの深さや、常設展の魅力を知るきっかけに。写真やデータも満載です。

おすすめのポイント!

常設展や建築など、いつ訪れても変わらない部分に焦点を当てており、館そのものが持つ魅力を見出すことができるのが本書の魅力。カラー写真と共に紹介されているのも嬉しいポイントです。すでに行ったことのある美術館でも、「そんな見所があったなんて!」と、もう一度訪れたい気持ちにさせられます。全国各地の美術館が掲載されているため、旅行の計画を立てる時にもおすすめ。アートファンにとっては、まだまだ訪れるべき美術館がある!と胸が熱くなる一冊。付箋やメモを用意して読み始めたい作品です。

藤田令伊さんの作品一覧

混雑した企画展よりも、ゆっくり見られる常設展にも注目してほしいという思いで全国の美術館を紹介したガイドブック。押しつけがましくない解説がバランスのいい秀逸な仕上がりとなっています。本書を読んで個人的に行ってみたいと思ったのは、ホキ美術館(千葉県)、長野県の北アルプス展望美術館(奥田、山下両氏の作品が素晴らしい)、大塚国際美術館(徳島県)、地中美術館(香川県)、田中一村記念美術館(鹿児島県)などですが、やはり東京に多く集中しています。東京から沖縄に引っ越した身としては、もっと東京にいる間に美術館巡りしておくべきだったと後悔させる作品でもありました。

mysterymanboさんのレビュー

4.高橋明也『美術館の舞台裏:魅せる展覧会を作るには』美術館の見え方が変わる!

美術館の舞台裏: 魅せる展覧会を作るには (ちくま新書)
高橋明也『美術館の舞台裏: 魅せる展覧会を作るには (ちくま新書)
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あらすじ

展覧会はいかに作られるのだろうか。その展覧会の規模が大きい程、学芸員達の企画力、交渉力、マネジメント力が試される。作品の取り扱いには常にリスクが付きまとい、作品の真贋や運搬の苦労、盗難まで、様々な危険に晒され続けているのが実情だ。美術館を巡る人・モノ・金までを明らかにしたまさに「舞台裏」の一作。日本と世界の美術展の違い、未来の美術館のビジョンなど、知られざる美術館の裏側にスポットライトを当てた名著。

おすすめのポイント!

著者の高橋さんは、パリ・オルセー美術館や国立西洋美術館での学芸員を経て、東京・丸の内にある三菱一号館美術館の初代館長に就任した美術史家です。この本を書くのに、これ以上適任の方もいないのではないでしょうか。鑑賞者としては作品のみを楽しみに訪れる美術展ですが、その裏側を知ると、関係者の思いや作品の見せ方など、これまで見えていなかった美術館の一面が見えてきます。次に美術館を訪れる時は、壮大な群像劇に思いを馳せながら、一期一会の展示品を眺めてみたいと思わせられます。

高橋明也さんの作品一覧

日本と西洋やアメリカ、新興の中国まで、それぞれ美術館のなりたちから運営の違いまでバラバラで、相補的に関わり合いながら、美術史と同様、美術館にも時代の流れがあるのが面白かった。作品の見せ方やコンセプトに学芸員のワザや想い、水面下での努力があって、似たようなテーマであっても見せ方でかなり変わるんだなーと感心した。今後はもっと丁寧に展覧会見てまわりたいです。

きったんさんのレビュー

5.原田マハ『楽園のカンヴァス』情熱が迸る絵画ミステリー

楽園のカンヴァス (新潮文庫)
原田マハ『楽園のカンヴァス (新潮文庫)
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あらすじ

アンリ・ルソーの『夢』に酷似した一枚の絵の真贋を判定せよ。国際美術史学会を賑わせる日本人研究者のオリエ・ハヤカワと、ニューヨーク近代美術館(MoMA)でアシスタント・キュレーターを務めるティム・ブラウン。共にルソーを研究する二人は、スイス・バーゼルに住む、伝説のコレクター・バイラ―の邸宅に招かれ、その作品の鑑定を依頼された。手がかりとなる一冊の古書を読み、優れた講評を与えた者に取り扱い権利を譲渡するとバイラ―は言うが、作品には多くの謎と、周辺を取り巻く人々の裏事情があり——。

おすすめのポイント!

自身もMoMAでの勤務経験があるという原田さんは、40代になってから執筆活動を始めたという異色の経歴の持ち主です。作中作の入れ子構造や、ミステリーとしての構成も素晴らしく、何よりも、美術や絵画に対する情熱の強度が作品全体から伝わってきます。本作には、「アートを愛する、ということは、この世界を愛する、ということ。」という一文がありますが、著者はまさにその思想を体現しているように感じられます。第25回「山本周五郎賞」受賞作。まずは小説から、アートを身近に感じるのもおすすめです。

原田マハさんの作品一覧

ミステリーでもあって、ラブロマンスでもあって、ちょっとだけ冒険してるような気分にもさせてくれる本作。読んでいる最中は淡々と話しが進んで、「あれれ、期待はずれ?」と思いました。そんな方こそ、ぜひ最後まで読んでください!読了後、不思議な清涼感に包まれ、同時に何とも言えない切なさがこみあげました。これは、最後まで読まないと味わえないんじゃないかな。暗幕のゲルニカも読んでみます。

あんこさんのレビュー


今回紹介した作品を読めば、これまでよりも気軽に美術館を楽しむことができそうです。本を片手に美術館巡り。そんな休日も素敵ですね。気になった作品がありましたら、ぜひ手を伸ばしてみてください。