こんにちは、ブクログ通信です。
数ある本のジャンルの中でも、特に人気の高い「ミステリー」。日本国内だけでもたくさんのミステリー作家が、魅力あふれる傑作を生みだし続けています。今回は、そんなミステリーというジャンルにおいて、人気作家の作品をテーマごとに比較してみました!甲乙つけがたい名作を、一度に比較し楽しめる新企画です。すでに読んだことがある作品でも、新たな魅力を発見するきっかけになるかもしれません。
まずは、ミステリーといえばこの2人、東野圭吾さんと湊かなえさんの作品を前後編に分けて5作品ずつご紹介します。前編では、【メディアミックス】【初心者にオススメ】【東野圭吾作品で必読】の3テーマをお楽しみください!
『東野圭吾(ひがしの けいご)さん 1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。
【メディアミックスも大人気の作品】
東野圭吾『マスカレード・ホテル』原作も映画も大ヒット!きらびやかなエンタメ・ミステリー
あらすじ
都内で発生した謎多き連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明な中、残された暗号から割り出されたのは、次の犯行現場だった。場所は、一流ホテルのコルテシア東京。潜入捜査を命じられた若き刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて現場に潜り込む。彼を教育するのは、フロントクラークの山岸尚美という女性だ。次から次へと訪れる怪しげな宿泊客への対応に追われる2人は、事件の真相にたどり着けるのか——。
おすすめのポイント!
東野圭吾さんによる「マスカレード」シリーズの第1作です。累計発行部数450万部を突破した人気シリーズで、テンポ良いストーリーと個性的な登場人物が多くの読者を魅了しています。前日譚となる2作目の『マスカレード・イブ』、続編である3作目『マスカレード・ナイト』も高い人気を誇る作品です。『マスカレード・ホテル』は、2019年に木村拓哉さん主演で実写映画化され、興行収入46億4000万円の大ヒットを記録しました。2021年には続編『マスカレード・ナイト』も実写映画化され、大きな話題を集めています。
犯人が思いもしないところから出てきて、やられた!と思った。何気ない描写が後々大きな展開につながっているのに、読者にちっとも気付かせないのが本当にすごいと思う。
湊かなえ『告白』ある女性教師の復讐を描く、「イヤミス」の大定番作品
あらすじ
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」。ある日、中学校の女性教師がホームルームでそう告白した。彼女の娘は、校内で亡くなったのだ。「級友」「犯人」「犯人の家族」……次々と替わる語り手によって、事件の全体像が少しずつ明らかになる。衝撃の結末が議論を呼んだ、著者デビュー作。
おすすめのポイント!
湊かなえさんのデビュー作にして、第6回本屋大賞受賞作です。2008年の「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、2009年の「このミステリーがすごい!」で第4位を獲得するなど、いくつものミステリ・ランキングにランクインし、大きな話題となりました。2010年に松たか子さん主演で映画化されると、過激な内容や描写、衝撃的な結末が注目を集めます。一方で、第34回日本アカデミー賞では4冠を達成、興行収入は38.5億円を記録するなどの大ヒット作となりました。映画脚本を元にしたコミック版も発売されています。小説、映画共に、社会に大きな衝撃を与えた作品です。
あっという間に読めた、それぞれの登場人物の目線、感情にのめり込み、没入感のある作品だった!
【初心者にオススメの作品!】
東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 時を超えた心の交流を描く、心温まる感動作
あらすじ
悪事を働いた3人が転がり込んだのは、古い小さな雑貨店だった。そこは、かつて悩み相談を請け負っていた「ナミヤ雑貨店」である。とっくに廃業したはずの店内に、シャッターの郵便口から1通の手紙が落ちてきた。どうやら悩み相談の手紙らしい。手紙は時空を超え、過去から届いたのではないかと戸惑う3人。やがて3人は、当時の店主である浪矢雄治に代わって返事を書くことにするのだった。
おすすめのポイント!
2012年に発表された東野さんの長編小説です。第7回中央公論文芸賞を受賞しました。度々の舞台化、日本と中国での映画化など、メディアミックスも盛んな人気作です。不思議な雑貨店を舞台に繰り広げられる、心温まる人間ドラマが魅力の作品となっています。本格派ミステリーの傑作を多数生み出している東野圭吾さんですが、本作は巧みな伏線回収と心揺さぶるストーリーが多くの読者の心を掴みました。ミステリーをあまり読まない人でも楽しめる、東野ワールド初心者にぴったりの名作です。
それぞれの物語が少しずつ繋がっていく展開がすごく面白かった‼︎誰かのために一生懸命考えたり、行動することで誰しもが悩むことがある。それを優しく見守ったり、真摯に聞いてくれる、そういう人がいてくれることがすごくありがたいことなんだと思った。周りにいてくれる人に感謝したい‼︎温かな物語をありがとうございます。
湊かなえ『少女』 純粋で残酷な「死」への渇望が、思わぬ事件を巻き起こす
あらすじ
高校2年生の由紀は、転校生の「親友の自殺を目撃したことがある」という告白を聞き、ある種の自慢のように感じた。しかし由紀の場合は、死体よりも人が死ぬ瞬間を見てみたいと思うのだ。一方、自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら強い自分になれるのではないかと考えていた。死の瞬間に立ち会うため、2人はそれぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行く。死に魅入られた女子高生たちの夏を描く長編ミステリー。
おすすめのポイント!
2009年に刊行された長編小説で、2010年にマンガ化され、2016年には映画化も果たした作品です。「死」に対して特別な執着を抱えた女子高生2人をめぐる、ミステリアスな物語となっています。この作品では、緻密に張り巡らされた伏線の巧みさ、心の暗部のリアルな描写、読者に衝撃を与える展開の見事さが見どころです。湊かなえさんの筆力が存分に発揮され、著者代表作としても知られる本作。湊ワールド初心者に、ぜひ手に取って欲しい作品です。
読み終わった後に何回も何回も読み返したのは、東野圭吾さん作「秘密」以来でした。全ての伏線が回収される瞬間は正に芸術。芸術ですよ。肝心なストーリーなのですが、人の死を目の前で見たいと思っている桜川高生・由紀と、以前自殺を考えた事がある敦子はそれぞれが思う死を悟る為、夏休みを利用して由紀は小児病棟へのボランティア、敦子は老人ホームの手伝いに行く。二人は其々の思う死に辿り着く事は出来るのか!? 取り敢えず、騙されたと思って読んでみて下さい♪
【東野圭吾作品を読むならまずはこちら!】
東野圭吾『秘密』悲しくも甘い「秘密」を描く、著者代表作!
あらすじ
自動車部品メーカーで働いている杉田平介は、妻と小学5年生の娘・藻奈美との3人暮らしだ。ある日、長野の実家に向かう妻と娘を乗せたスキーバスが崖から転落した。妻の葬儀の夜、意識不明だった娘が目を覚ます。娘の体には、死んだはずの妻が宿っていたのだった。見た目は小学生でも、今まで通りに家事をこなす妻。藻奈美の代わりに新しい人生を送ると決意した妻と平介の、奇妙で切ない「秘密」の生活が始まる。
おすすめのポイント!
1998年に刊行され、東野圭吾さんの名を一気に知らしめた出世作です。第52回日本推理作家協会賞を長編部門で受賞し、直木賞・吉川英治文学新人賞の候補作にもなりました。1999年に広末涼子さん主演で映画化され、2007年にはリュック・ベッソン制作で米仏にてリメイク作品が公開されています。2010年には志田未来さん主演でテレビドラマ化、中国では2017年にウェブドラマが制作されるなど、国内外で人気の高い名作です。斬新な設定、きめ細やかな心情描写、意外な結末が魅力の必読作品といえます。
1日で一気読み。途中から、いろんな涙が溢れてきました。解釈、受け止め方は人それぞれな作品だろうけど、一見非現実的とも思える設定の中で、やりきれない悲しみ、親子あるいは夫婦間の愛を伝え、そして一人の人生を生きていくということを考えさせてくれる、見事な傑作。もう一回読んだらもっと泣くんだろうな。忘れない一冊になりました。
前編では、東野さん3作品、湊さん2作品をご紹介しました。どの作品も、ブクログユーザーから高評価を得ているオススメ作です。未読の方はこれから、既読の方はまた改めて、手に取ってみてはいかがでしょうか?後編はこちらから!