こんにちは、ブクログ通信です。
数々のミステリーの名作を発表している東野圭吾さんと湊かなえさん。それぞれのオススメ作品を、比較形式でご紹介しています。後編は、【短編集】【どんでん返し】【湊かなえ作品で必読】の3テーマで、東野さんと湊さんの作品の魅力に迫ります!ぜひ最後までお楽しみください。
湊かなえ(みなと かなえ)さん 1973 年広島県生まれ。2007 年「聖職者」で小説推理新人賞を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビュー。本著は、「2009 年本屋大賞」を受賞。12 年「望郷、海の星」(『望郷』収録)で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。16 年『ユートピア』で山本周五郎賞受賞。18 年『贖罪』がエドガー賞ベスト・ペーパーバック・オリジナル部門にノミネートされた。その他の著書に、『少女』『高校入試』『物語のおわり』『絶唱』『リバース』『ポイズンドーター・ホーリーマザー』『未来』『落日』『カケラ』などがある。 「2021年 『ドキュメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」
【短時間で読みたい人に!おすすめ短編集】
東野圭吾『探偵ガリレオ』 科学で事件を解明する!人気探偵シリーズ第1作

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あらすじ
警視庁捜査一課の草薙俊平は、説明のつかない不可解な事件に遭遇した時、必ずある友人のもとを訪れる。その人物とは、帝都大学理工学部物理学科助教授の湯川学だ。突然燃え上がった若者の頭、心臓だけが腐った死体、池に浮かぶデスマスク、幽体離脱する少年……。常識では考えられない難事件の数々に、天才科学者が挑む——。
おすすめのポイント!
東野さんの作品の中でも特に人気のある「ガリレオ」シリーズの第1作となる短編集です。東野さん自身が理系出身ということで、難事件を科学的に解明するというユニークな設定が見どころとなっています。本作は5つの連作短編が収められており、科学とミステリーが融合した東野ワールドをまずはざっくり知りたい、という人におすすめです。湯川学というキャラクターがとても魅力的なので、シリーズ作品をきっと読んでみたくなりますよ。
ガリレオシリーズの1作目。5章までの短編からなる物語。事件を科学を用いて解決に導く科学者と友人の刑事を中心に動く。科学を用いた解説は少し難しながらも驚かされる内容で。事件の解決以外にも絡む複雑な人間模様。以前から名作と名高いこのシリーズ。やはり面白いですね。2作目以降もチェックしていこうと思います。
湊かなえ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』 母と娘の「毒」を鋭くえぐり出す短編集

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あらすじ
女優の弓香のもとに、昔の同級生・理穂から故郷での同窓会の誘いが届いた。弓香は欠席の返事をする。母親に会いたくないからだ。しかし、理穂とメールでやり取りするうちに、弓香は思いがけない訃報を聞いて……(「ポイズンドーター」)。母と娘、姉と妹、男と女——ほんのささいなきっかけで、目の前の光景は鮮やかに反転してしまう。イヤミスの名手による、複雑な女性心理をとらえた短編集。
おすすめのポイント!
こちらの作品は、イヤミスクイーン・湊さんが贈る「毒親・毒娘」をテーマにした短編ミステリー集です。書き下ろし1篇を加えた全6篇のストーリーが収録され、複雑な女性心理を巧みに描き出しています。社会問題にもなった「毒親」という存在が、湊さんにかかるとまた違った視点で見えてくる、秀逸な作品集でもあります。多くの女性にとって共感でき、感情移入でき、それでいて何とも言えない後味の悪さを感じてしまう凄みのある本です。第155回直木賞候補作となったことも頷ける1冊なので、ぜひ手に取ってみてください。
人間の心の黒い部分が描かれており、ゾワゾワとした気持ち悪さと共に、怖いもの見たさで好奇心をそそられる一冊。人には言えないような、自分にもあるような汚い部分が曝け出されていて、湊かなえさんの作品はやはり好きです。
【大どんでん返しに度肝を抜かれる作品】
東野圭吾『宿命』 衝撃の「どんでん返し」が味わえる、屈指の名作

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あらすじ
警察官の和倉勇作は、十年ぶりに学生時代のライバル・瓜生晃彦と再会する。勇作と晃彦はかつて共に医師を志したが、勇作は不運が重なり医者の道を断念したのだった。当時付き合っていた初恋の女性・美佐子とも別れ、苦悶の青春時代を過ごしたのち、勇作は警察官になったのだ。刑事と容疑者として再会した2人の、宿命の対決が始まる——。
おすすめのポイント!
東野さんの作品の中でも、屈指の人気を誇る長編小説です。1つの殺人事件によって結び付けられた因縁のライバル同士が、運命に翻弄されながら驚きの結末へと突き進んでいく様に、ドキドキハラハラさせられます。謎が謎を呼び複雑に絡み合う人間関係、徐々に真相に近づいていく捜査展開など、極上のミステリーとしての魅力も備えた作品です。物語後半は一気にスピーディな展開となり、先へ先へと読む手が止まりません。物語の結末を見届けたとき、タイトルの意味がわかると共に、大きな感動に呑み込まれる傑作です。
上手く説明できないけど何故か気になる、引っ掛かる、目で追ってしまう人物…。理屈ではない、直感なのか、第六感か、それとも魂が引き付けるのか、そいつが常に気になり執着してしまう。いるいる、そういう人。あるよね…。と、思ったら最後にえ~そういうこと!?とビックリする。「最後の一行」に救われる。
湊かなえ『リバース』 ドラマも小説も見てほしい!驚愕の結末が心に刺さる傑作

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あらすじ
平凡なサラリーマンの深瀬和久は、ある日近所の店「クローバーコーヒー」で越智美穂子という女性と出会う。店で顔を合わせるうち、2人は付き合うことになった。味気ない日々が急に鮮やかに色づき、未来のことも考え始めた。そんな矢先、美穂子にある告発文が届く。「深瀬和久は人殺しだ」——真相を問い詰める美穂子に、深瀬は真実を告げるべきが悩むのだった。
おすすめのポイント!
湊さんにしては珍しく、男性が主人公の物語です。主人公とかつての親友との関係を軸に、友情、愛情、憎悪、疑念といったさまざまな感情を複雑な人間関係と共に描き出しています。物語終盤から結末にかけて怒涛の展開を見せる本作は、「鳥肌が立つ」「読後感がすごい」と絶賛の声が相次いでいます。トラウマ級のどんでん返しを味わいたい人にオススメです。2017年に藤原竜也さん主演で制作されたテレビドラマ版では、豪華キャスト陣と迫真の演技による丁寧な心理描写が好評を博しました。小説とドラマ、どちらもオススメです。
終盤の展開が衝撃的でスラスラと読んでしまった。人というのは多面的な存在で、本当の意味でその人を捉えられる他人はいないのだと思った。だからこそ知りたいという欲求が噴き出てくる。不必要な先入観を捨てて、フラットな目線で向き合うことが大事だ。
【湊かなえ作品を読むならまずはこちら!】
湊かなえ『贖罪』 罪の意識に囚われた女性たちの、悲しくも鮮烈な物語

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あらすじ
15年前、静かな田舎町で1人の少女が殺害される事件が起きた。直前まで少女と一緒に居た4人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたが、なぜかその顔を思い出せないという。結局、事件は迷宮入りとなった。殺された少女の母親は4人に言い放つ。「あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい」——と。
おすすめのポイント!
15年前の事件を発端とする、悲劇の連鎖を描いた長編ミステリーです。殺人事件の目撃者となった4人の少女たちのトラウマと罪の意識、葛藤が生々しく描写され、読み進めるほどに感情が揺さぶられる作品となっています。先の読めない展開に目が離せなくなること必至。読めばきっと、イヤミスの名手である湊さんの世界観、筆力に圧倒されることでしょう。2012年に放送されたテレビドラマ版では、小泉今日子さんや蒼井優さん、安藤サクラさんといった豪華キャストが注目を集めました。
それぞれの視点からの物語。読みやすさもあるし、あれ?この名前見た気がする。ってやつは前に遡って確認。伏線もはりつつしっかりとラストに向かっている。母親視点があったことにより、全ての見方が変わったりもした。
今回はミステリー界の大人気作家・東野さん、湊さん2人を比較してみました。比べることで、作品の新たな魅力が見えてきたのではないでしょうか。まだ作品を読んだことがないという方は、ぜひ両方合わせてチェックしてみてくださいね!前編はこちら!