凪良ゆうさんおすすめ5選!~「愛」を描いた作品選~

こんにちは、ブクログ通信です。

凪良ゆうさんは滋賀県出身の女流作家で、ボーイズラブ作品を数多く手がけてきたことで知られています。2006年、「小説花丸」にて中編小説『恋するエゴイスト』が掲載され作家デビューしました。2007年に『花嫁はマリッジブルー』を初著書として上梓し、その後もコンスタントに作品を発表し続けています。

2020年には『流浪の月』で第17回本屋大賞を受賞し大きな話題となりました。同作は第41回吉川英治文学新人賞候補にもなっています。また、同年『わたしの美しい庭』で第11回「山田風太郎賞」候補になるなど、今注目すべき作家の1人だといえます。

そんな凪良さんのおすすめ作品を5選ご紹介いたします。すれ違うもどかしい人間模様に切なくなる珠玉の名作選を、ぜひチェックしてみてくださいね。

『凪良ゆう(なぎら ゆう)さんの経歴を見る』

凪良ゆうさんの作品一覧

1.凪良ゆう『流浪の月』世界中から否定される「愛」を描く衝撃作

流浪の月
凪良ゆう『流浪の月
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あらすじ

両親と別れ、母方の叔母の家に引き取られた9歳の少女・家内更紗。ある日、公園で声をかけてきた19歳の青年・佐伯文に出会い、文のマンションで一緒に2か月を過ごした。誘拐事件の被害者となった更紗と、犯人として逮捕された文。事件後、更紗は「傷物にされた可哀想な女の子」に、文は「ロリコンで凶悪な誘拐犯」というレッテルを貼られ続けるのだった。15年が過ぎ、24歳になった更紗は偶然文と再会するが……。

おすすめのポイント!

2022年に映画化され、広瀬すずさんと松坂桃李さんが主演を務めることでも話題を集めている本作。美しい言葉とみずみずしい情景描写が光る一方で、儚く危うい人間関係にハラハラしながら読み進めてしまう作品です。読後、なんとも表現できない不思議な感動を味わったという人が続出しています。本作の大きなテーマは、人により嫌悪感を抱いたり、理解しがたいと感じたりするものかもしれません。しかし、物事には多様な側面があると、改めて突きつける強さのある作品です。ぜひ一度手に取ってみてください。

久しぶりに読みながらドキドキして読み進めるほどに緊張感が高まるような小説で一気読みした。テレビで報道されると表面的な情報で全て分かったような気になるけれど、本当は全ての事件の裏側にはたくさんの人が絡み当事者は必ずしも不幸なだけではないのかもしれない、と改めて考える。どうか2人が少しでも安心して過ごせる時間が長く続いてくれますようにと読みながら願い、安心して読み終えられた。

totoさんのレビュー

2.凪良ゆう『すみれ荘ファミリア』人の「表と裏」を鋭く描き出すミステリー風人間ドラマ

すみれ荘ファミリア (講談社タイガ)
凪良ゆう『すみれ荘ファミリア (講談社タイガ)
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あらすじ

33歳の和久井一悟は、下宿すみれ荘の管理人をしている。妻を事故で亡くし、虚弱体質ゆえにまともな会社勤めもかなわない一悟は、一人娘を義父母に引き取られてしまった。せめて誕生日プレゼントを送ろうとしていた道中、自転車で1人の男を轢いてしまう。小説家だというその男・芥は、どうやら幼いころ生き別れた弟らしいのだが、一向に正体を明かそうとしないのだった……。

おすすめのポイント!

それぞれに秘密や事情を抱えた人々が紡ぐ、繊細な人間ドラマを描いた本作。下宿屋を舞台にしたほのぼのストーリーと思いきや、徐々に雰囲気が不穏になっていくので、先が気になりぐいぐい読めてしまいます。「謎の男・芥は本当に一悟の弟なのか」「下宿屋の住民たちが抱える事情とは」など、ちりばめられた謎や秘密が絡み合い、少しずつほどけていく展開が見事です。人間の奥深さをまざまざと見せつけられる、凪良ワールド全開の物語をぜひ味わってみてください。

初めて読む、凪良ゆうさん。結論から言うと、好きな作家さんがひとり増えた!白と黒、善と悪、陰と陽、勝ち負け…どちらかに決めることは出来ないのに、人は二分したがる。グレーゾーンはあって然るべきで、どんな人間にも多面性があり、家族でさえ知らない顔を持っている。理解することと許容することは別で、頭で割り切れなくても心で許すことは出来るのだと改めて感じた。凪良さんの世界感、とても好き。他のお話も読んでみたい。

tomomin♡さんのレビュー

3.凪良ゆう『美しい彼』BLの必読作品!主従関係から始まるピュアな恋

美しい彼 (キャラ文庫)
凪良ゆう『美しい彼 (キャラ文庫)
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あらすじ

幼いころから緊張すると言葉がつかえてしまう高校生の平良は、無口で友達もおらずスクールカースト最底辺の存在だ。そんな平良があこがれるのは、クラスの「王」である清居。人目を引く美貌を持ち、誰ともつるまず誰にも平等に冷酷な清居に、平良は忠誠を尽くすことで喜びを感じていたが……。

おすすめのポイント!

凪良さんの作品の中でも特に高い人気を誇る作品です。スクールカースト底辺の高校生・平良と、圧倒的カリスマである美少年・清居が織りなす恋愛模様が描かれます。「BLアワード2015」で第1位を獲得した大ヒット作であり、2021年にはテレビドラマ化されました。主従関係だった2人の関係が徐々に変化していく様子に、胸キュン間違いなしのピュアなラブストーリーです。初恋に揺れ動く心の機微が丁寧に描かれているので、BL初心者の人にも共感しやすい作品だといえます。物語の世界観をひき立たせる美しい挿絵も見どころです。

とにかく作者さんの筆力の高さ、言葉のセンスに脱帽です。最初は痛々しい関係性ですが、主役の2人、とっても魅力的です。2人が幼い頃抱えてしまった自分の苦しみや欲求を、完璧に満たして救ってくれる相手に強烈に惹かれて恋に落ちる過程は共感したし、説得力があります。でも、気持ちは伝わらなくてすれ違って理解できなくて、そのずれた2人の関係性が面白くて、続編含めて一気に読んでしまいました。特に後半、清居視点の話は「こんなに葛藤してたのか!」とクールで強いだけじゃない清居の魅力がこれでもかっと詰まってて、ニヤニヤしながら読んでしまいました。好きなシーンはたくさんあるんだけど、2人がはじめてキスする場面の描写がすごく良かったです。認識が完全にすれ違ってるところがまた面白いんですけどね。

フジミヤさんのレビュー

4.凪良ゆう『わたしの美しい庭』屋上庭園で浴びる風のように爽やかな短編集

わたしの美しい庭
凪良ゆう『わたしの美しい庭
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あらすじ

小学生の百音は、血のつながらない統理と2人で暮らしている。毎朝、同じマンションに住む路有がやってきて、3人で朝ご飯を食べる。路有は同性が恋愛対象の男の人だ。百音たちが住むマンションの屋上は庭園になっていて、奥には「縁切り神社」があり、統理がそこを管理している。神社は地元の人から親しまれていて、心に”いろんなもの”が絡んでしまった人がやってくるのだった。

おすすめのポイント!

「こうでなくちゃいけない」「これが当たり前」といった考え方をまっさらにしてくれる、みずみずしく暖かい物語です。世間一般の価値観や基準から少し外れたところにいる人々の日々を、軽やかに描き出しています。繊細な心模様を巧みに言語化する凪良さんの文章力を存分に味わえる作品です。登場人物がみな個性的で、行間からくっきりと立ち上がるキャラクター造形の深さも本作の魅力だといえるでしょう。忙しい毎日の中で、ふっと心を柔らかくほぐしてくれる、オアシスのような作品となっています。

大好きな「流浪の月」の凪良ゆうさんの作品ということで手に取って読んだ一冊。百音、統理、路有、桃子、基。それぞれの人物が、それぞれの悩みや過去を抱えながら、それぞれの幸せを持ってる。何にも縛られない幸せの形に、なんだか読んだ私まで幸せな気持ちになりました。百音たちの未来に幸あれ。

優さんのレビュー

5.凪良ゆう『神さまのビオトープ』読み終わったときにタイトルの意味がわかる感動の短編集

神さまのビオトープ (講談社タイガ)
凪良ゆう『神さまのビオトープ (講談社タイガ)
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あらすじ

高校の非常勤美術教師をしているうる波には、秘密がある。事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしていることだ。毎日2人分の食事を作り、「鹿野くん」と会話もする。けれど、このことは誰にも秘密だ。ところが、大学の後輩で恋人同士の佐々と千花に秘密がばれてしまった。ほどなくして、佐々は不審な死を遂げる。遺された千花には何か事情があるようで……。

おすすめのポイント!

「人には言えない秘密」「誰にも共感されない幸せ」といったテーマで描かれる短編集です。事故死した夫の幽霊と暮らす女性、ロボットの親友と深い絆で結ばれた少年など、世間一般の価値観とは少し外れたところで穏やかに暮らす人々が描かれています。本作を読んで強く感じるのは、「幸せは人それぞれ」ということ。誰にも自分の幸せを追求する権利があると、しみじみ思わされる1冊です。凪良さんの柔らかな筆致が心地よく、先へ先へとページをめくる手が止まらなくなります。

うる波ちゃんとうる波ちゃんと関わった人たちの愛の形は、どの愛もちょっとゆがんでいて、切なくとても愛おしかった。こういう物語大好き。「流浪の月」がとても良くてこちらも購入しましたが、凄く良かったです。

よみこさんのレビュー


凪良さんの作品は、柔らかな筆致で描かれる繊細な人間ドラマが魅力です。今回は深い余韻と感動を味わえる珠玉の名作を集めました。凪良さんの作品を未読の方は、ぜひこの機会に手に取ってみてくださいね!