こんにちは、ブクログ通信です。
名取佐和子さんは、シナリオライターであり小説家です。大学卒業後、ゲーム会社に就職し、国内外で人気を集める「テイルズシリーズ」などのシナリオを担当しました。2010年に小説家としてデビューし、2015年に『ペンギン鉄道なくしもの係』で「エキナカ書店大賞」を受賞します。その後は「金曜日の本屋さんシリーズ」など数々のヒット作を刊行し、人気作家としての地位を盤石なものとしました。
今回は、そんな名取さんの作品の中から、特に人気の高い5作を紹介いたします。ブクログユーザーさんからも高い評価を集める、ハートフルな物語を集めました。
ぜひこの機会に本棚に加えてみてはいかがでしょうか?
1.名取佐和子『図書室のはこぶね』本好きの心にまっすぐに刺さる青春ミステリー

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あらすじ
野亜高校の北校舎4階には、窓の外に絶景が広がる図書室がある。女子バレー部のエース・花音は、期間限定の図書委員として、図書室に初めて足を踏み入れた。仕事仲間の朔太郎と共に片付けをしている最中、10年前に貸し出されたままだったケストナーの『飛ぶ教室』を発見する。それは、一冊の本に秘められたドラマが動き出すきっかけとなるのだった……。
おすすめのポイント!
窓の外に海が広がる絶景パノラマの図書室。本好きな人にとって、このシチュエーションだけでもうグッときてしまうことでしょう。本作では、そんな素敵な図書室を舞台に、図書委員の高校生たちが本を巡る謎解きに挑みます。学校の一大行事である体育祭を控えてどことなく浮足立つ空気と、そこに溶け込めない一部の生徒たち……その対比は、誰もがなんとなく覚えのある青春の一シーンだといえるでしょう。懐かしくて少しもどかしい気持ちになる、みずみずしい青春ミステリーです。
学園小説?恋愛小説?推理小説?色んな要素を持ったお話でした。怪我の為、体育祭に参加できなくなった百瀬が友人の代わりに1週間図書委員に‼「飛ぶ教室」の本に挟まっていたメモの真実を探りながら、今までの体育祭での土ダンを改革すべく、相手の事を思いやる気持ちの百瀬と朔太郎が素敵でした。ちょっと悲しい事も出てきたけど、「生きてるから生きる」生きるって大事だなと実感できたお話しでした。お話しの中に出てきた「飛ぶ教室」を読んでみたくなりました。
2.名取佐和子『銀河の図書室』宮沢賢治作品と高校生の心模様がリンクする感動作

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あらすじ
県立野亜高校の図書室で、宮沢賢治を研究する弱小同好会「イーハトー部」。部員の高田千樫は、部長の風見先輩に引っ張られるようにして入部を決めた。ところが、肝心の風見先輩は修学旅行後から不登校だ。残された部員たちは、賢治が残した言葉や詩、『銀河鉄道の夜』を通して先輩の「謎」を追い始めるが……。
おすすめのポイント!
『図書室のはこぶね』の続編にして、宮沢賢治好きにはたまらない青春小説です。三人の高校生たちが、宮沢賢治の作品を精読することで、それぞれの悩みや葛藤に向き合ってゆく姿を丁寧に描いています。賢治の残した言葉の一つ一つが、高校生たちの不安定な心に影響してゆく様は、「本を読む」という体験の本当の意味を体現しているかのようです。賢治が問いかけた「本当の幸いとはなにか?」という質問に、高校生たちがそれぞれに出した答えとは何だったのか、ぜひご自身の目で確かめてみてください。爽やかな余韻を感じられる、心震わす感動作です。
なんとなく評判いいようなので読んでみた高校を舞台にした青春小説。だんだんいいなと思ってきて、最後には感動でした。宮沢賢治、そんなに読んでないし、読んだのもずっと昔だけど、それでもいい話だった。この高校を舞台にした作品前にもあったようで、読んでみよう
3.名取佐和子『文庫旅館で待つ本は』膨大な蔵書を持つ老舗旅館を舞台に、名作小説と人生が交錯する。

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あらすじ
凧屋は戦前から続く小さな旅館で、別名「文庫旅館」とも呼ばれている。館内の図書スペース「海老澤文庫」が名物だ。そこには、かつての常連・海老澤氏が寄贈した膨大な蔵書が揃っている。若女将の丹家円(たんげ・まどか)は、独自の嗅覚で宿泊者にいま必要な物語がわかるのだという。円がおすすめする一冊は、訪れる人々の人生を動かし始めて——。
おすすめのポイント!
古びた旅館、膨大な蔵書を持つ図書スペース、謎めいた若女将……いかにも想像力を掻き立てられる言葉のオンパレードなこの世界観は、本好きにとって読まずにはいられない一冊だと言えるでしょう。ちょっとノスタルジックでミステリアスな旅館を舞台に描かれる、誰もが知る文豪の名作と、その作品によって人生が少しだけ変わってゆく人々の姿に惹き込まれます。居心地の良い旅館で過ごすひと時のような、格別な読書体験ができる作品です。
本に対して不思議な性質を持つ若女将の営む旅館を舞台にした連作短編集。どの話も一つ一つとても良くて、まさかそれが五冊目にしてあんな風に結び付きあっていくとは。という驚きの展開のある本だった。不思議なものの見える子どもとその母である人の話がよかったなぁ。すばらしく強い母。
4.名取佐和子『金曜日の本屋さん』本好きの憧れが詰まった不思議なお店を舞台にしたライトミステリ―

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あらすじ
「読みたい本が見つかる本屋」について、ネット上の噂を目にした大学生の倉井史弥。病床の父に返すはずの本を失くしてしまい、藁にもすがる思いで、噂の書店〈金曜堂〉を訪ねたのだった。そんな彼を出迎えたのは、底抜けに明るい女店長・南槇乃だ。倉井は南に一目惚れしてしまい、バイトとして雇ってもらうことになるが……。
おすすめのポイント!
「読みたい本が見つかる本屋」そんな夢のような本屋があったら、ぜひ行ってみたいですよね。本作ではそんな素敵なお店を舞台に、本と、それを読む人との出会いにスポットを当てた物語が展開してゆきます。個性豊かな登場人物たちも、本作の魅力の一つです。彼らの口にするセリフがまた名言ばかりなので、ぜひじっくり読んでみてください。作中では新旧様々な名作小説が取り上げられるため、きっと、まだ読んだことのない名作との出会いも楽しめますよ。
2016年刊。シリーズ第1作。書店が舞台なのはタイトル通りだが、立地と設備が特異だ。ファンタジーか?と思うほど突飛だが、現実的とも言える理由付けが有る点が返って面白い。登場人物達もじつにアニメ的な個性の強い面々で、人によっては受け付けないかも…。結構泥臭い人間的な面も描いていながら、鬱陶しいストレスは余り感じない。ファンタジックに見えながら、実は洞察・推論で展開していく辺りも面白い。
5.名取佐和子『ペンギン鉄道なくしもの係』イケメン駅員とペンギンのコンビが織り成すハートフルストーリー

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あらすじ
大和北旅客鉄道波浜線の遺失物保管所、通称・なくしもの係。そこは、電車での忘れ物を保管する場所だ。訪れる人を迎えるのは、赤い髪のイケメン駅員と白い帯模様が目を引くペンギン。人々は不思議なコンビに驚きつつも、なくしものと一緒に、自分の中に眠る忘れかけていた大事な気持ちを発見することになるのだった。
おすすめのポイント!
本作の最大のおすすめポイントは、なんといってもペンギンです。「なぜ駅にペンギンが?」という当たり前の疑問をよそに、作中でちょこちょこと登場するその愛らしい姿にきっと誰もが夢中になってしまうはず。本作には4つの物語が収められていて、少しずつつながっているところにもご注目ください。最後のお話で様々な謎が明らかになる展開の巧みさが光ります。全編を通して優しい空気が流れる作品で、読後には心がホッと温かくなることでしょう。
なぜ、ペンギン?荒唐無稽な設定…と思いきや、最後に種明かしが‼︎そして、前章の纏めも入れてきっちり終わらせてくれた感じなので、細かい事は気にせずハッピーエンドを味わうことにします。
名取さんの作品は、ごく普通に暮らしている人々の心の機微を丁寧にすくい上げる、柔らかなストーリーが魅力です。
読み終わると心が温かくなる、そのハートフルな世界観をぜひ一度体験してみてください!


