夏川草介さん作品5選!~命と向き合う感動を描いた人気作選~

こんにちは、ブクログ通信です。

夏川草介さんは信州大学医学部医学科を卒業後、医師として勤務するかたわら、2009年に『神様のカルテ』で第10回「小学館文庫小説賞」を受賞し作家デビューしました。その後も医師と作家の兼業を続け、地方医療の現状に切り込んだ作品や幻想ファンタジーなど、幅広いジャンルで小説を発表し続けています。

今回は、そんな夏川さんの作品の中から、はじめての人にもおすすめの人気作を5つ紹介いたします。美しい情景描写と魅力的な人物が魅力の夏川作品を、ぜひこの機会に手に取ってみてくださいね。

夏川草介さんの作品一覧

1.夏川草介『神様のカルテ』地方医療の現実を描いた著者代表作

神様のカルテ (小学館文庫)
夏川草介『神様のカルテ (小学館文庫)
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

29歳の内科医・栗原一止は、「24時間、365日対応」がモットーの信州にある病院で働いている。医師不足で常に激務の職場だ。ある日、母校の信濃大学医局から誘いの声がかかる。大学に戻り最先端の医療を学ぶか、死に直面した患者のために働き続けるか……。悩む一止の背中を押したのは、高齢の癌患者からのとある贈り物だった。

おすすめのポイント!

本作は、2009年に第10回「小学館文庫小説賞」を受賞した著者デビュー作です。医師であり作家でもある著者ならではの、医療現場の臨場感あふれる描写が見どころとなっています。地方の医師不足問題に深く切り込んだ本作は、医療の目指すものは何か、医師の在り方とは……といった問題を読者に投げかけます。その一方で、人情味あふれる文章が心をじわっと温かくしてくれる感動作でもあるのです。櫻井翔さん主演の映画、福士蒼汰さん主演のドラマもぜひ併せてご覧ください。

終始読んでいて心地良かった。最初の方は主人公の毒づくセリフや登場人物の滑稽なキャラクターに笑わされていたが、終盤は感動の展開だった。医師という職業が大変なのは知っていたつもりになっていたが、こんなにも「体力」「知力」「精神力」が要求されるものだとは思わなかった。自分には到底務まらないなと思わされた。しかもこの著者は医師をしながらその傍らで小説を執筆するなんてどんな体力オバケなのか。少子高齢社会の今、AI医療が発達し、少しでも医師の負担が減るようになればいいと思うし、自分自身も感染症等に負けない身体作りに努めていきたい。

わらさんのレビュー

2.夏川草介『スピノザの診察室』京都の街を散策している気分を味わえる地域医療ドラマ

スピノザの診察室
夏川草介『スピノザの診察室
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

京都の原田病院に勤務する内科医・雄町哲郎は甥と二人暮らしだ。シングルマザーだった最愛の妹が若くしてこの世を去り、一人残された甥である。将来を嘱望された「凄腕の医師」だった哲郎だが、激務の大学病院ではなく町医者として働く決意をしたのだった。そんな哲郎の元に、准教授の花垣が愛弟子・南茉莉を研修と称して送り込んできて……。

おすすめのポイント!

2024年「本屋大賞」ノミネート作。東京の大学病院から京都の地域病院へとやってきた「凄腕」の医師を主人公にした、心温まるヒューマンドラマです。終末期医療に携わる医師と、死に向き合う患者たちとの穏やかな日々が描かれています。本作の見どころは、「魅力あふれるキャラクター」です。主人公の哲郎をはじめ、登場人物の一人一人がみな素敵なのでついつい感情移入してしまいます。また、叙情豊かな京都の街並みとたくさん登場する甘味にもご注目ください。

優しくて穏やかな空気を保ったまま、人の生き方と逝き方を考えさせられる。京都の歴史ある町並みを私は観光地としてしか知らないけれど、そこに暮らし生活する人々がいて、ゆっくりと天寿のまとっとうを待つひとがいるんだという当たり前のことを今更ながらに感じた。何度も出てくる京都の銘菓を、私も食べてみたい。

riekoさんのレビュー

3.夏川草介『本を守ろうとする猫の話』読書の真髄に迫る新感覚のファンタジー長編作

本を守ろうとする猫の話
夏川草介『本を守ろうとする猫の話
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

一介の高校生である夏木林太郎は、書店を営む祖父と二人で暮らしてきた。しかし、祖父の急死により林太郎の生活は一変する。面識のなかった伯母の元で暮らすことになったのだ。本の整理をしていた林太郎は、ある日、書棚の奥で不思議なトラネコと出会う。人間の言葉を話すそのネコは、本を守るため林太郎の力を借りたいと言い出して……。

おすすめのポイント!

著者初のファンタジー長編作品である今作は、夏川版『銀河鉄道の夜』とも呼ぶべき、幻想的で哲学的な物語です。「本の世界の危機」を救うため、高校生の林太郎はトラネコに導かれるまま4つの迷宮に挑みます。作中で問いかけられる「何のために本を読むのか」「本を愛するとはどういうことか」、といったテーマは多くの人の心に刺さるはずです。ブクログユーザーさんにとって必読ともいえる本書を、ぜひ手に取ってみてくださいね。

自分は青春小説のように読んだけど、より読書家が読むと違った面白い印象を受けるかもと思った。巻末の「解説」に作者の熱意を感じさせられた。本を読むことを大切にしたいと思った。

サクさんのレビュー

4.夏川草介『始まりの木』日本古来の巨木信仰をテーマにしたちょっと不思議な民俗学小説

始まりの木
夏川草介『始まりの木
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

国立東々大学の学生である藤崎千佳は、文学部所属で民俗学を専攻している。指導教官の古屋神寺郎は、足が悪いことをものともせず日本全国へフィールドワークに出かける優秀な民俗学者だ。古屋はフィールドワークを通して、「現代日本人の失ったもの」を藤崎に問いかける。学問と旅をめぐる不思議な冒険が、今、始まる——。

おすすめのポイント!

「民俗学ってどんな学問だっけ?」……そんな疑問が浮かんだ人は絶対に手に取るべき一冊です。医療小説のイメージが強い著者が民俗学をテーマに据えた本書は、巨木信仰を軸に、民俗学の醍醐味に迫った力作です。民俗学者のフィールドワークを通じて描かれる日本各地の風景も本作の見どころの一つとなっています。民俗学の奥深さ、全国を旅するような楽しさを味わえる、一冊にいくつもの魅力が詰まった小説です。

医療小説が多い小説家だが、今回は民俗学がテーマ。巨木や石などに昔から神が宿っている。経済的には豊かになったのかもしれないけど、その分、私たちの心は貧しくなったのではないか。正直最初はとっつきにくかったけど、読むに連れてじわじわと心に染み渡るようでした。もしかしたら、医療と民俗学は、真逆に思えるけれど、どこか通ずるところがあるのかもしれない。

kasumi-souさんのレビュー

5.夏川草介『勿忘草の咲く町で ~安曇野診療記~』高齢者医療の現場で花開く恋と成長の物語

勿忘草の咲く町で ~安曇野診療記~
夏川草介『勿忘草の咲く町で ~安曇野診療記~
ブクログでレビューを見る

本棚に追加する!

あらすじ

看護師の月岡美琴は、梓川病院で働き始めて3年目を迎えた。小規模病院なので患者は高齢者が多い。 特に内科病棟は、まるで高齢者の介護施設のような状態だ。その内科へ、研修医・桂正太郎がやってきた。くたびれた風貌をしていて、花にはやたら詳しいが、どこかつかみどころがない。美琴は桂と共に、患者たちの生と死に向き合ってゆく……。

おすすめのポイント!

高齢者医療の現場をリアルに描いたお仕事小説です。現役医師でもある著者だからこそ描ける、きれいごとでは済まない実情が丁寧に描写されています。時に切なく、時にシビアな医療の現場が描かれているため、読者の心も揺さぶられる作品です。しかし、安曇野の美しい風景や登場人物たちの恋模様、命に向き合うひたむきな姿などが、癒しを与えてくれます。「よく生きるとはどういうことか」という問いを投げかけてくる、深い余韻を残す一冊です。

高齢者医療がテーマ。この歳になると、いろいろと感じるものが多い作品。親が癌で亡くなった時、急性期病院から退院させられ、病院で死ぬことも難しい時代になってだなぁと感じでいたので、感動する話ばかりであった。魅力あるふたりの主人公の続編を大いに期待してます。

やんやんさんのレビュー


夏川さんの作品は、医師ならではの経験や死生観が散りばめられた胸に迫る名作揃いです。今回ご紹介した5作品は、特に温かな感動が味わえる作品ばかりなので、ぜひこの機会に読んでみてくださいね!