目の前の扉を開こう!新しい出会いや挑戦を描いた小説10選!【前編】

こんにちは、ブクログ通信です。

温かくなってくると、何か新しいことに挑戦したい、新たな出会いが欲しい!とワクワクした気持ちになりませんか。そこで今回は、新たな出会いやスタート、挑戦をテーマにした小説を選びました。

ブクログのみなさんに、出会いや挑戦が題材の小説のなかから、とくにオススメの10作から前編5作品を紹介いたします。多数の作品の中から、爽やかな風の吹くような青春を描いたもの、ディープな関係を綴ったものまで集めました。春は出会いと挑戦の季節。小説との出会いが、人生を変えることもあるかもしれませんね。

1.七月隆文『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』時間は有限。だからこそ二人は、恋をするために出会う

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)
七月隆文さん『ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)
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あらすじ

京都の美大に通う高寿は、通学電車で一目惚れした。直感に従い声をかけ、帰り際、「また会える?」と訊くと、彼女は急に泣き出してしまう。翌日、再会した二人はすぐに交際することになり、初めてのデート、初めての手繋ぎと順調に関係を深めていく。しかし、小さな違和感は次第に決定的なものとなり、高寿は彼女からある秘密を明かされる。その日をきっかけにすれ違うように見える二人の関係は、端と端で輪になり結ばれていく。

オススメのポイント!

SFの要素も盛りこまれたベタ甘×切ない恋愛小説です。涙もろい彼女ですが、秘密を知ると涙の意味が痛いほどわかり、もらい泣きしてしまいます。語るような文体でスラスラ読み進められますが、仕掛けが散りばめられ、緻密に設計された作品です。読了後にはタイトルやカバーイラストも読了後の意味もわかり、理解がグッと深まります。2016年には福士蒼汰さん、小松菜奈さんのW主演で映画化され大きな話題となりました。

七月隆文さんの作品一覧

普通の恋愛小説だなと最後の方までは思っていました。しかし、いつもどこかおかしなタイミングで涙を流す彼女の秘密とタイトルの意味が一致したとき、自分も自然と涙がこぼれていました。本を読んで泣いたのは初めてです。そして、この本は真実を知ってからまた読むと、よりいっそう泣けます。私は2回目の方が泣いたかもしれません。何度でもこの純粋なラブストーリーを読みたくなります。

のあさんのレビュー

2.川上弘美『センセイの鞄』語りは淡々、中身は特濃。第37回谷崎潤一郎賞受賞作

センセイの鞄 (文春文庫)
川上弘美さん『センセイの鞄 (文春文庫)
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あらすじ

37歳のツキコは、駅前の居酒屋で高校時代のセンセイと再会する。肴の趣味や人との距離の取り方が似ている二人は、いつしか店でばったり会う呑み友だちとなる。以来、市へ行ったりキノコ狩りへ行ったりするなかで、ツキコは少しずつ自分の切なる想いに気づく。だがセンセイは近づければ近づくほどに遠くなるようで、漠として掴めない。憎まれ口の応酬と穏やかに燃えあがる心の炎が対比をなす、純粋で狂おしい愛の名作。

オススメのポイント!

出会いにはいろんな形があります。ツキコとセンセイの出会いは、再会という形に見えて実は、対等な人間としての新しい出会いともいえます。酒の肴のように、噛めば噛むほど味の出る二人の会話は読んでいて微笑ましくなるでしょう。季節の食材を使った料理がたくさん出てくるのも魅力。センセイが肌身離さず持っている鞄の行方について書かれた文章には、思わず落涙してしまいます。安定感のある文章美の、成熟した大人の小説です。

川上弘美さんの作品一覧

とても愛おしくて、泣きたくなる気持ちになる。自由な二人。夜。言葉とお酒。素敵な距離感。インテリで風変わりなセンセイも、センセイの前で子供になれたツキコさんも、静謐でかわいらしくて、笑えて、良い小説でした。テーマとか、下手したら私の苦手な種類の小説になりかねないところを、著者の手腕による絶妙なバランスで、とても好きになりました。本質的だから私はこの物語が好き。

小説という閉じられた時間のなかで、二人がずっと幸せに居てほしいと願ってしまう。

ねこのきまぐれさんのレビュー

3.北川恵海『ちょっと今から仕事やめてくる』会社やめますか?それとも命捨てますか?

ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)
北川恵海さん『ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)
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あらすじ

就職難の末、中堅の印刷会社に就職が決まった隆が喜んだのもつかの間、そこはブラック企業だった。勤めて一年のうちに喜びや楽しみを感じることを忘れ、罵倒されながらも毎日働くだけの労働者になってしまった隆は、ある日、線路への飛びこみを試みる。しかし、同級生・ヤマモトを名乗る男に命を救われ……。働くだけの毎日に嫌気が差した全ての人に贈る、累計発行部数70万部超えの人生応援ベストセラー小説。

オススメのポイント!

傍から見ると逃げ道があるのに、自分事になると視野が狭くなってしまい、追い詰められてしまうということはよくあります。本作は、そんな状況に陥った人でも、何度でもやり直し、新たなスタート切ることができる、逃げることは恥ではなく、失敗は終わりではないということに気づかせてくれます。第21回電撃大賞電撃小説部門〈メディアワークス文庫賞〉受賞作。2017年には実写映画化、2019年には舞台化も果たしました。

北川恵海さんの作品一覧

人生の勝ち組負け組ってなんだろうか。毎日毎日、辛い思いしてでも大企業に勤めることが
勝ち組?フリーターでも人生を謳歌できている人が勝ち組?
答えは人それぞれ。しかし自分の人生、自分の生き方に満足できている人が結局は勝ち組なのでは、と思った。最後はすかっとしました。

パドルさんのレビュー

4.平田オリザ『幕が上がる』劇作家の鋭い眼差しと静かな筆致で紡がれる、高校演劇物語

幕が上がる (講談社文庫)
平田オリザさん『幕が上がる (講談社文庫)
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あらすじ

とある弱小演劇部。かつて「学生演劇の女王」と呼ばれ、小劇場で一躍有名人となった吉岡は、新任教員としてその公立高校に赴任し、演劇部の顧問を任された。地区大会で三番以内に入り、県大会へ進むことが目標だという生徒たちに対し、吉岡は「行こうよ、全国大会」と焚きつける。稽古浸けの日々が始まり、その努力は全て、一発勝負の大会の舞台に注がれる。学生生活の淡くきらめく日常と弾けるような若さが美しい青春演劇小説。

オススメのポイント!

劇作家として大成されている平田オリザさんの小説処女作です。弱小で当たり前だった部活が、吉岡との出会いで大きな目標と挑戦の日々に翻るシーンがとても鮮やかです。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を題材に吉岡や高校生たちが舞台作りをしていく過程が丁寧に描かれ、役者や演出家の苦悩をともに体験することで、大会本番の舞台の緊張が読者にも伝わってきます。2015年、映画化。第39回日本アカデミー賞話題賞等、多数受賞。

平田オリザさんの作品一覧

演劇にかける高校生たちの熱量がひしひしと伝わってきました。舞台関係の人しか感じることが出来ない緊張や、静寂、感嘆、澄んだ空気みたいなものを私は現実に体感することが出来ないのだろうけど、すごくその場に居たい気持ちになりました。ラストの疾走感がくせになります!

ひよさんのレビュー

5.スティーヴ・ハミルトン『解錠師』臨場感溢れる解錠シーンはもはや芸術の域!

解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
スティーヴ・ハミルトンさん『解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
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あらすじ

八歳のときの、あるできごとをきっかけに、マイクはまったく言葉を発することができなくなってしまった。トラウマを抱え孤独な少年期を送るマイクは、絵と解錠、二つの才能を開花させていく。初めは退屈しのぎのお供だった錠前は、いつしかマイクの人生を大きく狂わせ——。苦悩に満ちた少年の語りは、決して声にならないからこそ、饒舌である。淡い恋と犯罪。一人の少年の光と影を見事に描ききった傑作海外ミステリ。

オススメのポイント!

開錠とは(どんな手を使ってでも)鍵を開けること。解錠とは壊さずに鍵を開けること。『The Lock Artist』という原題からもわかるように、解錠の描写は一種の芸術として描かれます。危険な世界を垣間見るスリルだけでなく、恋愛小説としても抜きん出た秀作。世界のミステリ賞を獲得し、日本でも、2012年週刊文春ミステリー海外部門で第1位、このミステリーがすごい!2013年版海外編で第1位となった話題作です。

スティーヴ・ハミルトンさんの作品一覧

淡々と、でも緊迫感を持って進むストーリー。2つの時間を行ったり来たりするが、両者ともストーリーはまっすぐ進むので、訳が分からなくなることもなくとても読みやすい。謎ときより、原題どおりLock Artistの描写や、心理、または恋愛モノとして、秀逸。

llamasさんのレビュー

人生には多くの出会いと挑戦があります。上記前編5作を参考に、部活・仕事・恋愛など、気になるテーマのものから読み進めてみてはいかがでしょうか。新たな小説との出会いが、人生を豊かにする一助となれば幸いです。後編5作はこちら!