こんにちは、ブクログ通信です。
「今日はライトな本を読みたい」と思う日もありますよね。そんなときぜひ手に取って欲しいのがエッセイです。作者の何気ない日常やちょっとした物思いを、気の向くままにしたためたエッセイは、小説とはまた違った魅力にあふれています。
そこで今回はブクログから、今注目すべきエッセイを5作ご紹介します。人気作家によるエッセイから、リラックスタイムにぴったりのおもしろエッセイまで、読んで悔いなしの傑作選です。空き時間の読書にもおすすめの極上のエッセイをお楽しみください。
1.西加奈子『この話、続けてもいいですか。』 読む場所注意!西加奈子さんの赤裸々すぎるエッセイ
あらすじ
テヘラン生まれカイロ育ちの著者が綴る、世界との関わり方と楽しみ方。小説の舞台となった大阪で過ごした日々や、いろいろな人との出会い、何気ない日常のことなどを縦横無尽に語る。『ミッキーかしまし』『ミッキーたくまし』をテーマ別に再編集しまとめた、著者唯一のエッセイ集。
おすすめのポイント!
『さくら』や『漁港の肉子ちゃん』などで知られる、人気作家・西加奈子さんのエッセイです。西さんはイランの首都・テヘランで生まれ、小学校時代をエジプトのカイロで過ごしました。その後帰国し、大阪で青春時代を過ごします。そんなユニークな生い立ちの西さんが、大阪弁全開のテンポ良い文章でつづる日常は、面白くないわけがないのです。まるで居酒屋で西さんとお酒を飲みながら、日々の体験談や失敗談、思ったことや気になったことなどを気の向くままに聞かされているような、そんな親しみやすいエッセイに仕上がっています。
本当に面白い。西加奈子大好き。なんでこんなに惹かれるのかって、面白いことはもちろんのこと、本当に素直で全力だからだと思う。エッセイ読むだけで西さんの日常がアリアリと見えてくるような、一緒に飲みに行ったことがあるかのような、そんな気さえしてくる。もう、本当にどれもこれも面白いんだけど、「アネモネ」の美しさと「覚えてない」の正直さには涙でそうになる。
2.ヨシタケシンスケ『思わず考えちゃう』 なぜか気になる「あるある」に、ついつい笑える1冊
あらすじ
電車で、家の中で、カフェで……なんでも「ついつい考えすぎちゃう」という絵本作家ヨシタケシンスケ氏。真面目なことからどうでもいいことまで、その都度書き留めてきたスケッチを、著者自ら解説します。「仕事のピンチを乗り切るには?」「他人のストローの袋が気になる」「明日、すごいやる気を出す方法」など、もしかしたら生きるヒントになるかもしれない(?)メッセージが詰まっています。
おすすめのポイント!
『りんごかもしれない』『りゆうがあります』など、子供のような素直な視点で日常を切り取る絵本作家・ヨシタケシンスケさんのエッセイです。ヨシタケさんがこれまで描き溜めてきたイラストを、自身で解説するという形式が見どころとなっています。イラストを見ているだけでも楽しいですが、ヨシタケさんの軽妙な文章が添えられることでユーモアが増し、ついついクスリとさせられます。ヨシタケさんの頭の中をのぞいている気分になれる、楽しい1冊です。寝る前の読書にもおすすめですよ。
ヨシタケシンスケさんの思考とっても好き。人生で起こること全てを背負い込みすぎずに、適度に楽な考えをして逃してやる、そんな感じ。それと、全ての物事に対して疑問を持ち続けたいとも思った。子どもの頃のなんでなんで星人の精神をずっと持ってたい。
3.朝井リョウ『時をかけるゆとり』 爆笑注意!天与の観察眼で切り取る「ゆとり世代」のリアル
あらすじ
『何者』で戦後最年少の直木賞受賞者となった著者による初エッセイ。上京の日々やアルバイトのこと、夏休み、就職活動……そして社会人になった著者は、何を見て何を感じたのか。「ゆとり世代」が「ゆとり世代」を客観的に捉えたとき、そこには切ないおかしみが生まれるのだ。”圧倒的に無意味な読書体験”をあなたに——!
おすすめのポイント!
『桐島、部活やめるってよ』で鮮烈な作家デビューを果たし、『何者』で戦後最年少となる第148回直木賞を受賞した朝井リョウさん。本作は、そんな朝井さんが初めて発表したエッセイです。子供時代のエピソードから、学生時代のやらかし話、家族や友人との面白おかしいやり取りなど、朝井さんを構成するさまざまな要素がユーモアたっぷりに綴られています。にわかには信じがたいエピソードが多く収録されており、読み進めるほどに笑いが止まらなくなる恐ろしい1冊です。ぜひ読む場所にはご注意ください。
自分の年表をこうも面白くかけるものなのか。エッセイはなんだか自分語りを延々と読むような気がしていて、今まで読もうと思えなかったのだが。読んでみて、あら不思議、こんなにニヤケながらもう一度読みたいと思えるものなんだと気付かされた。物の見方も、表現の仕方も人それぞれで、こんな風に表現できるようになりたいなと感じた。とても面白い。
4.こだま『ここは、おしまいの地』 読むと勇気をもらえると評判の話題作エッセイ
あらすじ
山奥の辺鄙な集落で育つ、1人の少女がいた。持病を抱え、容姿にコンプレックスがあり、暗くて内気な彼女に友達は1人もいなかった。家は何度も空き巣に入られ、訪問販売の餌食だった。そんな少女は、教師になりたいという夢を持つ——。見事なまでに災難に巻き込まれる著者の半生をありのままに綴った、心に響く自伝的エッセイ。
おすすめのポイント!
著者のこだまさんは、2017年に作家デビューしました。夫との生活を綴った自伝が話題となり、メディアミックスも多数果たしています。本書では、そんなこだまさんの他に類を見ないほど個性的な人生が、軽やかな語り口で明かされています。ごく普通に生きているのに、なぜか次々と災難に巻き込まれてしまうこだまさんの、壮絶な人生が描かれた1冊です。苦労続きに見える人生を常に前向きに生きるこだまさんの清々しい姿勢に、きっと誰もが勇気をもらえることでしょう。時に笑えて時に感動する、心揺さぶるエッセイです。
不幸自慢にならないところが素晴らしい。客観的な目で綴られているから重たいこともどこか可笑しみがあってクスッと笑える。「傘」が沁みました。
5.星野源『蘇える変態』 死の淵から生還!星野源の怒涛の3年間を大公開
あらすじ
音楽、俳優、そして裏方と、活躍の幅が多岐に渡る星野源。アルバムはヒットし、映画や舞台で主演を務め、人気はうなぎのぼりだった。しかし、2012年末にくも膜下出血で入院。手術後数か月で復帰するも、再発のため長期休養を余儀なくされる。「面白いものが作りたい」という一心で、体を顧みず貪欲に仕事に打ち込んできた著者。死の淵から返り咲くまでの、怒涛の3年間を綴ったエッセイ。
おすすめのポイント!
マルチに活躍するアーティスト・星野源さんの2年間を、ありのままに綴ったエッセイです。今でこそ元気に仕事をしている星野さんですが、実は命に係わる大病を経験しました。この本では、仕事の裏側や星野さんの趣味嗜好から、入院時の様子に闘病の記録までが赤裸々に明かされています。一方で、星野さんならではの下ネタトークが多めなエッセイで、ついつい笑ってしまう明るい1冊です。読めばきっと、あなたも星野さんの魅力にハマること請け合いですよ。
病気になる・再発・闘病・手術の前から後までを含むエッセイ。思わず自分がある日こうなったらと想像してしまい、ああちゃんと生きよう、やりたいことやろう、自分の思いを大切にしよう、と思う。
エッセイは、著者の存在を身近に感じられる臨場感が魅力です。今回ご紹介した5冊は、著者の個性があふれ出るユニークなエッセイばかり。ぜひリラックスタイムのお供に、ページを開いてみてはいかがですか?