西尾維新さん作品5選~驚異の執筆スピードで生み出す名作群~

こんにちは、ブクログ通信です。

西尾維新さんは2002年、『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』で第23回「メフィスト賞」を受賞し、作家デビュー。当時のキャッチコピーは「京都の二十歳、西尾維新」でした。ペンネームはローマ字にすると「NISIOISIN」と回文になり、大文字なら図形としても点対称になるなど、言葉や文字に対する感覚がずば抜けた作家です。また、1日に2万字と執筆スピードも速く、多作でも有名。展開、ジャンル、本人の正体すら不明という西尾さんはデビュー20周年を迎え、2022年には記念として新シリーズ第1作『怪盗フラヌールの巡回』を刊行しました。現在、『週刊少年ジャンプ』にて『暗号学園のいろは』を連載中です。

年表にまとめたい程、多作かつシリーズ物の多い西尾作品は、どこから読めば良いのやら……と思い、未読の方も多いそう。今回は、西尾作品ビギナーからファン層まで、特におすすめしたい作品を5作品紹介します。個性豊かな登場人物たちと、膨大な作品群を貫く西尾イズムを、ぜひ体感してみてください。

『西尾維新(にしお いしん)さんの経歴を見る』

西尾維新さんの作品一覧

1.西尾維新『化物語』著者の自信作であり、最多作「物語シリーズ」第一作

化物語(上) (講談社BOX)
西尾維新『化物語(上) (講談社BOX)
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あらすじ

高校三年生の阿良々木暦は、春休みにとんでもない「事件」に巻き込まれて以来、普通の人とは異なる部分を持ってしまった。5月、「事件」を通じて親しくなった羽川翼と文化祭の準備をしていた暦は、病弱なクラスメイト・戦場ヶ原ひたぎの秘密を知ってしまう。秘密をばらさないよう猟奇的な脅しをかけてくるひたぎに対し、協力を申し出る暦。ひたぎから聞いた秘密にまつわる話は、とてつもないものだった……。

おすすめのポイント!

民間伝承のような「怪異」に憑かれてしまった少女達が多数出現します。その原因を探り、影響が出ないよう解消していくのがメインストーリーですが、コメディのような言葉の掛け合いのテンポが良く、恋愛・青春小説としても読み応えがあります。「メディアミックス不可能な作品を」という著者のコンセプトは覆され、2009年よりアニメ化。2018年からは大暮維人さん作画で漫画化を果たしています。漫画版最新作の20巻は2023年1月に刊行。どんな形になっても面白い人気シリーズです。

物語が面白いのももちろんありますが、1人1人のキャラクターが際立って良いと思います。キャラクターの個性が生き生きしてて、どんなキャラクターも好きになってしまいそうです。見所はやっぱりキャラクター同士のかけあいですかね。会話がいちいち楽しいです。笑 とりあえず阿良々木くん、かっこよすぎ。ひたぎさん、かわいすぎ。

vitaminoさんのレビュー

2.西尾維新『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』西尾維新史はここから始まった!

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)
西尾維新『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)
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あらすじ

大学生のいーちゃんは、工学の天才美少女「青色サヴァン」こと、玖渚友の付き添いとして、日本海に浮かぶ「鴉の濡れ羽島」を訪れた。他に招待を受けていたのは、料理・絵画・占術・科学の分野でそれぞれ天才と称されている女性達とその関係者だ。しかし、海に隔てられたこの孤島の密室で、画家・伊吹かなみは首斬り死体となって発見された。いーちゃんは玖渚と共に事件解決に乗り出すが、更なる事件が起こり……。西尾維新のエッセンスが詰まったデビュー作であり、「戯言シリーズ」初作。

おすすめのポイント!

全キャラクターに主人公級の厚みがありますが、人物に読者が感情移入した後で容赦なく殺害。ミステリーでは被害者が記号化されたり、推理のための装置として扱われがちですが、本作では事件そのものが読者の感情を大きく揺さぶります。西尾さんはデビュー前、週一で「メフィスト賞」に応募していた時期もあったそうですが、本作は2ヵ月かけて練り込んだ力作。デビュー20周年インタビューでは、「戯言シリーズ」の中でも別格の重厚さと語っています。2016年にアニメ化。外伝として、「人間シリーズ」や「最強シリーズ」も。

中学生の頃、この本にドハマリしたことをきっかけに、年間100冊以上の本を読むようになった。今思うと本書との出会いが人生を変えた瞬間だったのかもしれない。軽快な語り口で個性的なキャラクター達と繰り広げられる語り部視点の描き方に、読み進む手が止められなかったのを今でも覚えている。コロナ禍で家にいる時間が多くなり、再読した。何度読んでも面白い。

MoonCatさんのレビュー

3.西尾維新『掟上今日子の備忘録』その事件の、存在すら忘れてゆく

掟上今日子の備忘録 (講談社文庫)
西尾維新『掟上今日子の備忘録 (講談社文庫)
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あらすじ

置手紙探偵事務所の所長兼探偵の掟上今日子は、眠ると記憶がリセットされる体質だ。そのため、基本的には一日以内で解けない事件は引き受けないが、並外れた(短期的)記憶力と観察力で、引き受けた事件はたちまち解決に導いていく。「最速の名探偵」「忘却探偵」の異名を持つ彼女に心を寄せているのは、幼い頃から事件に巻き込まれやすく、犯人に仕立て上げられやすい、冤罪体質の隠館厄介。毎回「初めまして」と挨拶される彼の恋は実るのか、そして今日子は事件の概要を忘れる前に解決することが出来るのか。

おすすめのポイント!

2014年に刊行された本書に始まる「忘却探偵シリーズ」では、「物語シリーズ」に見られるようなレトリックやダイアログを抑え、ミステリーに重心を寄せた作品を心がけているそうです。記憶が失われるという一見、ウィークポイントとなりそうな体質を逆手に取った、今日子のユニークな魅力に心奪われます。今日子自身の謎も伏線として張られており、色んな意味で続きが気になるシリーズです。2015年には西尾さんの作品として初めて実写化され、新垣結衣さん主演でテレビドラマ化されました。

記憶が一日しかもたない探偵の掟上今日子さんと、生まれつき事件に巻き込まれやすい隠館厄介くんの関係性が面白くて、今後どうなるのかとても楽しみ。今日子さんの前向性健忘がいつから始まり、記憶が無くなる前は何をしていたのかなど謎なままなので、今日子さんについても気になる。西尾維新の言葉遊びは少なめ?(自分が読み取れてないだけかもしれない)だったけど、とても楽しめた。あとめっちゃ読みやすかった。

いろはさんのレビュー

4.西尾維新『少女不十分』原点回帰でありながら新境地を切り拓いた、ノンシリーズ小説

少女不十分 (講談社ノベルス)
西尾維新『少女不十分 (講談社ノベルス)
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あらすじ

事件は10年前、一人の少女が信号無視でトラックに轢かれた所から始まった。バラバラ死体に目を奪われる人々の中、その友人らしき少女が、ゲームをセーブしてから死体に駆け寄る姿を見て、僕は異様な、不自然な感じがした。後日、鍵を盗まれ自宅に潜んでいたその少女・Uに脅された僕は、そのまま彼女の自宅らしき一軒家に監禁される事に。不自由な一週間の監禁生活は一応の決着を付けるが——。西尾作品の再定義的結末に、胸が熱くなる。

おすすめのポイント!

この本を書くのに10年かかったとも言われる本作には、これまでの西尾作品に通底するテーマの集大成という位置付けがあるように思います。シリーズ物が多い中で、一冊読み切りであることも貴重。異常と正常や、虚構と現実の境目を曖昧にさせる書き口で読者を虜にします。クライマックスも秀逸で、良い意味で「してやられた」という気持ちになるでしょう。正しくなくても、恵まれていなくても、希望を持ち、自分なりの幸せを選んでいけると気付かせてくれる名作です。

私小説のようでありながら、現実味があるのかどうか分からず、現実と虚構が入り雑じりながら進行していくお話。オススメです。

ニーチェさんのレビュー

5.西尾維新『新本格魔法少女りすか』残酷でヘビーな異能バトルミステリー

新本格魔法少女りすか (講談社ノベルズ)
西尾維新『新本格魔法少女りすか (講談社ノベルズ)
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あらすじ

舞台は九州・佐賀。隣県である長崎とは巨大な城門で隔てられ、その往来は管理されている。というのも、長崎県は魔法の国であり、魔法使い達が住んでいるのだ。佐賀県に住む小学生の供犠創貴は「『魔法使い』使い」として、長崎からやってきた「赤き時の魔女」水倉りすかと行動を共にしている。二人はそれぞれの目的を追いながら、悪事を行う魔法使いを倒す「魔法狩り」を行っている。戦いと危機を重ねながら、少年少女は成長してゆく。

おすすめのポイント!

万能の魔法使いである父を探すため、佐賀県にやってきた魔法少女と、心に茨を持つ少年が出会うボーイミーツガール的な展開かと思いきや、暴力的なバトルシーンあり、推理ありと展開がねじれていく、一筋縄ではいかない物語。ダークファンタジーが好みの方に特にハマる作品ではないでしょうか。シリーズを終わらせない作家などと言われることもある西尾作品の中で、「りすかシリーズ」は2020年、13年ぶりに最終作となる第4巻が刊行され、話題となりました。

久しぶりに西尾維新の小説を読んだ。言葉の言い回しが面白いし、何よりも設定やキャラクターの個性も面白い。りすかは血を流して魔法を使うし魔法の国が長崎だったり!それに挿絵もかわいい。

テラ子さんのレビュー


デビュー20周年を過ぎ、益々進化を遂げている西尾維新さん。その作品は、圧倒的な数と濃密な内容から、全てが代表作と言いたくなる程の名作ばかりです。皆さんもぜひこの機会に、西尾ワールドを訪れてみてくださいね。