大崎梢さん作品5選!~初めての方必読のライトミステリー作~

こんにちは、ブクログ通信です。

大崎梢さんは、書店員から小説家デビューを果たしたユニークな経歴を持つ小説家です。デビュー直前まで書店員として働き、その経験はデビュー作をはじめとした作品の数々に活かされています。代表作はデビュー作でもある『配達あかずきん』で、同作を含む「成風堂書店事件メモシリーズ」はメディアミックスも果たしました。

そんな大崎さんの作品の中から、初心者にもおすすめの人気作を5つご紹介いたします。
柔らかな筆致で描かれるハートフルな物語と、「日常の謎」を絡めたライトな世界観が人気の作品を、ぜひチェックしてくださいね。

大崎梢さんの作品一覧

1.大崎梢『配達あかずきん―成風堂書店事件メモ』本好きの心をくすぐる本格書店ミステリーにして人気シリーズ第1作

配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)
大崎梢『配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)
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あらすじ

駅ビルの六階にある書店・成風堂。そこで働く杏子は、ある日男性客から不思議な相談を受ける。「いいよんさんわん」近所に住む老人から託されたという謎の探求書リスト、それが意味するものとは……。しっかり者の書店員・杏子と、勘の鋭いアルバイト・多絵が、書店に持ち込まれるさまざまな謎に取り組む、人気シリーズ第1弾。

おすすめのポイント!

とある書店を舞台にした、人気シリーズ「成風堂書店事件メモシリーズ」の第1作です。著者デビュー作でもある本作は、元書店員の体験を存分に活かしたお仕事ミステリーでもあります。書店の風景やそこで働く本好きの人々、書店に持ち込まれる本にまつわるミステリー……と、ブクログユーザーさんの心をめいっぱいくすぐること間違いなしの作品です。いわゆる「日常の謎」を扱うライトなミステリーなので、ミステリー初心者にも読みやすい作品となっています。

書店での謎を書店員が解く日常の謎ミステリー。やっぱ本に纏わるとか本屋さんとかのお話は好きです。良かった。特に入院してた時に選書してくれた人を探すお話が好きでした。

はやせさんのレビュー

2.大崎梢『クローバー・レイン』「人生を変える本」との出会いを描いた胸が熱くなる物語

([お]13-1)クローバー・レイン (ポプラ文庫)
大崎梢『([お]13-1)クローバー・レイン (ポプラ文庫)
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あらすじ

大手出版社で編集者として働く彰彦は、偶然出会った『シロツメクサの頃』の原稿に感動し、本にしたいという気持ちを強く抱く。著者は「忘れられた作家」の家永だ。しかし、出版業界は、一人の編集者が感動しただけで本をつくれるほど甘くない。大きな実績もなく社内での権力もない彰彦は、『シロツメクサの頃』を世に出すことができるのか?

おすすめのポイント!

出版業界の裏側を垣間見ることができるお仕事小説です。一冊の本ができるまでに、どれだけの人が関わり、どれだけの仕事が連鎖しているのか、つぶさに知ることができます。編集者である彰彦や、「気持ちだけではやっていけない」とする業界の人々、そして作家。一見対立して見えるそれぞれの秘めた想いや、本にかける情熱が丁寧に描かれ、本好きにはたまらない物語です。登場人物に関連する小さな「謎」が、点と点をつなぐように徐々に明らかになる巧みな展開も見どころとなっています。

本は本になった所からしか知らない。本になるまでのドラマにわくわくドキドキしつつ、ままならない親子・家族関係に心を痛め、最後にはほっこり温かい気持ちで読了しました。ポプラ文庫ではなく、ポプラ社から出た単行本で読みました。本に広がるクローバーの野原から降る雨の雫。私はこっちの表紙の方が好き。私も誰かの雨になれたら。

ともこさんのレビュー

3.大崎梢『平台がおまちかね』書店営業の仕事を通してもっと本が好きになる、ライトな書店ミステリー小説

平台がおまちかね (創元推理文庫)
大崎梢『平台がおまちかね (創元推理文庫)
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あらすじ

出版社の新人営業である井辻智紀は、作り手と売り場を結ぶ糸をたくさん鞄に詰め込んで、今日も本のひしめくフロアへと向かっている。ところが、自社本をたくさん売ってくれた書店を訪ねた井辻は、何故か冷たくあしらわれてしまうのだった。さらに、文学賞の贈呈式では受賞者が会場に現れないという緊急事態が……!

おすすめのポイント!

出版社の新人営業・井辻君が、さまざまな出来事に巻き込まれながら成長してゆく姿を描いた、ハートフルな作品です。本作は井辻君を主人公に据えた「出版社営業・井辻智紀の業務日誌シリーズ」の第1作でもあります。書店営業という独特な仕事の実情や出版社と書店の関係、ライバル出版社とのやり取りなど、普段なかなか見ることのできない世界を描いているのが本作の大きな魅力です。また、タイトルにもなっている「平台」をめぐる視点も興味深いので、ぜひじっくりと読んでみてください。

書店が舞台の小説はいくつか読んだけど、営業さん視点は初めて。まだ営業として独り立ちして間もない主人公は前任者の評判に負けじと仕事をこなしていく。誠実でまっすぐな人柄は素直にいいなと思えた。担当店舗がかぶることでよく顔を合わせるという他社の営業との関係も不思議で面白い。ライバルだけど同志みたいな。ミステリー要素もあり、面白かった。

chiaki074さんのレビュー

4.大崎梢『27000冊ガーデン』 高校の図書室に持ち込まれる小さな「謎」を描く青春コージーミステリー

27000冊ガーデン
大崎梢『27000冊ガーデン
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あらすじ

県立高校の図書館で学校司書をしている星川駒子は、偶然居合わせた出入りの書店員・針谷敬斗と共に、とある事件の解決に一役買う。そんな二人のもとには、本にまつわる謎が次々と持ち込まれるようになるのだった。生徒や教師たちと交流し、針谷の力を借りながら事件を解決していく駒子は「図書館が何を出来るのか」を考え始めて……。

おすすめのポイント!

高校の図書館を舞台にした、心温まるコージーミステリーです。主人公・駒子のもとには本にまつわる様々な謎が持ち込まれてきますが、その背景には生徒や教師たちが抱える悩みや、人には言いにくい事情などが見え隠れします。ただ謎を解くだけでなく、生徒たちの心にも寄り添おうとする駒子の気持ちが、胸を温かくしてくれる作品です。本に詳しい著者だからこそできる、一冊一冊の本を通して揺れ動く高校生たちの心模様や人間ドラマを表現する巧みさを、ぜひご自身の目で体験してみてください。

高校の図書館で働く司書の女性が主人公で、ささやかな謎を書店員と解いていくハートフルな物語。謎解きの過程で示される本は実存していて、本好きな私にはそれさえ愛おしい。大崎氏の作品には憎むべき悪人が出ていなくて、彼女の理想を垣間見るよう。作中に出てくる色々な作者の本も中高生が読み易いのを選んであり、沢山の若者に読んで欲しいと思った。

yoshi1004さんのレビュー

5.大崎梢『春休みに出会った探偵は』 一人の少女が出会う謎の手紙と名探偵のハートフルなストーリー

春休みに出会った探偵は
大崎梢『春休みに出会った探偵は
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あらすじ

中学2年生の花南子は、春休みから、曾祖母の五月さんが経営するアパートで一人暮らしをすることになった。父親が海外勤務になったからだ。ところが、五月さんはぎっくり腰で入院してしまう。心細い花南子のもとに、宛先不明の謎の封書が届いた。その謎を調べ始めた花南子だが、偶然出会った”名探偵“によって、花南子の生活は大きく動き始めて……。

おすすめのポイント!

父親の海外勤務に伴い、祖母と暮らすことになった主人公・花南子。そんな花南子が出会う謎の手紙と「名探偵」をめぐる、爽やかでちょっと切ない物語です。中学生で「一人暮らし」をすることになった花南子の境遇は、複雑ではありますが、きっと誰もが一度は憧れたシチュエーションだと言えるでしょう。そこに飛び込んでくる謎の手紙が良い刺激となっています。中学生ならではの感性と好奇心で手紙について調べる花南子にドキドキハラハラさせられ、最後にはじんわり感動させられる作品です。

絶妙な距離感だった探偵がラストに急接近したのに驚いたが納得。それまでのちょっとした違和感も解消されて良い読後感だった。

ともりぶさんのレビュー


大崎さんの作品は、温かな物語と軽妙なミステリーのバランスが絶妙で、読後感の良さも魅力です。
ハードな展開がなくミステリーが苦手な人にも読みやすいので、ぜひこの機会に大崎作品に触れてみてはいかがでしょうか?