こんにちは、ブクログ通信です。
本日11月4日は、「いい推しの日」だそうです。一言に“推し”といっても、アイドルやアーティスト、アニメキャラなど様々ですが、いずれにせよ大好きな“推し”の話となれば、いつどこでも盛り上がってしまいますよね。
今回ブクログでは「いい推しの日」にちなみ、ブクログスタッフの推し小説をご紹介いたします!気になった作品がありましたら、ぜひこの機会に推してみてくださいね!
目次
坂木司『ショートケーキ。』
森見登美彦『四畳半神話大系』
辻村深月『ツナグ』
グレッグ・イーガン『しあわせの理由』
白石一文『私という運命について』
原田マハ『暗幕のゲルニカ』
吉本ばなな『ミトンとふびん』
小川糸『ライオンのおやつ』
桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』
宇佐美まこと『羊は安らかに草を食み』
山崎豊子『沈まぬ太陽』
坂木司『ショートケーキ。』
あらすじ
様々なケーキが世にある中で、不動の人気を誇るケーキといえば「苺のショートケーキ」だ。『和菓子のアン』シリーズなど、甘いものを題材にした作品に定評のある坂木司さんが描く、誰しもの思い出に登場するショートケーキを巡った五つの物語。
ブクログスタッフの推しポイント!
5編からなる連作短編集です。登場するショートケーキの数々がどれも魅力的だったので、読後に思わずショートケーキを食べてしまいました(笑)。
ケーキが好きなので、登場人物のケーキへの思いに頷きながら読んでた。ショートケーキ大好き。シフォンケーキが一番好きです。本もかわいくて好きです。ケーキ屋さんでのインテリアにもなれる本。皆どこかでつながってる。大切な人の事を考えながら一生懸命輝いて生きている。自分の苺の大きさに気づいてない、同じショーケースに入った人たちのお話だった。
森見登美彦『四畳半神話大系』(角川文庫)
あらすじ
京都大学3回生の男子学生の「私」は、薔薇色のキャンパスライフを夢見ながら、無意義な2年間を過ごしてしまった。サークルで出会った小津と過ごす不毛な毎日。小津と出会わなければ、「私」は黒髪の乙女と出会い、薔薇色の人生を送っていたことだろう……。
ブクログスタッフの推しポイント!
アニメーターの湯浅政明さんが好きでアニメを観て、そこから原作を読みました。冴えない大学生を主人公に、個性的な仲間が織りなすパラレルキャンパスストーリーにハマりました。
大学生の薔薇色のキャンパスライフを思い描いていた主人公を体験できる本でした。恋愛というより人間関係の本と考えるととても面白いと思います。四畳半シリーズのメンバーはキャラクターが個性的でミニマムな話でも大きく解釈して面白くしてくれるので好きです。
辻村深月『ツナグ』(新潮文庫)
あらすじ
死者と現世の人間を再会させることのできる「使者(ツナグ)」。彼らは、もう一度死者と会いたいと願う人々の依頼を受け、その願いを叶えるのだった。突然死したアイドルに会いたいと願うOL、癌で母親を亡くした息子、亡くなった親友に罪悪感を抱く女子高生、行方不明の婚約者を待つ会社員……。生者と死者が出会う時、多くの物語が生まれ、始まる——。
ブクログスタッフの推しポイント!
ファンタジーな設定でありながらも、大切な人を失った人々が喪失感や後悔と向き合い、その後どう生きてゆくべきなのか考えさせられる深い作品です。
場合によっては議論を呼び荒れる事もあろう死生観に、ファンタジー的要素を交えながらも真っ向から立ち向かっているこの物語に図らずも引き込まれてしまった。ただ優しいだけではなく、時には厳しい表情も見せる描写はとにかく先を読みたい、と思わせるパワーがあったと思う。自分も何かのきっかけでもう一度会いたい誰かが出来たり、逆にいなくなった後に呼び出してもらえるような日々を過ごしたいなぁ、と思わされた。掛け値なしの良作。
グレッグ・イーガン『しあわせの理由』(ハヤカワ文庫SF)
あらすじ
脳内の化学物質によって感情を左右されることの意味とは?(『しあわせの理由』)、仮想ボールで量子サッカーに興ずる人々の未来を描く『ボーダー・ガード』、事故に遭い脳だけ助かった夫を復活させようとする妻の努力(『適切な愛』)。SF・ファンタジーを対象にした文学賞「ローカス賞」を受賞した、グレッグ・イーガンさんの日本版オリジナル短編集。
ブクログスタッフの推しポイント!
舞台となる世界を理解できるまでに少々辛抱させられますが、一度世界観に入り込めれば、現代社会との対比から目を覚まさせられる感覚を味わえます。
文系にも読みやすい珠玉のSF短編集。「宇宙消失」よりだいぶ楽しめた。不気味な「未来の愛」を描いた『適切な愛』、ホラーな『愛撫』、サイコな『道徳的ウィルス学者』など。SFっぽさとサスペンスが見事にマッチした『血を分けた姉妹』、我々が物質であり化学反応の帰結であることを否応無く意識させる表題作『しあわせの理由』が特に好き。
白石一文『私という運命について』(角川文庫)
あらすじ
大手メーカーの営業部で働く冬木亜紀は、元恋人・佐藤康の結婚式の招待に出欠を迷っていた。そんな中、康との別離後、彼の母親にもらった手紙の存在を思い出した亜紀は、2年越しにその手紙を開いた——。女性にとっての恋愛、結婚、出産、家族、そして死とは?”揺れる10年”と運命の不可思議を鮮やかに映し出す、感動の長編小説。
ブクログスタッフの推しポイント!
一人の女性の10年間を描いた長編小説です。自分自身の人生を共に振り返ってみたり、節目節目で読み返したくなる一冊です。
29歳から40歳という女性の生き方に変化が大きい時の中で亜紀という女性の波乱万丈すぎる。物語の中で社会情勢や事件、災害なども盛り込まれていて年齢的に同じ時代を思い出しながら読んでしまった。元週刊誌記者という著者だということにも納得。哲学的な文章だったり、時系列が分からなくなって読み返したりも苦ではなかった。亜紀という女性の人生の中で一番濃い10年がこの物語で語られている。それでも40歳以降の人生はまだまだ長いはず。
原田マハ『暗幕のゲルニカ』(新潮文庫)
あらすじ
反戦のシンボルにして、20世紀を代表する絵画・ピカソの「ゲルニカ」。2003年のある日、国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、突然姿を消した。誰が「ゲルニカ」を隠したのか?現代のニューヨーク、スペインと大戦前のパリが交錯する——。
ブクログスタッフの推しポイント!
誰もが聞いたことのある「ゲルニカ」が、どのように誕生したのか理解できる作品です。史実が多く含まれているので、色々と調べながら読むと楽しいですよ。
最高。アーティストが作品にかける情熱、想いをダイレクトにぶつけられたような衝撃を受けた。オチも良い。過去編の登場人物たちの葛藤や怒り、やるせない気持ちが痛いほど伝わってきたし、現在パートのハラハラする展開もスピード感があって良かった。どちらのパートも戦争っていうテーマが一貫してあって、ピカソや周りの人の願いが現代のキュレーターに届いてる感じに感動した。楽園のカンヴァスの登場人物が出てきたのもクスッとなった。
吉本ばなな『ミトンとふびん』
あらすじ
凍てつくヘルシンキの街で、歴史の重みをたたえた石畳のローマで、南国の緑濃く甘い風吹く台北で——。今日も今日とて回り続ける地球上で、巡り合わせた出会いと小さな光に照らされた人生の喜びに温かく包まれる、6編の短編集。
ブクログスタッフの推しポイント!
大切な人の死について描いた作品ですが、人々が抱えた傷を少しずつ癒してくれるような温かい物語となっています。お守りのように、ずっと傍に置いておきたい一冊です。
ダヴィンチ・プラチナ本から。とんでもない事件が起こる訳でもないし、突拍子もない人物が登場する訳でもない。でも何なんだろう、この心に刺さり具合。久しぶりに氏の著作に触れたけど、プロの文筆家の凄さをまざまざと見せつけられた気分。ひたすらその文章に身を委ねて良く、適度に感情を揺さぶられながら、押しつけがましくもないという、奇跡のバランス。ただ、圧巻。
小川糸『ライオンのおやつ』
あらすじ
末期がんで余命宣告された33歳・海野雫。残された日々を過ごすのに雫が選んだ先は、瀬戸内海の島にあるホスピス「ライオンの家」だった。ホスピスでは、日曜日になると入居者が食べたいものをリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいて……?
ブクログスタッフの推しポイント!
重いテーマを扱った内容ではあるのですが、優しく心が温かくなる素敵な一冊です。自分自身を見つめ直し、希望を感じて前向きに人生を歩めそうな気持ちにさせてくれる作品です。
タイトルから「童話かな?」と思ってしまいますが、内容は迫りくる死との向き合い方を綺麗な情景と人々とで綴られた、とても優しいお話でした。小川糸さんの作品を読んだのは「ライオンのおやつ」が初めてでしたが、終始読みやすく、言葉に温かみがある印象を受けました。「ライオン」、「おやつ」という言葉がなぜ出てくるのか?と、読み進めていく中で次第とわかり、そして登場する人が皆、とても個性豊かで愛らしく、文章だけでもイメージがすんなりと浮かぶ筆力に驚かされました。また数年後に読み返したくなる、そのような一冊だと思います。
桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(角川文庫)
あらすじ
中学生の「あたし」山田なぎさは、一刻も早く社会に出て、お金という”実弾”を手にすべく、自衛官を志望していた。都会からの転校生・海野藻屑は、そんななぎさにやたらと絡んだ。嘘つきで残酷、なのにどこか魅力的な藻屑となぎさは、次第に親しくなっていった。だが実は藻屑は、日夜父親の暴力に曝されており——?
ブクログスタッフの推しポイント!
早く社会人になりたい主人公と不思議な世界観と空想に浸る転校生の対比、子供と大人の中間にある思春期……。読むともっと本が読みたくなる、人によって様々な解釈ができる作品です。
読み終わってすぐに「中古で出回らない本」だと感じた。読みたいと思わないと出会えない本。手放したくはなく、手元に置いておきたいと思わせてくれる。幸せな話ではないが幸せがわかる話。教えてくださった方に感謝してます。
宇佐美まこと『羊は安らかに草を食み』
あらすじ
20年来の友人・益恵を、“最後の旅”に連れ出すことにしたアイと富士子。それは、かつて益恵が暮らした様々な場所を巡る旅だ。満州からの引揚者であった益恵は、敗戦の苛酷を生き延び、いかにして平穏を手にしたのか。そして、益恵がこれまで隠してきた秘密とは——?旅の果てで益恵が感情を露わす時、老女たちの運命は急転する。
ブクログスタッフの推しポイント!
戦争ものは苦手なのですが、本作はたまたま読んで、その内容のすごさに一気読みしました。とにかく圧倒。ここまでリアルに戦争のことを考えさせられ、泣いた小説は初めてでした。
益恵の過去パートが壮絶。戦争の過酷さが生々しく語られ言葉を失った。 現在パートから過去パートへの架け橋として、益恵の詠んだ俳句が使われる。その句に込めた想いを知るたび心を打たれる。親を失い子どもだけで生き延び今がある益恵たち、それと対比しアイの子どもたちの言葉が、自分への戒めとして薄っぺらく響く。読み終えてタイトル、装丁の意味がわかった。真相解明から思いもよらないラストの展開がスリリングで爽快。たくさんの人に読んでもらいたい作品、映像化希望。
山崎豊子『沈まぬ太陽』(新潮文庫)
あらすじ
国民航空の労働組合委員長を半ば無理やり押し付けられながらも、恩地元は副委員長の行天四郎と労働環境の改善を目指してきた。だがその行動が経営幹部に疎まれ、アフリカの僻地へと左遷されてしまう。自らの理想を追い求めて経営側に付いた行天は、出世街道を邁進。そんな中、旅客機の墜落事故が発生し、現場へ派遣された恩地は、遺族係としてあらゆる困難に直面する……。
ブクログスタッフの推しポイント!
正義を通すか、郷に入れば郷に従うのか。僻地に左遷させられ続け、やっと戻った本社でも利権の間に翻弄される。闘い続けた先に見えるものとは?人生観を揺さぶられる作品です。
航空業界の期待の星が不本意な形で労働組合の代表となり、労働条件をよくしようと奮闘する。その結果、会社から要注意人物と思われてしまい、厄介なので、テヘラン、ナイロビと遠くに駐在することになる。家族を犠牲にしてそれでも自分の信念を曲げず、目の前の仕事にとり来る姿はたくましいなと思った。でも私だったら馴れ合って昇進してから偉い立場になった上で改革した方がいいのになと思った。アフリカでの生活も分かったし、その当時の労働環境も分かって社会的な勉強にもなると思った。
今回は、ブクログスタッフの推し小説をご紹介しました!
気になる作品には出会えましたか?ぜひ読書生活の参考にしてくださいね。