「友情」に心打たれる小説5選!人気作家が紡ぐ友情の傑作選

こんにちは、ブクログ通信です。

困ったとき、つらい時に、友情に救われたことのある人は多いのではないでしょうか。「持つべきものは友」と昔から言われるように、生きていくうえで友人はときに心強い存在でもあります。そこで今回は、学生から大人まで幅広い年代の「友情」をテーマにした人気作家による作品を集めました。

学生時代の距離が近くみずみずしい友情から、大人になってからの付かず離れずという友情まで、年齢ごとに異なる友情の形を楽しめる作品選です。どの作品も、ブクログのみなさんから高い評価を受けており、物語にも定評があります。「友達っていいな」「友情ってこういうものだ」としみじみとした気分になれる作品ばかりです。ぜひ参考にしてみてくださいね。

1.『島はぼくらと』 島で暮らす高校生の友情と旅立ちを描く、書き下ろし長編小説

島はぼくらと
辻村深月さん『島はぼくらと
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あらすじ

瀬戸内海に浮かぶ小さな島「冴島」には、高校がない。島の高校生である朱里、衣花、源樹、新の4人は、フェリーで本土の高校に通っている。4人は、次の春にはバラバラの進路に進む予定だ。島での暮らし、人間関係、家族の秘密……故郷を巣立つ前の限られた時間の中で、4人それぞれの成長をみずみずしく描く物語。

オススメのポイント!

豊かな自然に囲まれた島での暮らしをベースに、高校生4人の揺れる感情を繊細に描いています。友情のような恋のような気持ち、出ていく者と残される者の気持ちといった、淡く不安定な感情が巧みに描写されている点も見どころです。島での暮らしが、良い面だけでなくマイナスな面もきちんと描かれているところも魅力だといえます。限られた時間の尊さ、高校生の友情のきらめきを存分に味わえる作品なので、ぜひ手に取ってみてくださいね。

初辻村深月さん。かなり良かったです。
島で暮らす若者の青春物、としてだけでなく、現代社会のさまざまな問題が織り込まれていて読み応えがありました。
わかりやすいメイン4人の人物像も良かったです。ラスト衣花の告白(?)には目頭が熱くなりました。
故郷や家族、友人など、ひととの繋がりについて色々考えさせられました。

みずしおさんのレビュー

2.『本屋さんのダイアナ』本好きな少女2人が紡ぐ、切なくも力強い友情物語

本屋さんのダイアナ
柚木麻子さん『本屋さんのダイアナ
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あらすじ

金色に染められた髪の毛がトレードマークの矢島ダイアナは、自分の名前が大嫌いだ。世界一ラッキーな名前という意味で付けられた「大穴(だいあな)」だが、その名を付けた父親は家にはいない。自分の全てを否定していたダイアナは、小学校3年生のとき神崎彩子と仲良くなる。彩子の見た目も家族も住む家も、ダイアナの理想そのものだった。お互いに読書好きで親友となる2人だったが、あるとき友情に亀裂が入ってしまい——。

オススメのポイント!

ダイアナと彩子、2人の友情に胸打たれる物語です。見た目も生活も全く違う2人ですが、「本が好き」という共通点で心通わせていきます。本を通して無邪気に友情を育む2人の姿は、本好きな人なら誰もが憧れる姿だといえるでしょう。成長するに従い2人の道は分かれてしまいますが、いつも心の中では互いを思っている点が胸に迫ります。読後は、きっと深い感動に包まれているはず。全ての本好きに贈る、珠玉の友情物語です。

描かれている「少女」がとても魅力的
描かれてている「物語」たちのチョイスがまた良い
描かれている「友情」が無理なく迫ってくる
描かれている「大人」たちが格好いい
等身大の主人公たちに「自分」を投影してわくわくしながら読んでいる人たちの声が
いっぱい届いてきそうです
また素敵な作者と巡り逢えました

kaze229さんのレビュー

3.『政と源』 笑いありホロリと涙あり!2人合わせて146歳のジジ友小説

政と源
三浦しをんさん『政と源
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あらすじ

政こと国政は元銀行員の堅物で、妻子と別居中の独居老人だ。源こと源二郎はつまみ簪職人として、弟子とにぎやかに暮らしている。2人合わせて146歳の幼馴染は、今日も東京下町でそれぞれの日々を過ごす。会えば憎まれ口を叩くものの、いざとなれば名コンビぶりを発揮する政と源。2人の周りで巻き起こる、人情味あふれる下町事件簿。

オススメのポイント!

大人気作家の三浦しをんが、なんと「おじいさん」を主人公に据えた異色の物語です。70歳を超えた2人の老人を軸に、下町で巻き起こるドタバタをコミカルに描き出しています。それでいて、三浦さんならではの人情味も忘れない展開が心憎い作品です。「ソリが合わない」といいつつもお互いを気にしてしまう政と源の関係は、まさに長年の友情と呼べるもの。いくつになっても友達っていいな、と思わせてくれる物語です。

70代の幼馴染の国政と源二郎の物語。さすが三浦しをんさん!読んでいて映像が浮かぶ。これも映像化されるのではないだろうか。とても面白くて一気に読んでしまった。
読む前は、幼馴染のおじいさんの話なんて面白いのかと半信半疑だったけど、源二郎の弟子の二十歳の徹平の若さと対比させて、高齢者の孤独や苦悩や葛藤を明るくからっと描いていて面白可笑しく読んでしまった。読後感もとてもよい。
文句や不満を言いながらも、仲の良い国政と源二郎の関係が羨ましく、微笑ましかった。友達っていいな。

みちくささんのレビュー

4.『夜の光』 熱いコーヒーでつながった、きらめく友情に惹き込まれる感動作


夜の光 (新潮文庫)
坂木司さん『夜の光 (新潮文庫)
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あらすじ

天文部に所属する4人の高校生、ジョー、ゲイジ、ギィ、ブッチ。彼らはコードネームを持つスパイなのだ。4人は優れた戦闘員で、日々課せられた任務を遂行するために全力を尽くしている。約束はしない、別れは引きずらない——けれど、熱いコーヒーを手に夜空を見上げるときだけは、スパイの休息の時なのだ。高校生のクールな友情を描く青春小説。

オススメのポイント!

高校生4人のクールな友情に、ほろ苦い感動を味わえる名作です。4人は、それぞれに家庭や進路に関する事情を抱えています。ときに悩み、苦しむものの、決して慣れ合うことはなく自分一人で戦う姿が印象的です。だからこそ、天文部の活動時、4人が熱いコーヒーを飲みながら過ごすひと時がとても美しく感じられます。高校生ならではの不自由さ、進路への不安などを、坂木さんならではのみずみずしい筆致で描き出した人気作なので、ぜひ手に取ってみてくださいね。

坂木さんの作品の中でダントツで好き。待ちに待った文庫化なので、嬉しい。
再読してやっぱり思うのは、すごく好きな世界観だということ。4人が4人ともいい味だしてて良い子たちだし、なんといってもこの4人の距離感がステキなのです。いつも近くにいて馴れ合うことはしない、でも、世界の誰よりも繋がってる。こんな仲間と屋上で食べるご飯とコーヒー、すごく羨ましい!

aisoraさんのレビュー

5.『武士道シックスティーン』 剣道女子2人の熱い友情に、一本取られること必至!

武士道シックスティーン (文春文庫)
誉田哲也さん『武士道シックスティーン (文春文庫)
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あらすじ

3歳から剣道を始め、宮本武蔵を心の師と仰ぐ剣道バカの香織。中学から剣道を始め、腕は立つのに勝負にはこだわらない早苗。中学最後の大会で、優勝候補の香織は無名選手の早苗に負けるという、衝撃的な出会い方をするのだった。相反する2人だが、偶然にも同じ高校に入学し剣道部で再会する。性格も剣道への姿勢も異なる2人は、ぶつかり合いながらも同じ時を過ごしていく——。

オススメのポイント!

対照的な香織と早苗のやり取りが面白く、徐々に友情と呼べそうな関係になっていく様が感動的な作品です。剣道の楽しさ、奥深さも味わえます。作者の誉田哲也さんは『ストロベリー・ナイト』などのサスペンス作品で有名ですが、「こんな作品も書けるのか!」と良い意味で期待を裏切られるはずです。本作は2009年以降、度々マンガ化されている人気作でもあります。2010年には映画化されており、主演は成海璃子さんと北乃きいさんが務めました。続編も刊行されています。

一見正反対の2人が、お互いに足りないものを学びあって成長していく姿に胸打たれる。
2人の周りの人達も素敵な人ばかりで、愛に溢れていた。

9nanokaさんのレビュー

ひと口に友情といっても、アツい友情からクールな友情まで、その内容はさまざまです。今回ご紹介した作品では、熱さも心の距離も異なる友情が描かれていますので、ぜひお好みの友情作品を探してみてくださいね。