猫好き必読の猫小説5選!笑いあり涙ありの猫物語に癒やされる!

こんにちは、ブクログ通信です。

家で過ごす時間が増えると、猫動画に癒やしを求めるようになったという人も多いかと思います。時に甘えん坊で、時に気まぐれ。達観しているようで天然。そんな愛くるしい猫の姿を見ていると、自分の悩みがちっぽけなものに感じられたり、元気をもらったりしますよね。

今回は猫にまつわる小説を5作紹介いたします。数多くある猫作品のなかでも、ブクログのみなさんから高い評価を受けている作品や、読みやすいけれど心に残る作品、猫好きさんの心を掴んで離さないような作品を中心に集めました。ペットが飼えない家に住んでいる人でも、猫小説を読んで、おうち時間を猫とともにまったりと過ごしてくださいね。

1.ポール・ギャリコ『猫語の教科書』飼われているのは人間だった!?

世界的なベストセラーとなった『スノーグース』などを代表作として持つポール・ギャリコの作品です。著者は無類の猫好きとしても知られており、本作以外にも猫をテーマにした作品を残しています。本作品は、1995年に筑摩書房より刊行され、1998年に文庫化されました。

ポール・ギャリコさん『猫語の教科書 (ちくま文庫)
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あらすじ

ある編集者のもとに、”£YE SUK@NT MUWOQ”からはじまる、暗号めいた原稿が届けられる。相談を受けたポール・ギャリコは、頭をひねり、この暗号を解読するにいたるが、その原稿はなんと、子猫、野良猫、捨て猫に向けて書かれた、猫による、猫のための教科書だということが……。猫を飼っているつもりが、飼い慣らされていたかも!?驚きと愛らしさに満ちた、世界初、猫語の訳書。

オススメのポイント!

「人間の家をのっとる方法」をはじめ、猫が人間の家で快適に過ごすための技術を19の章に分けて説明しています。読むほどに猫のしたたかさが暴露され、そんなことを考えていたのか、もう騙されないぞ!と思うのですが、猫がここぞというときに使う「声を出さないニャーオ」には、きっとクラクラさせられてしまいます。猫と人、人と人とがどんなふうに愛を育むか、考えさせられるところもある、猫好きの必読書です。

ポール・ギャリコさんの作品一覧

ある賢い猫による、猫が人間の家を乗っ取るためのハウツー本。家猫として快適に暮らせるように人間をしつけるためのコツが書いてある。「そうだったのか」「そうだよね」と納得するところあり、笑ってしまうところあり。猫好きなら楽しく読める。猫目線の人間観察も面白い。

きなこ黒蜜さんのレビュー

2.万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』老犬と猫と女の子の、冒険に満ちた日々

2010年に筑摩書房より、ちくまプリマ―新書として刊行され、第143回直木賞候補作に選ばれた作品です。新書で直木賞候補となった作品は、本作品が初となりました。2013年、文庫化。同年、児童書レーベルである角川つばさ文庫でも文庫本として刊行されています。

万城目学さん『かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)
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あらすじ

小学一年生のかのこちゃんの家には、年老いたオスの柴犬・玄三郎と、アカトラのメス猫・マドレーヌ夫人がいる。親指しゃぶりをやめたことで「知恵が啓かれた」かのこちゃんは、不思議と発見でいっぱいの生活を送っていた。マドレーヌ夫人は夫の玄三郎や、空き地での優雅な猫の集会を気に入っている。しかし、日常はいつも同じように見えて、いつも少しずつ変化していく。出会いと別れ、種を超えた愛を描いた、温かい物語。

オススメのポイント!

かのこちゃんと、お友だちのすずちゃんの小学生らしいかけあいや、猫たちの集会にほのぼのさせられます。中盤以降に残る謎が最後にはきちんと解き明かされ、マドレーヌ夫人の冒険のダイナミックな展開に引きこまれるでしょう。玄三郎とマドレーヌ夫人のやりとりには、思わず鼻の奥がツンと来ます。全体を通して優しい愛が流れていて、子どもから大人まで楽しめる小説です。

万城目学さんの作品一覧

何とも愛くるしい一冊。
ふわふわしたファンタジーの中にあるさばさばしたリアリティーに、一気に引き込まれてしまった。
読んでいるあいだ、自然と顔がほころんでしまうのに、油断してるとほろっときたり。
じわじわと胸に広がる暖かい余韻も何ともステキ。
大人や子供、動物なんてボーダーのない世界って、やっぱり愛なのかも。
久しぶりに大切にしたい一冊に出逢った気分。

れおねこさんのレビュー

3.越谷オサム『陽だまりの彼女』再会した彼女には、秘密があった

「女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1」のキャッチフレーズで、あまり恋愛小説を手に取らない男性からも支持された、越谷オサムさんの作品です。2008年発行、2011年に文庫化されています。2013年には映画化し、松本潤さんと上野樹里さんのW主演が大きな話題になりました。

越谷オサムさん『陽だまりの彼女 (新潮文庫)
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あらすじ

交通広告代理店で営業マンをしている奥田浩介は、新規クライアントとの打ち合わせで幼馴染み、渡来真緒と十年ぶりの再会を果たす。真緒は、「学年有数のバカ」と呼ばれイジメられていた頃の面影がない、モテ系キャリアウーマンに成長していた。とんとん拍子に交際へと発展し、幸せを感じる浩介だが、真緒の不遇な過去や不吉な影はいつまでも消えず……。前代未聞の結末に、「愛の形」について考えさせられる恋愛小説。

オススメのポイント!

真緒の謎な言動に、浩介と一緒に振り回されてしまいますが、だんだんと二人が愛おしくなってきます。自分もこんなふうに思い合える相手と出会いたい!恋がしたい!という気持ちになりますが、最後には「公園で猫を拾いたい」と思わせられるのが秀逸なところです。ミステリにファンタジーと、恋愛以外の要素も満載で、それでいて読者にぴたりと寄り添うように書かれた、心温まる作品になっています。

越谷オサムさんの作品一覧

 面白かった~~~。ベタ甘な恋愛と新婚生活に彼女の過去と将来に対する不安がまきおこる。そして最後はファンタジー。主人公の二人のキャラが良くて生活感に溢れている。幸せな気分になれて読後感もいい。伏線も多くて繰り返して読みたい本です。

roboelfmusaさんのレビュー

4.ロバート・A・ハインライン『夏への扉』SF界の長老が描く!猫×SFの金字塔

世界SF界のビッグスリーと呼ばれたロバート・A・ハインラインによって、1956年にアメリカで発表されました。日本では1958年に刊行。その後、1963年、1965年、1971年、1979年、2000年、2009年、2010年と、幾度にもわたり文庫化、再訳、新装版などが出版されています。また、2011年、2018年には演劇集団キャラメルボックスによって舞台化も果たしました。

ロバート・A・ハインラインさん『夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))
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2021年公開予定

映画『夏への扉』オフィシャルサイト。主演:山﨑賢人さん 監督:三木孝浩さん。

あらすじ

主人公のダニエルは、愛する恋人・ベルと、親友・マイルズからひどい裏切りを受け、数々の発明品をだましとられてしまった。1970年12月3日、飼い猫のピートとともに酒場でスコッチをあおったダニエルは、窓越しに見えたネオンサインに引き寄せられる。そこには〈冷凍睡眠保険〉と書かれていた。片道切符で向かう未来はどんな世界なのか!?ダイナミックかつロマンチックなストーリーでSFファンを魅了し続ける不朽の名作。

オススメのポイント!

物語に出てくる猫・ピートは、作者・ハインラインが、執筆当時飼っていた「ピクシー」という猫をモデルにしています。重厚なSFストーリーの中で駆け回るピートの活躍は、愛猫家ならではの演出ともいえるでしょう。これまでSF作品に触れてこなかった猫好きさんにはぜひ読んでほしい一作です。

ロバート・A・ハインラインさんの作品一覧

本書で初めてSFというジャンルに手を出しましたが、とてもおもしろかったです。質も量もいい意味で重みがありました。そのため読み終わるためにはじっくりと時間をかけて読み、内容をよく咀嚼する必要がありましたが、すべてを読み終えたときに、その時間がとても高価なものと代替されたような気分になりました。初めは散々な目に遭う主人公の状況に腑に落ちないといった気持ちになりましたが、そのあとの伏線回収や主人公を含めた登場人物それぞれの行く末も、胸の内がすかっとするような結末で、痛快な感覚を味わうことができました。読み終えてからしばらくは鳥肌が納まらないほど素敵な作品でした。初めて読んだSFがこれで本当によかった。

白桃さんのレビュー

5.西加奈子『きりこについて』自分は自分!美しさとはなにかを問う名作

やわらかい関西弁を持ち味とする、直木賞作家・西加奈子さんの著書です。2009年、角川書店より刊行され、2011年に文庫化しました。

西加奈子さん『きりこについて (角川文庫)
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あらすじ

世界で一番可愛い女の子としてパァパとマァマに育てられたきりこは、小学五年生になり、初恋の相手から「ぶす」と言われ、衝撃を受ける。「ぶす」とは何か悩み、引きこもるきりこのそばには、いつも黒猫のラムセス2世がいた。ある日見た夢の中では女の子が泣いており、きりこは立ちあがる。「自分」とはなにか、大切なものはなにか、きりこは揺らがない真理に気づいていく。

オススメのポイント!

『吾輩は猫である』のパロディのような一文目、「きりこは、ぶすである。」から始まる本作には、ついつい笑ってしまうポイントがたくさんあります。一方で、子ども、猫、人間への鋭い観察眼が散りばめられており、読ませる文章が物語を引っ張っていきます。「容れ物」ばかりで判断し、「中身」がおろそかになりがちな登場人物たちを、笑うことのできる人はいないでしょう。「自分」であることの難しさを考えさせられる作品です。

西加奈子さんの作品一覧

自分のしたいことを、叶えてあげるんは、自分しかおらん

きりこの真っ直ぐな言葉が突き刺さる。
読み終えた後、前を向く力が湧いてくる。
西加奈子さんの作品は、どれも力強く、女性ならではの着眼点が面白い。

Rumoさんのレビュー

笑いあり、涙ありの猫小説。中でも読後感が爽やかで、どこかほっこりするような癒やし本を紹介しました。猫の賢さ、愛らしさにあふれている上記5作品を出発点に、猫小説でまったりとおうち時間をお過ごしください。