こんにちは、ブクログ通信です。
ブクログのみなさんに、大人も一緒になって楽しめる可愛らしい冬の絵本の中から、特におすすめの10作を紹介いたします。【後編】では心がほっこり温まる冬がテーマの絵本を集めました。
クリスマスのプレゼントや、冬休み中の読み聞かせに、ぜひ参考にしてくださいね。
【前編】はこちらです!
6.うちだりさこ『てぶくろ』落としものの手袋に動物たちが住みついて

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あらすじ
森のなかを歩いていたおじいさんは、手袋を片方、落としてしまいました。寒い冬のこと、暖を取るのにぴったりだと思ったねずみが手袋にもぐりこみ、「ここで暮らすことにする」と宣言します。ねずみの住みかとなった手袋に、かえるやうさぎも訪れて、「入れて入れて」と手袋がだんだんいっぱいになっていき——。動物たちが手袋のなかでぎゅうぎゅうになっていくようすが可愛らしい、ウクライナの民話から生まれた名作絵本。
おすすめのポイント!
入りたがる動物がだんだんと大物になっていき、「手袋が破れてしまうのでは?」と、子どもだけでなく大人もハラハラさせられてしまいます。パンパンになった手袋が、最後はどうなってしまうのか、想像しながら読む力もつけられます。現実なら仲良くできないような動物たちが一つの手袋に収まっていくファンタジックな展開も、絵本の魅力といえるでしょう。短い作品なので、お話を聞くのが苦手な子どもにもおすすめです。
ウクライナ民話 森を歩いていたおじいさんが落とした手袋に、様々な動物たちが次々と住みついてしまうお話。「てぶくろにそんなに何びきも動物は入らないでしょ」となってしまいそうなものだけれど、やはり本の世界は無限の広がりを見せますね。煙突や窓がついちゃうてぶくろが素敵です。動物たちが住みたくなるの、わかるなあ。とても暖かそうなんだもの。
7.島田ゆか『バムとケロのさむいあさ』細部からオチまで、こだわりの光るバムケロシリーズ

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あらすじ
犬のバムとかえるのケロちゃんは仲良く暮らしています。今日はとっても寒い冬の朝。裏の池が凍っているからと、二匹はスケートや釣り道具を持って遊びに出かけます。池にたどりついた二匹は、なんとそこに、凍りついたアヒルを見つけました。大慌てで助け、家に連れて帰ってあたためてあげると、アヒルはすっかり元気に。しっかり者のバムと、散らかし名人のケロちゃんの日常を切りとった、シリーズ第3作。
おすすめのポイント!
アヒルのかいちゃんが家に来て、嬉しさのあまりおもちゃをたくさん出してきたり、かいちゃんを引っ張りまわしたりするケロちゃんの無邪気さがたまりません。可愛らしいストーリーもさることながら、一枚一枚の絵に描きこまれた細部の小物や小さな動物たちを、いつまでも眺めていたくなるシリーズです。読むたびに新しい発見がありそうな、大人も子どもも虜になる作品。3歳ごろからの読み聞かせに最適です。
バムとケロシリーズ大好きです。かいちゃんにべったりなケロちゃんの姿が微笑ましいです。冬に読んであげたい絵本ですね。
8.方軼羣『しんせつなともだち』思いやりの心を育む、恩送りストーリー

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あらすじ
冬になり、雪が降り積もる季節。子ウサギが食べるものを探しに出かけると、雪の上に二つのカブを見つけました。子ウサギは一つを食べ、考えます。こんなに寒い日には、ロバさんも食べ物に困っているだろう……。子ウサギがカブを持っていくと、ロバは留守にしていたので、そっと置いて帰りました。ロバはそのカブを山羊のもとへ届け、山羊は鹿へ届けます。そして鹿がカブを持っていったのは——。
おすすめのポイント!
空腹のなか、カブを見つけた子ウサギは、「自分と同じように食べものに困っている友だちがいるにちがいない」と思います。その想像力は、優しさと思いやりに満ちています。人はすぐに自分を守ることばかり考えてしまいますが、子どもたちには子ウサギのような想像力と思いやりを養ってほしいと願います。読み聞かせは3歳ごろから。読んであげる大人の心も、じわりとほぐれるような心地よさが魅力的な作品です。
いつまでも読み継がれるだろう冬の絵本 この本を読むたびに、しんせつ、という言葉は本当にいいなあ、と思います
9.新美南吉『手ぶくろを買いに』何歳になっても気づきを与えてくれる名作中の名作

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あらすじ
ある朝、雪と戯れていた子ギツネの手は真っ赤に冷え切ってしまい、母ギツネは毛糸の手袋を買ってあげようと思います。夜になり親子は出かけますが、母ギツネは過去のトラウマから町へ近づくことができません。やむなく子ギツネの手を片方だけ、人間の手に変えてやり、銅貨を握らせ、「かならず人間の手のほうをさしだすんだよ」と言いふくめます。さて、子ギツネは無事に手ぶくろを買ってくることができるでしょうか。
おすすめのポイント!
子ギツネの可愛らしさ、帽子屋の優しさ、母ギツネの心の葛藤が、思わずハッとするような美しい文章で書かれています。子ども向けの作品ではありますが、子どものときにはわからなかった滋味深さに、大人になり、親になって気づくという人も多い奥行きのある作品です。読み聞かせなら5歳ごろから、一人で読むなら小学生ごろから。寒い季節の話なのに心がぽかぽかとあたたまるやわらかな物語が、冬にピッタリです。
冬の絵本なんですけど、ほんとうにあったかい絵本です。この絵本のあったかさは、どこから来るのでしょう。ふんわりとしたわた毛のような挿絵のせいでしょうか。お母さん狐の優しい言葉遣いのせいでしょうか。それとも、怖いと言われた人間が優しい生き物だったせいでしょうか。お母さんの語り口のような文章。母が寝る前に絵本を読んでくれた、小さい頃のひとときが蘇ります。それはまるで魔法の呪文。
10.いわむらかずお『14ひきのもちつき』日本の文化に触れるほのぼの絵本

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あらすじ
お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんと、10匹のきょうだいの、14匹のねずみの家族。森のなかの暮らしは、おとうさんの薪割りや、おじいさんの火おこしから始まります。ゆうべからふやかしておいたお米を使って、今日はお餅つき。役割分担をして、工夫をしながら臼や杵を用意したり、ついたお餅を丸めたり。きょうだいみんな、お手伝いをして、ぺったん、ぺったん。どんなお餅になったかな。
おすすめのポイント!
臼や杵を使ったお餅つきは、今や大人でも知らないようなことばかりです。お餅つきの工程が丁寧に描かれていて、子どもの好奇心を掻きたてます。つきたてほかほかの、やわらかなお餅を食べてみたい!と視覚だけでなく、嗅覚や味覚といった感覚も刺激してくれます。昔ながらの道具や文化に触れられ、大人も懐かしい気持ちで読み聞かせができる、優しいタッチの絵が特徴の作品です。『14ひきのさむいふゆ』もおすすめです。
毎年、今の時期になると読みたくなる絵本。年末のもちつきの様子が丁寧に描かれています。もちをつくときの様子、つきたてのほかほかのおもちの様子、ほんわりと、あたたかい気持ちになれる一冊です。
絵が可愛らしく、心あたたまる物語の多い、冬の絵本。大人になって読み直したいという人、子どもに読み聞かせたいという人、プレゼントにしたいという人も、ぜひ手に取ってみてください。
【前編】はこちら!