怖くないミステリが魅力!「日常の謎」作家・坂木司さんオススメ5選!

こんにちは、ブクログ通信です。
坂木司さんといえば「日常に潜む謎」と、登場人物の繊細な心模様の描写が多くのファンを魅了する大人気ミステリー作家です。2002年に『青空の卵』で覆面作家としてデビュー。社会問題をテーマにしたライトなミステリーを得意とし、読後感の良さにも定評があります。2019年にはトランスジェンダーの主人公を描いた『女子生活』がドラマ化され、大きな注目を集めました。

ブクログから坂木さんの代表作・オススメ作を5作紹介いたします。数ある作品の中から、ブクログユーザーから高評価の作品や読みやすい作品、映像化されるなどして知名度のある作品を中心に集めてみました。ぜひ参考にしてくださいね。

経歴:坂木司(さかき つかさ)

1969年東京都生まれ。2002年『青空の卵』で<覆面作家>としてデビュー。続く「ひきこもり探偵」シリーズとして人気を得る。ナイーヴで魅力的な人間像、緻密に描かれ、爽快に解かれる日常の不思議とこころの謎が圧倒的な支持を集めている。13年『和菓子のアン』で第2回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。
他の著作に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『僕と先生』『肉小説集』『女子的生活』などがある。

坂木司さんの作品一覧

1.『和菓子のアン』 おいしい和菓子が紡ぐ小さな「謎」をめぐる短編集

2010年に刊行され、2012年に文庫化されました。2014年には韓国、2015年には中国語版も出版されています。2013年度の大学読書人大賞にノミネート、2013年には第2回静岡書店大賞「映像化したい文庫部門」で大賞を受賞しました。2013年にはコミカライズもされています。坂木司さんの作品の中でも根強い人気を誇る代表作の一つと言えるでしょう。

坂木司さん『和菓子のアン (光文社文庫)
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あらすじ

デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは?読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー。

オススメのポイント!

お菓子の描写だけでなく歴史や成り立ちについても丁寧に描かれ、読み進めるほど和菓子を食べたくなること必至です。甘いお菓子と良い対比となっているのが、物語の核となる少しビターな「謎」。個性豊かで魅力的な登場人物たちと一緒に、謎解きと和菓子の世界を堪能できる作品です。

面白い!可愛い!美味しそう!
和菓子も大好きだし、何よりも登場人物がみんな可愛い小説ってそれだけで嬉しくなる。
もちろんこの小説の魅力はそれだけじゃない。
帯に書いてある「ほのぼのミステリー」という言葉は真実だけど、ただほのぼのしているだけじゃない。
和菓子だって綺麗で美味しいだけじゃない。
外からは見えないところにたくさんの物語があって、だからこそ人も和菓子もとっても魅力的なんだ。
著者の坂木さんは優しい人に違いない。

takanatsuさんのレビュー

2.『青空の卵』坂木司デビュー作!ひきこもり探偵シリーズ第1作

本書は坂木司さんのデビュー作で、根強い人気を誇る「ひきこもり探偵シリーズ」の第1作目となった連作短編集です。作中に著者と同姓同名の人物が登場することでも注目を集めました。2002年に単行本で刊行され、2009年にはコミカライズ、2012年にはドラマ化もされています。

坂木司さん『青空の卵 (創元推理文庫)
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あらすじ

外資系の保険会社に勤める僕・坂木司には、一風変わった親友がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。複雑な生い立ちの鳥井は外部との接触を極力避け、僕を通じて世界を見ている。そんな鳥井の関心を外の世界に向けるため、彼との食卓に僕が出会った身近な謎を披露していく。大人の視点で推理し、子供の純粋さで真実を語る鳥井は、果たして外の世界へとはばたくことができるのかー。

オススメのポイント!

頭の回転が速く、わずかな情報から物事を推理できるがひきこもりの鳥井。一方、主人公で鳥井の親友である坂木は温厚な性格の平凡なサラリーマン。そんな対照的な2人の軽妙な掛け合いや鮮やかな謎解き、徐々に明らかになる鳥居を取り巻く人間ドラマが見どころです。

色々な事情をもった色々なタイプの人間が出てきますが、どの人も素敵な心の持ち主でした。作者さんの描写も感性豊かで言葉ひとつひとつが胸に響きました。続編があるようなので、必ず読みたいと思っています。

n-ivyさんのレビュー

3.『シンデレラ・ティース』 歯医者が舞台のハートウォーミング・ミステリ

2006年に初版発行された、歯医者を舞台に「日常の謎」を描いたミステリ作品です。さまざまなお仕事小説がある中で、歯医者を舞台にしたものは珍しく話題となりました。2007年に刊行された『ホテルジューシー』とは姉妹作で、登場人物や時間軸がリンクしています。

坂木司さん『シンデレラ・ティース (光文社文庫)
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あらすじ

大学2年の夏、サキは母親の計略に引っかかり、大っ嫌いな歯医者で受付のアルバイトをすることになってしまう。個性豊かで、患者に対し優しく接するクリニックのスタッフに次第にとけ込んでいくサキだったが、クリニックに持ち込まれるのは、虫歯だけではなく、患者さんの心に隠された大事な秘密もあって……。サキの忘れられない夏が始まった。

オススメのポイント!

世にも珍しい「歯」をテーマにしたミステリ作品ということで、読者の予想を超えていく展開を楽しむことができます。また、本作品は主人公・サキの成長物語でもあるため、青春小説のような趣もあります。さらには日常生活で役立つ歯の豆知識も得ることができる、まさに一石三鳥な作品です。

子供の頃のトラウマから、歯医者嫌いになってしまった主人公の女子大学生・咲子。しかし母にはめられて叔父の働く歯医者に夏休みの間バイトをすることになってしまう。
面白いのが、この物語はちょっとした「探偵モノ」だということ。単なるお仕事物語というわけではない。咲子と歯医者で働く個性的なスタッフ達が、歯の治療だけでなく、そこに通院する人たちの心のケアもしていく、という話。
技士であり、優れた洞察力、推理力を持つ四谷くんとの恋愛模様も見所。
清々しく気持ち良く読める一冊。歯医者、最近行ってないな。ホワイトニングでもしに行こうかな。

okei@読書垢さんのレビュー

4.『ワーキング・ホリデー』 ドラマ化も好評!元ヤン・ホストの子育てストーリー

2007年に単行本、2010年に文庫が刊行。2008年にコミカライズされ、2012年にはEXILEのAKIRAさん主演で映画化もされました。続編の『ウィンター・ホリデー』、スピンオフ作の『ホリデー・イン』も刊行されています。

坂木司さん『ワーキング・ホリデー (文春文庫)
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あらすじ

「初めまして、お父さん」。元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の爆弾宣言で一変! 突然現れた息子と暮らすことになった大和は宅配便ドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続で……!? ぎこちない父子のひと夏の交流を、爽やかに描きだす。

オススメのポイント!

ホストクラブに突如現れた「息子」とひと夏を過ごすことになった主人公・大和。自堕落して生きていた大和が息子との関わりや転職を通して変わっていく様子がテンポ良く描かれています。「失敗してもやり直せる」という強いメッセージと、人と人とのつながりの温かさを改めて教えてくれる感動作です。

心が軽くなる!その一言。
元ホストと突然現れた男の子。夏休みの間の父と子の日常を笑って、最後は泣いて、気持ち良い気分。
著者は美味しいものと人間の良さをうまく引き出すなぁとつくづく思う。

orinoriさんのレビュー

5.『先生と僕』 凸凹コンビが日常の謎に迫るバディ・ミステリ

2007年に刊行され、2011年に文庫化された作品です。「二葉と隼人の事件簿シリーズ」として人気を博し、続編も刊行されています。作中では古今東西のミステリ作品も登場し、ミステリ好きにはたまらない作品です。

坂木司さん『先生と僕 (双葉文庫)
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あらすじ

都会の猫は推理好き。田舎のネズミは……?ひょんなことから大学の推理小説研究会に入ったこわがりな僕は、これまたひょんなことからミステリ大好きの先生と知り合う。そんな2人が、身のまわりにあるいろいろな「?」を解決すると同時に、古今東西のミステリ作品を紹介していく連作短編集。

オススメのポイント!

記憶力は抜群なのに気弱で怖がりな大学生の「僕」と、頭脳明晰で無類のミステリー好きな中学生の「隼人」の凸凹コンビの活躍が見どころです。最初はなかなか上手くいかなかった2人が徐々に名コンビとなっていく様子に、心がほっこりするはず。世界中のミステリ作品が登場する点もお楽しみです。

大学生18歳の二葉さんと中学生の隼人君が様々な事件を解決する日常ミステリ。二葉さんが家庭教師のはずなのに、なぜだか隼人君が先生のように事件を解決していく。この二人の会話やコンビの感じがどこか面白くほほえましい。二葉さんが苦手とするミステリも、隼人君が読めるものをと読書案内する様子もなんだかおもしろい。様々なミステリを紹介されるので、ちょっと読んでみたくなる。

kasumi-souさんのレビュー

坂木さんの作品はたくさんありますが、まだ読んだことがないという人はまずは短編か長編か、で選んでみてはいかがでしょうか。人気シリーズか単発小説か、という観点で選ぶのもおすすめです。ぜひ上記5作を出発点に、坂木さんの作品ワールドに足を踏み入れてみてくださいね。