こんにちは、ブクログ通信です。
学生はもちろん、大人になっても、学園マンガっていいなって思いませんか。仲間と友情を深めたり、何かに真剣に打ちこんだり、損得抜きに誰かを好きになったり。自分自身のこともまだよくわからないからこそ、本気になったり挫折したり、そのすべてがきらきらと尊く感じられます。
そんな青春がギュッと詰まった学園マンガの中から、【恋愛編】に引き続き、今回は【感動編】の5選をご紹介します!気になった作品がありましたら、ぜひチェックしてみてくださいね。
1.中村尚儁『1/11 じゅういちぶんのいち』挫折は大きな糧となる
あらすじ
自分の才能に限界を感じた安藤ソラは、中学卒業を機にサッカーを辞めようと考えていた。しかし、引退試合を控えていたソラの前に突如、中学生女子日本代表に選ばれ、天才と呼ばれる若宮四季が現れる。ソラは引退試合後に、四季についての衝撃的な事実を知り、再びサッカーに向き合うことを決めた。そして進学先の高校で、ソラはサッカー部を盛りあげようと奮起する。パスを繋ぐように描かれる、1/11のヒューマンドラマ。
おすすめのポイント!
サッカーを題材とした漫画ではありますが、練習や試合、技術的なことがあまり描かれないのが本作の特徴です。ストーリーの主人公が代わっていく、一話完結のオムニバス形式になっており、ソラを中心とした人物描写が丁寧に描かれています。大人になると、業績や生活が大事になってしまいがちですが、仲間とのかけがえのない時間や、夢を追うことなど、誰もが一度は経験のある感情が紡がれています。爽やかで泣ける作品です。
サッカーのプロを目指す主人公、いや、主人公と言っていいのかは実は難しいけど、安藤ソラという人物を一本の糸にその1/11の人々を描く群像的な物語。1話の若宮四季篇が非常に大好きなタイプのお話だったので、そっからグイグイと。やっぱり「思い残し」と幽霊の相性の良さ、そしてその「思い残し」を受け取った人のその後の話、拡散するその「思い」というのは、大好物です。いやーーーーー、おもしろい。
2.大今良時『聲の形』”伝える”ことのむずかしさ
あらすじ
転校生、西宮硝子には聴覚障害があった。筆談での会話で友だちを作ろうとしていた硝子だが、障害のために授業を止めることが重なると、クラスメイトたちの不満は溜まっていった。そして、とあるきっかけから、石田将也をはじめ、クラスメイトたちは硝子に対するいじめを始める。度を超したいじめに、校長同伴のもと行われた学級会では、将也だけが吊るしあげられ、今度は将也がいじめの標的となり、孤立することとなった——。
おすすめのポイント!
聴覚障害やいじめといった重いテーマを持つ本作ですが、全編を通して考えさせられるのは、聞こえる・聞こえないにかかわらず、気持ちを伝えあうことのむずかしさではないかと思います。自分の発した言葉が、他人にどのように受け取られるかはわかりません。それでも、相手を思いやる気持ちがあれば、その気持ちはきっと伝わるのではないか。そんなことを思わせられる作品です。2016年にはアニメ映画化し、話題になりました。
学級というものに所属したことがあるものなら誰もが知ってるあの空気感。個の強靭さや個性の豊かさなどが通用しない場所。そこを支配するのは“空気”という読み合いの場所。それを忌避し続けた自分としては、主人公の女の子をもっともっと知りたくなった。続きを早く読みたい。そんな作品。
3.鎌谷悠希『少年ノート』ページから音があふれだす!
あらすじ
河海市に引っ越してきた少年・蒼井由多香は、合唱部の歌声を聞き、入部を決心した。船乗りの父、海外を放浪中の兄とは離れて暮らす由多香は、雑誌編集をしている母と二人暮らしをしている。由多香にはある特異な才能があり、それは音に対する感受性の高さだった。ボーイソプラノの声を持つ由多香の入部に、はじめは戸惑っていた合唱部員たちだが、いつしか由多香に感化され、一同はコンクール金賞を目指すようになっていった。
おすすめのポイント!
誰もが学生時代に経験したことのある合唱には、仲間との思い出や諍い、思春期ならではの照れくささなど、青春と呼べるものの多くが凝縮されているように思います。アイデンティティーに悩んだり、日常の些細なことすらきらめく一瞬になったり、学生時代が懐かしくなるような群像劇が繰り広げられます。目で感じるものではないはずなのに、読んでいるだけで音が漏れ聞こえてくるような、繊細で美しい感動漫画です。
天才的なボーイソプラノの持ち主。ゆたくんが合唱部に入部するお話。鎌谷さんの描く少年少女が生き生きとして、彼らの瑞々しい感情が絵を通して胸にしみ込んでくる。漫画には音がない筈なのに、どこからか音が聴こえてくる。そんな気がしてしまう。そんな作品だと思う。
4.葉月抹茶『一週間フレンズ。』ちぐはぐで儚い記憶でも、重ねてゆく
あらすじ
長谷祐樹は、いつも一人でいるクラスメイト・藤宮香織と仲良くなりたいと思うが、彼女は彼の気持ちを頑なに拒んだ。その理由を香織は、一週間で友だちの記憶をなくしてしまうからだという。祐樹はその理由を知っても、諦めることはなかった。一週間の記憶を綴り、紡ぎ、巡っていく。二人は何度も、何度でも友だちになった。そして少しずつ香織が祐樹のことを記憶できるようになった頃、ある一人の転校生がやってきて——。
おすすめのポイント!
二人のやりとりにきゅんとする部分もありながらも、しっかりと泣かせてくる感動漫画です。とくに、祐樹が香織のために頑張る姿がグッとくるというレビューも。友だちの記憶がなくなるという設定の裏に隠された事実は重いものですが、そこから目を逸らさずに乗り越えていく姿も描かれています。淡く儚げな絵が好きな方や、切ない系のマンガを探している方にとくにおすすめ。アニメ化、舞台化、実写映画化も果たした人気作です。
恋愛漫画です。1週間しか記憶がもたないヒロインのために主人公が頑張る姿が印象的でした。巻数も少ないので恋愛漫画が好きな方にはおすすめの作品です。
5.夜宵草『ReLIFE』やりなおしたいこと、いくつありますか?
あらすじ
前職を3ヶ月で辞めてしまった27歳の海崎新太は就活につまずいていた。思えばつまずきの多い人生だった。大学受験では二浪し、大学院まで進学したものの、それが今や、社会人経験の乏しさという弱点になっている。前途に悩む海崎の前に、リライフ研究所職員を名乗る夜明了が現れたのは、そんな折だった。夜明は「一年間の高校生活を送る秘密実験」への参加を提案し、海崎は人生二度目の高校生活を送りなおすこととなった。
おすすめのポイント!
社会人になって、あの時もっと勉強していればとか、今の自分ならもっとうまくやれたのにと思うこと、ないでしょうか。やりなおしがきかないのが人生ですが、もし「もう一度」があるなら……?というのは、一度は考えたことがあるものかもしれません。本作は、学生時代を懐かしみたい人にも、やりなおしたいことがある人にも、今まさに学生だという人にも楽しめる内容になっています。また、2016年にはアニメ化もされました。
なんの先入観もなしに、コンビニでジャケ買いしました。うだつの上がらないフリーターが一年間限定で高校生に戻る話。恋愛話になるのか、謎の組織のホラー話になるのか、先が読めない展開が楽しみです。
一瞬一瞬が光るような青春。自分の学生期と重ねながら、愛おしんだり懐かしんだりして読み進めたい作品ばかりです。気になったものから、ぜひ手に取ってみてくださいね。
【恋愛編】もお楽しみに。