こんにちは、ブクログ通信です。
自分の想像を超越した物語に圧倒されたい。そう感じている方におすすめなのが、SF小説です。宇宙戦争、地球外生命体、タイムリープ、近未来都市などが描かれることの多いSF小説では、作家の空想力の強さがそのまま作品の魅力に繋がります。その緻密な設定や描写に「どうしてこんな物語を考え付くんだろう」と驚かされることも多々あるでしょう。
そんなSF小説の中でも今回は、「冒険」をテーマにしたものを5作品集めました。様々な空間を舞台にした冒険譚はどれもスリリングで、読者をハラハラさせるものばかりです。
1.ジュール・ヴェルヌ『地底旅行』ロマン溢れるアドベンチャーストーリー

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あらすじ
鉱物学教授の伯父、オットー・リーデンブロックは、興奮した様子で一冊の古書を開いた。本には羊皮紙が挟まれており、そこには謎の暗号と、16世紀の錬金術師の名が書かれている。苦心の末、解読すると、「アイスランドの火山火口から地球の中心に達することができる」と記されており、私は伯父と案内人ハンスを伴い、地底への旅に出かけた。情熱の傑作冒険小説。
おすすめのポイント!
『海底二万里』『十五少年漂流記』など数々の冒険小説を世に送り出してきたSFの父・ヴェルヌ。本作品は地質・地理・古生物・鉱物などの知識を取り入れながら、持ち前の空想力を活かしたスリルある冒険譚になっています。冒険に巻き込まれる語り手、変わり者の伯父、仕事人のハンス。それぞれの個性が光り、物語をより豊かなものにしています。数々の危機の先に彼らが見たものは、一体どんな世界なのでしょう。SF冒険小説の古典を読みたい方におすすめです。
ヴェルヌの冒険小説は本当にワクワクさせてくれる。ぽんぽんとよくわからない専門用語が飛び交い、冒険までの準備の描写をこれでもかと盛り込んでくるけれど、それがより解像度を鮮明にしてくれる。超人ハンスがすごかった。
2.宮澤伊織『裏世界ピクニック』百合SFブームを牽引する人気シリーズ

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あらすじ
女子大生の空魚は、廃墟探検の際に「裏世界」へ通ずる扉を発見した。三度目の異世界訪問時、空魚は「くねくね」と呼ばれる怪異に遭遇し、死にかけていた所を謎の美女・鳥子に救われる。その後、鳥子から「裏世界探索に協力してほしい」と頼まれる空魚。初めは鳥子を胡散臭く感じていたが、次第に惹かれてゆくように……。話題のガール・ミーツ・ガールシリーズ初作。
おすすめのポイント!
ホラーで百合でSFで冒険。そんなに詰め込んで大丈夫?!と思うほど、多要素が組み合わさり、見事な相乗効果を生み出している作品です。『SFマガジン』では数年前から「百合特集」号が重版される程の人気ジャンルとなっている「百合SF」。本シリーズは2021年にテレビアニメ化を果たすなど、百合SF小説ブームを盛り上げています。「ピクニック」という言葉からは想像できないサバイバル展開にハラハラしながらも、ライトな文体でどんどん読み進められます。新しいジャンルを開拓したい方にもおすすめです。
えー!面白い!ラノベは普段読まないけど、これは予想以上のクオリティ。Audibleでよく見かけるから、前々から気にはなっていた。ホラー、ファンタジー、アクション、百合要素が良い感じに合わさってる。なんだか最近はアニメといい、ラノベといい、クオリティがどんどん高くなってる気がする。もう凝ったドラマや小説変わらないのでは?シリーズもので今の所8巻?まであるようだし、続き読んでみよう!!
3.桜坂洋『All You Need Is Kill』トム・クルーズ主演!ハリウッド映画原作小説

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あらすじ
キリヤが入隊した統合防疫軍は、異星人により地球に送り込まれた「ギタイ」を敵に、劣勢な戦いを続けていた。敗北必至の戦場でキリヤは死亡。だが、気付けば出撃前日の朝に時間が逆戻りしていた。激化する戦いの中、出撃と戦死を繰り返し、強くなってゆくキリヤ。そして158回のループを刻んだ時、キリヤは一人の女性と再会した。タイムリープ×近未来SF。
おすすめのポイント!
日本のライトノベル作品としては初めてハリウッド作品になったことで大きな話題となった本作。映像作品とは展開、結末に大きな差がある所も見逃せません。何度死んでも、その経験を糧に生き返り、戦闘に終わりがあると信じ続けるキリヤの姿が印象的です。人類の存亡を賭けた戦いに終焉は訪れるのか。そして、そこにはどんな未来が待っているのか。ミリタリーものや、タイムリープものが好きな方に特におすすめの作品です。『DEATH NOTE』などで有名な小畑健さん作画で漫画化も。
トム・クルーズ主演の映画を見て原作が日本の作家と知り、興味を持ち買ってみた。基本的なループのアイデアは同じだが、映画とは登場人物の描き方が違う。映画では主人公も相手役の女戦士もいかにも大人の戦士という感じだったが、小説はライトノベルのテイストで、いわゆるboy meets girlだといっていいだろう。映画も小説もどちらも文句なしに面白い。表紙の主人公がかっこいいぜ。
4.アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ノンストップで読み続けていたい極上の宇宙SF

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あらすじ
真っ白い奇妙な部屋で、彼は目を覚ました。次第に記憶が戻り始めると、彼は自分の名前から置かれている状況までを思い出す。ライランド・グレースという名。太陽の異常による地球の氷河期。30年後にはほぼ全ての地球上の生命が滅亡の危機に瀕すること。自分はその問題を解決するために、宇宙船に乗っていること……。危機に立ち向かう一人の男を描いた、極限の冒険小説。
おすすめのポイント!
科学やSFに苦手意識のある方にも読んでみてほしいという声が上がるほど、とにかく面白いと話題になっている本作。臨場感ある描写には息を呑みますが、ユーモラスな語り口で進む軽快な物語で、読む手が止まりません。ライアン・ゴズリングさん主演での映画化も決定しており、2024年には撮影開始予定と報じられていますので、今の内に原作を押さえておきたい方は、ぜひ手に取ってみてください。壮大な世界観の長編を探している方にもおすすめです。
科学については専門外だが、なんとなく読めてしまう。非常に壮大なプロジェクト。作者のアンディウィアーは素粒子物理学でエンジニアの息子として生まれたらしく納得。それにしてもすごい。グレースが記憶と自分の使命を思い出し、未知の生物に出会い、お互いの文明の共有した上巻。「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の行く末が気になる。パントマイムでロッキーとやり取りをする場面、とても好き。
5.冲方丁『マルドゥック・スクランブル』無力だった少女に与えられた能力と闘いの軌跡

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あらすじ
娼婦の道を歩む少女バロット。生きる意味も自分の価値も見失っていた少女は、シェルという男の専属となった。ある時、シェルはバロットを車内に閉じ込めたまま、爆死させようとする。彼女の命を救ったのは、シェルの犯罪を追っていたドクター・イースターと、ネズミ型万能兵器のウフコック。バロットは生命保護のため、禁じられた科学技術によって一命を取り留めるが——。
おすすめのポイント!
2023年上半期の「直木賞」候補作『骨灰』や『天地明察』など、話題書を生み出し続けている冲方丁さん。ライトノベル、ホラーや歴史など、他ジャンルで才能を発揮していますが、本作では近未来SFを手がけています。凄惨な過去を持つバロットが、ドクター、ウフコックに助けられながら成長してゆく姿をぜひ見届けてください。緻密に描写されたカジノや戦闘シーンは読み応え抜群。漫画化、映画化もしていますので、併せてお楽しみください。
天地明察で知ったから、自分的には歴史もののイメージが強い作家だけど、もともとはこっち方面の人なんですよね。得意分野ならよほど大丈夫と思いつつ、はなとゆめのことがあったせいで、不安混じりに読んでみたけど、これがまた流石の出来映えでした。それぞれ独立した物語から成る三部作かと思ったら、1-3巻は続き物だったんですね。という訳でとりあえずまだ序盤ですが、SFとしての環境設定もしっかりしているし、先の展開がまだまだ気になります。
地底、宇宙、裏世界など、未知の世界はいつも読者が冒険にやってくるのを待っています。今こそ出発の時と定め、SF冒険の扉を開いてみてはいかがでしょうか。ぜひ気になるものから手に取ってみてくださいね。