こんにちは、ブクログ通信です。
「もし世界が〇〇だったら……」そんな空想を、リアルな世界として描き出してくれるSF作品。
今回は、前編に引き続き「恋愛」にスポットを当てたおすすめSF小説の、後編5選をご紹介いたします!
気になる作品は、ぜひ本棚登録してみてくださいね。
6.マイクル・コーニイ『ハローサマー、グッドバイ』SF恋愛小説の代表的名作
あらすじ
政府高官の息子ドローヴは、夏季休暇を過ごすため港町パラークシを訪れていた。昨年夏に出会った宿屋の少女ブラウンアイズと、念願の再会を果たす。役人の息子で小心者のウルフ、漁師の娘リボンと弟のスクウィントを交えて、楽しい休暇を過ごすドローヴたち。しかし、彼らは次々と事件やトラブルに巻き込まれて……。
おすすめのポイント!
SF恋愛小説といえば本作を抜いては語れないというほど、古典中の古典、名作中の名作です。地球によく似た架空の惑星を舞台に繰り広げられる、少年少女たちのひと夏の物語です。一見爽やかな青春小説ですが、物語が進むにつれて雰囲気は一変し、読み手は思いもよらない世界へ連れ出されてしまいます。このドキドキとワクワクが入り混じった爽快な体験を、ぜひみなさんも味わってみてください。良質なSF小説としても評価の高い本作は、SFを読み慣れていない方にもぜひ手に取ってほしい傑作です。
冒頭の「作者より」にあるように、「恋愛小説であり、戦争小説であり、SF小説であり、さらにもっとほかの多くのものでもある。」「そしてこの夏のあと、ぼくたちはだれひとり、前と同じじゃなくなってるだろう……それがこわいって思うところもある。すごくたくさんのものを、すごい早さで失ってるような感じがして。得たものも、たくさんあるけどね」 この主人公の言葉がこの本を流れる全てだと思う。
7.スコット・ウエスターフェルド『リヴァイアサン クジラと蒸気機関』
あらすじ
1914年のヨーロッパには相反する2つの勢力があった。1つは遺伝子操作された動物を基盤とする「ダーウィニスト」。もう1つは、機械文明を発達させた「クランカー」だ。両者の対立は深まり、ついにオーストリア大公夫妻暗殺へとつながってしまう。両親を殺された公子アレックは、数名の家臣と共に辛くも逃げ延びる。一方、空に憧れる少女デリンは、男装し英国海軍航空隊に志願するが……。
おすすめのポイント!
数々の人気シリーズを生み出しているアメリカの人気SF作家スコット・ウエスターフェルドさんの、冒険スチームパンク小説です。メカあり、蒸気機関あり、飛行機ありの、冒険好きにはたまらない1冊となっています。近未来的でありながら、どこか懐かしさも感じる独特な世界観をお楽しみください。恋愛要素はやや少なめですが、ジュブナイル的ドキドキやワクワクが詰まっています。少年少女の出会いと冒険を存分に楽しめる、おすすめ作品です。
生命科学の『ダーウィ二スト』、機械工学の『クランカー』、2つの勢力がせめぎ合う第一次世界大戦下のヨーロッパ。流転の公子アレックと男装の兵士デリンは開戦直後の混乱の中で出会う。空飛ぶ鯨の飛行船、武骨な巨大ロボ。困難な状況を勇気と機転で乗り越え、成長していく少年少女。正しいジュブナイル小説です。スチームパンク好きなら絶対読め、ですね。
8.小川一水『時砂の王』時空を超えて駆け巡る愛と戦いの歴史ロマン小説
あらすじ
西暦248年、見たことのない物の怪に襲われた邪馬台国の女王・卑弥呼は、長身体躯の男に救われる。灰色の鎧をまとい大剣を提げたその男は、「この地の王」に会いに来たのだという。卑弥呼はある思惑をもって彼を自分の国へ案内することを決める。一方、2300年後の未来から来たというその男には、ある目的があった。
おすすめのポイント!
邪馬台国を治める卑弥呼が、未来からやってきた戦士と出会い共に戦うという、ロマンあふれる作品です。時空を超えた過酷な戦い、人類滅亡の危機に立ち向かう人々、そして迫力あるバトルシーンと、みどころがいくつもあります。卑弥呼は一般的に「人々の託宣を行った」「占いに長けていた」といった、静的なイメージが強い女性かもしれません。しかし本作の卑弥呼は活動的で感情豊か、戦闘にもしっかり参加します。歴史の「if」を巧みに仕掛けた、読み応えある作品です。歴史好き、卑弥呼好きの方もぜひ読んでみてください!
#日本SF読者クラブ 人類はETが造りだした「バーサーカー」に敗れ去り、もはや滅亡は避けられない。人類は最後の望みを託し、人型人工知性体メッセンジャー達を戦略支援知性体「カッティ・サーク」とともに過去へと送りこむ。「人類滅亡」の未来を変えるというか、時間軸を分岐させるにために。ちょうど「ターミネーター」とは逆の設定となる。メッセンジャーの一人オーヴィルのハードで切ない物語にシビれる。しかしながら、最後は唐突ともいえるハッピーエンドを持ってこなくても良かったのではないか。どこかの分岐された時間軸で、ハッピーエンドの世界がきっとあるはずだから。何度も読んだお気に入りの作品。
9.ケン・グリムウッド『リプレイ』人生をやり直したいと思っている人必読!
あらすじ
ニューヨークの小さなラジオ局で、ジェフはニュース・ディレクターとして働いていた。そして、43歳の秋に死んだ。ところが、ふと気が付くとジェフは学生寮にいて、18歳の自分に逆戻りしていたのだ。記憶と知識はそのままに、身体だけが25年前に戻っている。人生をやり直し、株や競馬でひと財産を築いたジェフだったが、43歳の秋に再び死亡する。気が付くと、また18歳に戻っていて……。
おすすめのポイント!
「人生をやり直せたら」という、誰もが一度は思ったことがありそうな願いを叶えた男の物語です。繰り返されるタイムリープはなぜ起こるのか、ジェフはどんな結末を迎えるのか……、ミステリアスでドキドキハラハラする物語を楽しめます。何度も人生をやり直すジェフですが、やがて「大切な人」との関係を見直すべきだと気づくシーンが見どころです。本物の愛とは何なのかを、深く考えさせてくれる作品だといえます。SFである一方、重厚な人間ドラマとしても楽しめる本作。SFをあまり読まない方にも、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
死を迎えると記憶を持ったまま全ての行動が無かったことになり過去に戻ってしまう男性が、自分の行動が全て無駄になることに対して無力さを感じながらも、同じような境遇の女性と出会って、人生のあり方を考え続ける物語。最初の方は読みづらくて怠いと感じたけれど、1回目のループに入ってからどんどん面白くなっていき、気づいたら一気読みしていた。主人公の感情の動きにすごく共感できたし、物語の結末も個人的には良かったと思う。
10.新井素子『星へ行く船』夢とロマンを携えて宇宙へ飛び出そう!
あらすじ
19歳の森村あゆみは、火星へ家出中だ。宇宙船に乗り地球からの出航に成功したのもつかの間、怪しげな男たちと同室になってしまう。さらに、やっかいな事件に巻き込まれてしまうのだった——「星へ行く船」。表題作に加えて、きりん草とそれに関わる人々を描く「雨降る星 遠い夢」、描きおろし作「水沢良行の決断」、新あとがきを収録。
おすすめのポイント!
ライトノベル作家の草分け的存在として知られる人気作家・新井素子さんが贈るSF作品です。40年以上前の作品ですが、斬新な世界設定やワクワクする物語、個性豊かな登場人物など、色褪せない魅力が詰まった小説です。ライトな読み口でサクサク読めるので、リラックスタイムはもちろん、通勤・通学時のお供にもどうぞ!表題作では、主人公と一緒に宇宙に飛び出すような解放感を味わえますよ。もちろん、ほかの収録作も名作揃いです。SF小説の醍醐味を改めて味わえる、名作中の名作だといえます。
青春ど真ん中時代に読んで世界観に憧れた本。麻子さんのようになりたくて、みんなが敬遠するお茶汲みを楽しみながらやってた覚えがある。麻子さんのように美味くは淹れられなかったのが悔しかった。押入れの中を探せばまだ持ってるはずだけどシリーズ新装・完結版がでるというなら是非手に入れてまたあの時のような感動を、あの時以上の感動を体験したい。あの時理解できなかったこともわかるようになっているのかも。
SF好きはもちろん、SFを普段読まない人も楽しめて、胸キュンやドキドキも楽しめるイチオシ作ばかりです。ぜひ一度手に取ってみてください!
前編はこちら!