標野凪さん作品5選!~素敵なカフェが舞台の心温まる小説たち~

こんにちは、ブクログ通信です。

標野凪さんは福岡で開業し、東京都内で現役カフェを営む現役店主でもある作家です。2018年に第1回「おいしい文学賞」の最終候補に残り、2019年に『終電前のちょいごはん 薬院文月のみかづきレシピ』で作家デビューを果たしました。美味しいものがたくさん登場する柔らかな世界観で、「読むと癒される」と人気を集めている今注目の作家の一人です。

今回は、そんな標野さんの作品の中から、カフェでのんびりとくつろいでいる気分を味わえる作品を5つ紹介いたします。読めば心が温かくなる、とびきりのカフェタイムのような世界観を味わえるので、ぜひ手に取ってみてくださいね。

標野凪さんの作品一覧

1.標野凪『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』隠れ家風の喫茶店で癒しのひとときを味わえる作品

今宵も喫茶ドードーのキッチンで。 (双葉文庫)
標野凪『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。 (双葉文庫)
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あらすじ

とある住宅地の路地裏にひっそりと佇む一軒のお店——おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」。この喫茶店には、がんばっている毎日に少し疲れた人々が、ふらりと訪れる。SNSに振り回されたり、仕事を抱え込んだりして、固く強張ってしまった心と体を店主・そろりの料理が優しく解きほぐしてゆく……。

おすすめのポイント!

隠れ家風カフェを舞台に描かれる、疲れた心と体を癒してくれるカフェ小説です。「他人の基準に振り回されてしまう」「仕事を抱え込みすぎて誰にも頼れない」といった人、毎日がんばっている人にエールを送るような作品となっています。読んでいるとついついお腹が空いてくる魅力的なカフェメニューがたくさん登場する上に、穏やかで包容力のある店主もとても魅力的です。忙しい毎日にちょっと疲れてしまったときは、「喫茶ドードー」で元気をチャージしてみませんか?

読み終わるとホッとするような温かいお話の連作短編集。コロナ禍初期のギスギスした感じが今はもう、ちょっと懐かしい。出てくる料理は美味しそうだしメニューの名前も素敵だし、こんなお店に通いたい。『おひとりさま専用』ってのも惹かれる。

ぽちさんのレビュー

2.標野凪『伝言猫がカフェにいます』死者と生者をつなぐカフェで巻き起こる感動の人間ドラマ

伝言猫がカフェにいます (PHP文芸文庫)
標野凪『伝言猫がカフェにいます (PHP文芸文庫)
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あらすじ

「会いたくても会えない人」に会うことができると噂のカフェ・ポン。その店はこの世とあの世の境目にあり、会いたい人の名前を店頭にあるポストに入れると、相手が亡くなった人であっても会えるのだという。そんなカフェ・ポンに一匹の猫・ふー太がやってきた。ふー太は「伝言猫」としてこの世とあの世をつなぐアルバイトをすることになるが……。

おすすめのポイント!

亡くなった人に会えるという不思議なカフェ・ポン。そこで「仕事を5回達成すると、会いたい人に会える」という報酬につられてアルバイトをする猫・ふー太が出会う人々の、切なくも温かい人間ドラマです。亡くなった父親に個展を見せたい絵本作家や、生まれなかった子どもを思い続ける保育士など、5つの「会いたい」を描いた連作短編集となっています。死者からの言葉を伝えようと奮闘するふー太の姿が愛らしく、読後は心がほっこりする一冊です。

この本のほんわか度が好みです。スタンプ貯めてのぞみを叶えてくれるって…なんというか現金な話ですが楽しめました。お話は癒し系でサクッと読めて、心が落ち着きます。主人公たちの背景が完全には明かされていないので、続編があると期待しています。

takep07さんのレビュー

3.標野凪『桜の木が見守るキャフェ』ヤマザクラが見守る洋館カフェを舞台にした淡く美しい物語

桜の木が見守るキャフェ (文春文庫 し 71-1)
標野凪『桜の木が見守るキャフェ (文春文庫 し 71-1)
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あらすじ

庭にある大きなヤマザクラの古木が目印のお店「キャフェ チェリー・ブラッサム」。そこは、緋桜(ひお)が祖母と母から受け継いだ洋館で、季節の和菓子とお茶を楽しめるカフェである。犬と一緒に散歩にくる老人や、国際結婚の夫婦、保育園からの帰り道に訪れる親子など、今日もいろいろなお客様がやって来る……。

おすすめのポイント!

居心地の良いカフェでゆったり過ごすような気持ちになれる作品です。祖母から両親、両親から主人公へと受け継がれた洋館の様子がとても素敵で、うっとりさせられます。カフェのシンボルツリーであるヤマザクラの存在も魅力的で、「こんなお店が近くにあったらいいのに」ときっと誰もが思うことでしょう。作中に登場する和菓子とお茶の描写も美しく、本を閉じた後には無性に和菓子を食べたくなるので注意が必要です。のんびりしたい時やカフェタイムのお供におすすめの作品です。

うつろう季節と訪れてくれるお客様との交流にそっと寄り添うヤマザクラ。親子3代にわたって受け継がれてきた洋館で営むお店、というのも素敵。店主の緋桜の家族、料理上手なお父さんと、好きなようにすればいいという距離をもちつつも見守っててくれるお母さんとの関係もとても良い。大方の人にとってそうであるように、派手な事件はないけれども、流れる時間がとても穏やかで心地よい作品です。

ユイさんのレビュー

4.標野凪『本のない、絵本屋クッタラ: おいしいスープ、置いてます。』ちょっと心が疲れたときに読んで欲しい癒し系小説

本のない、絵本屋クッタラ: おいしいスープ、置いてます。 (ポプラ文庫 し 11-1)
標野凪『本のない、絵本屋クッタラ: おいしいスープ、置いてます。 (ポプラ文庫 し 11-1)
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あらすじ

『本のない、絵本屋クッタラ』は、インクブルーの三角屋根が目印の店だ。店主・広田奏と共同経営者である八木が切り盛りするカフェである。メニューはスープセットとコーヒーのみだが、自分の「今」に迷う客たちが今日もふらりとやってくる。彼らの話を聞いた奏は、「御本が揃いましたらご連絡いたします」と告げるのだった……。

おすすめのポイント!

札幌にある不思議なカフェを舞台にした物語です。家事や育児、仕事に追われ、自分の立ち位置を見失ってしまった人々が、絵本と美味しいスープと店主の言葉に癒されてゆく姿が優しい筆致で描かれています。本作の見どころは、何と言っても「絵本」です。作中にはとても多くの絵本が登場し、本好きにはたまらない一冊だと言えるでしょう。美味しいものが好きな人、本が好きな人は絶対に読んで欲しい作品で、贈り物にもおすすめです。

ほっこりするような本を探していたときに、表紙からそんな雰囲気が伝わってきたので、読んでみました。スープも美味しそうで、私もいつか行ってみたいと思いました。周りで悩んでいる人がいたら、この本を薦めるのもいいなと感じました。

ゆきちゃんさんのレビュー

5.標野凪『占い日本茶カフェ「迷い猫」』旅とお茶と占いが好きな人におすすめの連作短編集

占い日本茶カフェ「迷い猫」 (PHP文芸文庫)
標野凪『占い日本茶カフェ「迷い猫」 (PHP文芸文庫)
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あらすじ

如月たんぽぽは、出張カフェ「迷い猫」を営んでいる。愛猫のつづみと一緒に日本全国を巡りながら、小さなスペースを間借りしたり、ギャラリーやイベントに招かれたりしてカフェを開いているのだ。占い師でもあるたんぽぽは、ご当地のお茶やお菓子と共に、訪れる客の悩みを聞くのが仕事である。そんな彼女自身、実は各地で「あるもの」を探しているのだった……。

おすすめのポイント!

出張カフェという、ちょっと不思議な形態のお店を営む女性のお話です。全6話からなる本作には、旅、占い、カフェ、ご当地のお菓子など、読む前からウキウキさせられる要素がたっぷり詰まっています。各話の最初には、そのお話に登場するお茶と水、器などの説明があり、お茶の世界をより深く楽しめる工夫が凝らされているのでぜひ注目してみてください。日本各地の風景とそこで出会う人々との交流が丁寧に描かれ、主人公と共に全国を旅している気分を楽しめます。温かいお茶のように、心にすっと染み渡る作品です。

お茶が大好きですが、普通に入れて飲む程度でした。この本を読んで茶道具を揃えてちゃんと入れてみたいと思いました。ほっこり和むお話でした。癒されたい方におすすめです。

かおっぴさんのレビュー


標野さんの作品は、素敵なカフェで繰り広げられる温かく柔らかな人間ドラマが魅力です。今回ご紹介した5作は疲れた心を癒してくれる名作揃いなので、寝る前やカフェタイムのお供に、ぜひ手に取ってみてくださいね!