新川帆立さん作品5選!~魅力的な主人公の活躍がまぶしい傑作~

こんにちは、ブクログ通信です。

新川帆立さんは、2020年10月に『元彼の遺言状』で第19回「このミステリーがすごい!大賞」を受賞し、2021年に同作で作家デビューしました。弁護士と執筆活動を両立する元プロ雀士という、異色の経歴の持ち主でもあります。2021年に作家業に専念するようになると、『弁護士・剣持麗子シリーズ』をはじめとする人気作を続々と発表し、ファン層を拡大してゆきました。活躍の場は小説だけに留まらず、エッセイや解説など、ジャンルを超えた多才さを発揮しています。

今回は新川さんの作品の中から、人気作を5選紹介いたします。代表作から最新作まで幅広く取り揃えました。初読みの方も必見のイチオシ作品選ですので、ぜひチェックしてみてくださいね!

『新川帆立(しんかわ ほたて)さんの経歴を見る』

新川帆立さんの作品一覧

1.新川帆立『競争の番人』凸凹バディが「悪」を斬る!爽快な経済ミステリー

競争の番人
新川帆立『競争の番人
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あらすじ

白熊楓は公正取引委員会の審査官だ。学生時代は空手部に所属し万年2位だった。まっすぐで正義感の強い性格な一方、今一つ壁を破れない残念女子でもある。そんな楓は、ある日、東大首席で留学帰りの超エリート・小勝負勉と同じチームに配属される。考えるより先に行動する楓に対して、小勝負は嫌味混じりだが言うことは絶対に正しいという人物だった。そんな白黒バディが巨利を貪る悪者に立ち向かう経済ミステリー。

おすすめのポイント!

公正取引委員会(公取委)を舞台に、凸凹バディが様々な「悪」に挑む経済小説であり、ミステリーでもある作品です。感情豊かで暴走しがちな主人公・白熊と、頭脳明晰でクールだけれど自分なりの信念を持つ小勝負という、一見相容れないバディの行く末にもご注目ください。また、公取委の審査官という、これまであまり居なかった主人公像も本作の魅力です。2022年に2クール連続テレビドラマ化され、主演の杏さんと坂口健太郎さんの好演が話題を集めました。

正義と人情の間で揺れる白熊さんと、優秀で一見冷淡にも見える小勝負くんのコンビが魅力的だった。読み進めるにつれて2人の間に信頼関係が築かれていく様子がほほえましくて好き。天沢の周りは不正の温床でだんだん頭がこんがらがってくるけど、面白かった。騙し騙されの世界で、正義を貫き通すのってかっこいいな。

さーさんのレビュー

2.新川帆立『元彼の遺言状』敏腕女性弁護士が繰り広げる極上エンタメミステリー

元彼の遺言状 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
新川帆立『元彼の遺言状 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
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あらすじ

弁護士の剣持麗子は、とある事件の「犯人選考会」に代理人として参加することになった。原因は、元彼・森川栄治が残した奇妙な遺言状だ。森川は「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という言葉と膨大な遺産を遺していた。麗子は依頼人を犯人に仕立て上げ、遺産の分け前を勝ち取ろうと奔走する。ところが、遺書が保管されていた金庫が何者かに盗まれ、森川の顧問弁護士が殺害されてしまうのだった……。

おすすめのポイント!

新川さんのデビュー作にして、「このミステリーがすごい!大賞 」受賞作です。本作の魅力は、主人公・剣持麗子のキャラクターだといえるでしょう。頭脳明晰でスタイル抜群、もちろん美女……その一方、毒舌で突き抜けた金の亡者という非常に個性的な人物です。そんな彼女だからこそ、「莫大な遺産を得るため殺人犯になろうとする」という展開にも納得がゆきます。遺産をめぐるきな臭い争いの中で痛快な活躍を見せるその姿を、ぜひご自身の目で確かめてください。2022年に綾瀬はるかさん主演で制作されたドラマもおすすめです。

おもしろくて、一気に読んでしまった。ドラマを見ていたので、どうかなぁと思っていたけれど、内容はだいぶ違っていて、こちらのほうが断然おもしろかった。(でも、綾瀬はるかというキャスティングは合っていたと思う)個性的(と言っても、トリッキーな感じの人はいない)な登場人物も楽しいし、根っからの悪人が出てこないのもよい。このシリーズの続きも読みたくなった。

keikoさんのレビュー

3.新川帆立『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』法律×SF短編集

令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法
新川帆立『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法
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あらすじ

六つのレイワ、六つの架空法律をシニカルに描き出す––––。礼和四年、「命権擁護」が謳われ動物たちにも人間同様の権利が認められるようになった。動物裁判を多く手がける若手弁護士である「ぼく」のもとへ、性行動で被告となったボノボがやって来るが……(『第一話動物裁判』)。他5編を収録。

おすすめのポイント!

「もしかしたら、いつかこんな法律が成立してしまうかも」という架空法律と、そんな法律が成立したパラレルワールドを描いたSF短編集です。法律の専門家でもある新川さんだからこそ書くことができる、新感覚のリーガル小説だと言えるでしょう。動物福祉や酒税法、労働者保護層、麻雀賭博など、様々な視点から切り込んだバラエティに富んだ作品集です。法律がテーマとなってはいますが、読みやすい文章とテンポの良い物語運びで、サクサク読み進められます。新川さんの新境地を切り開いた一冊と言っても過言ではありません。

架空六法!動物裁判、自家醸造の女、健康なまま死んでくれが面白かった。いつもとは違う作風がまた良かった。続編があると良いなぁ

rdstaka22さんのレビュー

4.新川帆立『先祖探偵』名前も過去も忘れた探偵が辿る先祖探しの旅

先祖探偵
新川帆立『先祖探偵
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あらすじ

東京・谷中銀座の路地裏で探偵事務所を営む風子は、20年以上前に母と生き別れ、野良猫のように生きてきた。「曾祖父を探してください」「先祖のたたりかもしれない……」––今はそんな先祖の調査依頼を受け、マイペースに働きながら暮らしている。様々な依頼を受け、宮崎や岩手、沖縄など各地へ調査に向かう風子。美味しい料理を楽しみながら仕事をこなす風子だったが、自身もいつかは母を探したいと思っているのだった。

おすすめのポイント!

本作の主人公は女性探偵で、依頼を受けてその人のルーツを辿ってゆくのが仕事です。きっと誰しも、「自分のご先祖様はどんな人だったのか」と興味を持ったことがあるのではないでしょうか?家系図が残っている場合はわかりやすいですが、家系図がない、事情があるなどの場合は、自分のルーツを辿るのは簡単なことではありません。本作では、戸籍謄本を取り寄せ、現地調査に赴き、一つ一つ丁寧にルーツを辿ってゆく様子が描かれています。戸籍にまつわる人間ドラマが、しっとりと心に残る一冊です。

タイトルからは、正直ワクワクしませんでした。でも、新川帆立さんならまず心配ないだろうと読み始めると、実に面白い!同じテーマなのに各話が全然違う展開なのでとても楽しく、一気読みでした。自分の曽祖父あたりの戸籍から遡って取り寄せてみたくなりました。

さいちさんのレビュー

5.新川帆立『剣持麗子のワンナイト推理』夜更かししたい時におすすめの深夜の法律ミステリー

剣持麗子のワンナイト推理
新川帆立『剣持麗子のワンナイト推理
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あらすじ

「町弁」の弁護士・村山権太のクライアントを引き継ぐことになった剣持麗子。山田川村・津々井法律事務所の通常業務に加えて、深夜に一般民事の相談を受けることになった。次々に舞い込む難題を、朝までに解決しなくてはならない——。ある日、「進藤不動産」の社長・進藤昌夫が殺された。第一発見者のホストに呼び出された麗子だが、彼は本名も住所も絶対に明かそうとしないのだった……(『第一話家守りの理由』)。

おすすめのポイント!

『元彼の遺言状』の主人公・剣持麗子の深夜の謎解きを描く連作短編集です。深夜に起こる様々な「依頼」を5編収録しています。眠らない街・新宿を舞台に、深夜もエネルギッシュに活躍する麗子の姿が生き生きと描かれ、一緒に夜更かしをしている気分になれるユニークな作品です。短編集ではありますが、各話が少しずつつながっており、読み終わる頃には全体の意外なつながりが明らかになるという仕掛け付きです。時系列としては、『元彼の遺言状』とシリーズ第2作『倒産続きの彼女』の間に入るお話なので、ぜひ併せてお楽しみください。

「元彼の遺言状」に出てくる剣持麗子シリーズの3作目。麗子の強くて人情深い部分が健在で嬉しかった。いろいろな事件が起きるけれど、実は…(ネタバレになるので言えない…)というのが面白くてよかった!なんだか続きそうな予感?続いたらいいなぁ。弁護士たちの運動会、面白すぎた。笑

ʏᴀᴍᴀᴋᴏさんのレビュー


新川さんの作品は、個性豊かな登場人物と躍動感あふれる人間ドラマが魅力です。特に、凛々しい女性主人公の活躍劇に定評があります。作品をまだ読んだことがない人は、ぜひこの機会に手に取ってみてくださいね!