雫井脩介さん作品5選!~映像化作品から文学賞受賞作まで~

こんにちは、ブクログ通信です。

雫井脩介さんは2000年に『栄光一途』で作家デビューしました。同作は第4回「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞しています。2004年に刊行した『犯人に告ぐ』は2004年版「週刊文春ミステリーベスト10」の第1位、2005年版「このミステリーがすごい!」の第8位に選ばれた他、第7回「大藪春彦賞」も受賞しています。推理小説、恋愛小説など多才な活躍ぶりを見せる雫井さんは、新作を発表するたびに大きな注目を集める人気作家の一人です。

今回はそんな雫井さんの作品の中から、映像化作品および文学賞受賞作を5作品ご紹介いたします。ブクログユーザーのみなさんからも高く評価されている人気作揃いです。
ぜひこの機会にチェックしてみてくださいね!

『雫井脩介(しずくい しゅうすけ)さんの経歴を見る』

雫井脩介さんの作品一覧

1.雫井脩介『犯人に告ぐ』読み始めたら止まらない!至高のジェットコースター・ミステリー

犯人に告ぐ
雫井脩介『犯人に告ぐ
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あらすじ

川崎市で連続児童殺害事件が発生した。捜査が行き詰まりを見せつつあることに焦りを感じた神奈川県警は、現役捜査官をテレビニュースに出演させるという荒技を選択する。大役を任せられたのは巻島史彦警視だ。彼は6年前の誘拐事件で捜査に失敗し、記者会見でも大失態を演じていたのだった。様々な思惑を飲み込んで、波乱含みの劇場型捜査が今始まる——。

おすすめのポイント!

第7回「大藪春彦賞」を受賞し、「週刊文春ミステリーベストテン」第1位に選ばれた警察小説です。2004年のミステリーシーンに大きな衝撃を与えた傑作としても知られています。物語序盤からスピード感のある展開で、先へ先へと読む手が止まりません。複雑な警察内部事情やキャリアをめぐるドロドロした人間関係、マスコミの狂気性などが臨場感あふれる文章で描かれ、ドキドキハラハラしながら一気に読み進めてしまう面白さです。ミステリー好きをも唸らせる傑作小説であり、雫井さんの作品の中でも必読の一冊だといえます。

「劇場型」のミステリーは最近よくあるが、刑事をTVに登場させるという構成は非常にユニークで面白かった。

highriverさんのレビュー

2.雫井脩介『クローズド・ノート』一冊のノートがつなぐ不思議な縁を描いたラブ・ストーリー

クローズド・ノート
雫井脩介『クローズド・ノート
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あらすじ

大学生の堀井香恵は、小学校教員を目指して上京した。大学で仲良くなった葉菜と遊んだり文房具屋でアルバイトをしたりと、それなりに充実した日々を送っている。そんな香恵の家には、前の住人のものらしき一冊のノートが残されていた。読むつもりはなかったのだが、葉菜が留学してしまい寂しさを感じたある日、香恵はそのノートを手に取る。そこには、伊吹という女性教師の日記が記されていて……。

おすすめのポイント!

携帯読書サイトで配信され、後に書籍化された恋愛小説です。2007年に漫画化・映画化され、行定勲監督をはじめとする豪華なスタッフ・キャスト陣が話題を集めました。女子大生・香恵が手にした一冊のノートをめぐる、少し不思議で切なくも温かいラブ・ストーリーが描かれています。子供ではないけれど大人と呼ぶには半人前なお年頃の香恵が、夢や恋に全力で向き合う姿がみずみずしく描かれていて、青春小説の趣もある作品です。香恵がノートを通じてどのように成長していくのか、ぜひご自身の目で確かめてください。

万年筆、マンドリン、すきな映画。すてきなものがいっぱいで嬉しかった本。主人公の一面を拡大して描いているのですこし薄く、深いところまで愛せないところで不満足感がありますが、核心部分を狙い通りにたのしめたのでよかったです。

いそさんのレビュー

3.雫井脩介『火の粉』人の心に潜む狂気をあぶり出すサイコスリラー

火の粉
雫井脩介『火の粉
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あらすじ

元裁判官の梶間勲は、現在は大学で法律学の教鞭を取っている。ある日、勲の家の隣に一人の男が引っ越してきた。武内真伍——かつて勲が無罪判決を下した人物だ。竹内にはかつて隣人一家殺害の容疑がかけられていたが、証拠不十分で不起訴となった。笑顔を振りまき、気の利いた贈り物や老人介護の手伝いをする竹内に、梶間家の人々は徐々に心を許してゆく。一方、梶間家の周りで不吉な事件が連続して起こり始めるのだった。

おすすめのポイント!

とにかく息つく暇もない怒涛の展開で、一気に読んでしまうスリリングな作品です。2005年と2016年にドラマ化されました。本作の見どころは、「人に好かれたい」「自分を受け入れてほしい」という、誰もが多かれ少なかれ持っている感情の危うさを、リアルに描き出しているところです。丁寧な心理描写で登場人物たちの心の動きが描かれているので感情移入しやすく、まるで実際に体験しているかのように心揺さぶられながら読み進められます。終始ドキドキハラハラさせられ、怒涛の結末まで一気に読んでしまう一冊です。

結局人間が1番怖い、ちょっとホラー的な恐怖を感じました。結構文字数も多い長編でしたが、終始ハラハラして中弛みすることなく、一気に読めました。親切心が過激になり距離感がおかしくなって、狂気が勝っていく。ここまで狂った人はなかなかいないけど、誰でも親切心と承認欲求ってある程度セットなんだろうな。ああ怖かった……

おこめさんのレビュー

4.雫井脩介『望み』儚い望みの結末に、きっとあなたも涙する

望み (角川文庫)
雫井脩介『望み (角川文庫)
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あらすじ

建築家の石川一登は、妻・貴代美と年頃の息子、娘と共に穏やかな日々を送っていた。ある日、高校生の息子・規士が帰宅しないまま音信不通になってしまう。警察に相談した一登は、規士の友人が殺害されたと聞き不安を覚える。やがて判明したのは、行方不明者は三人いて、逃走中の少年が二人という事実だった。一登は規士の無実を望み、貴代美は犯人でも生きていて欲しいと願うが——。

おすすめのポイント!

この作品は第7回「山田風太郎賞」候補作であり、2020年に堤真一さん主演で映画化されました。自分の大切な人が加害者もしくは被害者になってしまったら……。本作はそんな究極の状況を描いたサスペンスミステリーです。極限状態に置かれた家族がそれぞれに異なる望みを持ち、苦悩し葛藤しながらも家族を信じようとする姿に胸が痛くなります。「事件」の真相はどこにあるのか、行方不明の規士は加害者なのか被害者なのか、謎が謎を呼ぶ展開も必見です。衝撃的な結末へと加速しながら突き進む物語を、ぜひ体験してみてください。

救いようがなく心苦しかった。息子が加害者が被害者か分からない中、どちらを望むかという難解な問に焦点を当てているのは新鮮だった。父、母、娘のそれぞれの思いは理解できるものの、答えが一つにまとまるものでなく、結末が明らかになってもやりきれない思いが残った。

ほんむらさんのレビュー

5.雫井脩介『クロコダイル・ティアーズ』家族という絆の光と闇を暴き出す衝撃作

クロコダイル・ティアーズ
雫井脩介『クロコダイル・ティアーズ
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あらすじ

陶磁器店を営む貞彦・暁美夫婦は、息子家族との関係も良好で幸せに暮らしていた。しかし、跡継ぎ息子は無残に殺されてしまう。捕まった犯人は、なんと息子の妻・想代子の元交際相手だった。彼は裁判で「想代子に夫殺しを依頼された」と述べた。その一言で、残された家族の間に疑念が広がってゆく。暁美は想代子を疑うが、貞彦は想代子と孫を同居させ、店の手伝いをさせる始末だ。想代子は本当に夫殺害を企んだのか……。

おすすめのポイント!

2022年9月に刊行された雫井さんの最新作で、「直木賞」候補に上がった作品です。どこにでもいる平凡で幸せな家族が、ある時を境に疑念と不信にまみれてゆく姿を描いています。本作の見どころは、「想代子は本当に夫殺しを依頼したのか」という大きな謎です。突然生まれた疑念によって、家族それぞれの本音が明らかになり、幸せだった家族に少しずつ歪みが生じてゆきます。雫井さんの持ち味である丁寧な心理描写が冴え渡る本作では、人間の心の不確かさや信じることの難しさが読者に突きつけられるのです。

読み終わると、タイトル秀逸だなと思った。この主人公凄いな。こういう人っているんだろうな。知り合いにはなりたくないし、関わりたくないよ。ワニ嫁ミステリー」って評してる書店員さん、まさにな!って感じで笑った。疑心暗鬼、グレーなら白。ラストまで読んでもワニ嫁を信じてない自分がいました。

SACRAさんのレビュー


雫井さんの作品は、繊細な心理描写とスリリングな物語運びが魅力です。今回ご紹介した作品は、どれも一気読み必至の面白さでブクログ内の人気も高まっています。ぜひこの機会に手に取ってみてはいかがでしょうか?