こんにちは、ブクログ通信です。
突然ですが、サスペンス小説はお好きですか?スリリングなストーリーと先の読めない展開、読者の予想を裏切る驚きの結末など、サスペンス小説には刺激と面白さが詰まっています。現実で事件や事故に巻き込まれるのは困りますが、読書での疑似体験なら安心して楽しめる点も、サスペンス小説の魅力だといえるでしょう。
今回は、ブクログがおすすめする良質のサスペンス小説を、前後編に分けて5選ずつご紹介します!国内作品だけでなく、海外のとびきり面白い作品もご用意しました。めくるめく緊迫のストーリーを、ぜひお楽しみください。
1.逢坂剛『百舌の叫ぶ夜』「百舌」は誰?謎が謎を呼ぶサスペンスアクション
あらすじ
能登半島・孤狼岬で記憶喪失の男が発見された。妹を名乗る女が兄・新谷和彦だと認めたことから、男は引き取られていくのだった。一方、東京・新宿では過激派集団による爆弾テロ事件が発生。倉木尚武警部の妻が巻き込まれ死亡した。新谷にテロリストの疑いがかかり、明星美希部長刑事が尾行を開始するが……。
おすすめのポイント!
逢坂剛さんの人気シリーズ第1作です。警察、反社会組織、テロリストといった、さまざまな立場の人間が登場し、錯綜する人間関係が描かれます。「記憶喪失の男の正体は?」「テロ事件の犯人は?」と、次から次へと沸き起こる謎に読む手が止まらなくなる作品です。かなりダークな作風で、ハードボイルド小説としても読むことができます。手に汗握る展開、登場人物を襲う残酷な運命、そして意外な結末……。サスペンス小説の醍醐味を味わうのにぴったりの作品です。
ドラマ・MOZUを観たあと、気になっていた原作として読んだ。本書とドラマの内容は若干異なる、という感想もあったがひとつの作品として、とても楽しめた。映像が記憶に残っていたおかげで、話の筋が前後してもあまり違和感なく読み進められた。このシリーズを続けて読んでみたいと思う。
2.山田宗樹『黒い春』奇病と人類の戦いを描いたパニック小説
あらすじ
監察医務院に運び込まれた1体の遺体。死因は覚醒剤中毒と思われたが、体内から未知の黒い胞子が見つかった。それから1年後、1人の大学生が突然黒い粉を吐いて絶命する。発症から30分で死亡した学生の遺体からは、またも胞子が見つかるのだった。その後も、口から黒い粉を吐きながら絶命する人が全国で続出。致死率100%の奇病は「黒手病」と呼ばれ、人類の命運をかけた奇病との戦いが始まるのだった。
おすすめのポイント!
『嫌われ松子の一生』で知られる山田宗樹さんの、致死率100%の奇病をめぐるパニック・サスペンス小説です。現在世界中を襲っているコロナ禍に通じる部分もあり、かなりリアルさを感じながら読める作品だといえるでしょう。見えないものとの闘いの恐ろしさ、なすすべなく倒れていく人類の無力さを、鋭い筆致で描き出します。「もしも自分だったら」が常に頭の中によぎり、恐怖や緊迫感が尋常ではなく感じられる作品です。物語の結末はどうなるのか、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
黒い粉を吐いて死亡する凶悪な「黒手病」が発生、感染経路は不明、治療法も見つからない。パンデミックの予感にページを繰る手が止まらない。医療、植物学、歴史まで入れ込んだ盛り沢山ストーリー。気を持たせた終わり方もうまい。
3.松岡圭祐『高校事変』孤独な女子高生が武装集団に立ち向かう!
あらすじ
武蔵小杉高校2年の優莉結衣(ゆうり・ゆい)の父は、平成最大のテロ事件を起こし死刑になった。事件当時、結衣はまだ9歳で犯罪集団との関係の有無はわからない。ある日、支持率向上を狙って総理大臣が結衣の学校を訪問することになった。SPを連れた総理大臣が生徒や教員と懇親を始めた時、突然武装勢力が侵入、総理が人質に取られそうになる。偶然居合わせた結衣は、知識と機転を活かして武装勢力を撃退していくが——。
おすすめのポイント!
読んでスカッとする、サスペンスアクション小説です。テロリストの娘対テロリスト、という皮肉の効いた構図が秀逸で、先が気になりどんどん読めてしまいます。時事問題や現実世界の出来事を絡めた、リアリティのある物語が見どころです。また、なんといっても主人公が魅力的!孤独と闇を抱えた女子高生で、武装集団に立ち向かえるほど強いダークヒロインです。戦闘シーンは迫力満点の描写が冴えわたり、まるで線上にいるかのような緊張感を味わえます。シリーズ刊行されているほか、2020年にはコミカライズも果たしました。
女子高生VSテロリスト、この構図が新鮮でした!また、キッチリとしたアクション描写で緊迫感が演出され、手に汗握る展開もあり、読み始めた手が止まりませんでした!
4.中山七里『贖罪の奏鳴曲』「正義とは何か」。衝撃のリーガル・サスペンス
あらすじ
入間川の堤防で、全裸の男の死体が発見された。身体中に傷と打撲跡があり、リンチを受けたようにも見える。しかし、現場で死体を目にした埼玉県警捜査一課の渡瀬は、早々にこの死体が水死だと見抜くのだった。捜査が進むうち、警察は弁護士・御子柴礼司に疑いの目を向ける。ところが、御子柴には「鉄壁のアリバイ」があるのだった。
おすすめのポイント!
大人気作家・中山七里さんによるリーガル・サスペンス作品です。多くのファンを持つ「御子柴礼司シリーズ」の第1作でもあります。主人公の御子柴は、弁護士でありながら暗い過去を持つ特殊な人物です。物語冒頭から読者の意表を突く展開が待っており、物語が進むほどに結末の予想は不可能になっていきます。登場人物たちの人間ドラマ、繊細で美しい情景描写、そして中山さんの持ち味である大どんでん返しが待っていて、読後の満足度はかなり高めな作品です。2015年と2019年にテレビドラマ化されました。
ブク友さんのお勧め(高評価)あったので興味を持ち読んでみました。御子柴さんシリーズ第一作目。初めから御子柴さんが死体遺棄をする場面で、どうなるかと思いましたが、最後は2転3転のどんでん返し。物語にとても惹き込まれてあっという間に読了。御子柴さん強烈ですが、とても魅力的な弁護士さんだと思いました。シリーズなので、他の作品も楽しみです。
5.高木彬光『人形はなぜ殺される』「首」をめぐるスリリングな物語
あらすじ
手品が行われた会場から、作り物の「首」が盗まれた。衆人環視の中、箱の中から忽然と消えてしまったのだ。数日後、女性の首なし死体が発見され、近くには盗まれた「首」が落ちているのだった。殺人を予告する残酷な人形劇は、犯人からの挑戦状なのか……?名探偵・神津恭介がアリバイトリックに挑む——!短編「罪なき罪人」「蛇の環」を収録。
おすすめのポイント!
古典ミステリの代表作との呼び声高い、名作中の名作です。謎めく連続殺人事件と、それに挑む名探偵の活躍を描いたサスペンス・ミステリー小説となっています。刊行は1955年とかなり古い作品ではありますが、現代で読んでも大変魅力的な作品です。じっくりと読ませる巧みな文章と読者の意表を突くトリックで、古臭さを感じさせません。不穏で謎めいた雰囲気の中、連続殺人犯との対決がスリリングに描かれています。サスペンス好きにぜひ読んでほしい一冊です。
名作と聞きながら読んでいなかったので。古い作品だが、時代を超越したおもしろさ。楽しい読書時間がすごせた。このタイトルも秀逸だ。他の神津恭介シリーズも読んでみよう。
今回ご紹介した作品は、ドキドキハラハラの展開だけでなく、ミステリーやアクションなど多ジャンルの魅力も兼ね備えた傑作たちです。一冊で何度もおいしいサスペンス劇を、じっくりとお楽しみください!
【後編】もお楽しみに!