こんにちは、ブクログ通信です。
本好きの方にとって、書店は憩いの場所なのではないでしょうか。沢山の本に囲まれていると、時間を忘れて熱中してしまいますよね。
今回は、そんなみなさんへおすすめしたい、書店を舞台にした作品10選をまとめてみました!
小説編、漫画編とそれぞれご紹介いたしますので、気になった方は、ぜひこの機会に手に取ってみてくださいね。
1.宮部みゆき『淋しい狩人』(新潮文庫)
あらすじ
東京下町の小さな共同ビルの一階にある「田辺書店」は、店主のイワさんと孫の稔が切り盛りする古本屋だ。この田辺書店で、様々な事件が繰り広げられる。OLが偶然手にした本に挾まれていた名刺。父親の遺品の中から出てきた数百冊の同じ本。本をきっかけとする数々の事件に、イワさんと稔が挑む。
オススメのポイント!
みなさんご存知、宮部みゆきさんの小説です。本作は、古本屋を舞台にした6つの短編ストーリーで構成されています。舞台である「田辺書店」は実在する「たなべ書店」がモデルであり、宮部さんが行きつけにしている書店とのことです。小さい舞台ながら物語で起こる事件は大きく、現実でも起こりえそうな重めの話もありますが、主人公のイワさんと、今時な若者の孫とのコミカルな掛け合いにほのぼの癒されます。宮部さんの『模倣犯』が好きな方にもおすすめの作品です。
表題作含む6編収録の古書店を舞台にした連作短編集。本に纏わる話ではあるが、古書店というのがこの作品の大事な部分。新刊書店では起こりえない事件ばかりだからだ。本を中心に据えた作品なら「ビブリア古書堂の事件手帖」が有名だが、本作はそちらとは全く雰囲気が異なる。しかし、本を通してわかる人間の深層心理のようなものは共通するところがあるように感じる。人間の強さ、弱さなどが凝縮された作品集であるように思う。
2.早見和真『店長がバカすぎて』(ハルキ文庫 は 15-1)
あらすじ
二十八歳、谷原京子は吉祥寺の書店の契約社員だ。仕事は超多忙なのに給料は少ない。店長の山本猛は、名前ばかり勇ましい「非」敏腕で、人を苛立たせる天才だ。バカすぎる店長に毎日「マジで辞めてやる!」と思いつつ、仕事や本を愛する京子は……?
オススメのポイント!
「2020年本屋大賞」にノミネートされた早見和真さんの小説です。物語は6つの短編となっており、それぞれの伏線が最後にかけて回収されてゆきます。バカすぎる店長に心の中で鋭いツッコみを入れる主人公の日常がコミカルに描かれており、書店員さんにはもちろんですが、働いている方にとっても「こういう人いるいる!」と共感せずにはいられない話が盛りだくさんの作品です。薄給で超多忙なのに、それでもやはり本が好きで書店員を続ける主人公に、面白おかしく笑いつつも思わず感情移入してしまうことでしょう。
バカ?な書店店長と悩める契約社員が中心の物語。バカすぎるのか、もしかして敏腕なのか、でもどこか憎めない店長や他の特徴的な登場人物が絡み合って、クスっと笑ってしまう部分だったり共感する部分があったりと面白かったです。伏線も回収されて、最後まで楽しめました。
3.大崎梢『配達あかずきん―成風堂書店事件メモ』(創元推理文庫)
あらすじ
近所の老人から託された「いいよんさんわん」という謎の探求書リスト。『あさきゆめみし』というコミックを購入後に失踪した母を捜す女性。配達したばかりの雑誌に挟まれた盗撮写真……。駅ビル六階の書店「成風堂」を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と勘の鋭いアルバイト・多絵が、さまざまな謎に取り組んでいく。
オススメのポイント!
元書店員だったという大崎梢さんは、本作で小説家デビューを果たしました。5つの短編で構成されたミステリー小説ですが、同時に書店員の日常が忠実に描かれ、書店員さんならではの「あるある」が詰まった内容なので、お仕事エッセイとしても楽しめる作品となっています。ミステリーと聞くと殺伐とした印象を覚えますが、本作は確かにミステリーではあるものの謎が解決すればどれもほっこりするエピソードばかりなので、疲れた時やほんの休憩時間に読むのにもおすすめです。
いわゆる「日常の謎」ミステリー。5編からなる短編集。日常の謎=ほっこり系と思いがちな私には、1篇目の「パンダは囁く」でガツンと殴られた気分!(面白い!)そして続く2編目の「標野にて 君が袖振る」では、切なさに心を打たれた。親の気持ち、子の気持ち、人を想う気持ちがどれも共感できる。本屋さんの日常が垣間見えるところも興味深く、面白かった。