こんにちは、ブクログ通信です。
谷川俊太郎さんは、太平洋戦争後の現代日本を代表する国民的詩人として知られ、翻訳家、絵本作家、脚本家としても活躍しました。2024年に亡くなる直前まで意欲的に制作活動を行い、詩集や絵本、翻訳作品などで数々の名作を世に送り出しています。
今回は、そんな谷川さんの作品の中から、今読んでおくべきイチオシ絵本作品を5つ紹介いたします。
誰もが知っている名作から社会問題に向き合った意欲作まで幅広く厳選しましたので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
1.作:谷川俊太郎、絵:元永定正『もこもこもこ』読み聞かせにもおすすめ!不思議な世界観が楽しい超人気絵本

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あらすじ
しーんと静かな空間に、不意に「もこもこ」とはえてきた不思議なもの。「にょきにょき」や「ぱく」、「つん」など、擬音だけで表現されるその不思議なものの動きに、大人も子供も目が離せなくなる絵本です。詩人・谷川俊太郎さんと前衛美術作家・元永定正さんによる、言葉と絵の絶妙なハーモニーが美しい一冊です。
おすすめのポイント!
小さい子供に絶大な人気を誇る絵本です。「読み聞かせをすると子どものリアクションが良い」という声が多数上がっており、出産祝いとしても人気を集めています。「子供の頃に読んで好きだった」という大人のブクログユーザーも多いことでしょう。谷川さんのリズミカルな詩と、国内外から高い評価を得ている画家・元永さんのカラフルな絵が織り成す、不思議で楽しい世界を楽しめる一冊です。声に出して読むとより楽しめます。
不思議な絵本。幼いこどもが、読み聞かせをするたびにゲラゲラ笑っていたことを思い出した。なにもないところから「もこ」っとでてきて、最後まで読んだらまた最初にもどる。エンドレスな感じで読まされていた。なにがそんなにおもしろいのだろうと、不思議だった。けれども、こどもにしかわからないおもしろさがあるのだと思う。こどもの頃に読んでいたら、私も大笑いできたのかな。「かぜをひかないようにきをつけてよんでね。」とカバーのそでに書かれた谷川俊太郎さんの言葉に、優しさを感じた。
2.作:レオ・レオニ、訳:谷川俊太郎『スイミー ちいさな かしこい さかなの はなし』小さな魚の冒険が大きな勇気をくれる物語

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あらすじ
広い海の中で暮らす、小さな魚のきょうだいたち。みんな赤い色なのに、スイミーだけはからす貝よりもまっくろでした。ある日、きょうだいみんなが大きな魚にのまれ、スイミーは一人ぼっちになってしまいます。広い海を旅するうちに、さまざまなすばらしいものを見たスイミーは、再び大きな魚に出会いますが……。
おすすめのポイント!
世界的な絵本作家であるレオ・レオニさんの代表作であるこの絵本は、1963年に出版され、日本では谷川さんの翻訳により1969年に好学社から出版されました。小学校の国語の教科書に採用されているため、「子どもの頃に読んだ」という人も多いと思います。赤い魚たちの中で一人だけ黒いスイミーの物語は、私たちに「人と違ってもいい」「自分なりの長所を大切にするべき」といったことを教えてくれます。谷川さんの温かみのある翻訳文が印象的です。
なんと言っても言葉の比喩がみずみずしい。国語の教科書に出てくる有名なお話ですが、ぜひ絵本でも読んで欲しいです。絵と言葉の組み合わせ方、透き通った絵の質感など、絵本で読むとまるで別の作品のように世界観にぐっと引き込まれました。水中ブルドーザーみたいないせえび…うなぎ。かおをみるころには、しっぽをわすれているほどながい…など、頭に描く生き物たちが思わず動いてしまいます。
3.詩:谷川俊太郎、絵:岡本よしろう『生きる』生きていることの本質に迫る、温かくも力強い作品

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あらすじ
「生きているということ いま生きているということ」。様々な人生の瞬間の情景を連ねる詩『生きる』が絵本になりました。とある家族がすごす夏の一日を通して、私たちが生きる「いま」を描き出します。足元のアリを眺めたり、気ままに絵を描いたり……。子どもたちの何気ない日常の中にこそ、「生きている」を実感させるすべてが詰まっているのです。
おすすめのポイント!
素朴でまっすぐな言葉が胸に刺さる絵本です。少しレトロな日本の風景と共に語られる谷川さんの言葉は、シンプルで飾らないからこそ多くの人の心を捉えます。「生きているということ」というダイレクトな表現によって、人生や命の重みを素直に感じられる作品です。何気ない日常の大切さや、ごく普通の暮らしが当たり前ではないことを教えてくれます。年齢性別を問わずおすすめな一冊です。
歳を重ねるほどに詩が好きになる。谷川俊太郎の詩は小さい頃からずっとそばにある。生きるは日常であり、全てが生きる事であり生きるということはプレシャスだけどそれはただの日常なんだな。と感じた。
4.文:谷川俊太郎、絵:junaida『ここはおうち』ページをめくるたびワクワクが増してゆく冒険絵本

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あらすじ
詩人・谷川俊太郎さんと画家・junaidaさんによる奇跡のコラボレーションが実現した本作は、往復書簡のように言葉と絵を交わしながらつくられた絵本です。おうちからおでかけする「わたし」と一緒に、物語の奥へ奥へと旅するような気分を味わえる、ワクワクが詰まった一冊です。歌うように軽やかな文章と、眺めるのが楽しい挿絵が読者の心を捉えて離しません。
おすすめのポイント!
『HOME』でボローニャ国際絵本原画展2015に入選し、有名百貨店の催事にも作品提供している人気画家・junaidaさんの絵が目を引く絵本です。本作では、「わたし」がおうちからさまざまなところへ「おでかけ」する様子が、カラフルで遊び心溢れる挿絵と軽やかな文章で描かれています。ページをめくるたびに新しい世界が目に飛び込んでくる楽しさが詰まった作品で、本を読む喜びを感じられる作品です。
ページを捲るたび、わくわくしてにこにこしてしまう。小さなところも見落とさないように、じっくりじっくり味わう。谷川俊太郎の言葉から広がる、果てない空想世界。
5.作:谷川俊太郎、絵:合田里美『ぼく』子供の生と死に正面から向き合う鮮烈な作品

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あらすじ
死をめぐる絵本「闇は光の母」シリーズ第3巻の本作は、90歳を迎える詩人・谷川俊太郎が「自死」を想い、言葉をつむいだ作品です。『現代日本の中で、死をめぐる文と絵による絵本はどんな形でなら成立するのか、この野心的な企画はそれ自体で、より深く死を見つめることで、より良く生きる道を探る試みです』と語る谷川さんの想いが込められています。
おすすめのポイント!
「自死」をテーマにした絵本です。小学校6年生の男の子が、ごく普通の日常の中で選んだ「死」を描いています。新進気鋭のイラストレーター・合田里美さんによる透明感あふれる美しい挿絵と、少年の心をシンプルな言葉で捉えた谷川さんの文章は、凄みさえ感じさせるような迫力です。近年社会問題にもなっている「子どもの自死」について真摯に向き合った絵本であり、生と死について深く考えさせられる哲学的な作品でもあります。
小学校高学年から中学生向け。一人称で書かれ道徳の授業で活用できそうな内容。文字数、ページ数は少ないがそれに余って絵に着目できるものであった。一度手に取って考えてほしい本。
谷川さんの作品は、喜怒哀楽を生き生きと表現した言葉が魅力です。
今回ご紹介した作品は挿絵との相乗効果で、より言葉の美しさを楽しめる5作なので、ぜひこの機会に手に取ってみてくださいね!