山本文緒さんオススメ5選!~鋭い心理描写が心に刺さる名作選~

こんにちは、ブクログ通信です。

山本文緒さんは、大学卒業後OLを経て、少女小説家としてデビューしました。ジュニア小説でも数々の名作を発表後、1992年の『パイナップルの彼方』を境に、一般文芸へと転向します。1999年に『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞、2001年には『プラナリア』で第124回直木賞を受賞し、人気作家としての地位を確立しました。前述の『恋愛中毒』や『あなたには帰る家がある』など、映像化作品も多数ある人気女性作家です。

ブクログから山本さんの人気作・オススメ作を5作紹介いたします。少女小説家時代の作品から、熟練した筆致を楽しめる傑作まで、幅広く選びました。多くの読者を唸らせる独特な世界観を、ぜひ一度ご体験ください。

『山本文緒(やまもと ふみお)さんの経歴を見る』

山本文緒さんの作品一覧

1.『ブルーもしくはブルー』 やり直したい過去がある人に贈る、「もしも」の物語

ブルーもしくはブルー (角川文庫)
山本文緒さん『ブルーもしくはブルー (角川文庫)
ブクログでレビューを見る

あらすじ

佐々木蒼子は、広告代理店勤務の夫と東京で暮らしている。夫との関係は冷え切っており、結婚記念日だというのに、蒼子は年下の恋人と旅行中だ。ある時、満たされない想いを抱え街を歩いていた蒼子は、自分そっくりの女に出会う。その名は、蒼子。かつて選ばなかった別の人生を歩む、もう一人の自分だった。2人の蒼子は1ヵ月だけ生活を交換することにして——。

オススメのポイント!

「あのとき、違う道を選んでいたら……」。誰もが一度は、そう思った経験があるのではないでしょうか。この作品は、そんな「もしも」を斬新な視点で描き出す衝撃作です。もう1人の自分と人生を交換するという、恐ろしくも興味惹かれるストーリーを、ぜひ味わってみてください。本作は2004年にNHK総合にテレビドラマ化され、主演は稲森いずみさんが務めました。石黒賢さんや内田朝陽さん、山寺宏一さんら、脇を固めるキャストの豪華さにも注目が集まり、話題となった作品です。

自分自身のドッペルゲンガーと出会い、1ヶ月間生活を交換する話。もうひとつの人生を歩んでいる、過去に自分とは違う選択をしていたもうひとりの自分と生活を交換することで、元の生活では今まで当たり前だと思っていたことにお互いが気付いていく。中学生のときに始めて山本文緒に出会った本。ドッペルゲンガーという設定も面白く、起承転結がはっきりとあってわかりやすい。

ma09592さんのレビュー

2.『なぎさ』人生で悩んだとき、優しく背中を押してくれる1冊

なぎさ (単行本)
山本文緒さん『なぎさ (単行本)
ブクログでレビューを見る

あらすじ

佐々井と冬乃は、同窓生夫婦だ。故郷を捨て、久里浜で静かに暮らしている。出社もせず、毎日釣り三昧の佐々井、佐々井の後輩で毎日を自堕落に過ごしている川崎、そんな2人に毎日弁当を作り続ける冬乃。ある日、冬乃の妹で元漫画家の菫が転がり込んできた。菫に誘われるまま、カフェを開くことにした冬乃。しかし、一方で佐々井と川崎は思わぬ事態になっていて——。

オススメのポイント!

病気を乗り越え、山本さんが15年ぶりに発表した長編小説です。さまざまな立場にいる登場人物たち、一人一人が抱える葛藤や心の闇が丁寧に描写され、山本さんならではの表現力に唸らされる作品です。派手な事件は起こらないものの、読み進めるほどに心に迫ります。一見、登場人物の誰も彼もが好き勝手しているように見えて、読み始めはなかなか感情移入できないかもしれません。しかし、物語が進むうちに、登場人物たちを温かな気持ちで見守りたくなります。人生に悩んだとき、ぜひ手に取ってみてください。

登場人物一人一人の心情と背景を丁寧に無駄なく書かれていて、あっという間に引き込まれ、読み続けてしまう。物語の展開と回想シーンの挟み方が見事で、楽しめた。この人の作品は好きだ。

figo2011さんのレビュー

3.『アカペラ』 長期療養からの復帰第1作を含む、心揺さぶる恋の中編集

アカペラ (新潮文庫)
山本文緒さん『アカペラ (新潮文庫)
ブクログでレビューを見る

あらすじ

中学3年生のタマコは、身勝手な両親をよそにたくましく前向きに生きている。大好きなおじいちゃんさえ、そばにいてくれればいいのだ。ある日、おじいちゃんが老人ホームに入れられそうになり、それを阻止するために、タマコはある作戦を思いつく。おじいちゃんと一緒に居られるなら、駆け落ちするしかない——。(『アカペラ』)衝撃的な表題作のほか、2編を収めた中編集。

オススメのポイント!

『アカペラ』『ソリチュード』『ネロリ』という3篇の物語が収められた1冊です。どの作品も、一筋縄ではいかない恋を描いており、読み進むほどに驚きと衝撃の展開が待ち受けています。本書は、山本さんが長期療養後の復帰第1作を含む中編集なのですが、ブランクを感じさせない冴えた筆致を味わうことができる1冊です。山本さんならではの、少しビターな恋愛世界をぜひ体験してみてください。甘いだけの恋では物足りない人に、強くおすすめしたい1冊です。

短編集であるけれど、3つとも読み応えのある内容。訳あり家族のお話。お涙ちょうだいとはいかないまでも変わった環境に身をおいてる登場人物たちが織りなす日常がとても新鮮だったように思う。シュールなラストも斬新で面白かった。

ゆうゆさんのレビュー

4.『紙婚式』 「夫婦」というあり方に、鋭く切り込む短編集


紙婚式 (角川文庫)
山本文緒さん『紙婚式 (角川文庫)
ブクログでレビューを見る

あらすじ

男と妻の出会いは、居酒屋だった。アルバイト中、着物の女性にキムチをこぼしてしまったのだ。その女性は、後に男の妻になった。最初は上手くいっていた夫婦生活が、やがて不穏な空気に変化していく。妻が夜の生活を拒否するようになったのだ。男は、仕返しとして妻を求めなくなった。すると、妻は逆に男を誘うようになって——。(『土下座』)表題作含む8篇を収めた、夫婦がテーマの短編集。

オススメのポイント!

さまざまな形の夫婦を描いた、8篇の物語を楽しめる作品です。一見上手くいっている夫婦でも、水面下ではさまざまな問題を抱えているのだな、と考えさせられます。結婚している人には、共感できる部分の多い短編集だといえるでしょう。独身の人にとっては、「結婚」の生々しい実態を突きつけられる1冊だといえそうです。妻の視点、夫の視点、どちらも山本さんならではの鋭い観察眼で説得力ある描写がなされています。時にほほえましく、時に恐ろしい8組の夫婦の物語を、ぜひ読んでみてください。

夫婦に限らずだけど、”自分以外”は他人だから価値観も考え方も何もかも違うのは当たり前。血縁のある家族でさえ、何を考えているかなんて言葉にしないと分からないのだから、育ってきた環境も何もかも違う他人なら理解できないことがあっても仕方ない。しっかり話し合って、考えを言葉にして伝えて、譲り合い、ときにはぶつかり合って、一緒にいる努力をお互いにしていかなければ夫婦という紙1枚の関係なんて呆気なく崩れてしまう。結婚とは、夫婦とは、なんなんだろうなぁ、と考えさせられ本でした。
読みやすいし面白かったです!

ゆいこさんのレビュー

5.『群青の夜の羽毛布』 ねじれた愛情の結末に、背筋が冷たくなるミステリー

群青の夜の羽毛布 (幻冬舎文庫)
山本文緒さん『群青の夜の羽毛布 (幻冬舎文庫)
ブクログでレビューを見る

あらすじ

丘の上の一軒家に、3人の女が住んでいる。厳格な母親と、神経質な長女のさとる、母親に口答えできる妹のみつるだ。さとるは、家族とも他人とも上手く関係を築けないまま大人になってしまった。もう24歳になったというのに、門限は夜10時だ。そんなさとるは、大学生の鉄男と知り合い、付き合い始める。鉄男は、今まで付き合ったどんな女性とも違うさとるに夢中になるが——。

オススメのポイント!

ミステリアスな展開、ドロドロの人間関係、愛憎渦巻く物語……いくつもの魅力を加えて煮詰めたような、読み応えある作品です。母親に逆らえないさとると、さとるの魅力に搦め取られていく鉄男がどんな関係になっていくのか、2人の迎える結末はどんなものなのか、先が気になり、ページをめくる手がどんどん速まってしまうことでしょう。読み進めるほどに、重く苦しい展開が待ち受けていますが、それ以上に物語に惹き込まれること請け合いです。読後にはもう読みたくないと思っても、やがてまた読み返したくなる、魔性を秘めた作品です。

良かったですこれ。 登場人物の心情の表し方が巧みで、飽きなかった。 読み進めていくうちに、謎が明らかになっていって、最後の展開は結構勢いがあった。 なんていうか、よその家庭の秘密を覗いてるような気分になる。見てはいけないものを見た、という風に怖い。 既に崩壊している家族。 母親と娘が家庭を立て直そうとするわけでもなくせめて現状を維持できるように生活している。 そして父親……。 作品全体がなんだか群青色、青みがかかったイメージでした。

reona-eternityさんのレビュー

山本さんの作品は、複雑に絡み合う人間関係と、そこで生まれる濃厚な感情を巧みに描き出します。誰もが秘めている感情を露わにしてしまう、恐ろしくも魅力的な山本ワールドに、ぜひ足を踏み入れてみてください。