こんにちは、ブクログ通信です。
可愛らしい絵とシュールな作風が人気の絵本作家・ヨシタケシンスケさん。2013年に初のオリジナル絵本作品『りんごかもしれない』を刊行すると、その哲学的な内容が話題となりました。同作で「MOE絵本屋さん大賞」第1位を獲得、第61回「産経児童出版文化賞美術賞」を受賞しています。
以後、続いて刊行された『ぼくのニセモノをつくるには』『このあとどうしちゃおう』などの「発想絵本」シリーズが人気を博します。ユニークな内容がSNS上で話題を集めるヨシタケシンスケさんの作品は、大人も楽しめる絵本として幅広い年代から支持を集めているのです。
ブクログから、そんなヨシタケシンスケさんのオススメ作品を5作紹介いたします。読者の予想の斜め上を越えていく展開にハマる人続出の名作絵本たち。忙しい毎日に疲れた心を優しくほぐしてくれる、クスリと笑える傑作ばかりです。ぜひ本棚に加えてみてはいかがでしょうか?
『ヨシタケシンスケ(よしたけ しんすけ)さんの経歴を見る』
1.ヨシタケシンスケ『ころべばいいのに』モヤつく心をスッキリさせる絵本
あらすじ
キライな人がいてもいい。イヤなことがあったときはイライラしたっていい。なにげない日常の中のイライラやモヤモヤに、どう向き合ったらいいかをヨシタケシンスケ流に提案します。「イヤなことをしてくるあの人、石につまずいてころべばいいのに」——そう思ったことがある人は必読!自分の中のネガティブな感情を斬新な方法で解消できる「発想絵本」シリーズ第4作。
おすすめのポイント!
ヨシタケシンスケさんの代表作『りんごかもしれない』に続く「発想絵本」シリーズの4作目です。タイトルの通り、「キライなあいつ、ころべばいいのに」という気持ちを代弁してくれるようなユニークなストーリーが楽しめます。思っているけれど口に出すことはできない、心の中に溜まりがちなモヤモヤした気持ちを、この本がちょっとだけスッキリさせてくれるでしょう。シリーズの他作品に比べて、ネガティブな感情を積極的に打ち出した少しダークな切り口が特徴の絵本です。だからこそ、忙しい毎日でストレスフルな大人の心にじんと来る一冊となっています。
「きらいなひと」や「イヤなきぶん」に対して心の中での対処法を思考。いわゆるアンガーマネジメント。きらいなひと側にも理由があるんじゃないか、というところまで想像を巡らせるけど、無理に嫌いでなくなろうとはしない。考えたり、逃げたり、向き合ったり、どうするかは自分で決める。として終わる。明日もがんばろう。と思った。
2.ヨシタケシンスケ『このあと どうしちゃおう』死後のイメージが変わる!
あらすじ
ぼくは、死んだおじいちゃんの部屋で1冊のノートを見つけた。「これからどうしちゃおう」というタイトルのそのノートは、おじいちゃんが死んだあとやりたいこと・やってほしいことが書いてあった。死んだらまずは幽霊センターに行って、時々家族の様子を見に行く。天国でゆっくり過ごした後は、生まれ変わりセンターに行く。おじいちゃんのノートには、死後の世界が楽しみになる愉快なアイデアがたくさん詰まっていた。
おすすめのポイント!
ヨシタケシンスケ流の死生観が描かれた絵本です。「死」をテーマにしながらちっとも重くならず、思わず笑ってしまうほどユーモアの効いたストーリーが魅力となっています。死後の世界を前向きにとらえるおじいちゃんのかわいさに、誰もがきっとキュンとするはず。おじいちゃんと「ぼく」の絆の深さにも感動します。どう生きるか、どう死ぬのかを考えさせられる一冊です。さっぱりと明るく楽しい読み口なのに、心の奥深くに問いかける不思議な魅力を持った絵本となっています。人生をある程度過ごした大人にこそ、深く響く作品です。
先日病気で亡くなった父のことを想いながら、娘と一緒に読んで号泣してしまいました。ユーモアたっぷりに描かれた天国の世界は、同じようにいつも楽しいこと、おもしろいことを考えていた父が思いつきそうなことばかりでした。まだまだ涙ばかりですが、この本は父の死をポジティブに受け入れ、悲嘆の時を克服する助けとなりそうです。
3.ヨシタケシンスケ『みえるとか みえないとか』ヨシタケ流「多様性」とは
あらすじ
宇宙飛行士の「ぼく」は、宇宙にあるいろいろな星を訪れて調査するのが仕事。ある日訪れた星は、目が3つあるひとたちが暮らす星だった。この星のひとたちは、ぼくのことを『後ろが見えなくてかわいそう』と同情してくれる。でも、ぼくにとって目が2つしかないのは普通のことなのに……。ぼくはそこで、目が見えないひとに話しかけてみた。目が見えないひとの見ている世界と、ぼくの見ている世界とは大きく違っていて——。
おすすめのポイント!
宇宙飛行士と、さまざまな星に暮らすひとたちとの交流を通して、「ちがい」について考えさせられる絵本です。三つ目の星人たちにとっては、二つ目の「ぼく」は「普通じゃない存在」というように、子どもにもわかりやすい表現で描かれています。ある場所での当たり前が、別の場所では当たり前ではない、という事実を改めて教えてくれる絵本です。近年世界中で取り上げられている多様性について、ユーモアたっぷりに描き出しています。何度も読み返したくなる奥深い一冊なので、贈り物にもおすすめです。
4歳3ヶ月男児。大人にとっても大変読み応えのある本。読み聞かせていて、4歳児には難しいな、と思ったが、とても楽しそうにあーだこうだ言いながら、聞いていた。誰かにとっての当たり前も、誰かにとっては当たり前じゃない。何かが違うと感じ方も全然違うかも。言われてみれば当たり前のことなんだけど、普段生活しているときは、そういうこと忘れちゃうんだよなー。
4.ヨシタケシンスケ『ぼくのニセモノをつくるには』常識の盲点を突く!
あらすじ
お手伝いや宿題、部屋の片づけ……イヤなことをするのにうんざりした「けんた」は、自分のニセモノをつくることを思い付く。お小遣いをはたいて買ってきたロボットを自分そっくりに教育するため、好きなものや嫌いなもの、できることとできないことを教え始めるけんた。でもロボットはまだまだ納得しない。もっとけんたのことを教えてくれという……。
おすすめのポイント!
「自分の代わりに、面倒なことをすべてやってくれる存在がいたらいいのに」と、誰もが一度は夢見たことがあるのではないでしょうか?この作品を読むと、そんな淡い夢はきれいに吹き飛んでしまいます。本作を通して気付かされるのは「自分のことって、意外と知らない」という驚きの事実です。家族構成や好き嫌いだけでなく、周囲にどう思われているか、先祖はどんな人か、ということまですぐに答えられる人は少ないのでは?知っているようで知らない自分のことを、見つめ直すきっかけになる一冊です。
ヨシタケシンスケさんの本、好き嫌いが分かれるけどこれはよかった!ニセモノを作るために、自分について見つめ直す。コロコロかわるとか、他人から見た自分とか、場所によって役目が違うとか。大人の私でも、それでいいんだって安心させられる。自分に自信がないとか、私ってなんだろうとか、悩みだした時期におすすめ。
5.ヨシタケシンスケ『つまんない つまんない』ニューヨークタイムズも注目!
あらすじ
子どもがよく使う「つまんない」という言葉。でも、「つまんない」って何だろう?ある日、何をしても「つまんない」になってしまった男の子が、「つまんない」について考え始めた。「いつもとちょっとちがうと、おもしろいのかな」「いちばんつまんないのって、何歳かな」。どんどん考えていくうちに、男の子は「つまんない」ことを考えるのが楽しくなってきて……。
おすすめのポイント!
「そういえば、つまんないって、どういうこと?」と改めて考えさせられるユニークな作品です。子どもの頃、多くの人がふとしたときに口にしたであろう「つまんない」という言葉の奥深さを、独自の視点で描き出しています。「つまんない」を追求していくうちに、とんでもない方向に空想が広がっていくさまに思わず笑ってしまうことでしょう。脱力感のあるイラストと、予想を超えてくる展開が魅力の絵本です。読み聞かせ絵本としてもおすすめですが、大人へのプレゼントとしても高い人気を誇る一冊です。
ある男の子が、つまんないって何だろうって考えを巡らしていく絵本。どんどん考えがめぐっていって最終的に答えは出ないんだけど、こんなふうに考えるって楽しいよねとあまり意識的にやっていないことの楽しさに気づかされた感じ。
ヨシタケシンスケさんの作品は、大人の心にこそじんと響くおかしさや優しさが込められています。読めば読むほど奥深いヨシタケワールド。まだ読んだことがない人は、ぜひこの機会に手に取ってみてくださいね!